レオナルド ~知られざる天才の肖像~|全話ネタバレ・感想・キャスト・時代背景・作品解説・予告動画

海外ドラマ「レオナルド ~知られざる天才の肖像~」あらすじキャスト

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海外ドラマ「レオナルド ~知られざる天才の肖像~」(全8話)についてまとめました。

名画「モナ・リザ」などで知られる芸術家レオナルド・ダ・ヴィンチの謎に満ちた半生を、スリリングなフィクションを交えて描いたミステリー歴史ドラマ。IMDbの評価は7.1。

主人公レオナルドを映画「ホビット」シリーズのキーリ役で知られるエイダン・ターナーが演じます。ルネサンス期のイタリアを再現し、さまざまな芸術作品が登場する華麗な映像にも注目。 

作品概要

  • 放送局:WOWOWプライム/WOWOW4K
  • 放送時間:2021年5月27日(木)から毎週木曜23:00~ほか
  • 製作国:イタリア/フランス/スペイン/イギリス/アメリカ(2021年)
  • 原題:Leonardo
  • 脚本:フランク・スポトニッツ/スティーヴ・トンプソン
  • 監督:ダニエル・パーシヴァルほか
  • 製作総指揮:ルカ・ベルナベイ/フランク・スポトニッツ/スティーヴ・トンプソンほか

あらすじ

1506年、ミラノ。レオナルドはカテリーナという女性を殺した罪で逮捕されるが、役人ジラルディに無罪を主張。このままだとレオナルドは絞首刑を避けられない……。16年前、若かりし日のレオナルドはフィレンツェにいて、大物芸術家ヴェロッキオのアトリエで弟子をしており、モデルの女性カテリーナと出会う。レオナルドはカテリーナにスケッチのモデルになるよう頼むが、彼女の背中にある傷を描こうとして彼女を怒らせる。同じころ、レオナルドの才能に嫉妬する別の弟子トンマーゾは、レオナルドがヴェロッキオの一番弟子になるのを妨害しようとする。やがてヴェロッキオの顔料を無断で使ったレオナルドは、アトリエを追い出されるが……。

WOWOW公式サイトより

予告動画

時代背景

年代出来事
1452年レオナルド・ダ・ヴィンチ、トスカーナのヴィンチ村に誕生
1466年レオナルド、フィレンツェの名匠ヴェロッキオに弟子入り
1472年レオナルド、最初の単独作「受胎告知」を制作
1476年レオナルド、男色行為を告発されるも無罪となる
1482年レオナルド、ミラノに移る
1486年頃レオナルド、「岩窟の聖母」完成
1492年コロンブスが大西洋横断、西インド諸島に到達
1498年レオナルド、「最後の晩餐」完成
ヴァスコ・ダ・ガマがインド航路を発見
1499年第2次イタリア戦争勃発、フランス軍がミラノ占領
1507年レオナルド、フランス国王ルイ12世の宮廷画家兼技術家に任命される
1517年ルターが「95カ条の意見書」を発表(宗教改革の発端)
1519年レオナルド、67歳で死去

登場人物(キャスト/吹き替え)

主要人物

レオナルド・ダ・ヴィンチ(エイダン・ターナー/声:小野大輔)
天才芸術家。カテリーナを殺した罪で逮捕され、取り調べを受ける。母親に捨てられ、婚外子であることから父ピエロからも愛されず、祖父に育てられた。フィレンチェでヴェロッキオの一番弟子として有名になり、のちにミラノに拠点を移す。

カテリーナ・ダ・クレモナ(マティルダ・デ・アンジェリス/声:鷄冠井美智子)
フィレンツェの下町で暮らす貧しい女性。絵のモデルを通して見習い時代のレオナルドと知り合い、深い友情を育むようになる。17歳のときに馬車に轢かれ、心と身体に深い傷を追った。

トンマーゾ・マッシーニ(アレッサドロ・スペルドゥーティ/声:時永ヨウ)
レオナルドが師ヴェロッキオの工房にいた頃からの絵描き仲間。見習いの頃はレオナルドの才能に嫉妬し、彼を工房から追い出すための計略を企てた。その後レオナルドに許され、ともにミラノへ移って助手となる。

ステファノ・ジラルディ(フレディ・ハイモア/声:岡本信彦)
行政官。殺人容疑で逮捕したレオナルドの取り調べを行う。昇進を望んでおり、レオナルドを縛り首にしようと意気込む。

第1話・第2話

ヴェロッキオ(ジャンカルロ・ジャンニーニ/声:菅生隆之)
レオナルドの師匠。大勢の門弟を抱える大物芸術家。見習いの一人だったレオナルドの才能に気づき、一番弟子に取り立てる。

アルフォンソ(アンドリュー・ノット/声:赤坂柾之)
ヴェロッキオの助手。

マルコ(ガブリエル・ロ・ジュディーチェ/声:佐々木拓真)
ヴェロッキオの工房で学ぶ、レオナルドの見習い仲間。レオナルドが工房を離れた後も、たびたび彼の作品を手伝う。

サルタレッリ(キット・クラーク/声:平川大輔)
男娼。レオナルドを誘惑し、関係を持つ。

アメリゴ・デ・ベンチ(Sergio Albelli/声:金尾哲夫)
銀行家。レオナルドが獄中で描いたスケッチを気に入り、娘の婚礼祝のための肖像画を依頼する。

ジネヴラ・デ・ベンチ(Poppy Gilbert/声:櫻庭有紗)
アメリゴの娘。父親の命令で気の進まない結婚を強いられる。

ピエロ(ロバン・ヌルーチ/声:永田博丈)
レオナルドの父。公証人。裕福だが婚外子であるレオナルドを愛せず、祖父に預けた。

第3話~第5話

ルドヴィゴ・スフォルツァ(ジェームズ・ダーシー/声:森川智之)
スフォルツァ家の当主。通称イル・モーロ。ミラノ公ジャン・ガレアッツォ・スフォルツァの後見人。

ジャン・ガレアッツォ・スフォルツァ(イードン・ヘイハースト)
ミラノ公。ルドヴィゴの甥。レオナルドに芸術を教わる。

ベアトリーチェ(Miriam Dalmazio/声:小若和郁那)
ルドヴィゴの妻。

サンセヴェリーノ(アントニオ・デ・マッテオ/声:田中正彦)
ルドヴィゴの身辺警護担当。

ベルナルド・ベンボ(フラヴィオ・パレンティ/声:小西克幸)
外交官。ベンチ家の使用人だったカテリーナを見初め、愛人にした。レオナルドとカテリーナの仲に嫉妬する。

ティエリ(ヒューゴ・ベッカー/声:津田健次郎)
舞台役者。「オルフェオ物語」で主人公オルフェオを演じる。当初はレオナルドを「摂政の飼い犬」と馬鹿にしていたが、彼の手稿を見て認識を改め、舞台作りに協力するようになる。

サライ(カルロス・クエヴァス/声:前野智昭)
レオナルドの助手。複数の名前を持ち、レオナルドには“ジャコモ”と名乗っていた。彫像のモデルとしてレオナルドに雇われ、のちに弟子となる。盗み癖がある。

第6話~第8話

リザ・ジョコンド(Maria Vera Ratti)
裕福な商人ジョコンドの妻。生まれて間もない子供を亡くし、喪に服している。夫の依頼でレオナルドの肖像画のモデルとなる。レオナルドは謎めいた微笑みに惹かれると同時に、彼女が抱える苦しみを理解できず苦悩する。

ピエロ・ソデリーニ(コッラード・インヴェルニッツィ/声:中博史)
フィレンツェの行政長官。チェーザレに納める金を免除してもらう代わりに、レオナルドをイモラへ派遣する。

チェーザレ・ボルジア(Max Bennett/声:大泊貴揮)
敵対勢力。ロマーニャ地方の半分を保護領にした。レオナルドの才能を買い、軍事技師として雇う。

ニッコロ・マキャヴェッリ(ダビデ・イアコピニ/声:中村和正)
フィレンツェからの特使で、イモラに滞在している。チェーザレの依頼に応えて要塞を強化するレオナルドに忠告するが…。

ミケランジェロ(Pierpaolo Spollon/声:沢城千春)
新進気鋭の若手芸術家。広場に建てた「ダビデ像」が評判となり、レオナルドを追い込む。

フランチェスコ
カテリーナの息子。

そのほか

リナルド・ロッシ(マッシモ・デ・サンティス/声:山岸治雄)
ステファノの上司。レオナルドを殺人犯と決めてかかっている。

各話のあらすじ(ネタバレ有)

1506年イタリア、ミラノ。天才芸術家レオナルド・ダ・ヴィンチが殺人容疑で逮捕された。取調官ステファノ・ジラルディは彼がカテリーナを毒殺したと確信していた。レオナルドは容疑を否認し、カテリーナとの出会いを語り始める。
16年前。レオナルドは名匠ヴェロッキオの工房で見習いとして修業していたが、自分の絵に自信が持てずにいた。ある日、授業でモデルを務めたカテリーナに「君の体は傷んでいる」と言い、彼女を怒らせてしまう。
その日以来カテリーナのことが頭を離れなくなったレオナルドは、個人的に彼女をモデルとして雇う。見たままを描くというレオナルドの信念はカテリーナを戸惑わせるが、やがて2人は心を通わせるようになる。
レオナルドの才能にいち早く気づいた見習い仲間のトンマーゾは、レオナルドが工房の顔料を盗んだことを告げ口する。レオナルドはヴェロッキオに破門を言い渡されるが、カテリーナが工房に持ち込んだ絵を見たヴェロッキオは考えを改め、レオナルドを一番弟子に取り立てる。
レオナルドはヴェロッキオとともにサン・サルヴィ修道院の祭壇画を描き、師に「私を超えた」と言わせるまでになる。一方で、カテリーナの愛情を疑い、彼女との関係はこじれてしまう。レオナルドに嫉妬するトンマーゾはカテリーナに接近する。

行政官ステファノは、レオナルドの助手トンマーゾから話を聞く。彼はレオナルドについて「矛盾に満ちた人物で、理解することはできない」「彼にできないことはない」と語る。
フィレンツェでヴェロッキオの弟子として有名になったレオナルドは、男娼サルタレッリの誘いを受けて関係を持ち、男色容疑で逮捕されてしまう。トンマーゾの計略だと気づいたカテリーナは彼を罵り、獄中のレオナルドに紙を差し入れる。
銀行家アメリゴ・デ・ベンチの手回しによって、レオナルドは無罪放免に。だがヴェロッキオは工房を守るため、彼を破門にする。レオナルドはアメリゴの依頼を受け、彼の娘ジネヴラの結婚祝いの肖像画を描くことに。カテリーナはレオナルドの口利きでベンチ家の使用人に雇われる。
ジネヴラは美しく聡明な女性だったが、意に沿わない結婚を強いられ心は沈んでいた。彼女の顔をひと目見てそのことを見抜いたレオナルドは、見たままに憂いを含んだ表情を描き、彼女がひそかに思いを寄せるベルナルドの一族の紋章である月桂樹とヤシの葉を象徴として描く。
ジネヴラは「これが本当の私よ」と喜ぶが、激怒したアメリゴは紋章が描かれた絵の下部を切り取り、レオナルドを追い出してしまう。
さらに父ピエロの紹介で依頼された、サン・ドナート・ア・スコペート修道院の祭壇画「東方三博士の礼拝」も失敗する。ピエロは婚外子であるレオナルドを「呪われた子だ」と罵り、背を向ける。
カテリーナはベルナルドに気に入られ、彼とともにフィレンツェを去ることになる。レオナルドはルドヴィゴ・スフォルツァの申し出を受けてミラノへ移ることを決意。トンマーゾは助手として同行したいと申し出る。

ステファノはかつてカテリーナを愛人として囲っていたベルナルド大使に会う。彼はレオナルドが彼女を殺した犯人だと主張するが、実際に毒を盛る瞬間は見ていなかった。カテリーナと縁が切れていたにも関わらず、なぜ会いに来たのかと問うステファノに対し、ベルナルドは「愛は理性を曇らせる毒だ」と語る。
11年前。レオナルドはミラノへ移り、ルドヴィゴを訪ねる。一度依頼を断ったレオナルドを追い返そうとするルドヴィゴ。だが妻ベアトリーチェの意向で、「オルフェオ物語」の舞台演出を任せることに。
舞台の出来次第で正式に雇うと言われ、張り切るレオナルド。だが劇団の座長ティエリはレオナルドを認めず、何かと仕事を妨害する。ミラノに来ていたカテリーナは、そんなレオナルドを「あなたの物語は始まったばかり」と励ます。
ある日、レオナルドが書きためた手稿を見たティエリは、彼に対する認識を改め、手を貸すことを約束する。ティエリに刺激を与えられたレオナルドは、「世界の中に別の世界を創り出す」ことを思いつく。
アトリエの顔料が盗まれ、ルドヴィゴが毒を盛られて危篤状態に陥る騒ぎが起こる。毒を盛ったのは侍従長だと判明するが、毒の正体が「死の粉」と呼ばれる顔料だったことから、警護のサンセヴェリーノはレオナルドを疑う。レオナルドは侍従長が金の獅子の飾りがついた靴を履いた男と話していたことを証言する。
劇が上演されると、機械式の装置を使った斬新な演出に人々は目を奪われる。だがクライマックスでティエリがサンセヴェリーノに刺殺され、劇は中断される。ティエリはフランス王ルイが企てた暗殺計画の手先だった。
ベルナルドはステファノに「カテリーナも同じ毒で死んだ」と語る。ルドヴィゴを救ったレオナルドなら彼女も救えたはずだが、救わずにそのまま死なせたという。

取調官のステファノは、カテリーナが殺された現場に居合わせたサライという男に話を聞く。レオナルドの助手だった彼は、「人間よりも芸術が大事と教わった」と語る。
毒殺未遂事件の後、ルドヴィゴはレオナルドに工房と住まいを与え、亡父の騎馬像を作るよう命じる。レオナルドは実物の馬を観察し、斬新な銅像をデザインする。寝る間も惜しんで制作に没頭するレオナルドだったが、騎馬像のモデルをしていたサライがスケッチや画材を何もかも盗んで姿を消してしまう。レオナルドはサライを見つけてノートを取り返し、「芸術を学びたい」という彼を工房に連れて帰って弟子にする。
カテリーナは愛人ベルナルドに去られ、ルドヴィコの許しを得て宮殿に残ることに。ルドヴィゴに愛人関係を求められたカテリーナは、拒むことができない。
ルドヴィゴは自分に反抗する勢力が増えていることを危惧し、サンセヴェリーノに命じて密かにミラノ公ジャンを毒殺する。陰謀を見抜いたカテリーナはミラノを去るべきだとレオナルドに訴えるが、芸術家として名を成したいレオナルドはミラノに留まることを決める。カテリーナはレオナルドを見限り、ひとりでミラノを後にする。
カテリーナを殺したのはレオナルドだと断言するサライ。だがステファノはウソだと見抜く。

取調官ステファノに問い詰められたレオナルドは、カテリーナに絵を燃やされたことを認める。そして芸術のために人の血を流したことがある、と打ち明ける。
1497年1月。ルドヴィゴの一族を称える巨大な騎馬像を制作するレオナルド。だがフランス軍との戦争で騎馬像に使う青銅が押収され、制作は中止に追い込まれる。ルドヴィゴの妻ベアトリーチェは出産で命を落とし、悲嘆に暮れるルドヴィゴは妻の霊廟となる修道院に壁画を描くよう命じる。
ルドヴィゴに振り回され、精神的に疲れ果てるレオナルド。だが宮廷の神父ルカ・パチョーレに励まされ、イエスが処刑前に裏切り者を告げる「最後の晩餐」に取り組む。レオナルドは新たなフレスコ画に挑戦すると意気込み、弟子のサライもそれを支持するが、トンマーゾは「フレスコの技法は何百年も前から変わってない」と忠告。レオナルドとサライの仲に嫉妬するようになる。
レオナルドと弟子たちが絵の制作に没頭する中、ルドヴィゴの権勢は次第に盤石ではなくなっていく。ある日、レオナルドとトンマーゾの旧友であるマルコが敵対勢力に殺害される事件が起きる。だがレオナルドは作業続行を弟子たちに命じる。
1499年9月。フランス軍に敗れたルドヴィゴは逃亡し、ミラノは陥落。フランス王ルイの手に落ちてしまう。マルコの死やサライへの嫉妬で不信感を募らせていたトンマーゾは、「この傑作は長持ちしない。ユダは君だ」と言い残してレオナルドのもとを離れていく。
絵を描いたことに悔いはないのかとステファノに問われたレオナルドは、「その目で見て答えを出せ」と告げる。修道院を訪ねて「最後の晩餐」を目にしたステファノは、衝撃のあまり涙を流す。

サライを連れてフィレンツェに戻ったレオナルドは、裕福な商人ジョコンドから妻リザの肖像画を注文される。彼女の微笑みに惹かれたレオナルドは依頼を受け、素描に取り掛かるものの、筆は進まない。
サライは「カテリーナを思い出すから描けないんだ」と指摘し、レオナルドのためにカテリーナを見つけ出す。だが再会したカテリーナは、レオナルドを冷たく突き放す。
レオナルドは敵対勢力チェーザレ・ボルジアとの戦争を避けたいフィレンツェからの要請で、軍事技師として北方のイモラへ派遣される。チェーザレはレオナルドに治水や町の地図作りを命じ、その斬新な発想力を大いに喜ぶ。一方で、自分に従わない者はたとえ腹心の部下であっても直ちに処刑するという残忍な一面を見せる。
カテリーナからの手紙を受け取ったレオナルドは、フィレンツェに帰ろうとする。チェーザレは大量殺戮兵器を作れば生きて帰してやると脅し、レオナルドはやむなく大型の石弓を発明する。
カテリーナはレオナルドをフィレンツェに戻すべく、彼の父ピエロに訴える。その後チェーザレのもとにフィレンツェから上納金が届き、レオナルドは帰還を許される。
フィレンツェに戻ったレオナルドに「そばにいてほしい」と言われたカテリーナは、息子フランチェスコに「一緒に暮らせなくなった」と別れを告げる。

レオナルドはカテリーナ殺害を認め、署名をする。彼が嘘をついていると感じたステファノは、すべての謎を解く鍵があるはずだとレオナルドの工房を調べる。
1504年。フィレンツェでは新進気鋭の若手ミケランジェロが「ダビデ像」を完成させ、街の人々の注目を集めていた。だがレオナルドは「薄っぺらい理想像」だと酷評し、若いミケランジェロとぶつかり合う。
ソデリーニからの依頼で、レオナルドは宮殿の大広間の壁に「アンギアーリの戦い」を描くことに。だがソデリーニは反対側の壁をミケランジェロに依頼し、2人はますます火花を散らす。
そんなとき、父ピエロが見学にやってくる。「お前の才能はすばらしい」と告げる父に、
「父さんは一度も愛してくれなかった」と恨み言を吐くレオナルド。後日、ピエロが亡くなったという知らせを受ける。
虚しさを感じたレオナルドは、ミケランジェロに対抗心から依頼を受けたことを明かし、絵を描くのをやめてしまう。ミケランジェロもまた、尊敬するレオナルドに酷評されたことに傷つき、あてつけで依頼を受けたと語り、壁画を辞退して街を出て行く。
カテリーナはレオナルドの工房で暮らし始める。彼女が隠し事をしていることに気づいたサライはレオナルドにそのことを告げ、レオナルドは彼女が隠していたものを見つけ出す。
工房で幼い子供が描いたと思われる絵を見つけたステファノは、ルカ・パチョーリ神父を訪ねる。そこにはレオナルドの息子を名乗るフランチェスコ少年がいた。

カテリーナに息子がいることを知ったレオナルドは「親子は一緒にいるべきだ」と諭し、フランチェスコを引き取って工房で一緒に暮らし始める。息子がレオナルドを慕う様子を見て、喜びを覚えるカテリーナ。
工房を訪れたサンセヴェリーノは、フランチェスコを見てある疑いを抱き、ロシュ城に幽閉されているルドヴィゴに報告する。フランチェスコが自分の息子かもしれないと考えたルドヴィゴは、フランスの手に渡る前に亡き者にしようと考える。
レオナルドはフランチェスコを守るため、急遽ミラノへ移り、かつて住んでいた工房に匿う。カテリーナへの愛を再確認したレオナルドは、彼女をモデルに「レダと白鳥」を描く。
だがサンセヴェリーノの通報により、行政官のリナルド・ロッシが工房に現れ、フランチェスコを連れ去ろうとする。カテリーナと口論になったレオナルドは、フランチェスコをルカ神父のいる修道院に預け、最高傑作である「レダと白鳥」を燃やしてしまう。その直後、カテリーナは毒を盛られて殺されたのだった。
レオナルドがフランチェスコを守るために嘘をついていると確信したステファノは、工房で彼の無実を証明するカテリーナの手紙を見つけたと嘘をつき、処刑を中止させる。そしてレオナルドをある場所へ連れて行く。
レオナルドはカテリーナに毒を盛って瀕死の状態に追いやり、その現場をわざとベルナルドに目撃させたのだった。そしてベルナルドが医者を呼びに行っている間に毒消しを使ってカテリーナの命を救い、解剖用の死体とすり替えていたのだった。絵を燃やしたのは、カテリーナの外見を知られないようにするためだった。
レオナルドは身を隠していたカテリーナと再会。ミラノを発つカテリーナとフランチェスコに愛と別れを告げる。
脱走に失敗したルドヴィゴは幽閉されたまま1508年に死亡。カテリーナの運命はただ一枚のスケッチを残して歴史の中に消えた。そしてレオナルドは「モナ・リザ」の微笑に取り組み続けた。

各話に登場する作品

キリストの洗礼

「キリストの洗礼」1472-73年頃/ウフィツィ美術館(イタリア)

第1話に登場。フィレンツェのサン・サルヴィ修道院の祭壇画です。ヴェロッキオの工房で修行中のレオナルド(20歳頃)が、師匠のヴェロッキオとともに描いた作品。レオナルドは左端の天使と遠景を手掛けたと言われています。

弟子レオナルドの技量に舌を巻いたヴェロッキオは、二度と絵筆を握ることはなかった…という伝説をも生んだ歴史的な作品。

ジネヴラ・デ・ベンチの肖像

「ジネヴラ・デ・ベンチの肖像」1478-80年頃/ナショナル・ギャラリー(アメリカ)

第2話に登場。フィレンチェの貴族で銀行業を営むベンチ家の16歳の娘ジネヴラ・デ・ベンチを描いた作品。当時は女性の肖像画は横向きが主流だったらしく、正面からモデルの個性を捉えた本作は異色なのだそう。

ドラマの中で彼女は「嫌な男に嫁がされる」と嘆いていましたが、婚約相手のルイジ・ニッコリーニは2倍も年の離れた男やもめだったとか。冷たく悲しげな表情はそれゆえなのでしょうか…。

彼女の頭部を覆うように描かれている背景の樹木はネズ。イタリア語では「ジネプロ」といい、ジネヴラの名前との語呂合わせになっています。

「ジネヴラ・デ・ベンチの肖像」裏面

ドラマでは出てきませんでしたが、実は裏面にも美しい絵が描かれています。

月桂樹とヤシの枝が、中央のネズの小枝を囲むように描かれ、「Virtvtem Forma Decorat(美は徳を飾る)」という銘が刻まれています。これは美と徳の両方を備えたジネヴラへの賛辞とされています。

「腕の習作」1474年頃/ウィンザー城王室図書館(イギリス)

さて、問題の絵の下部分。ドラマではジネヴラの両腕が描かれ、彼女の父アメリゴが「婚礼祝いの絵によその男の紋章を持たせるとは!」と激怒して切断したことになっていました。

実際にこの作品は下部4分の1ほどが切り取られていて、その理由は損傷のためとも額に入れるためとも言われていますが、定かではありません。そこに何が描かれていたかは想像するのみ…。彼が残した習作のように、両手が組まれていたのではないかと考えられています。

東方三博士の礼拝

「東方三博士の礼拝」1481-82年/ウフィツィ美術館(イタリア)

第2話に登場。公証人だった父ピエロの取引先だったサン・ドナート・ア・スコペート修道院から、祭壇画として依頼された作品。

キリストの生誕を祝福するため、賢者たちが東方からベツレヘムを訪れるという場面です。右端に描かれた若者は、レオナルドの自画像とも言われています。

さまざまな構図を研究した準備スケッチが数多く残されていることや、野心的で大胆な構図にレオナルドのこの作品にかける熱意が感じ取れますが、どういうわけか未完のまま終わりました。

理由は資金問題であるとか、大胆な構図に恐れをなした修道院側が拒否したためとも言われています。

ドラマでは、伝統的な構図を好む神父が、レオナルドの斬新な構図を理解できずに怒って立ち去る…という演出になっていました。

スフォルツァ騎馬像

「スフォルツァ騎馬像のための習作」1488-89年/ウィンザー城王室図書館(イギリス)

第4話に登場。当時のミラノ公ルドヴィーコ・スフォルツァに制作を命じられ着手したものの、未完成に終わった騎馬像です。現物は存在しておらず、上の絵はレオナルドが描いた膨大な数のデッサンのうちの最初のプランです。

前脚を上げる勇ましい騎馬が描かれていますが、銅像にするには強度が足りなかったため、前脚の下に倒れている敵兵を置くことで支えとし、迫力を保ちつつ強度を確保しました。

ブロンズ像は70tという巨大なもので、ここまで大掛かりな鋳造計画は人類初でした。

最後の晩餐

「最後の晩餐」1495-98年頃/サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ修道院(イタリア)

第5話に登場。当時のミラノ公ルドヴィーコ・スフォルツァに命じられ、約4年の制作期間を経てサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ修道院の食堂の壁に描かれた壁画です。

イエス・キリストと12使徒による最後の晩餐を題材とし、処刑前のキリストが「あなたがたのうちの一人が、私を裏切ろうとしている」と予言する、有名な場面が描かれています。ちなみに裏切り者のユダは、左から4番目の小さな浅黒い顔の人物です。

公開されると瞬く間に評判が広がり、ミラノを占領したフランス王ルイ12世が「絵を剥がしてフランスに持ち帰れないか」と言ったとか。

ドラマでは、レオナルドが「新たなフレスコ画」として新しい技法を説明する場面がありましたが、実際に卵と油を混ぜた折衷型のテンペラ技法を使って描かれており、ドラマの中で弟子のトンマーゾが心配していたとおり、完成後すぐに傷み始め、最も損傷の激しい絵画となってしまいました。

それだけでなく、キリストの足があった部分に換気口が開けられたり、ナポレオン軍の兵が石を投げつけたり、ずさんな修復が行われたりと、受難の歴史をたどった作品でもあります。

第二次世界大戦中には連合軍の爆弾が直撃し、建物の大半が崩れてしまいました。壁画を守ろうと修道士たちが積み上げた土嚢によって、壁画のある面はかろうじて崩壊をまぬがれました。

1977~99年にかけて行われた最新の修復では、キリストの口がわずかに開いていることが明らかになりました。

アンギアーリの戦い

ルーベンス「アンギアーリの戦い」の模写 制作年不詳/ルーヴル美術館(フランス)

第7話に登場。レオナルドがフィレンツェ政庁から依頼され、政庁舎(ヴェッキオ宮殿)の大会議室に描いた壁画です。現在はルーベンスなど多くの画家が残した模写からのみ、当時の絵をうかがうことができます。

ドラマでも描かれていたとおり下塗りに失敗し、表面の顔料が流れ落ちてきたために未完成のまま放置されました。その後、壁画は改修によって失われたと考えられていましたが、現在の壁画の下に存在しているという説もあります。

現在の壁画は1563年にジョルジョ・ヴァザーリによって描かれたものとされていますが、ヴァザーリはレオナルドを尊敬していたので彼の作品を傷つけるはずがない、と。また、ヴァザーリの壁画には、フィレンツェ兵が掲げている軍旗に「CERCA TROVA(探せ、そうすれば見つかる)」という文字が記されているのです。

私は10年以上前にたまたまNHKの特番を見て、上記の文字を目にしたときは鳥肌が立ちました。実際にレーダーやX線による調査で「二重壁」になっていることがわかっていて、内側の壁からはレオナルドの絵と思われる顔料が確認されたそうです。

本当に絵が発見されたら大ニュースになるでしょうね。楽しみです。

レダと白鳥

チェザーレ・ダ・セスト「レダと白鳥」の模写 1515-20年/ウィルトン・ハウス(イギリス)

第8話(最終話)に登場。レオナルド・ダ・ヴィンチが1508年に描いたとされる作品。オリジナルは現存しておらず、作品の注文主も不詳です。失われた絵がどのようなものだったかは、彼が残した多数のスケッチと、弟子たちによる模写によってうかがうことができます。

「レダの頭部と髪の習作」1503-07年頃/ウィンザー城王室図書館(イギリス)

「レダと白鳥」はギリシア神話に由来する物語で、スパルタ王の妻レダに恋したゼウスが白鳥に姿を変えて彼女と交わり、2組の双子をもうけるというもの。イタリアでは15世紀から16世紀にかけて人気を博し、多数の絵画作品が制作されました。

モナ・リザ(ラ・ジョコンダ)

「モナ・リザ」1503-16年頃/ルーヴル美術館(フランス)

第6話~第8話に登場。世界一有名な絵画でありながら、現在もモデルが誰なのか定まっていない謎の名画。レオナルドは終生この作品を手元に置き、長年にわたって手を入れ続けました。

一般的な「モナ・リザ」という通称は英語で「リザ夫人」という意味で、イタリア語では「La Gioconda」。これは、“フランチェスコ・デル・ジョコンドの依頼で彼の妻リザを描いた”というジョルジョ・ヴァザーリの記述に由来しています。

ちなみに「La Gioconda」は、モデルの名前であると同時に「幸せな人」を意味する「La jocund」の語呂合わせにもなっています。モデルについては男性、レオナルド自身、母親など諸説あり、未だに決着はついていません。

溶け込むような謎めいた微笑は、「スフマート」と呼ばれるぼかし技法を用いて描かれました。水に溶いた顔料を指の腹で何度も画面に重ねていくという、気の遠くなる作業を繰り返す技法です。

背景には雲や木など短い時間の移り変わりを示す要素を入れず、それらを越えた“永遠の風景”が描かれています。

感想(ネタバレ有)

実話をもとにした歴史ドラマで、レオナルド・ダ・ヴィンチの有名な作品も劇中に数多く登場しますが、かなりフィクションの部分が多いストーリーでした。海外の感想を見ると、その点で評価が分かれていますね。

わたしはミステリーも歴史も芸術も大好きなので、ドラマとして面白く拝見しました。それぞれの専門知識がなくても気楽に楽しめる作品になっていたと思います。

ただし厳しい目で見れば、どの要素も中途半端でいまひとつ強く訴えるものがなかったのも確か。レオナルドが残した素晴らしい作品の数々を見ていると、そこに超一流の優れたミステリーと歴史と芸術が詰まっていて、ドラマを見なくても最高にドラマチックな気分を味わうことができる…そう思ってしまうのが正直なところです。

取調官のステファノが意外とおいしい役でしたねぇ。「グッド・ドクター」のフレディ・ハイモアがキャスティングされた理由が、最後の最後でわかりました。最初のほうはなんかしっくりこなかったのですが…。

WOWOWはもうちょっと海外歴史ドラマの放送を増やしてほしいなーとひそかに思ってます。