Netflix「今際の国のアリス」シーズン2全話ネタバレ・感想と考察・登場人物(キャスト)一覧

Netflix「今際の国のアリス」シーズン2あらすじキャスト

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各話のあらすじ(ネタバレ有)

アリス(山﨑賢人)とウサギ(土屋太鳳)、クイナ(朝比奈彩)、チシヤ(村上虹郎)の4人は、渋谷スクランブル交差点でネクストステージが始まるのを待つが、いっこうに始まる気配がない。〈ビーチ〉で生き残った人々も、ネクストステージが始まると聞いて渋谷に集まってくる。
そのとき突然銃声が鳴り響き、ライフルを持った男がその場にいた人々をつぎつぎと撃ち殺す。上空には「スペードのキング」を掲げた飛行船が現れる。何の説明もなく始まったゲームに戸惑いつつ、必死にスペードのキング(谷田歩)から逃げるアリスたち。
アリスとウサギ、クイナの3人はアン(三吉彩花)とタッタ(渡辺佑太朗)に助けられるが、チシヤとはぐれてしまう。さらに逃げる途中でアンともはぐれ、4人はビルの中に身を隠す。
アリスはトランプの絵柄ごとに1人ずつゲームマスターが配置されていて、全員倒せばネクストステージをクリアできるのではないかと推測する。
死んでいった親友カルベ(町田啓太)とチョータ(森永悠希)を思い出し、「必ず元の世界に戻る」と決意を新たにするアリス。だがそんなアリスに対し、ウサギは敬愛する父親を失った悲しみから、元の世界には戻りたくないと苦しい胸の内を明かす。
アリスはウサギを慰めようと共感を示すが、「そんな簡単にわかるわけない」とウサギに拒まれ、2人の関係はぎこちなくなってしまう。
翌朝、ビルの屋上に上がったアリスは、上空にそれぞれの絵札を掲げた飛行船が浮かんでいるのを見て、スペードのキングから逃げるために別のゲームに参加することを思いつく。
ほかの3人も同意し、アリスたちは「クラブのキング」がいる港へと向かう。だがそこで待っていたのは、〈ビーチ〉で死んだと思われたニラギ(桜田通)だった。エントリーの人数を満たすため、しかたなくニラギを受け入れるアリスたち。
ゲーム会場となっているコンテナ迷路の中から、クラブのキングを名乗る全裸の男キューマ(山下智久)が姿を現し、「俺たちはこの国の国民だ」と告げる。

キューマと4人のメンバーは、元の世界ではバンド仲間だった。絵札のゲームはすべて〝国民〟との生死を賭けた対戦ゲームだというキューマ。そしてアリスたちに、自分たちが作ったゲーム【すうとり】の説明をする。
会場は港に設置されたコンテナ迷路で、まず両チームに1万点ずつ与えられる。その点数を1人ずつに振り分け、「バトル」「アイテム」「じんち」の3つでポイントを奪い合う。制限時間2時間を超えた時点で点数が多いチームがゲームクリアとなり、敗北したチームは死ぬ。
アリスは「全てのゲームをクリアしたら、元の世界に戻れるのか?」と尋ねるが、キューマは答えをはぐらかし、「真実が知りたければ、まずは俺と真剣勝負しろ」と言う。
アリスたちは2人1組になって戦い、順調に点数を稼いでいく。そして6000点のリードを奪う。キューマたちは一発逆転を狙ってタッタが1人で守る「じんち」を襲い、シタラの命と引き換えに大量の点数を獲得する。
残り30分の時点で、アリスたちは1万2000点のリードを奪われてしまう。窮地に陥ったアリスたちは、相手の「じんち」を攻める作戦を実行する。ニラギは1万点獲得に成功するがクイナが失敗し、残り20分で3000点のリードを許す結果に。
ゲームの負けを覚悟したニラギとクイナはその場を離れ、ウサギは最後まで諦めたくないと「アイテム」を探しに行く。自棄になったニラギはウサギを襲おうとする。
制限時間まで残り10分となり、アリスはタッタに「おまえのおかげで元気づけられた」と感謝の言葉を告げ、敵の「じんち」へ向かう。

元の世界にいた頃、タッタは自動車の整備工場で働いていた。先輩の加藤から毎日きつく注意されるも、反省もせずふてくされてばかりいた。ある日、タッタの不手際から事故が起き、加藤は大怪我を負って仕事ができなくなってしまう。それ以来、上司や同僚から距離を置かれるようになっていた。
残り時間9分。アリスはニラギに襲われそうになっていたウサギを助ける。そして岸壁へ向かい、キューマと2人きりで話す。キューマの言葉で相手を思いやる気持ちが大切だと気付かされたアリスは、感謝の気持ちを伝えるため最後に握手したいと言う。
キューマは快く引き受け、アリスと握手する。だがその瞬間、キューマの持ち点は減り、アリスたちが500点リードする。不思議がるキューマに、アリスはタッタの腕輪を見せる。
キューマと会う前、アリスはタッタから「腕輪を外して隠し持ち、バトルを仕掛ける」作戦を打ち明けられていた。タッタは腕輪を外すためにコンテナの扉で手首を切断しようとし、アリスに協力を頼む。当初は「できない」と断ったアリスだったが、みんなを助けるためだというタッタの言葉に逆らえず、彼の手首を切断したのだった。
アリスがタッタの腕輪を持つことで、自分の点数に彼の持ち点1万100点が加わり、アリスはキューマに勝つことができたのだ。
ゲームに負けたキューマは、「生きる意味が見つかることを心から願う」とアリスに告げて死ぬ。アリスはタッタのもとへ戻るが、タッタは出血多量で息を引き取る。ニラギはタッタの墓に礼を言い、どこへともなく立ち去る。
一方、アリスたちとはぐれたチシヤは、ひとりでゲーム【どくぼう】に参加していた。ゲーム会場は刑務所で、参加者は20人。1時間ごとに、自分の首輪の後ろに現れたマークを当てるというゲームだった。
正しいマークが答えられなければゲームオーバーとなり、制限時間が0になった時点で首輪が爆発して死亡。参加者の中に潜んでいる「ハートのジャック」がゲームオーバーになるまで続けられるという。
参加者たちはいくつかのグループに分かれ、それぞれ首輪の後ろのマークを教え合うという方法を取るが、何度か繰り返されるうちに疑心暗鬼に陥るようになり、信頼関係が崩れていく。
自信家のヤバ(毎熊克哉)はコトコ(さとうほなみ)を支配下に置くことで服従関係を築き、謎めいた青年バンダ(磯村勇斗)は陰気で卑屈な青年マツシタ(井之脇海)とペアを組む。チシヤは優しい性格のイッペイ(森優作)とペアを組むが、イッペイは裏切り行為によって次々と死んでいく参加者を見て耐えられなくなり、自ら死を選ぶ。
残ったのはチシヤ、バンダ、マツシタ、ヤバ、コトコの5人。ペアがいなくなったチシヤは窮地に立たされる。

チシヤはマツシタに声をかけ、バンダは有名な連続殺人鬼だと教える。そして彼こそがハートのジャックであり、ジャックに嘘を教えられるのは君だけだと諭す。だがマツシタはチシヤを信用せず、嘘のマークを教える。
コトコはヤバに、マツシタはバンダに、それぞれ嘘のマークを教える。チシヤはマツシタの答えが嘘だと見抜き、最後は勘でマークを推測する。マツシタは勝利を確信するが、チシヤとバンダ、ヤバの3人は生き残っていた。
チシヤはマツシタが「ハートのジャック」だと考え、彼の行動を観察していた。そして彼が密かにコトコと繋がっていることに気づいた。ヤバとバンダは互いに相手を「信頼に足る対等なパートナー」だと確信し、手を組んでいたのだった。
ヤバとバンダはこの国の秘密を聞き出すため、マツシタを拷問にかける。だがマツシタは耐えきれず、わざとマークを間違えて死を選ぶ。ゲームに勝利したチシヤは刑務所を後にする。
クイナはアンとチシヤを捜すため、アリスたちと別行動を取ることを決める。再び2人になったアリスとウサギは、狩りの途中で「スペードのキング」に襲われた集落に遭遇。亀山海斗(松澤匠)という男が撮影した8ミリフィルムを見つける。
そこには、小さい頃に脳の手術をしたという女性が映っており、彼女は誰も覚えていない「ある光景」を覚えていると語っていた。それは、この世界に来る前に空に打ち上がった〝花火〟に関することだという。
だがスペードのキングの襲来により、彼女の証言は途切れてしまっていた。撮影した海斗を含め、集落の人々はひとり残らず撃ち殺された。
アリスとウサギもスペードのキングに襲われ、森の中に逃げ込む。アリスはウサギを助けるために囮になり、キングを引き付ける。狙い撃ちされそうになったアリスを救ったのは、弓を手にした少女と、〈ビーチ〉で死んだと思われたアグニ(青柳翔)だった。

死に場所を探すアグニは「スペードのキング」を仕留めることに没頭していた。アグニを慕うヘイヤ(恒松祐里)は、元の世界では高校生だった。浮気の末に事故死した母親を憎み、投げやりな人生を送っていた。
ヘイヤはこの世界に来て初めてのゲーム【かまゆで】で左足を負傷した。壊疽が進んだため、医師に体を売って切断手術を受け、現在は義足をつけて生き延びていた。
アグニの作戦により、スペードのキングに罠を張るアリスたち。だが防弾ベストを身に着けたキングは被弾しても死なず、激しい撃ち合いになる。アリスは爆発の衝撃で谷川に落ちてしまう。
ウサギはある民家でノゾミ(柳生みゆ)とコウタ(太田琉星)に出会う。生きる希望を見失っているコウタに、「両親は生きてほしいと願っているはず」と言うノゾミ。ウサギはコウタに自分を重ね、父の言葉を思い出す。
コウタを説得したウサギは、一緒にスペードのクイーンが開催するゲーム【ちぇっくめいと】に参加し、そこでアリスと再会する。
【ちぇっくめいと】はクイーンチーム4人と挑戦者チーム16人からスタートし、各チームのターン5分間の間に相手チームの背中のボタンを押して自チームに引き込み、最終的に人数の多かったチームが勝利するというものだった。
クイーンチームに捕まった挑戦者たちは、「クイーンチームが勝てば生き残れる。ここにいれば他のGAMEに参加しなくてもいい」という誘惑に負け、挑戦者チームを妨害し始める。
挑戦者チームはアリスとウサギとコウタの3人だけになってしまう。スペードのクイーンを名乗るリサ(山本千尋)は勝利を確信し、アリスをチームに引き込もうとするが、ウサギが立ちはだかる。

アリスとコウタを守るため、必死にリサに食らいつくウサギ。そんなウサギを偽善者だと罵るリサ。アリスとウサギは「一緒に元の世界に帰ろう」と寝返った挑戦者たちの心を揺さぶり、最終ターンまでに3人取り戻す。
アリスたちの作戦が成功し、最終ターンで挑戦者チームが反撃、クイーンチームに勝利してゲームをクリアする。アリスはリサたち「国民」がもともとはプレイヤーで、この国にとどまることを選んだのではないかと推測するが、リサは「全てのゲームをクリアしたときにだけ、その答えがわかる」と言い残して死ぬ。
単独行動を続けるチシヤは、最高裁判所を舞台に行われるゲーム【てんびん】に参加する。そこに登場したダイヤのキングは、かつて〈ビーチ〉でナンバー2の座にいたクズリュウ(阿部力)だった。
【てんびん】の参加者は全員で5人。それぞれ好きな数字を一つ選び、全員が選んだ数字の平均値の0.8倍に一番近い数字を選んでいた者が勝者。それ以外の者はマイナス1ポイントとなり、マイナス10ポイントになった者はゲームオーバー。最後まで生き残った1人のみがゲームクリア。
1回戦、2回戦もクズリュウが勝利し、ゲームを重ねれば重ねるほど数字が小さくなっていく。だがチシヤが100を選んだことで予想が狂い始める。チシヤとクズリュウを除く3人がゲームオーバーとなり、硫酸をかぶって死ぬ。
元の世界で優秀な弁護士だったクズリュウは、法の下では誰もが平等だと思っていた。だがそれは理想論にすぎず、現実世界で平等や公平などという言葉は通用しなかった。
「救われる命とそうじゃない命の差がわからない」というクズリュウに、チシヤは「結局すべては金で動く」と答える。
チシヤは元の世界で医師として働いていた頃のことを思い出す。院長の知り合いの孫だという理由で移植が優先され、代わりに死んでしまった子供のこと。それを「仕事」と割り切り、何度も目をつぶってきたこと。
チシヤは「この命に生きる価値があるか決めてくれ」と、クズリュウに選択を委ねる。クズリュウの脳裏に、これまで今際の国で出会ってきた人たちの姿が浮かぶ。クズリュウは「命の価値を自分では決めない」という答えを出し、チシヤを生かすことを決める。
クズリュウの死を見届け、チシヤは会場を後にする。

ゲーム【たーげっと】で再会したクイナとアンは、協力してゲームを勝ち抜いていく。アリスは植物に覆われ変わり果てた渋谷スクランブル交差点へ行き、チシヤとニラギに遭遇する。
ニラギはチシヤを撃ち、「最後に殺し合いのゲームをやろう」と持ちかけるが、アリスは放棄する。そこへウサギが現れ、チシヤはウサギをかばってニラギの銃弾を受ける。アリスはニラギを撃つ。
チシヤはこれまで真面目な人間をバカにしていたこと、善意を疎ましく思っていたことをアリスに打ち明け、だが本当は自分にないものを持っている連中が羨ましかったと告げる。
スペードのキングが渋谷に現れ、アリスとウサギは逃げてきたクイナとアン、キングを追ってきたアグニたちと合流する。アリスはチシヤが作った爆弾でドラッグストアを爆発させ、キングを仕留める計画を立る。
アリスがドラッグストアへ行き、スプレーを充満させている間に、ほかのメンバーはキングを路地に誘い込んで死闘を繰り広げる。ヘイヤはアグニを守ろうとしてキングの銃弾を浴び、アンも撃たれてしまう。ウサギは両足を刺され、クイナもめった刺しにされる。
アリスはキングをドラッグストアに誘導し、アグニがキングに体当りして店内に押し込む。アリスとアグニは窓を突き破って脱出し、アリスは店の中に爆弾を投げ込んで爆発を起こす。
アグニは瓦礫の中から瀕死のキングを見つける。キングはかつて瀕死の仲間にとどめをさした過去を思い出し、「あんなふうにしか救ってやれなかった。すまなかった」と謝る。アグニは差し出された銃を受け取り、キングを撃つ。アグニは拳銃自殺を図ろうとするが、ボーシヤの幻が現れたことで思いとどまる。
アリスは怪我をしたウサギと一緒に「ハートのクイーン」が待つ最後のゲームへと向かう。ビルの屋上で2人を待っていたのはミラ(仲里依紗)だった。

ミラが仕掛ける最後のゲームは【クロッケー】。クロッケーを3セット、途中棄権せずにやり終えることができれば、たとえゲームに勝たなくてもゲームクリアだという。
アリスは重傷を負っているウサギのために、早くゲームを終わらせようとするが、ミラはわざとゲームを引き伸ばすばかりか、途中で中断してお茶を飲もうと言い出す。
アリスは元の世界に戻る方法をミラから聞き出そうとするが、彼女は答えをはぐらかし、「この世界は仮想現実で、あなたたちはゲームに没入してそれを忘れてる」と言ったり、「異星人が人間を捕獲して記憶を抹消し、数々のゲームに放り込んで行動実験を行っている」と言ったり、「核戦争で地上は人が住めない場所になり、地下に住む大富豪たちが人工記憶を持つアンドロイドに地上でゲームをさせて賭け事にしている」などと嘘をついて、アリスをもてあそぶ。
さらに、ミラはアリスがカルベとチョータを失ったゲーム【かくれんぼ】を作ったことを告白。怒りに駆られて銃を手にするアリスだったが、ミラの挑発に乗るまいと必死に耐える。
そんなアリスに、ミラは「この世界は現実ではなく幻覚」だと告げる。現実世界でカルベとチョータを亡くしたアリスは、ショックで記憶を失ったのだという。そしてミラはアリスの主治医であり、ウサギは彼女の患者のひとりだという。
ミラの言葉を信じたアリスは絶望し、生きる希望を失って幻覚の中に取り込まれてしまう。そしてミラに言われるがまま、ゲームを途中棄権しようとする。
ウサギはアリスの目を覚まさせるため、自らの手首を切る。そして「戻ってきて。生きる意味なんてあってもなくてもいい。ずっと迷いながら一緒に歩いてきたじゃない」と訴える。
正気を取り戻したアリスはウサギとともに生きることを選び、ゲームを続けることを宣言する。2人の姿に感動したミラは素直にゲームをやり遂げ、レーザーで撃ち抜かれて死ぬ。
すべてのゲームが終了し、空に大量の花火が打ち上がる。そして生き残ったプレイヤー全員に、「この国の国民となる永住権を手にするか、手にしないか」の2つの選択権が与えられる。
アグニとヘイヤは「手にしない」と答える。クイナも「手にしない」と答え、倒れているアンの手を握って「一緒に帰ろう」とつぶやく。チシヤとニラギも「手にしない」と告げる。アリスとウサギも永住権を放棄する。
あの日の渋谷スクランブル交差点。アリスはカルベとチョータを呼び出して会っていた。その近くにはウサギ、チシヤ、クイナ、ニラギ、アグニとボーシヤ、タッタ、アン、ヘイヤもいた。
花火が打ち上がった直後、空から隕石が落下し、渋谷の街は一瞬で吹き飛ぶ。アリスは路上で倒れているところをレスキュー隊に発見され、病院に搬送される。
カルベとチョータが死に、自分だけが生き残ったことに苦しむアリス。見舞いに来た弟によると、アリスは1分間だけ心肺停止状態だったらしい。それを聞いて「どこか遠いところに行ってたみたいな気がする」とつぶやくアリス。
チシヤとニラギもまた心肺停止から蘇生し、隣同士のベッドで寝ていた。左足を失ったヘイヤは、集中治療室にいるアグニを見て自分も頑張ろうと決意する。手術室ではアンの心肺蘇生が行われ、一命を取り留める。クイナは病院で両親と再会し、疎遠だった父親と和解する。
アリスは病院の自販機の前でウサギと会い、「どこかで会ったことありましたっけ」と声をかけるが、ウサギは「さあ」と答えるだけだった。どうしても彼女が気になるアリスは中庭の散歩に誘い、ウサギは笑顔でそれに応える。

感想と考察

期待を裏切らない続編でした。

わたしの苦手な大量殺戮シーンが多い点を差し引いても、満足度が高かったです。とくにVFXは(前作もすごかったけど)目を見張るレベルで、廃墟と化した渋谷の風景は圧巻でした。おかげで今際の国の世界観にどっぷりハマれました。

NEXT STAGEは、「国民」を名乗る人々がアリスたち挑戦者にゲームを仕掛けるというシステム。この「国民」が興味深かったです。特にキューマ。彼はなぜ「国民」になったんだろ。彼のこともっと知りたかった。

シーズン1で終了したと思われた登場人物が、思いがけない場面で再登場するのも楽しかったです。

今回はチシヤのターンが最高に面白かったですね。チシヤが参加した【どくぼう】と【てんびん】のゲームはどちらも先が読めず、緊張感があって最後までドキドキさせられました。内容も、この作品の本質に最も迫っていたように思います。

ここから先は結末のネタバレを含みますので、ご注意ください。

最終話ですべてのゲームをクリアしたアリスたちは、元の世界に戻ってきました。同時に、「今際の国」の正体も明らかになりました。

「今際の国」は、隕石落下によって臨死状態になった人々が迷い込んだ、この世とあの世の狭間の世界でした。「今際」とは「死に際」という意味だから、その名の通りですね。

元の世界に戻った(心肺停止から生還した)アリスたちは「今際の国」での体験を何も覚えていません。現実世界ではウサギもクイナもアグニもヘイヤも見知らぬ他人。顔を合わせても記憶が戻ることはありませんでした。

今際の国が「臨死体験」である以上、そのシステムについてあれこれ言っても仕方ないのですが、どうしても気になったことがありました。

生還した人と死んだ人の差は、何だったのか?という点。

最終ゲームをクリアした時点で、生き残っていた人々には2つの選択権が与えられます。この国の国民となる永住権を手にするか、手にしないか。つまりこの選択が、現実世界で「生」きるか「死」ぬかの選択だったと思われます。

普通に考えると、元の世界に戻りたい人=生きる意志の強い人、ということになりますが、わたしはこれにモヤモヤしてしまって。そんな単純なことなのかなって。

アリスたちはゲームをクリアしたからこそ選択権を与えられ、生還できたわけですよね。最終ゲームまで辿り着けずに死んでいった人々は、同じ臨死状態だったにも関わらず、その選択権さえ与えられていません。その差は何?

「生きたいという意志」が強いか弱いかでゲームの勝敗が決まるってこと? でもアリスがゲームをクリアできたのは、カルベとチョータとタッタが犠牲になってくれたからですよね。

アリスがどんなに強い意志を持っていたって、あのとき彼らが犠牲にならなければ、ゲームに負けて死んでいたんです(主人公だから、というツッコミはあえてしません)。

「人の心は美しいって、人の命は尊いって私は信じてるから。その理想があるから、私はこんなどうしようもない世界でもなんとか生きてこられた。(中略)どうせいつかここで尽きる命なら、私は理想のために生きるって決めた」

これはシーズン1の【まじょがり】で魔女役に志願した女子高生モモカが、死ぬ前にクズリュウに言った言葉。この彼女の生き方がクズリュウに大きな影響を与え、その後の彼の生き方を決定づけることになります。

「命の差がわからなくてね。救いに値する命と、そうじゃない命。その差はなんなのか」

クズリュウは【てんびん】でチシヤと対決し、胸の内を明かしています。彼は最終的に「命の価値を自分では決めない」という答えを出し、その生き方を貫く決断をして、チシヤを生かすために死にました。

モモカとクズリュウは「生きたいという意志」が弱かったから死んだんじゃない。「理想のために生きる」という思いが強かったから、死んだのだと思う。

そしてたぶん、タッタも。彼は自分を犠牲にしてでも、みんなを助けることを優先した。

「答えなんて、生きる意味なんて、もういいのよアリス。答えは誰だって違う。生きる意味なんてあってもなくてもいい。ずっと迷いながら一緒に歩いてきたじゃない。それだけでよかった」

最終話で、ゲームを放棄しそうになったアリスを救ったウサギの言葉。たぶんこの作品が伝えたいことは「強く生きろ」ではなく、「自分にとって大切なもののために生きろ」だったんだと思う。

生き残った人は強いとか、死んだ人は弱いとか、そんな表面的なことじゃなく。誤解を恐れずに言えば、その「大切なもの」の前では、生と死に差はない。

生きる価値を見出せなかったチシヤは、クズリュウに生かされたことで今までの自分の生き方を振り返り、最後は生還することを選んだ。これまでの人生を「無駄な生き方をしてきた」と語った彼は、これからの人生で「大切なもの」を探すのだろう。

今際の国での記憶は消えてしまっても、そこで出会った誰かの生き方(キューマの言葉を借りれば〝真の生き様〟)が、生き残った人の人生に影響を与えている。そのことも重要で、この作品の本質のひとつだと思います。

シーズン3の制作が決定しているので、まだアリスたちの「今際の国」は終わっていないようです。シーズン3ではどんな世界が描かれるのか、とても楽しみです。

ラストシーンで映ったジョーカーがヒントのようなので、今度はジョーカーと対決することになるのかな?

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