「インフルエンス」全話ネタバレ・感想・キャスト一覧

WOWOW「インフルエンス」あらすじキャスト

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WOWOWの連続ドラマ「インフルエンス」(全5話)についてまとめました。

女性たちの友情が引き金となった3つの殺人事件を描くサスペンス。

35年前、昭和時代の団地で2つの殺人事件を犯した3人の少女たちが、その10年後にさらに恐ろしい殺人計画を立てるというストーリー。原作は近藤史恵さんの同名小説。

作品概要

  • 放送局:WOWOWプライム/WOWOW4K
  • 放送時間:2021年3月20日(土)から毎週22:00~ほか
  • 原作:近藤史恵『インフルエンス』
  • 脚本:篠﨑絵里子(「坂の途中の家」「グッドワイフ」「人魚の眠る家」)
  • 監督:水田成英(「絶叫」「医龍」)/ヤングポール(「ゴーストマスター」)
  • 音楽:林ゆうき/菅野みづき/奥野大樹
  • 主題歌:Cö shu Nie「miracle」

あらすじ

地方の団地で暮らす高校生の友梨(橋本環奈)は、過去に同級生の里子(吉川愛)が、祖父から性的虐待を受けていることを知りながらも、彼女を守ることができず疎遠になってしまったことで、心に傷を負っていた。
ある日、友梨が通う高校に東京から真帆(葵わかな)が転校してくる。真帆は何事も真剣に取り組む性格があだとなり、クラスで浮いた存在となっていたが、友梨は同じ団地で暮らしていることもありすぐに打ち解ける。そんな中、包丁を持った暴漢に襲われそうなった真帆を助けようとして、友梨は男を刺してしまう。正当防衛だと逃げ、恐怖で震えながら眠りについた翌日、逮捕されたのは不良となった里子だった。

WOWOW公式サイトより

原作について

このドラマの原作は、近藤史恵さんのミステリ小説『インフルエンス』(2017年刊行)です。

お互いの関係を隠して大人になった3人の女たちが過ごした20年間と、その入り組んだ秘密の関係を描いた感動サスペンス。

登場人物(キャスト)

過去

戸塚友梨(橋本環奈)
地方の団地で育ち、地元の高校に通う。優しくおとなしい性格。里子とは小学生からの幼なじみで、真帆とは高校生のときに出会った。親友の真帆を助けるために人を殺してしまい、その事実を里子に知られてしまう。大学卒業後は実家を離れ、東京の書店で働いている。

坂崎真帆(葵わかな)
友梨の親友。団地に引っ越してくる前は社長令嬢で裕福な暮らしをしていたが、両親が離婚して生活が一変した。何事も真剣に取り組む性格で負けん気が強い。同じ団地に住む友梨と仲良くなり、友梨を守るためにある人物を事故に見せかけて殺害する。

日野里子(吉川愛)
友梨の幼なじみ。小学生のときに祖父から性的虐待を受けていることを友梨に知られ、それ以来疎遠になっている。高校に入ってからは不良グループの緒方と仲良くなり、生活が荒れ始める。偶然友梨が殺人を犯す場面を目撃し、身代わりとなって逮捕される。

緒方歩(宮近海斗)
友梨や真帆、里子と同じ高校に通う1学年上の不良。友梨の同級生に重傷を負わせ、少年院に入る。問題のある家庭環境で育ち、高校時代から里子と交際している。

夏目俊哉(白洲迅)
捜査一課の刑事。書店で友梨と知り合い、互いに惹かれ合うようになる。

現在

及川トモミ(鈴木保奈美)
小説家。戸塚友梨と名乗る女性から小説執筆依頼の手紙を受け取り、話を聞くことに。彼女の話を聞くうちに共通の記憶があることに気づき、同じ高校に通う同級生だったことを知る。

戸塚友梨(大塚寧々)
及川トモミに手紙を送った女性。「私と友達2人の35年にわたる関係を聞いてほしい」と、自分たちが犯した過去の殺人事件についてトモミに話し始める。トモミのファンだというが…。

各話のあらすじ(ネタバレ有)

小説家・及川トモミ(鈴木保奈美)のもとに見知らぬ女性から手紙が届く。「私と友達2人の35年にわたる関係を聞いてほしい」という内容に興味を覚え、手紙の送り主・戸塚友梨(大塚寧々)と会うトモミ。
彼女は16歳のときに出会った友人・坂崎真帆(葵わかな)と日野里子(吉川愛)について語り始め、「私たち3人は互いを守るために人を殺しました」と衝撃的な告白をする。
1984年11月。友梨が住む団地に真帆が引っ越してくる。他人に合わせることができない真帆は教室で孤立するが、友梨はそんな真帆を大切に思い、友情を育む。
2人が通う高校には、友梨の幼なじみで同じ団地に住む日野里子(吉川愛)がいた。友梨は小学生のときに里子が祖父から性的虐待を受けていることを知り、彼女を見捨てて逃げたことを後悔していた。以来、里子とは疎遠になっていたが、友梨は高校に入って不良グループの緒方歩(宮近海斗)と付き合い始めた彼女を心配していた。
ある日、クラスメイトの里菜子が緒方から暴行を受け、意識不明の重体になる。里子もその場にいたと聞き、ショックを受ける友梨。なぜ止めなかったのと問い詰める友梨に、里子は「じゃあなんで友梨は止めなかったの」と責める。
その夜、友梨は夜の公園で男に襲われそうになった真帆を助けるため、男を包丁で刺して殺してしまう。2人が逃げ帰った翌朝、里子が交番に出頭して男を殺したと自供する。友梨は男を刺した公園が里子の部屋の窓に面していたことに気づく。
トモミは明日も同じ時間に会う約束をして、友梨と別れる。友梨の話を聞き、共通の記憶があることを思い出したトモミは、家に帰って卒業アルバムを開く。そこには友梨や真帆、里子の写真が載っていた。3人はトモミと同じ高校に通っていたのだ。

翌日、再び友梨と会ったトモミは、自分に手紙を送った理由を聞き出そうとするが、友梨は「ファンだから」というだけで、それ以外に理由はないと答える。
1984年12月。里子の逮捕を知った友梨は警察に行こうとするが、真帆に止められる。他人の命を奪った事実と罪悪感に苦しむ友梨は、「もう一緒にいないほうがいい」と真帆を遠ざける。
1986年1月。里子は情状酌量で予定よりも早く少年院から出てくる。再会した友梨に、里子はあの晩、窓から一部始終を見ていたことを話す。「逮捕されることで現実から逃げたかった」という里子。里子は今でも祖父による性的虐待が続いていることを明かし、「今度は私を助けて」と友梨に祖父の殺害計画を持ちかける。
1986年7月。友梨は計画通りに里子の家を訪ね、祖父を窓から突き落とそうとするが失敗。友梨が逃げることを恐れた里子は、何も知らない真帆に殺人計画を話してしまう。友梨はかつて里子を見捨てたことを真帆に話し、今度こそ自分が里子を助けると宣言する。
数日後、友梨が計画を実行しようとすると、里子の祖父は既に転落死していた。やったのは真帆だった。どちらがやっても同じだと言い、「友梨を守る」と断言する真帆。
2019年3月。友梨の告白に衝撃を受けるトモミ。だが友梨は「まだ終わりじゃない」と言い、もう一人殺していることを明かす。

友梨の告白の真偽を確かめるため、彼女が住んでいた団地を訪ねるトモミ。「戸塚」という表札を確認するも、住人は不在だった。トモミに電話をかけてきた友梨は「次回は先生の自宅で会いたい」と言い、トモミは彼女を自宅に招き入れる。
1986年7月。里子の祖父は事故死として処理される。その後3人は一切の関わりを断ち、高校を卒業。真帆と里子は家族で団地から引っ越す。1年後、友梨は偶然レストランで里子と再会する。里子の祖父の転落死について、あれは自分がやったのではなく、本当に事故死だったと伝える友梨。
だが里子は友梨の告白を怪しみ、その夜、友梨と真帆を学校に呼び出す。祖父が死んだ日、部屋に落ちていたボタンを見せ、真帆を脅迫する里子。友梨は真帆が代わりに殺害したことを明かし、2人に「すべてを忘れて幸せになろう」と言う。
1994年10月。大学を出た友梨は実家を離れ、東京の書店で働いていた。書店で出会った夏目俊哉(白洲迅)と恋に落ち、幸せになろうとしていたとき、真帆が幼い娘を連れて家を訪ねてくる。
真帆は夫からDVを受けていることを告白し、友梨に「夫を殺してくれない?」と頼む。真帆を助けるため、再び殺人に手を染める友梨。だがその後、町で別人のように着飾った真帆を見かける。さらに、実家の母から真帆がまだ結婚していないことを聞かされ、動揺する。
トモミに過去を語る現在の友梨は、この話を小説にするなら謝礼がほしいに訴える。トモミは別の作家に依頼するよう勧めるが、友梨はどうしてもトモミに書いてもらいたいと言う。

トモミは友梨の話に引き込まれながらも、彼女が自分にこだわる理由がわからずにいた。その頃、友梨は誰かに「全部計画通りにうまくいくと思う。あの先生、私の話にすっかり興味を持ってるから」と話していた。
1994年11月。友梨の職場に刑事がやってくる。その傍らには夏目の姿があった。夏目が強行犯捜査係の刑事だと知り、驚く友梨。だが2人が疑いの目を向けていたのは友梨ではなく真帆だった。
友梨は自分が殺した男がアパートの建て替えに反対していたことや、アパートの持ち主が真帆であることを知る。真帆を問い詰めると、マンションを建てるのに男が邪魔だったと明かし、「友梨さえ黙ってればすべてうまくいく」と言う。
その後、里子が別れを告げに会いに来る。真帆に裏切られ、里子にも別れを告げられ、孤独を感じる友梨。だが夏目から死んだ男が里子の夫だったと知らされ、衝撃を受ける。夫からDVを受けていたのは里子のほうで、里子は真帆を脅して夫の殺害を命じたのだ。
ある日、友梨は夏目が酔って眠った隙に彼の手帳を盗み見て、里子の住所を入手する。里子のアパートを見に行くと、里子は組を抜けて堅気になった緒方と仲睦まじく暮らしていた。里子が夫を殺したのは、緒方と一緒になるためだったのだ。
トモミは友梨について調べるため、彼女が働いていた書店に問い合わせる。すると、戸塚友梨は既に亡くなっている、という。

2019年3月。トモミは戸塚友梨が3年前に膵臓癌で亡くなっているという事実を知り、衝撃を受ける。友梨のふりをして近づいてきた女は、いったい何者なのか。彼女の目的と物語の結末を知るべく、トモミは彼女を自宅に招き入れる。
真帆と里子に騙され、里子の夫を殺めてしまった友梨は、刑事の夏目に疑われていることを知り自殺を図ろうとする。だが死んでしまっては真帆や里子を守れないと気づき、何があろうと友達である彼女たちを守り抜く決意をする。
友梨は夏目に「事件の日は家にいたが電話に出なかった」と嘘をつくと同時に、里子と真帆は大切な友達だと打ち明ける。そして里子にアリバイがあることを確認したうえで、捜査に協力すると申し出る。
その後、警察が緒方に目を付けていることを知った友梨は、そのことを知らせるべく里子のアパートを訪ねる。そこで初めて、里子が夫殺しに一切関わっていないことを知る。友梨が帰ろうとしたしたとき、暴力団の男が現れて緒方を刺し、緒方は死んでしまう。
友梨に問い詰められた真帆は、1年前に里子が会いに来たこと、彼女と幼い依子を放っておけず、手助けするようになったと話す。里子は離婚して緒方と一緒になることを望んでいたが、夫に脅されてどうすることもできずにいた。
真帆は里子を救うため、彼女に内緒で夫の殺害を計画し、友梨に協力を持ちかけたのだ。友梨は「もう終わりにしよう」と告げ、自首することを決める。真帆は自分も自首すると言うが、真帆を慕う依子を傷つけることになる、と友梨に説得される。
出頭した友梨は夏目に真実を告げるよう促されるも、「自分ひとりでやった」と供述。裁判で懲役15年の判決を受ける。
2019年4月。トモミは母校に友梨を名乗る女性を呼び出す。彼女の正体は真帆だった。真帆は友梨が死ぬ前に書き残した自伝を形にしたいと考え、友梨が何冊も本を持っていた小説家のトモミに頼むことにしたという。
トモミは友梨が同級生の自分を応援するために、本を買って読んでいたのではないかと想像する。そしてトモミが好きな「強い根っこには美しい花が咲く」という言葉は、かつて高校時代に通りすがりの女子生徒から言われた言葉だったことを思い出す。
2人が校舎を出ると、里子と依子が迎えに来ていた。トモミは3人の物語を小説に書く。

感想(ネタバレ有)

80年代に社会問題化した学校の荒れ。友梨や真帆、里子たちとほぼ同年代であるわたしにとっては、懐かしさと同時に、あまり思い出したくない当時の学校の嫌な記憶が生々しくよみがえるドラマでもありました。

友人を守るために人を殺す、という社会的には許されない行為でつながっていた3人。理解するのは難しいけれど、自分を犠牲にしてでも守りたいと思える友人がいることを、羨ましいと思う気持ちもあります。

犯罪行為とまではいかなくても、そこまで大切な人を守りたいと強く思う気持ちが、わたしにはあるだろうか? と。

人間関係の構築が極端に苦手なわたしは、関係を築くことと同じくらい、続けることの難しさを常に感じています。35年も友情を続けるなんて、まるで奇跡のよう。関係を断ち切るタイミングは何度も訪れていたのに、そうならなかったのは、3人が心の中で手を繋いでいたからでしょうか。

ひとりで罪を背負う覚悟を決めた友梨は、本当に「強い根っこ」の持ち主だったんだろうと思います。「私も自首する」と言った真帆の揺るぎないまなざしや、裁判で「幸せになります」と言った里子の穏やかな表情も心に残りました。

最後にトモミの人生にも友梨が関わっていたことがわかって、不思議な感動に包まれました。友梨はもうこの世にいないけれど、今も彼女たちと手をつないでいる。暗闇に柔らかな光が差すようなラストでした。

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