ネタバレ解説NHK「犬神家の一族(2023)」あらすじ・感想・キャスト・原作

NHKドラマ「犬神家の一族」あらすじキャスト

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NHK・BSプレミアムで放送されたドラマ「犬神家の一族」についてまとめました。

獄門島」(2016))、「悪魔が来りて笛を吹く」(2018)、「八つ墓村」(2019)に続く、NHK版「金田一シリーズ」第4弾。

これまで何度も映像化されてきた「犬神家」の常識をくつがえす“衝撃的なラスト”は必見です。最高のキャスト陣による圧巻の演技と、残酷な愛の行方に身震いしました!

登場人物(キャスト)前編・後編のあらすじ、そして原作と1976年版映画との違いを含めた感想を書きました。

原作ネタバレは別記事で書いているので、こちらの記事を見てください。同じく、1976年版映画こちら

作品概要

  • 放送局:NHK BSプレミアム/BS4K
  • 初回放送:2023年4月22日(土)・29日(土)21:00〜
  • 再放送:2023年5月21日(日)・28日(日)16:00~
  • 原作:横溝正史「犬神家の一族」
  • 脚本:小林靖子
  • 監督:吉田照幸

あらすじ

戦後すぐ、財界の大物・犬神佐兵衛さへえが他界。そして、ケガのためマスクで顔を覆った孫の佐清すけきよが復員する。だが、期待を裏切る遺言状に一族は反目、ついに第一の殺人が…。

NHK公式サイトより

原作について

このドラマの原作は、横溝正史の長編推理小説『犬神家の一族』(1950年~1951年連載)です。

本陣殺人事件』『獄門島』『夜歩く』『八つ墓村』『死仮面』に続く、「金田一耕助シリーズ」の長編第6作。これまでに何度も映画やテレビドラマが制作され、日本の文化に大きな影響を与えた作品のひとつ。

なかでも横溝正史ブームを巻き起こすきっかけとなった、1976年公開の市川崑監督の映画はあまりにも有名で、映画のオリジナルが原作どおりと思われている部分も少なくありません。

原作についてはこちら↓の記事で詳しく書きました。相関図も載せています。

横溝正史「犬神家の一族」原作ネタバレ解説と感想 「犬神家の一族」原作ネタバレ解説(相関図あり)犯人はスケキヨ?

登場人物(キャスト)

主要人物

金田一耕助(吉岡秀隆)
数々の難事件を解決してきた名探偵。弁護士の若林から依頼を受けて那須を訪れるが、依頼内容を聞く前に若林が殺されてしまう。その後、若林の上司・古館から調査を依頼されることに。犬神佐兵衛の遺言状にまつわる連続殺人事件の謎に挑む。

古館恭三(皆川猿時)
犬神家の顧問弁護士。犬神佐兵衛の遺言状を預かっている。遺言状の公開前に部下の若林が何者かに殺害され、金田一に調査を依頼する。

磯川(小市慢太郎)
那須警察署の署長。金田一とは「本陣殺人事件」で知り合い、「八つ墓村」でも共に捜査した。金田一の捜査能力を高く評価している。このたび那須警察署長に栄転し、偶然金田一と再会。犬神家で起こる連続殺人を捜査する。

犬神家の人々

犬神佐兵衛(栗田芳宏)
犬神財閥の創始者で、信州那須一帯に君臨する帝王。那須一帯の経済を担う犬神製糸会社を一代で築き上げた。なぜか生涯結婚せず、3人の妾を家に置いていた。81歳で世を去り、一族を惑わせる奇妙な遺言を残す。

犬神松子(大竹しのぶ)
犬神家の長女。妾の娘である自分たち三姉妹に愛情を注がなかった父・佐兵衛を憎んでいる。戦地ビルマから生還した一人息子の佐清を博多に迎えに行き、密かに連れ帰った。佐清に佐兵衛の遺産を相続させようともくろむ。

犬神竹子(南果歩)
犬神家の次女。松子、梅子とは腹違いの姉妹。長男・佐武を溺愛している。佐兵衛が残した遺言状の内容に激怒し、夫や子供らとともに遺産を手に入れる方法を探る。

犬神梅子(堀内敬子)
犬神家の三女。松子、竹子とは腹違いの姉妹。夫の幸吉とともに、佐兵衛の遺産を狙っている。当初は息子の佐智を竹子の娘・小夜子と結婚させ、小夜子の分の遺産も手に入れようと考えていたが…。

野々宮珠世(古川琴音)
佐兵衛の親戚筋にあたる優しく聡明な女性。両親を亡くし、佐兵衛によって犬神家に引き取られた。幼い頃から佐清を慕っている。復員した佐清が偽者ではないかと疑い、佐兵衛から譲り受けた懐中時計を使って正体を確かめようとする。

犬神佐清(金子大地)
松子の一人息子。戦地で顔に大怪我を負って復員する。不気味なマスクで顔を覆っているため、本当に佐清本人なのかと一族から疑われている。

犬神佐武(今井悠貴)
竹子の息子。佐兵衛の遺産を手に入れるため、珠世に近づく。復員したマスク姿の佐清を偽者と疑い、神社に奉納されていた佐清の手形と照らし合わせて確かめようとする。

犬神佐智(渋谷謙人)
梅子の息子。竹子の娘・小夜子から好意を寄せられているが、本人は珠世に気がある様子。

犬神小夜子(菅野莉央)
竹子の娘。佐武の妹。佐智を一途に想い続け、珠世に嫉妬する。

犬神寅之助(遠山俊也)
竹子の夫。犬神製糸東京支店の支店長。

犬神幸吉(坂田聡)
梅子の夫。犬神製糸神戸支店の支店長。

猿蔵(芹澤興人)
犬神家の下男。孤児だったが珠世の両親に拾われ、その後、珠世と一緒に犬神家に移ってきた。佐兵衛から「命に変えても珠世を守れ」と言われている。

そのほか

若林豊一郎(松川尚瑠輝)
弁護士・古館の部下。金田一に犬神家に関する調査を依頼した人物。金田一に会う前に毒殺される。

大山泰輔(野間口徹)
那須神社の神官。犬神佐兵衛が封印した文書から、その過去を調べている。

野々宮大弐(柾賢志)
故人。那須神社の神官。佐兵衛の恩人で、珠世の祖父。行き倒れていた17歳の佐兵衛を拾って面倒を見た。

野々宮晴世(羽瀬川なぎ)
故人。大弐の妻で、珠世の祖母。

青沼菊乃(喜多乃愛)
20年以上前、佐兵衛が関係を持った女性。犬神製糸工場で働く17歳の女工だった。佐兵衛が用意した別宅で暮らしていたが、松子たちに追い出され、現在は行方不明。

青沼静馬
菊乃の一人息子。年齢は佐清と同じ。母・菊乃とともに行方不明。

加代(久間田琳加)
金田一が滞在している那須の旅館の従業員。

宮川香琴(田根楽子)
松子の琴の師匠。視力を失っている。

せつ子(倍賞美津子)
金田一の下宿の女将。家賃を滞納する金田一に呆れつつも、何かと世話を焼く。

前編のあらすじ

名探偵・金田一耕助(吉岡秀隆)のもとに、調査依頼の手紙が届く。依頼内容は明らかにされていなかったが、依頼人は3か月前に亡くなった犬神財閥の創始者・犬神佐兵衛(栗田芳宏)の遺族に大惨事が襲いかかるのでは、と憂慮していた。

さっそく那須を訪れた金田一は、たまたま湖で沈みかけるボートに気づき、佐兵衛の親戚筋にあたる野々宮珠世(古川琴音)を救い出す。しかし旅館に戻ってみると、依頼人の若林が金田一と会う前に毒殺されていた。所持していた煙草に毒が仕込まれていたのだ。事件をきっかけに、金田一は那須警察署に栄転していた磯川(小市慢太郎)と再会する。

若林が勤務していた古舘法律事務所の古館恭三(皆川猿時)は、若林に代わって金田一に事件の調査を依頼する。彼は犬神家の顧問弁護士であり、犬神佐兵衛の遺言状を預かる人物でもあった。

古館によると、金庫に保管されていた遺言状には開封された痕跡があり、死んだ若林が誰かに頼まれて内容を確かめたのではと推測していた。その遺言状の中心人物は野々宮珠世であり、密かに彼女に想いを寄せていた若林は、彼女の身を案じて金田一に助けを求めたのではないかと話す。

犬神佐兵衛には松子(大竹しのぶ)、竹子(南果歩)、梅子(堀内敬子)という3人の娘がいたが、それぞれ別の妾に産ませた子供で、戸籍上は他人だった。彼女たちに犬神家の遺産を相続する正当な権利はなく、佐兵衛の遺言次第だという。

遺言状の公表は、犬神家の一族全員がそろった場でのみ行われることになっていた。すると翌日、松子が戦地から戻った一人息子・佐清(金子大地)を連れ帰ったという知らせが届く。

金田一は古舘に頼まれて遺言状の公開に同席することになり、ともに犬神家へ向かう。その場に現れたのは、白いゴムマスクをかぶった佐清だった。一同が顔を見せるよう催促すると、佐清はゴムマスクを脱いで素顔を見せるが、激しく負傷した顔は誰とも判別できないほどだった。

古舘は佐兵衛の遺言を読み上げる。その内容は、犬神家の全財産と、全事業の相続権を意味する犬神家の三種の家宝「斧」「菊」「琴」を野々宮珠世に譲るというものだった。

さらに珠世は3か月以内に佐兵衛の3人の孫、佐清、佐武(今井悠貴)、佐智(渋谷謙人)の中から配偶者を選ばねば相続権を失うこととなり、その場合は全財産の5分の1ずつを佐清、佐武、佐智に与え、残りの5分の2を青沼菊乃の息子である青沼静馬に与えるというのだった。

青沼静馬は、佐兵衛が犬神製糸工場の女工だった青沼菊乃に産ませた子だったが、今は2人とも行方不明になっていた。遺言の内容を聞いた3姉妹は激怒し、古館に詰め寄る。

竹子の息子・佐武は、松子が連れ帰った佐清の正体を怪しみ、那須神社に奉納されていた佐清の手形と照合することを提案する。だが松子はそれを断固として拒み、応じようとしなかった。

珠世は佐清に声をかけ、佐兵衛から譲り受けた懐中時計をなおしてほしいと頼む。佐清は懐中時計を手に取るものの、何も言わずに時計を返して立ち去る。

翌朝、犬神家で佐武の遺体の一部が発見される。庭に飾られていた菊人形の頭部が、佐武の頭部にすげ替えられていたのだ。切断した胴体は見つからなかったが、湖岸の桟橋に胴体を引きずったと思われる血痕が残っており、さらに珠世がつけていたブローチも発見される。

珠世は取り調べに応じ、昨夜11時ごろ、佐武を湖岸に呼び出したことを明かす。佐清の指紋がついた懐中時計を渡し、佐清が本物かどうか調べてもらうためだった。しかし佐武に襲われそうになり、使用人の猿蔵(芹澤興人)に助けられて逃げ帰ったという。

佐清が手形の照合に応じると言い出し、梅子や珠世らが見守る前で手形を押す。それを見た珠世は、自分が勘違いしていたのではと困惑する。鑑定の結果、手形は神社に奉納されていたものと一致。佐清が本物であることが科学的に証明され、松子はひそかに安堵する。

下那須に不審人物がいると通報が入り、磯川は「柏屋」という旅館を訪ねる。旅館の主人によると、昨夜「山田三平」なる兵隊姿の男が宿泊し、10時ごろに出かけて12時すぎに帰ってきたという。今朝早く出立した彼の部屋には、血のついた手ぬぐいが置き捨てられていた。

金田一は事件現場の桟橋からボートに乗って湖に漕ぎ出し、「柏屋」の近くで乗り捨てられた犬神家のボートを発見する。ボートには遺体の切断に使用したと思われる植木鋏と、大量の血が残っていた。犯人は佐武の首を切断したのち、このボートで胴体を運んだと思われた。

しかし金田一は、まるで犯人に誘導されているようだと磯川に話す。そして「山田三平」なる人物が警察から目をそらしたいものは、犬神家にあると確信する。

岸に流れ着いた佐武の胴体が発見される。しかし、珠世が渡したはずの懐中時計は見つからなかった。死因は背後からの刺し傷で、凶器の短刀が突き刺さったままになっていた。

金田一はこの事件がただの遺産争いではないと直感し、犬神佐兵衛の真の姿を知る必要があると考えていた。

佐武の通夜が行われる。佐武の妹・小夜子(菅野莉央)は、珠世を呼び出して佐智との関係を問い詰める。佐智に想いを寄せる小夜子は、祖父・佐兵衛から特別に可愛がられ、佐智の心さえも奪おうとする彼女に嫉妬していた。珠世は小夜子が妊娠していることに気づく。

金田一は佐兵衛の写真を見つめる松子と出くわし、彼女たち3姉妹の佐兵衛に対する積怨に触れる。松子は犬神家の三種の家宝「斧」「菊」「琴」を、なんとしても我が子に与えたいと話す。

金田一は若林の事件と佐武の事件は関係があると考え、若林の事件が解決するまでこの町に滞在することを松子に伝える。

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