海外ドラマ「暗号探偵クラブ~女たちの殺人捜査」シーズン2(全4話)の紹介です。
第二次世界大戦中に暗号解読の任務にあたっていたスーザンたち4人が、殺人事件の捜査に乗り出すミステリードラマのシリーズ第2弾。
今回はスーザンたちと共にブレッチリーで働いていたアリスが登場。殺人罪に問われている彼女の冤罪を晴らすべく、事件解決に向けて4人が再び動き出します。
第1話と第2話はアリスの無実を証明しようと奔走する話、第3話と第4話は誘拐されたミリーを救出する話です。
Contents
作品概要
- 製作国:イギリス(2014年)
- 原題:The Bletchley Circle
- 脚本:ガイ・バート
- 監督:ジェイミー・ペイン
- 製作総指揮:サイモン・ヒース
あらすじ
ジーンは、ブレッチリーで同じく任務にあたっていたアリス・メレンが殺人罪で裁判にかけられていることを知る。アリスは事件について話すことを拒否していたが、多くの状況証拠が揃っているため、裁判でアリス本人が犯行を認めれば即刻死刑となってしまう状況だった。しかし、ジーンは彼女の無罪を確信。スーザン、ルーシー、ミリーに声をかけ、事件の真相を探ることに。4人の新たな謎解きがはじまる。
シネフィルWOWOW公式サイトより
登場人物(キャスト)
主要人物
スーザン・グレイ(アンナ・マックスウェル・マーティン)
主婦。夫と2人の子どもがいる。第二次世界大戦中、政府の暗号学校(通称“ブレッチリー・パーク”)で働いていた。パターンを読むのが得意。夫ティモシーの外務省異動が決まり、海外へ行くことに悩んでいる。
カミラ・“ミリー”・ハーコート(レイチェル・スターリング)
独立志向の独身女性。元暗号解読員。語学が堪能で、終戦後は海外を旅行していた。現在は通訳の仕事に就いている。ジーンからアリスの事件について相談を受け、捜査に協力する。
ルーシー(ソフィー・ランドル)
クラブの最年少メンバー。元暗号解読員。抜群の記憶力を持ち、データの回収と処理を専門とする。支配的な夫と別れ、警視庁で事務員助手として働いている。ジーンの依頼でアリスの事件に関する資料を暗記する。
ジーン・マクブライアン(ジュリー・グレアム)
クラブの最年長メンバー。ブレッチリー・パークではスーザンたちの上司で、監督する立場だった。戦後は司書として図書館に勤めている。同僚だったアリスを救うため、スーザンたちに声をかけ捜査を開始する。
アリス・メレン(ハティ・モラハン)
ブレッチリー・パークで働いていたジーンの同僚。愛人関係にあったリチャーズを殺害した罪で裁判にかけられている。実は娘のエリザベスの犯行だと思い込み、彼女をかばっていたことが判明する。
エリザベス・“リジー”・ランカスター(フェイ・マーセイ)
アリスとリチャーズの娘。産まれてまもなく養子に出された。父であるリチャーズと連絡を取り合ううちに罠に嵌められ、リチャーズ殺害の犯人に仕立て上げられる。何者かに命を狙われている。
ティモシー・グレイ(マーク・デクスター)
スーザンの夫。元軍人。戦争で足を負傷し、現在は運輸省で働いている。真面目で優しい男性。スーザンが元暗号解読員であることは知らされておらず、夫婦の間に秘密があることに感づいている。外務省への異動で海外勤務が決まる。
ベン・グラッドストーン(ニック・ブラッド)
警視庁に勤務するルーシーの同僚。ルーシーに好意を抱いている。
第1話・第2話
ジョン・リチャーズ(ポール・マッギャン)
殺害された著名な科学者。戦時中はブレッチリーにいたことがあり、アリスとは恋仲だった。その後、軍の極秘任務に就くためブレッチリーを去った。別の女性と婚約していたが、アリスとの間に娘のエリザベスをもうけている。アリスとは長く疎遠だったが、エリザベスの訪問を受けて連絡を取る。
オリバー・マスターズ(ポール・リッター)
リチャーズを“ポートン・ダウン”に異動させた科学者。
第3話・第4話
ジャスパー(ロブ・ジャーヴィス)
ミリーが“副操縦士”と呼ぶ人物。ミリーと一緒に闇取引を行っていたが、ギャンブルで多額の借金を抱え、ギャング団の金を着服して借金の返済にあてていたことが露見する。
エリシュカ(エディタ・ブドニック)
ミリーが監禁されたホテルで出会ったスロバキア人の少女。騙されてイギリスに連れてこられ、人身売買にかけられようとしている。
マルタ(ブラナ・バヒッチ)
ギャング団のボス。闇取引と売春の斡旋を行っている。ミリーを拉致し、ジャスパーに着服した金を返すよう命じる。
各話のあらすじ(ネタバレ有)
ジーンはかつて“ブレッチリー・パーク”で働いていた同僚のアリス・メレンが、殺人罪で裁判にかけられていることを知る。アリスは不倫関係にあった科学者ジョン・リチャーズを殺した罪に問われていた。
ジーンは警視庁に勤めるルーシーやミリー、スーザンに声をかけ、アリスのために事件を捜査することを決意。調べるうちに、事件当日にリチャーズ宅を訪れていたエリザベスが真犯人として浮上する。アリスはエリザベスが犯人だと知りながら、罪を被って絞首刑になろうとしているのだった。
エリザベスはアリスとリチャーズの実の娘で、エリザベスもまた何者かによって無実の罪を着せられようとしていた。エリザベスの部屋からは、ソールズベリで化学廃棄物を積んだトラックが衝突事故を起こした記事が見つかるが、エリザベスには覚えがないと言う。エリザベスが軍に命を狙われていると知ったスーザンたちは、彼女をジーンが勤務する図書館に匿う。
アリスの死刑執行日が5日後と決まる。スーザンは犯人に監視されていることに怯え、捜査から手を引くと宣言。ジーンとミリー、ルーシーの3人はアリスに面会し、リチャーズが軍の極秘任務に就いていたことを知る。
リチャーズの異動先は、ソールズベリにある化学兵器研究施設“ポートン・ダウン”だった。新聞記事は事実を隠すための偽装工作で、新聞を見て自分の研究が利用されたことを知ったリチャーズは、事実を公表するため娘のエリザベスに記事を託したのだった。
ミリーに協力を頼まれたスーザンは、怪我を負った兵士が入院する病院へ向かう。スーザンは兵士の口から、彼らが科学者たちに騙されて化学兵器実験の犠牲となったことを聞かされる。
その場で軍に捕らわれたスーザンは、夫ティモシーの前で暗号解読員だった過去を打ち明け、入院中の兵士たちが化学兵器の実験台にされたことや、真実に気づいたリチャーズが口封じのために殺されたことを話す。
ジーンたちはリチャーズを異動させたマスターズ教授に事情を聞きに行く。リチャーズが戦時中に行っていたのはサリンの研究だった。マスターズは戦後も化学兵器としてのサリン研究を続け、部署の責任者になっていた。
マスターズはジーンたちをスパイだと思い込み、監視していたのだった。ジーンはマスターズに足を撃たれるが、駆けつけた軍によってマスターズは取り押さえられる。
1か月後、アリスが釈放される。スーザンはティモシーの海外赴任を受け入れ、外国でやり直すことを決める。
無罪放免となったアリスは再就職先を探して面接を受けるが、大々的に報道された事件の影響でどの会社も彼女を受け入れようとしない。そんな中、ミリーが主催するパーティーに誘われたアリスは、ミリーが“副業”と称する闇取引で大金を稼いでいることを知る。
翌日アリスがミリーの家を訪ねると、ミリーの姿はなく、家の中は何者かによって荒らされていた。アリスとジーン、ルーシーはミリーの行方を追って捜査を開始する。
その頃ミリーはギャング団に誘拐されホテルに監禁されていた。闇取引を一緒に行っていた仲間のジャスパーがギャング団の金を使い込んでいたのだった。ホテルには人身売買によってスロバキアから連れてこられた少女エリシュカがいた。
ミリーは解放され帰宅するが、ジャスパーはギャング団によって惨殺されていた。
ジャスパーが殺害されたことを警察に知らせるが、なぜか「ガセネタ」と処理される。翌日ミリーたちが現場へ行ってみると、ジャスパーの遺体も密輸品も消えていた。警察内部にマルタの協力者がいると考えた4人は、関税庁に密告するため密輸品の取引現場と日時を突き止めようとする。
ミリーはジーンを常連客としてマルタに紹介し、「大口の取引をしたい」と持ちかける。同行したルーシーはマルタの手帳に記されていた記号を暗記するが、それは機械式暗号だった。ミリーたちはブレッチリーに忍び込み、保管されているエニグマ暗号機を拝借。取引の日時を記した暗号を解読することに成功する。
ルーシーは好意を寄せる同僚のベンがマルタと繋がっているのではと疑い、ベンに対してよそよそしくなってしまう。しかしベンは不正を否定。4人に協力するため、警部のふりをして関税庁に通報する。
取引現場で大量の密輸品が見つかり、人身売買を目的として連れてこられた少女たちも保護される。ミリーが監禁されたホテルは無人だったが、エリシュカが残したメッセージで彼女たちが連れ去られたホテルが判明する。
アリスは無事に再就職し、ブレッチリーで教職を学ぶエリザベスと抱き合って喜ぶ。
感想(ネタバレ有)
最後はエニグマ暗号機が登場して、ワクワクしました。
映画「イミテーション・ゲーム」で主人公たちがさんざん解読に手こずらされた、ドイツ製暗号機です。わたしは数学が苦手なので、暗号機の仕組みを聞いてもさっぱり理解できませんでしたが。
シーズン2は、前半と後半でそれぞれ違うストーリーが描かれる2部構成になっていました。前半は、元ブレッチリーの同僚アリスの冤罪を晴らすため、事件の真相を探る話。
シーズン1では先頭に立ってバリバリ捜査を進めていた主役のスーザンが、今回は別人のように弱腰になっていて驚きました。前回のラストで怖い目に遭って、トラウマになっているみたいでしたが…。
アリスの絞首刑が迫っていても、自分や家族のことばっかり考えているスーザンがらしくなくて、ちょっとガッカリでした。
ちなみにこのお話は実話に基づいています。
- 1953年に「風邪の治療法を見つけるためのテスト」だと言われてサリンの実験台にされたイギリス空軍の若い兵士が命を落とした
- 当時は不運な事故とされていたが、2004年に再調査が行われ「非治療的実験における神経剤の適用」による死であることが裁判で認められた
サリンというとオウム真理教のテロ事件を思い出してしまいます。私自身はあの時に「サリン」というものを初めて知りましたが、ナチスが開発した化学兵器だったんですね。
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スーザンは第2話でボンベイに旅立ち、後半のストーリーには代わりにアリスが参加。ミリーが始めた闇取引が思わぬ事件を引き起こし、さらに少女たちの人身売買へと繋がっていきます。
ルーシーの新たな恋のお相手ベンが、正しい人でよかった。てっきりベンが内通者だと思っていたので、またルーシーが裏切られて危ない目に遭うんじゃないかとヒヤヒヤしました。
アリスといいミリーといい、この時代の女性が働き続けるのは大変だったんだろうなぁ。でもジーンが「司書は仮の姿だもの」って言ってたのには笑っちゃった。彼女たち、もう捜査のほうが本業になってるよね。
行動力も捜査能力も警察より上なんじゃないかと思いますが(ほとんど違法捜査だけど)、女性であるばかりに軽く扱われてしまう彼女たち。暗号解読員だったことを堂々と口にできないところが何とももどかしい。
当時から何十年も経った今でも、能力のある女性が正しく評価される時代になったかというと、そうとも断言できないところが悲しい。
シーズン3は今のところ予定がないみたいで、「The Bletchley Circle:San Francisco」というタイトルのスピンオフシリーズが製作されています。
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