韓国ドラマ「王女ピョンガン 月が浮かぶ川」(全22話)についてまとめました。
韓国で有名な昔話『ピョンガン王女とバカのオン・ダル』をモチーフに制作された時代劇。三国時代の高句麗(コグリョ)で、国を守るために戦う王女と純朴な青年の真実の愛と絆の物語。
主人公の王女ピョンガンを「仮面の王 イ・ソン」や「ノクドゥ伝~花に降る月明り~」などのキム・ソヒョンが、オンダルを「花道だけ歩きましょう」のナ・イヌが演じます。
Contents
作品概要
- 放送局:BSプレミアム
- 放送時間:2021年10月31日(日)から毎週日曜21:00~
- 製作国:韓国(2021年)
- 原題:달이 뜨는 강
あらすじ
6世紀半ばの高句麗(コグリョ)。国王の長女、ピョンガン王女は、聡明で正義感が強く、将来は父の跡を継いで君主になり国を守るという夢を持っていた。一方、国境を守る順奴(スンノ)部族のオン・ヒョプ将軍の息子オン・ダルは、父に憧れる無邪気なわんぱく少年だ。朝廷では強大な力を持つ桂婁(ケル)部族のコ・ウォンピョがほかの2部族と結託し、王座を奪おうとしていた。ヨン王妃はピョンガン王女を連れ、ひそかにオン・ヒョプ将軍に助けを求めに行くが、敵の陰謀により、王宮に戻ることなく殺されてしまう。逃亡中にオン・ダルとはぐれたピョンガン王女は行方不明に。そして、オン・ヒョプ将軍は部族の民を守るため、王妃を殺した逆賊の汚名を着せられ命を落とすことに。
8年後、記憶を失っているピョンガン王女は、「カジン」という名で、高句麗の王族を襲う刺客集団の一員になっていた。やがて、カジンに、国王を暗殺しろという命が下される。そのころオン・ダルは、目立たぬように「バカとなって生きろ」という父の遺言に従い、山奥で養母とひっそり暮らしていた。やがて偶然再会した2人は強くひかれあっていくが…。
登場人物(キャスト/吹き替え)
主要人物
ピョンガン/ヨム・ガジン[カジン](キム・ソヒョン/声:合田絵利)
高句麗の王女。平原王とヨン王妃の娘。聡明でたくましく、芯が強い。コ・ウォンピョの陰謀によって母を殺され、逃げる途中で記憶を失ってしまう。その後8年間、刺客集団〈天誅房〉の一員として生きてきた。徐々に昔の記憶が戻り、カジンとして生きるかピョンガンとして生きるかで迷う。
オン・ダル[タル](ナ・イヌ/声:三木眞一郎)
オン・ヒョプ将軍の息子。順奴部族。心優しい純朴な青年。幽霊谷の村から離れた山奥に養母サ氏夫人と2人で住んでいる。ずば抜けた身体能力を持っているが殺生を望まない。少年時代は父のような偉大な将軍になることを夢見ていたが、コ・ウォンピョの陰謀により処刑された亡き父の遺言「復讐などせずに、バカとなって穏やかに生きろ」という言葉を守って生きている。
コ・ゴン[コン](イ・ジフン/声:河西健吾)
コ・ウォンピョの息子。桂婁部族。頭脳明せきで武術に長けている。ピョンガンの幼なじみで、少女時代のピョンガンに剣術を教えた師匠でもある。子供の頃からピョンガンのことを想い続けている。王の暗殺をもくろむ父と、想いを寄せる王女ピョンガンとの間で揺れ動く。
へ・モヨン(チェ・ユファ/声:甲斐田裕子)
長白薬草店の店主。ヘ・ジウォルの養女。消奴部族。薬の知識と商才に長け、王や太子に飲ませる薬を調合している。消奴部族長である父ジウォルとともに、王宮で権力を持つコ・ウォンピョに取り入ろうと画策する一方で、密かに隣国新羅とも繋がっている謎めいた女性。
王室
平原王(キム・ボムレ/声:楠見尚己)
高句麗の第25代王。ピョンガンの父。コ・ウォンピョが仕組んだ罠にはまってヨン王妃に裏切られたと思い込み、彼女を抹殺するよう命じる。その後、ウォンピョに実権を奪われる。もともと疑い深い性各だが、ヨン王妃亡き後いっそう疑心暗鬼になり、酒に溺れて退廃的になる。
ヨン王妃(キム・ソヒョン/声:合田絵利)
ピョンガンの母。絶奴(チョルロ)部族。平原王の正室だったが、8年前コ・ウォンピョの陰謀により殺されてしまう。絶奴部族の元武将ウォルグァンがピョンガンの実の父親ではないかという噂があった。
ウォン太子(パク・サンフン/声:平井貴大)
ピョンガンの弟。ウォンピョの陰謀で母と姉を一度に失い、王宮で孤立する。病弱なため将来を危ぶまれている。
チン王妃(ワン・ビンナ/声:うえだ星子)
チン・ピルの娘。灌奴(クァンノ)部族。コ・ウォンピョの陰謀に加担し、ヨン王妃亡き後まんまと正室の座を得た。ピョンガンの弟であるウォン太子を世継ぎの座から下ろし、自分の息子コンム王子を王座につかせるべく画策する。
コンム王子(ソン・ミンジュン/声:平井祥恵)
チン王妃の息子。
ヒョン妃(キ・ウンセ/声:本名陽子)
平原王の側室。明るく屈託がない。王の子供を宿すためモヨンに薬を煎じさせているが、いっこうに効き目がない。
桂婁(ケル)部族
コ・ウォンピョ(イ・ヘヨン/声:宮内敦士)
絶大な力を持つ桂婁部族の部族長。古鄒加(五部族の代表)でもある。コ・ゴンの父で、強欲で冷酷な策略家。王を騙してヨン王妃を殺害し、オン・ヒョプを逆賊に仕立て上げ処刑した。国の実権を握り、王座を奪うため画策する。
コ・サンチョル(ユン・ジュマン/声:鈴木正和)
コ・ウォンピョの側近。ウォンピョに忠誠を尽くし、あらゆる任務を遂行する。
灌奴(クァンノ)部族
チン・ピル(チャ・グァンス/声:板取政明)
チン王妃の父。灌奴部族の部族長。孫の王子コンムが王になることを望んでいる。王妃である娘の力を利用して権力をふるう。
消奴(ソノ)部族
ヘ・ジウォル(チョン・インギョム/声:丸山壮史)
長白薬草店主へ・モヨンの養父。消奴部族の部族長。手広く貿易を行い、莫大な財力を持つ。富を維持するために、コ・ウォンピョの顔色をうかがっている。
絶奴(チョルロ)部族
ウォルグァン(チョ・テグァン/声:咲野俊介)
伊弗蘭(イブルラン)寺の僧侶。元武将ソン・イロプ。最高の武将と称されていたが、ヨン王妃がピョンガン王女を産んでまもなく突然官職を捨てて出家した。
順奴(スンノ)部族
オン・ヒョプ(カン・ハヌル/声:阪口周平)
オン・ダルの父。将軍。順奴部族の部族長としてヨン王妃を助けようとしていたが、コ・ウォンピョの陰謀により、ヨン王妃を殺害した逆賊の汚名を着せられ処刑されてしまう。息子オン・ダルに「バカとなり、穏やかに生きろ」と言い残した。
サ氏夫人(ファン・ヨンヒ/声:八十川真由野)
オン・ダルの乳母。幽霊谷の村から離れた山奥にオン・ダルと2人で暮らす。8年前、復讐しようとしたオン・ダルを止めるために自ら目を潰した。その後は亡きオン・ヒョプの遺言に従い、オン・ダルが剣を持つことなく静かに生きていけるよう育ててきた。
サ・ウナム(チョン・ウク/声:浜田賢二)
幽霊谷の村長。オン・ヒョプ亡き後、彼の遺志を継ぎ、生き残った部族の人々や、居場所を失ったほかの流民たちを守りながら暮らしている。
サ・プンゲ(キム・ドンヨン/声:櫻井トオル)
サ・ウナムの息子。オン・ダルの幼なじみで親友。ぶっきらぼうだが友だち思いで、オン・ダルのよき理解者。
ウォル(オ・アリン/声:平井祥恵)
幽霊谷の住人。百済(ペクチェ)の流民で、タルに助けられた。明るく元気でおしゃまな女の子。タルを慕っている。
天誅房(チョンジュバン)
トゥ・ジュンソ(ハン・ジェヨン/声:谷昌樹)
刺客集団〈天誅房〉の頭。呪術を操る。高句麗の国と王族を破滅させるため、刺客たちに命じて王族を襲わせている。術によってピョンガンの記憶を奪い、刺客“カジン”として育てた。カジンが王女であることを知りながら、平原王暗殺を命じる。
タラ・ジン[チン](キム・ヒジョン/声:渡辺広子)
刺客。タラ・サンの双子の妹。突厥の出身。“カジン”の親友で、サバサバとした性格のしっかりもの。
タラ・サン(リュ・ウィヒョン/声:松本忍)
刺客。タラ・ジンの双子の兄。突厥の出身。
マ・テモ(ムン・ジンスン/声:田村真)
刺客。私情に流されず、トゥ・ジュンソの命に忠実に従う。
ヨム・ドゥク(チョン・ウンピョ/声:多田野曜平)
“カジン”の養父。天誅房の一員。 頭のトゥ・ジュンソからカジンを預かり、実の娘として育てた。カジンの正体については何も知らされていないが、本当の娘のように大切に思っている。
各話のあらすじ(ネタバレ有)
561年。高句麗(コグリョ)第25代王・平原(ピョンウォン)王の長女であるピョンガン王女は、いつか君主となって国を治める日を夢見ていた。王は強大な力を持つ重臣コ・ウォンピョに脅され、塩の専売権を桂婁(ケル)部族、消奴(ソノ)部族、灌奴(クァンノ)部族に与えてしまう。
危機感を抱いたヨン王妃は、娘のピョンガンを連れて順奴(スンノ)部を訪れ、族長のオン・ヒョプ将軍に助けを求める。
それを好機と見たウォンピョは王の側室チン妃と共謀して王を騙し、ヨン王妃がかねてより噂のある元武将の僧侶ウォルグァンに会うため伊弗蘭(イブルラン)寺に向かったと偽情報を流す。
激昂した平原王はヨン王妃とウォルグァンを抹殺せよとウォンピョに命じ、順奴部はウォンピョが率いる兵の襲撃を受ける。果敢に立ち向かうヨン王妃だったがウォンピョに殺され、オン・ヒョプ将軍は「逆賊だと名乗り出れば残りの民を助けてやる」という条件を突き付けられる。
ピョンガンはオン・ヒョプ将軍の息子オン・ダルとともに逃げるが、伊弗蘭寺へ向かう途中で彼とはぐれてしまう。ひとりで伊弗蘭寺に辿り着いたピョンガンは、怒りにとらわれ僧たちを次々と虐殺する父・平原王の残忍な姿をまのあたりにし、気を失う。
8年後。記憶をなくしたピョンガンは“カジン”という名で、刺客集団〈天誅房〉のメンバーとなっていた。カジンは父・ヨム・ドゥクと平穏な暮らしをしたいと望み、〈天誅房〉の頭であるトゥ・ジュンソに刺客をやめたいと直訴する。
ジュンソは最後の任務として、平原王を殺せとカジンに命じる。任務を果たすため旅立ったカジンは、森の中で純朴な青年と出会う。青年はカジンの顔を見て「お前を知ってる」と言う。
成長したオン・ダルは“タル”と呼ばれ、目が不自由な乳母サ氏夫人と山奥に隠れ住んでいた。タルは森で出会ったカジンを見て刺客だと見抜き、「今後は人を傷つけないで自分のことを守れ」と忠告する。
都にやって来たカジンは女官に変装して王宮に忍び込み、かつて自分が住んでいた部屋で乳母だったコンソン夫人と再会する。失った記憶の断片が蘇り、動揺するカジン。コンソン夫人もまた、女官の正体がピョンガン王女ではないかと疑う。
ソウハク山で「亡きピョンガン王女」を弔う祭祀が行われる。カジンは巫女とすり替わって儀式に参加し、平原王殺害の機会を狙う。ソウハク山城の城主は、ピョンガンのかつての剣の師匠でコ・ウォンピョの息子コ・ゴンだった。
コ・ゴンは「巫女が王を狙う」と書かれた紙を拾い、父に知らせるが、ウォンピョは儀式を止めようとしなかった。平原王は巫女に扮したカジンを見て錯乱し、襲撃に失敗したカジンはその場から逃走する。
兵たちに追われ、負傷したカジンを助けたのはタルだった。タルの家で手当を受け、回復したカジンは家の周りに多くの罠が仕掛けられていることを知って不審に思う。
タルの父オン・ヒョプ将軍は、逆賊の汚名を着せられ処刑されていた。サ氏夫人は官軍に刃向かおうとするタルを止めるため、自ら目を焼いて失明し、「バカとなって穏やかに生きろ」という将軍の遺言を守ってきたのだった。
王宮では、コ・ウォンピョが息子のゴンに王宮の守備隊を任せ、刺客を捕らえるよう命じていた。
怪我が回復したカジンは刺客のアジトに戻ろうとするが、刺客の仲間タラ・ジンに「戻らずに生みの親を捜せ」という父ヨム・ドゥクからの伝言を聞かされ驚く。カジンは少女の頃に〈天誅房〉の頭トゥ・ジュンソに拾われ、ヨム・ドゥクに預けられたという。
カジンはトゥ・ジュンソに会い、自分が何者か教えて欲しいと訴える。だが王女であるカジンを利用して高句麗を滅ぼそうともくろむトゥ・ジュンソは、呪術を使ってカジンの自由を奪い、牢に閉じ込める。
カジンに何か起きたと知ったオン・ダルは、刺客のアジトがあるという山へ向かう。そこでタラ・ジンたちと遭遇し、協力してカジンを救出する。カジンは拾われた時に持っていたという青玉の首飾りを手に、失った記憶を取り戻すため王宮へ向かう。
刺客の捜索を任されたコ・ゴンは、情報通の長白薬草店の店主へ・モヨンに似顔絵を見せ、刺客を捜して連れて来るよう命じる。オン・ダルとカジンもまたヘ・モヨンを頼り、かつてのピョンガンの乳母コンソン夫人に会わせて欲しいと頼む。
国王の失脚を望むコ・ウォンピョは、平原王がピョンガン王女の幻覚に悩まされていることや、コンソン夫人が「王女」と呼びながら女官を追いかけていたという話を聞き、コンソン夫人を拘束する。
王宮に忍び込んだカジンはコンソン夫人と再会し、自分がピョンガン王女であることを知らされる。
かつての乳母コンソン夫人から、自分が高句麗の王女であることを聞かされたカジン。そこにコンが現れるが、なんとか追っ手をかわし逃走する。
徐々に記憶を取り戻したカジンは、木蓮堂の抜け道を通って王宮殿に忍び込み、そこで父である平原王と対面する。ピョンガンの顔を見た王は錯乱し、「亡霊だ」と叫んで兵を呼ぶ。
コンソン夫人は太子の世話をするためウォンピョに従うことを約束し、解放される。木蓮堂で記憶の戻ったピョンガンと再会し、抱き合う2人。刺客の正体がピョンガンだと知ったコンは、密かに彼女を逃がす。
伊弗蘭寺でウォルグァンに会ったピョンガンは、8年前に王が彼と母・ヨン王妃の仲を疑い、嫉妬に狂ってヨン王妃を殺したことを知らされる。行き場を失ったピョンガンは長白薬草店に戻り、人質となっていたタルと再会。タルはピョンガンを幽霊谷に連れて帰る。
幽霊谷の人々に受け入れられ、修復した空き家で暮らし始めるピョンガン。だがタルがオン・ヒョプ将軍の息子だとわかり、幽霊谷の人々が8年前の襲撃で生き残った順奴部族だと知って罪悪感にうちのめされる。
一方、ピョンガンが生きていることを知ったコ・ウォンピョは、息子のコンに王女を抹殺するよう命じる。コンは長白薬草店の店主ヘ・モヨンから「テソン山から来た男が人相書きにそっくりな娘を連れていた」と聞き、兵を連れてテソン山へ踏み込む。
カジン(=ピョンガン)が姿を消し、タルと幽霊谷の村人たちは必死に彼女を捜す。守備隊長のコンもまたピョンガンを捜すため、兵士を率いて幽霊谷を訪れていた。コンと遭遇したタルはカジンがピョンガン王女だと知り、激しく動揺する。
8年前のことをすべて思い出したピョンガンは、罪悪感から身投げしようとする。引き留めたタルは「死ぬんならみんなの許しを得て死ね。みんなが守った命をお前が勝手に捨てようと思うな」と怒りをぶつける。
王宮に連れ戻そうとするコンに対し、ピョンガンは「王女は8年前に死んだ」と青玉の首飾りを渡す。諦めたコンは軍を引き揚げさせる。
ピョンガンは村人たちに正体を明かして幽霊谷を出ていこうとするが、タルは村長のウナムにだけ真実を話し、村人たちには〈天誅房〉の刺客だと告げる。ピョンガンは刀を捨てて人間らしく生きようと、幽霊谷で暮らすことを決める。
タルはカジンを想う気持ちと、ピョンガン王女を恨む気持ちとの間で、どうしていいかわからず苦悩する。だが彼女に罪はないと考え、“カジン”として受け入れることに。
ピョンガンを王宮に連れ戻したいコンは、父コ・ウォンピョに黙って王に真実を告げ、王女を無事に連れ戻す手立てを探ることを約束する。そして長白薬草店の店主へ・モヨンに協力を頼み、別人の遺体を刺客だとして王宮に運ばせる。
ウォンピョに命じられ遺体を確認した乳母のコンソン夫人は、王女とは別人だと証言する。コンの偽装計画を見抜いたウォンピョは、父を欺いた罰として守備隊長を解任させる。生き残る術を探るモヨンは、ウォンピョと密通しているチン王妃に取り入ろうとする。
〈天誅房〉の頭トゥ・ジュンソは、姿を消したピョンガンの代わりにタラ・サンとタラ・ジンの兄妹にウォンピョ殺害を命じる。しかし暗殺に失敗した2人は王宮の守備隊に捕まり、処刑を待つ身となってしまう。
コンから密かにピョンガンが生きていることを知らされた王は、ウォンピョとコンに王女を捜し出すよう命じる。ウォンピョは守備隊よりも多い兵をコンに与え、ある場所へ向かわせる。
その頃、ピョンガンは幽霊谷で“カジン”として生きることをタラと約束し、穏やかな暮らしを送っていた。そこへ彼女の居場所を突き止めたジュンソが現れ、タラ・サンとタラ・ジンが捕まったことを告げる。
ピョンガンは1度だけと心に誓い、2人を救うため都へ向かう。
ピョンガンは刺客の仲間タラ・サン、タラ・ジン兄妹を助けるため都を訪れ、商いで都へ来ていたタルに見つかってしまう。タルは友人を見殺しにできないというピョンガンの話を聞き、「仲間として手伝う」と言い出す。
そのころコンは、父コ・ウォンピョの命令で〈天誅房〉を討伐するため、兵を率いて敵のアジトに乗り込んでいた。だが〈天誅房〉の頭トゥ・ジュンソは、既に手下を連れて姿を消した後だった。
ピョンガンたちは広場で処刑されかかっていたタラ・サンたちの救出に成功するが、タルが王宮守備隊に捕まってしまう。ピョンガンはタルを救うため、自らピョンガン王女であると名乗り出る。
王宮に戻ったピョンガンは、釈放されたタルに「これからは王女として王宮で暮らす」と別れを告げる。タルはピョンガンとの運命を信じ、いつか必ず夫婦になると言い残して都を後にする。
平原王は生きて戻った王女との再会を喜ぶ一方で、8年前の真実をピョンガンに暴かれるのではないかと不安を隠せない。コ・ウォンピョら部族長もまた、王よりもピョンガンを警戒するようになる。
ウォンピョは長白薬草店のヘ・モヨンを脅し、ピョンガンの弟ウォン太子の薬に毒を混ぜるよう命じる。2人の密会を怪しんだコンはピョンガンに忠告し、ピョンガンは間一髪でウォン太子が薬を飲むのを阻止する。
ピョンガンは太子ウォンの薬に毒が入れられていたと父王に訴え、薬を調合したモヨンを呼び出す。重臣たちの中に指示した者がいるはずだとモヨンを問い詰めるが、彼女は潔白を示すため自ら薬を飲み干し、毒が入っていないことを証明する。重臣を疑ったピョンガンは、王から謹慎を命じられてしまう。
コンは父コ・ウォンピョの策略に嵌まったことに気付く。ウォンピョは最初から太子ではなくピョンガンを狙い、コンを利用してピョンガンを陥れようと謀ったのだった。コンはウォンピョから北方行きを命じられ、逆らえば縁を切ると告げられる。
謹慎中のピョンガンはウォンからモヨンが新羅と密貿易をしているという話を聞き、調査のため王宮を抜け出す。協力を買って出たコンとともに長白薬草店に忍び込むと、秘密の地下室に何人もの娘たちが監禁されていた。ピョンガンは娘の一人と入れ替わり、目的を探ることに。
モヨンは新羅から来た客人キム・チャスンをもてなす。実はモヨンは新羅の人間で、キムの命令で高句麗に忍び込んでいたのだった。キムはモヨンから国境警備の情報と貢ぎ物の娘たちを受け取り、新羅へ連行しようとする。
コンは王の許可を得て薬草店へ乗り込み、モヨンを拘束する。タラ・ジンたちと〈天誅房〉の行方を追って都へ来ていたタルは、薬草店で2人の会話を聞き、ピョンガンを助けるためコンとともに一行の後を追う。
娘たちを救出したピョンガンは王宮に戻り、ヘ・ジウォルが娘たちを新羅への貢ぎ物にしていたことを王に報告する。ウォンピョは国の財を補うためだったと進言し、その言葉を信じた王はジウォルを無罪にしようとするが、ピョンガンの激しい抗議によって撤回する。
ピョンガンに罪を暴かれたモヨンとその父ジウォルは、形ばかりの罰を受ける。臣下たちの不満が募る中、ピョンガンはかつて逆賊の汚名を着せられ没落した順奴部族を再起させるべきだと王に進言。威信を取り戻すべく奮起した王だったが、重臣たちと議論しようとした矢先、コ・ウォンピョが息子コンとピョンガンの婚姻話を持ち出す。
婚姻で王室を抑え込もうとするウォンピョの魂胆を見抜いた王は、縁談は認めないと臣下たちの前で断言し、ピョンガンにも「ウォンピョの家に嫁がせたりはしない」と約束する。
ウォンピョは王を呼び出し、縁談を認めなければ王女と太子の命を奪うと脅す。王は2人を守るためウォンピョに屈服し、ピョンガンの縁談を民に知らせる。
政略結婚に反発していたコンは考えを改め、ピョンガンに結婚を申し込む。だがピョンガンはコンの申し出を断り、タルこそが自分の夫となる運命の人だと打ち明ける。諦めきれないコンは、縁談を進めるよう父ウォンピョに頼む。
王宮ではピョンガンの意思を無視して婚礼の準備が着々と進む。王はウォンピョに脅されたことを明かし、ピョンガンに許しを乞う。
ピョンガンとコンの婚姻話を知ったモヨンは、ウォンピョに権力が集まることを危惧し、縁談を阻止すべく策を練る。タルは都の貼り紙でピョンガンの縁談を知り、自ら候補に名乗りを上げようと、モヨンの協力を得て商人の息子になりすます。
王女の花婿候補として王宮へ乗り込んだタルは、父の恨みを晴らしピョンガンを救うべく、ウォンピョを暗殺しようとする。
王女ピョンガンの婿選びの場に入り込んだタル。だが最初から候補はコンに決まっており、集められた志願者は全員落とされるという筋書きが部族長会議によって決められていた。
タルはコ・ウォンピョを殺そうと機会をうかがうが、コンが現れ素性を偽っていることを暴かれる。
タルが王宮に来ているとモヨンに教えられたピョンガンは、タルを父王の前に連れていき、自分の夫だと嘘をつく。タルもそれに同調し、さらに亡きオン・ヒョプ将軍の息子であることを明かす。
それを聞いた王は激怒し、ピョンガンを王宮から追放する。縁談を避けるための決断だと悟ったピョンガンは、ウォン太子に「必ず戻ってくる」と約束して王宮を去る。そしてモヨンに王と太子の様子を随時知らせてほしいと頼む。
ピョンガンを想うコンは、タルに戦いを仕掛けて力尽くで連れ戻そうとするが、ピョンガンに止められ「何もかも終わったの」と別れを告げられる。どうしても諦めきれないコンに、父ウォンピョは「機が熟すまで待っていろ」と言う。
ピョンガンとタルは幽霊谷に戻り、村人たちに結婚したと嘘をついて一緒に暮らすことに。だが2人の結婚に反対するサ氏夫人はピョンガンを「王女様」と呼び、嫁として認めようとしない。
コンがウォンピョから国境行きを命じられたと知った王は、それをやめさせて親衛隊長に抜擢しようと考える。そして王室への忠義を確かめるため、太子ウォンの信頼を得よと命じる。
ピョンガンは王宮から持ってきた兵法書をタルに読ませ、武芸を教える。タルは養母サ氏夫人に内緒にすることを気に病みながらも、日々修練に励む。ピョンガンに「家族として接して欲しい」と懇願されたサ氏夫人は、家の用事を大量に言いつけ、ピョンガンをこき使う。
王宮では、コンが国王の命令で太子ウォンの武芸の師匠になる。ウォンはピョンガンが王宮を出て以来、部屋に閉じこもっていた。コンは賭けを持ちかけてウォンの心を開き、王の信頼を得ることに成功。晴れて親衛隊長に任命される。
ピョンガンは村長のサ・ウナムに会い、順奴部族の再起を目指すよう訴える。準備に必要な資金は、王宮から持ち出した装身具を売って用意する計画だった。ピョンガンからその役目を託されていたモヨンは装身具をヒョン妃に売りつけるが、懐妊を望む彼女に占い師を紹介してほしいと頼まれる。
モヨンは松華堂を訪れ、占い師トゥ・ジュンソと会う。2人は互いに相手の素性を怪しみ、モヨンはトゥ・ジュンソが刺客集団〈天誅房〉の頭であることを、トゥ・ジュンソはモヨンが新羅の密偵であることを知る。
正体を知られたトゥ・ジュンソはモヨンを暗殺すべく刺客に襲わせるが、その場に居合わせたコンが助ける。刺客のマ・テモの言葉を聞いたコンは、モヨンの正体を知って驚く。
幽霊谷の村人たちはピョンガンの言葉に背中を押され、世の中に出る準備を進める。サ氏夫人はタルが武芸を習っていることを知り、激怒する。タルの父・オン・ヒョプ将軍の「息子には血にまみれた道を歩ませたくない」という思いを知っていたからだ。だがタルは剣術を習得して将軍になると宣言し、サ氏夫人と喧嘩になってしまう。
父ウォンピョの指示でモヨンの養父ヘ・ジウォルを探っていたコンは、ジウォルにもモヨンにも怪しいところはないと報告する。
モヨンはトゥ・ジュンソを呼び出し、国王の命を狙う理由を聞く。ジュンソはかつて神官として王に仕えていたことを明かす。神官の掟を破って妻子を持ったために命を狙われたジュンソは、逃げる途中で妻子を殺されたのだった。
モヨンは高句麗の滅亡を望んでおり、その機会が訪れるまで王の命を奪わないと約束させたうえで、トゥ・ジュンソを王宮に連れて行き、ヒョン妃と会わせる。
ピョンガンは上達したタルを新たな師匠となるウォルグァンのもとへ連れて行く。ウォルグァンはタルを洞窟に連れて行き、「体中に溜まった毒や頭の中の悪い気を、全部きれいに洗い流せ」と命じて置き去りにする。
ピョンガンは順奴部族の再起に向けて準備を進め、都で馬を買い、モヨンから銀を受け取る。コンソン夫人の協力で密かに父王と面会したピョンガンは、幽霊谷の村人たちと動き始めたことを伝える。
チン王妃の父チン・ピルは、国王とキム・ピョンジの密談に加わり、王室に忠実な若い臣下や学者たちがひそかに上書を準備しているという話を聞かされる。それは順奴部族を復権させ、部族長会議に参加させるというものだった。
父から話をきいたチン王妃は密談の内容をウォンピョに知らせ、ウォンピョは私兵を送って国王側の臣下たちを襲撃する。さらに、コンに内緒で王女とタルを葬るべく、ウォンピョは側近コ・サンチョルを幽霊谷へ送り込む。
洞窟に籠もっていたタルは、すべてを洗い流して洞窟を出る。その頃サ氏夫人は自らの役目が終わったと感じ、タルとピョンガンのもとから去ろうとしていた。そこへウォンピョが差し向けた私兵たちが現れ、サ氏夫人に矢を放つ。
ピョンガンはサ氏夫人を守るため戦い、戻ってきたタルも参戦する。タルはたちどころに全ての兵を倒し、コ・サンチョルを斬る。
敵兵に襲われたピョンガンとサ氏夫人はタルによって救われるが、初めて人を殺めたタルは強い衝撃を受けて落ち込んでしまう。ピョンガンは村長のサ・ウナムからタルの亡父オン・ヒョプ将軍の話を聞き、タルをある場所へ連れて行く。
そこは、タルが生まれて間もなく死んだ母の墓だった。オン・ヒョプ将軍は愛する人を守れなかった不甲斐なさを戒めるために、大きな岩を心の重石としてお墓にしたという。亡き父の思いを知ったタルは、愛する人を守るために戦う決意をする。
ウォンピョは側近のコ・サンチョルが重傷を負って戻ったことで、襲撃が失敗したことを知る。ウォンピョはそれを口実に順奴部族の討伐を国王に訴え、王が退けるとモヨンに毒薬を作らせ王を抹殺しようと企む。
モヨンはコンに相談し、毒薬とともに解毒剤を用意して王宮で囚われの身となっていたトゥ・ジュンソに密かに渡す。毒に倒れた国王はトゥ・ジュンソによって救われる。
幽霊谷には、村長サ・ウナムの呼びかけに応じ、各地に散らばっていた順奴部族の仲間たちが集まり始めていた。そんな中、ウォンピョが送りこんだ先発隊が到着し、プンゲとタラ・ジンが捕らわれる。ピョンガンは2人の解放と引き換えに自身が人質となる。
コンは父ウォンピョの命に逆らえず、兵を率いて順奴部族討伐に向かう。
ピョンガンはコンが率いる桂婁部族の陣地で人質となり、王宮に戻るよう諭される。タルが救出のため陣地に乗り込んだとき、北周が高句麗に攻め込んできたという知らせが入る。コンは2人を置いてひとまず都に引き揚げることに。
国王は部族長たちに私兵を集めるよう命じ、自ら軍を率いて出陣する。ピョンガンらは戦で手柄をあげて順奴部族の復権を認めてもらおうと考え、出陣の準備を進める。そこへウォンピョの使者が現れ、北周一の部隊といわれるチョンギ軍を阻むよう命じられる。
ピョンガンは戦に乗じて順奴部族を始末しようとするウォンピョの策略に気付くが、手柄をあげるには従うしかないと覚悟を決め、タルとともに300人の兵を率いて出陣する。
だが王のもとに届いたのは、ピョンガン率いる順奴部族が戦わずにチョンギ軍に投降したという知らせだった。それはピョンガンたちの作戦だったが、王女の投降を信じないチョンギ軍はピョンガンだけを本陣に連れて行く。
チョンギ軍の陣地に残されたタルたちは、隙を突いて武器を奪い、戦闘を始める。タルが飛ばした合図を見たピョンガンは、敵兵を倒して陣地へ戻る。タルはチョンギ軍の大将ウィバルタを討ち、戦いに勝利する。タラ・サンはタラ・ジンを守って戦死する。
順奴部族勝利の知らせは国王のもとにも届き、王の軍は北周軍を追い払って戦は終結する。ピョンガンとタルたちは王宮を訪れ、王から手柄を讃えられる。王はその場で順奴部族を部族長会議に復帰させること、名誉を回復させ没収した財物と土地を戻すことを宣言する。
王に婚礼を認められたピョンガンとタルは、王宮に迎え入れられる。怒りに駆られたコンは、真の敵は王室だと気づき、必ず勝利してピョンガンとタルを戦利品として捧げる、と父ウォンピョに約束する。
占い師として王宮に入り込んだ天誅房の頭トゥ・ジュンソは、ピョンガンが王宮に戻ったことを知って国王への復讐を決行。国の命運を占うという名目で国王と太子だけを神堂に呼び、しびれ薬を飲ませる。
動けなくなった王の目の前で太子を殺し、自分と同じ地獄を味わわせようとするジュンソ。だが占い師の正体に気づいたタルとピョンガンが駆けつけ、王と太子を救う。
占い師を呼び入れたとしてチン王妃の責が問われるが、彼女はピョンガンがジュンソの指示で王の命を奪おうとした過去の一件を持ち出し、自分を罰するなら王女の罪も問うべきだと反論する。王はピョンガンを守るため、王妃を不問にする。
投獄中のジュンソが何者かに拉致され、行方をくらます。王は必ず見つけ出すよう親衛隊長のコンに命じるが、ジュンソを拉致したのはコンだった。
モヨンは想いを寄せるコンと深い仲になるが、養父ヘ・ジウォルに知られて外出を禁じられる。コンのために新羅を裏切り、偽りの手紙を送ったことでキム・チャスンの怒りを買ったモヨンは、キムの手下に拉致される。
順奴部族の復権が認められ、幽霊谷の住人たちは都に引っ越すことに。村長のサ・ウナムは部族長として部族長会議に復帰し、3部族が独占する塩の先買権を王室に返すよう意見する。
ピョンガンはチン王妃とコ・ウォンピョの不義を疑い、王妃が書いた恋文を手に入れる。
ピョンガンはチン王妃がコ・ウォンピョに送った恋文をタルに見せる。その会話を盗み聞きしたコンソン夫人はウォンピョに報告し、ウォンピョは恋文を見つけて盗み出すよう、コンソン夫人に命じる。
だがその恋文はピョンガンが書いた偽物だった。コンソン夫人がコ・ウォンピョと通じていることに気付き、罠にかけたのだ。2人の密会現場を押さえたピョンガンは、チン王妃を王宮から追い出し、ウォンピョには塩の先買権を差し出すよう命じる。
拉致されたモヨンは新羅に連れてこられ、偽りの報告をしたことでキム・チャスンに命を奪われそうになる。しかし新羅の国王・真興(チヌン)王は王宮にモヨンを呼び出し、高句麗に戻って三国統一の妨げとなるピョンガン王女を殺すよう命じる。
ピョンガンはモヨンがトゥ・ジュンソの正体に気づきながら王宮に招き入れたことに気づき、彼女を呼び出して正体を明かすよう問い詰める。追い込まれたモヨンはピョンガンを殺そうとするが、コンが現れて自分が命じたと説明する。2人が深い関係にあることを知ったピョンガンは、ウォンピョとコンが何かを企んでいると不安を抱く。
守備隊の任務に就くタラ・ジンはピョンガンとの間に距離を感じ、不満を抱き始める。タルは何もかも一人で抱え込もうとするピョンガンに優しい言葉をかけるが、ピョンガンの不安は消えない。気分転換のためタルと一緒に買い物に出かけたピョンガンは、雑踏の中で怪しい動きをする王の側近を目撃する。
コンとモヨンは監禁していたトゥ・ジュンソを解放し、手下を集めて王を討てと命じる。ジュンソはタラ・ジンに接触し、再び仲間に引き入れようとする。
ウォンピョとコンは黄州城の城主ヤン・チェクのもとにサンチョルを送り、反乱を起こすようそそのかす。成功したら王座に就けてやるという父の言葉に胸を熱くするコン。だが討伐軍を率いるのは味方につけたナム・ユン将軍ではなく、タルだった。
コンはモヨンの秘密を探るサンチョルを密かに抹殺し、ウォンピョには「王女に買収されていた」と嘘をつく。そして数日内に王座を奪うことを告げる。
タルは黄州城の反乱を鎮圧するが、捕虜となったヤン・チェクの家族まで殺そうとするピョンガンに心を痛め、ヤン・チェクを斬ってしまう。ピョンガンのために自分を殺し、さらなる戦場へと向かうタル。
チン王妃はウォンピョがいよいよ謀反を起こすと知り、王子の身を案じる。ピョンガンは
王子を助けたければ王室側につくべきだと彼女を諭す。
国王はコンに国境へ行くよう命じ、代わりにピョンガンを親衛隊長に任命する。そしてウォンピョの手先である太監を利用して罠を仕掛け、ウォンピョを捕らえる。知らせを受けたコンは灌奴部族と消奴部族に武装させ、王宮へ向かう。
私兵を率いて王宮へ向かったコンは、門の前でピョンガン率いる官軍に阻まれる。灌奴部族が王室側についたと知ったコ・ウォンピョは降伏を決めるが、コンは独断で攻撃を開始。そこへ討伐を終えたタルが現れ、争いを収める。
コ・ウォンピョとコンは投獄され、斬首刑に処されることが決まる。モヨンは養父ヘ・ジウォルを新羅へ逃がし、コンを救い出すためトゥ・ジュンソに協力を求める。
その頃、病に侵されたサ氏夫人は、最後にタルの声を聞こうと都を訪れていた。タルと再会して違和感を覚えたサ氏夫人は、ピョンガンにタルを守ってほしいと頼む。
刑が執行される前夜、トゥ・ジュンソは〈天誅房〉の刺客とともに王宮を襲撃。モヨンは騒ぎに乗じて王宮に侵入し、コンとウォンピョを救い出す。トゥ・ジュンソは王に斬りかかるが、ウォン太子に阻止され、駆けつけたピョンガンに殺される。
王と太子を守るため、コ親子に立ち向かうピョンガンとタル。ピョンガンはウォンピョを討ち取るが、タルはコンを取り逃がしてしまう。父の死をまのあたりにしたコンはピョンガンとタルを探して木蓮堂に忍び込み、秘密の抜け穴に隠れているサ氏夫人を見つける。
反乱が失敗したコンはピョンガンとタルを殺して恨みを晴らそうとするが、モヨンに止められて新羅へ逃げる。戦いを終えたピョンガンとタルは木蓮堂に戻り、サ氏夫人の遺体を見つける。タルは王宮を去る決断をし、思いとどまるよう懇願するピョンガンに別れを告げて出ていく。
4年後。ピョンガンの弟のウォン太子が即位し、嬰陽(ヨンヤン)王となっていた。ピョンガンは軍職に就いて必死に王を支えるが、嬰陽王は自分よりも民に好かれる姉を妬み、姉弟の関係は悪化していた。
嬰陽王は三国統一の大業を成し遂げるためにタルが必要だと主張し、ピョンガンにタルを説得して王宮に連れ戻すよう命じる。タルを再び戦いに巻き込むことを恐れ、再会を避けてきたピョンガンだったが、募る想いを抑えきれず山を訪ねる。再会を喜ぶピョンガンに、タルは誰にも見つからない山奥へ行くと告げる。
一方、新羅に逃げたコンは酒浸りの毎日を送っていたが、真興王と接見し、使節として高句麗へ行くことを決める。
誰も知らない山に隠れるというタルに、どこに隠れても必ず見つけ出す、と答えるピョンガン。その頃、王宮にはコンとモヨンが新羅の使節として現れ、騒然となっていた。
嬰陽王や重臣たちは逆賊であるコンを殺そうとするが、ピョンガンは新羅の計略に乗ってはならないと諫める。チン太后も「先の王なら大王らしい度量を示したはず」と進言し、嬰陽王を説得する。
ピョンガンと2人きりになったコンは、最後にピョンガンに会って死ぬつもりだったと高句麗に戻ってきた本当の理由を告げる。ピョンガンは自らの剣でコ・ウォンピョの命を奪ったことを明かし、新羅に戻るよう諭す。
コンの処刑を望む重臣チン・ピルは、ウォンピョの屋敷で見つけた一本の矢を嬰陽王に見せる。それはウォンピョがかつてピョンガンと嬰陽王の母ヨン王妃を殺めた矢だった。
嬰陽王が親衛隊を呼んだと知り、ピョンガンはコンとモヨンを密かに逃がす。それを知った王は激怒し、ピョンガンを投獄する。さらに順奴部族にも謀反の疑いをかけて捕らえる。ピョンガンはサ・ウナムやプンゲたちを救うため、謀反の罪をひとりで背負い、彼らの命を救う。
嬰陽王はオン・ダル将軍を呼び戻し、新羅に奪われたアダン山城を奪還すれば命を助けると告げるが、ピョンガンは頑なに拒む。ピョンガンが処刑されるとウォルガンから聞いたタルは、再び剣を手にする。
タルは再び剣を取り、処刑される寸前のピョンガンを救う。そして新羅に占領されたアダン山城を取り戻すと嬰陽王に約束する。ピョンガンは三国統一を狙う嬰陽王が高句麗を戦ばかりの国にしてしまうことを憂慮し、王を玉座から引きずり下ろそうと画策する。
それを知ったタルは、王になりたいのかとピョンガンに問う。あくまでも自分が戦うと言い張るタルだったが、ピョンガンは一緒に出陣することを決意。そしてアダン山城を取り戻したら、2人で王宮を去ろうと告げる。
チン太后はタルとピョンガンが戦に勝利すれば、民の支持を受けて天下を取るのではないかと不安になり、対処してほしいと新羅にいるモヨンに手紙を送る。後日、モヨンから新羅がアダン山城の守りを固めたという返事を受け取り、チン太后は安堵するが、その手紙を嬰陽王に見られ王宮から追放される。嬰陽王はピョンガンとタルを救うため、自ら軍を率いてアダン山城へ向かう。
モヨンと養父ヘ・ジウォルは、コンの出陣を止めようと画策し、真興王にコンがピョンガンに特別な情を抱いていることを密告する。コンは指揮権を剥奪され、出陣を見送られるが、モヨンの反対を押し切って出陣する。
タルとピョンガン率いる3000人の決死隊はアダン山城を奪還するが、真興王率いる新羅軍がすぐそばまで来ていた。
真興王率いる新羅軍から、明日の明け方までに城を開放しなければ皆殺しにするという書状が届く。タルは城の守りを自分に任せて都に戻るようピョンガンを説得し、送り出す。
しかしピョンガンは都へ戻らず、真興王を暗殺するために1人で敵陣に忍び込む。就寝中の王を襲おうとするピョンガンだったが、新羅軍を追ってやってきたコンに気づかれ阻止される。翌朝、タルはピョンガンが新羅軍に捕らわれたことを知り、決断を迫られる。
コンは密かにピョンガンを救う手立てを考えるが、真興王はキム・チャスンに命じて彼女を新羅の都・徐羅伐(ソラボル)へ連行させる。ピョンガンを助けるため一行の後を追うコンの前に、養父へ・ジウォルを殺されたモヨンが現れる。2人は新羅兵の一行に切り込み、ピョンガンを救う。
ピョンガンからの合図に気づいたタルはすぐに駆けつけるが、コンは戦いで重傷を負い、モヨンの腕の中で息絶える。
嬰陽王率いる3万の兵が新羅軍の陣営を襲撃し、勝利をおさめる。安堵するピョンガンとタルの前に新羅兵が現れ、タルはピョンガンをかばって全身に矢を受け、「愛してる」と告げて絶命する。
タルを失ったピョンガンは王宮を去ることを決め、嬰陽王に高句麗の未来を託してかつてタルと暮らした山に戻る。そこで記憶を失ったタルと再会するピョンガン。ウォルガンによると、タルは死んだように見せる秘技を習得していたという。
命が危うくなった瞬間、タルはその秘技を使って死んだように見せかけたのだった。だが修行が足りず、記憶を失うという弊害が生じてしまった。
自分の名前も思い出せないというタルに、空に浮かぶ月(タル)を指差すピョンガン。タルは“オン・ダル”という自分の名前を思い出す。そしてピョンガンのキスを受け、すべての記憶を取り戻す。