「ホット・ゾーン」全話ネタバレ・感想・登場人物(キャスト)一覧|1989年のエボラ出血熱事件をドラマ化

海外ドラマ「ホット・ゾーン」

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海外ドラマ「ホット・ゾーン」(全6話)についてまとめました。

1989年にバージニア州レストンで実際に起きた「エボラ出血熱」事件を、リチャード・プレストンの取材したノンフィクション本をもとに再現したドラマ。

原作は、1994年にアメリカで出版され、世界中でベストセラーとなった同名作品。

主人公の獣医病理学者ナンシー・ジャックスなど、登場人物の多くが事件に関わった実在の人物がモデルになっており、ナンシー本人がドラマの制作に協力。リアルで説得力のある作品になっています。

主演は『グッド・ワイフ』のアリシア・フロリック役でゴールデン・グローブ賞テレビシリーズ・ドラマ部門主演女優賞に輝いたジュリアナ・マルグリーズ。

作品概要

  • 製作国:アメリカ(2019年)
  • 原題:The Hot Zone
  • 原作:リチャード・プレストン『ホット・ゾーン』
  • 脚本:ジェームズ・V・ハート
  • 監督:マイケル・ウッペンダール/ニック・マーフィー
  • 製作総指揮:リンダ・オブスト/リドリー・スコットほか

あらすじ

時は1989年。アメリカの首都ワシントンD.C.にほど近い、ヴァージニア州レストンの研究施設で、フィリピンから輸入されたカニクイザルが大量死するという異常事態が発生。調査を依頼されたUSAMRIID(アメリカ陸軍感染症医学研究所)は、その死因が当時まだ致死率90%と言われた殺人ウイルス「エボラ出血熱」であることを突き止める。
予期せぬ事態に誰もが困惑する中、人間への感染を防ぐべく奮闘するUSAMRIIDの研究員ナンシー・ジャックス中佐とそのチーム。しかし状況は確実に悪化の一途をたどり、やがて感染拡大の危機が迫る!

原作について

このドラマの原作は、リチャード・プレストンの『ホット・ゾーン』(1994年刊行)です。

1989年にアメリカの首都ワシントン近郊の町で突如出現した殺人ウイルス「エボラ」。

1970年代に中央アフリカで発見されたエボラウイルスによる感染症「エボラ出血熱」が、初めてアメリカ本土で確認された衝撃的な事件と、最高度機密保持態勢のもとに展開された「エボラ」制圧作戦の全貌を描き出したノンフィクション作品です。

1994年にアメリカで出版され、全米はもとより世界中でベストセラーとなりました。

登場人物(キャスト)

ナンシー・ジャックス(ジュリアナ・マルグリーズ/声:塩田朋子)
USAMRIID(アメリカ陸軍感染症医学研究所)に勤務する獣医病理学者。有能かつ意志の強い女性。検疫所で起きたサルの集団感染を「エボラ出血熱」によるものといち早く気付き、人への感染を未然に防ごうと奮闘する。夫と2人の子どもがいる。

ウェイド・カーター(リーアム・カニンガム/声:てらそままさき)
1970年代にアフリカでエボラウイルスの研究に取り組んだ専門家で、ナンシーの恩師。感染拡大を阻止するため、ナンシーの要請を受けてチームに加わる。頑固で気難しい人物だが、ナンシーにとっては心強い味方。

トラビス・ローズ(ジェームズ・ダーシー/声:三上哲)
「エボラ出血熱」対策のため協力するCDC(アメリカ疾病予防管理センター)職員。カーターとは古い付き合いの友人で、かつては共にアフリカでエボラウイルスの研究をした仲だが、今は対立する関係にある。

ジェリー・ジャックス(ノア・エメリッヒ/声:山野井仁)
ナンシーの夫で、USAMRIID(アメリカ陸軍感染症医学研究所)に勤務する獣医師。家族を愛する穏やかな人柄。危険な仕事に関わる妻を心配しながらも、彼女の意志を尊重する。

ピーター・ジャーリング(トファー・グレイス/声:平川大輔)
ナンシーの同僚であるウイルス学者。優秀な研究者だが自惚れが強く、エボラウィルスを疑うナンシーの主張を認めようとしない。ベンと2人で防護服を着用せずに検査を行ったことを報告せず、感染のリスクに怯えている。

ベン(ポール・ジェームズ/声:遠藤大智)
ナンシーやピーターと共にラボで働く技術者。妻子を大事にする良き家庭人で、真面目な青年。ピーターの検査に立ち会い、感染のリスクにさらされることに。

フランク・メイズ(ニック・サーシー)
サル検疫所の職員。ナンシーに協力し、感染病で死んだサルの死体を提供する。自身も感染のリスクを負いながら、次々と死んでいくサルたちに心を痛める。

ウォルター・フンボルト(ロバート・ショーン・レナード)
サル検疫所を管理するヘイズルトン社の責任者。エイズに関する危機意識が薄く、騒ぎになることを恐れて職員たちへの説明を後回しにする。

メリンダ・ローズ(グレイス・ガマー)
トラビスの妻。かつて国際支援機構に属し、アフリカでローズやカーターと共にエボラウイルスに感染した村人たちの救済にあたった。

各話のあらすじ(ネタバレ有)

USAMRIID(アメリカ陸軍感染症医学研究所)に勤務する獣医病理学者・ナンシー・ジャックス中佐は、同じくUSAMRIIDに勤務する獣医師の夫と2人の子どもを持つ有能な女性。
1989年のある日、彼女が出勤すると、ワシントン近郊にあるヴァージニア州レストンの検疫所から送られてきたサルの検体が届いていた。めちゃくちゃに壊された細胞を見て、ナンシーは世界で最も致死率の高いウイルスの1つかもしれないと恐怖を抱くが、同僚のウイルス学者・ピーターは人に感染しないSHF(サル出血熱)だと楽観視する。
不安を拭えないナンシーは、恩師でエボラウィルスの専門家ウェイド・カーターに協力を求めようと連絡するが、カーターは電話に出ようとしない。ナンシーはウィルスの正体を確かめるため、世界有数の致死性ウイルスが保存されているバイオセーフティーレベル4のラボへ入る。しかし実験途中で防護服が破れ、緊急脱出を余儀なくされる。事なきを得るものの、ナンシーは上司からラボへの入室を禁じられてしまう。
一刻も早く手を打たなければと焦ったナンシーは、レストンの検疫所を訪ねて職員を説得し、感染したサルの検体を新たに入手する。

検疫所から感染したサルの検体を持ち出したナンシーは、ピーターの協力を得てラボに持ち込む。ウイルスは致死率90%のザイールエボラの検査薬に反応を示す。ナンシーはすぐに上司に報告して検疫所の責任者ウォルター・フンボルトに掛け合い、ほかのサルたちが感染していないか確認させてほしいと訴える。
ピーターは防護服を着用せずに病原体の検査を行ったことを報告せず、自ら採血して密かに血液検査を行う。ピーターの検査に立ち会ったベンは、病原体がエボラウィルスだと知って動揺するが、ピーターに説得されて秘密にすることに同意する。
ナンシーの恩師でエボラウイルスの専門家であるウェイド・カーターが訪ねてくる。ナンシーとカーターはサル検疫所のH室に入り、残っているサル1匹を処理する。その後、ほかの部屋のサルにも感染が広がっていることがわる。
1976年。ザイールの小さな村で感染病が発生したとの連絡を受け、カーターとトラビス・ローズは村へと向かう。2人が見たのは、軍によって焼き討ちにされた村と村人たちの死体だった。

1976年。カーターとローズがヤンブク村の病院に戻ると、病院は軍によって封鎖されていた。数日前に病気の男が現れ、あっという間に患者やシスターたちに感染したという。病院でビタミン剤を接種したという妊婦が村に帰ったことを知ったカーターは、感染の拡大を食い止めるため村へ向かおうとするが、ローズは検体を送るのが先だと反対する。
1989年。検疫所の別の部屋のサルにも感染が広がっていると気づいたナンシーとカーター。だが近年これほどのウイルスが現れたことがないアメリカには、手順が確立されていなかった。
そんな中、検疫所の職員が倒れてしまう。感染を疑うナンシーだったが、CDC(アメリカ疾病予防管理センター)の職員でかつてザイールでカーターと行動を共にしたトラビス・ローズは、感染を否定し職員を民間の病院へ運ばせる。
ナンシーは各組織の代表にエボラウイルスの危険性と封じ込め作戦の必要性を訴えるが、反対に遭う。ローズはカーターを信用に値しない人物だとナンシーに忠告する。
ナンシーの提案で、ヘイズルトン社のフンボルトは〈ワシントン・ポスト〉に情報をリーク。記者が取材を始める。

1976年。ヘリで妊婦がいる山奥の村へ入ったカーターとローズ、国際支援機構のメリンダは、感染して病気を発症した妊婦を見つけ出す。村の者たちは病気が広まることを恐れ、妊婦の家族を襲う。
1986年。サルの検疫所からようやく許可が下り、ナンシーとカーターは感染したサルを処分する任務にあたるメンバーを選抜する。プロジェクトのリーダーとして気負うナンシーだったが、夫ジェリーは大佐と話し合い、ナンシーを外すことを決める。
感染の恐怖に耐えきれなくなったピーターは、職場を離れ行方をくらましてしまう。ベンから事情を聞いたナンシーは駅にいるピーターを見つけ出し、隔離室に入れない代わりにラボから出ないよう命じる。
入院中の検疫所の職員が感染したことが判明する。ローズは患者の症状がかつてアフリカで見たエボラの症状とは違うことを不審に思い、妻のメリンダに意見を求める。アフリカで恐怖にとらわれた人々がパニックに陥るのをまのあたりにしたローズは、ワシントンが大惨事になることを恐れていた。ナンシーは感染の可能性がある関係者を集め、密かに検査を行うことを提案する。

ジェリー率いる特別チームがレストンに到着。大量のサルを相手にウイルス封じ込め作戦を開始するが、長時間に及ぶ作業に隊員たちは疲弊し、追い込まれていく。
一方、ナンシーたちはエボラウイルスの陽性反応が出た検疫所職員の関係者を集め、血液検査を行う。その結果、新たに2人の陽性反応を確認するが、人間の感染者にはサルに見られた恐ろしい症状が現れない。ピーターとベンは感染の恐怖と戦い、眠れぬ日々を過ごす。
特別チームのメンバー1人が出血して隔離部屋に運ばれる。夫ジェリーから作業が遅れているという連絡を受けたナンシーは、「チームに合流させてほしい」と上司に直談判する。ナンシーが検疫所に到着すると、ジェリーが倒れ緊急搬送されるところだった。

病院へ運ばれた夫ジェリーの代わりに、ナンシーが検疫所での制圧任務の指揮を執ることに。メンバーの疲労がピークに達する中、カーターは空港から届いたサルが1匹足りないことに気づき、ローズと共にダレス国際空港へ向かう。
空港の担当職員は、病気のサルがいたので処分した、と話す。空港では数日前にマニラから届いたサルが管理されており、レストンとテキサスに送られることになっていた。カーターとローズは移動を止め、病気のサルを処分する。ローズはカーターに敬意を払う。
困難を極めた制圧任務は完了し、チームは検疫所から撤収する。ナンシーのもとには父が息を引き取ったという報せが入る。
1976年。カーターはウイルスを止めることはできないと悟り、村の祈祷師の言葉に従って病を克服した少女から抗体を得て治療法を探ろうとする。やがて祈祷師も感染し、弔問による感染拡大を阻止するため、カーターに自分を殺して遺体を焼いて欲しいと頼む。カーターは祈祷師に鎮痛剤を注射して家ごと遺体を燃やす。ローズはカーターの行為を非難する。
エボラウイルスの陽性反応が出た人々に重篤な症状は現れず、死者は出なかった。人には無害な株だったことが判明するが、ナンシーたちは今後に備えて対策を講じるべきだと主張する。カーターはアフリカに戻り、レストン株の出所を探すことを決める。

各話の感想(ネタバレ有)

第1話の感想

1989年を再現しているため防護服や実験装置などが古めかしく、心許なさと不安を煽る要素に。ウィルスに無頓着な人たちの言動も、恐怖を抱かせます。

つい先日、日本でも東京オリンピックに向けて対策を強化するため、エボラ出血熱など危険性が高い5種類の感染症の病原体が東京の国立感染症研究所に輸入されました。ナンシーのように、日々危険と隣り合わせで研究を続けている人たちがすぐ近くにいるのですよね。

「エボラがアメリカで見つかるわけがない」と高をくくり、ナンシーの言葉を信じずに楽観視する上司やウィルス学者のピーターに苛立ちながらも、楽観視したくなる気持ちもわからなくはないなぁと思ってしまいました。

誰だって最悪の状況を想像したくはないですから…。

第2話の感想

ナンシーが上司の命令を無視して検査を行ったおかげで、病原体がエボラウイルスだと判明。ナンシーをバカにしていたピーターもようやく認めました。

が、エボラに感染している危険性がありながら、隔離や差別を恐れて報告しようとしないピーター。何も知らない同僚のベンが家族とスキンシップを取るたびにヒヤヒヤしました。

サルの世話をしている職員たちに危険を知らせず、内々に事態をおさめようとする責任者にも呆れました。職員たちが食べているドーナツに手を伸ばそうとして躊躇し、引っ込めるというシーンに怒りさえ湧く。

ナンシーの恩師カーターが来てくれたので頼もしいです。カーターがアフリカでエボラと出会った1976年のエピソードも同時進行で描かれ、こちらかなり衝撃的でした。

感染が広まるのを防ぐために、軍が村を焼き討ち…村人を殺して火をつけるシーンに愕然としました。

このときカーターに同行したのはトラビス・ローズ。
現在はアメリカ疾病予防管理センターの職員になっています。

カーターがなぜ第一線から外れて引きこもってしまったのか、そのあたりの事情も気になります。

第3話・第4話の感想

1976年のアフリカでカーターと行動を共にしているトラビスが、1986年ではナンシーたちと対立するCDC(アメリカ疾病予防管理センター)の職員として登場。

「エボラを実際に見た」ことを理由に、サル検疫所の職員をエボラではないと判断して民間の一般病棟に入院させました。

当事者でさえ、この危機管理意識の薄さ。トラビスの場合は特殊な経験による先入観(と思考停止)が判断を誤らせたのでしょうね。

結局、職員はやはりエボラに感染していたことが判明。カーターは「こんなのは見たことがない」と言い、新型ウイルスだと断言していました。

当時のアメリカには、アウトブレイクにどう対応するかというマニュアルが存在せず、ナンシーたちはほぼ手探りの状態で致死率は90%のウイルスに立ち向かい、感染拡大の阻止に奔走することになります。

アフリカの奥地でどんどん人が死んでいき、すごいスピードで感染が拡大していく様子が見ていて怖いです。感染を止める方法が隔離と銃殺しかないというのも恐ろしい。

このドラマを見た後は、自分の指をなめるのも一瞬躊躇してしまいます…。

第5話・最終話の感想

当時誰にも知られることなく、危険な任務にあたっていた兵士たちの姿が克明に描かれていました。

サルをただ殺すのではなく、鎮静剤を打ち、心臓が止まる前に血液を採取し、安楽死用の薬剤を注射し、解剖して組織片を取り、1匹ずつ袋に入れて焼却し、消毒する。

サルの数、500匹以上。
想像を絶する作業です。

ちょっとしたことでパニックを起こすのも当然ですね。
訓練を受けている兵士ですら、防護服を着ただけでパニックに陥るのだから、民間人だとどうなることか。

結果的には、人には無害な株だったため死者は出ませんでした。

サルの細胞はめちゃくちゃに破壊されるのに、人には無害ってどういうことだろう。その点も不思議です。レストン株の発生源は未だに不明だそうです。

ローズがなぜカーターと対立するようになったのか、その理由も明らかになりました。

1976年のアフリカで、カーターはエボラに感染した祈祷師を殺して家ごと焼いたのです。それは祈祷師本人に頼まれたことだったけど、ローズは許せなかったのでしょう。

ローズは母親も子どもも死ぬとわかっていながら、出産を助けずにはいられない優しい人だったから。

「最初に感染するのは医療関係者。そこから次の患者に広がります。たとえば倒れた看護師を看病する家族に。エボラウイルスは、私たちが愛を示したとき、人間らしさを示した時に広がるのですから」

ナンシーが語ったことは真実だけに残酷で切ない。

カーターはそのことを誰よりもよく知っていたから、サルにも人間にも目を向けず、ウイルスだけを見ていたのかもしれない。まぁ、もともと人間には興味なかったのかもしれないけど。

恐ろしかったですが、知らなかったことを学べて勉強になりました。

コンゴで実施されているエボラ出血熱治療薬の試験では、2種類の新薬が生存率90%に達したそうです。

エボラ熱「治療可能」か 新薬が「90%の生存率」示す(BBCニュース)

一刻も早く有効な治療薬が確立されることを祈ります。

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