WOWOWで放送された中国ドラマ「三体」第11話~第20話についてまとめました。
VRゲーム「三体」をクリアするには、太陽運行の法則を見つけなければならない。そう考えた汪淼は、天体物理学者の葉文潔に教えを乞うことに。一方、史強は一連の事件に葉文潔が関わっているのではないかという疑惑を深め、彼女の過去を調べ始めます。
▼第1話~第10話はこちら
中国ドラマ「三体」第1話~第10話ネタバレ・感想・登場人物(キャスト)・視聴方法作品概要
- 放送局:WOWOW
- 放送時間:2023年11月4日(土)・5日(日)12:00~ ※5話ずつ放送
- 製作国:中国(2023年)
- 原題:三体
- 原作:劉慈欣『三体』
- 脚本:田良良(ティエン・リャンリャン)/陳晨(チェン・チェン)
- 監督:楊磊(ヤン・レイ)
あらすじ
北部営林場にて伐採作業に明け暮れる若き日の葉文潔は、白沐霖記者の手紙を代筆しながら、久方ぶりの温もりに包まれていた。それから程なくして、葉文潔は連隊本部に呼び出され、くだんの手紙について詰問を受ける。彼女が西側資本主義社会に波紋を起こした書籍「沈黙の春」に感化され、環境問題にかこつけて社会主義思想を攻撃しているというのだ。白沐霖の名を出すまいとした葉文潔を待っていたのは、信じ難い裏切りであった。
WOWOW公式サイトより
視聴方法(動画配信)
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原作について
このドラマの原作は、劉慈欣(リュウ・ジキン)氏による長編SF小説『三体』(2008年刊行)です。
2015年に、“SF界のノーベル賞”と称されるヒューゴー賞の長編部門を、アジア圏の作品として初めて受賞。
オバマ元米大統領や、マーク・ザッカーバーグ、ジェームズ・キャメロン監督ら世界の著名人が絶賛し、ファンを公言。「三体」が世界中で注目されるきっかけとなりました。
日本語版は早川書房から2019年7月に発売され、2020年の第51回星雲賞・海外長編部門を受賞。 続く『三体Ⅱ 黒暗森林』は2020年6月に、『三体Ⅲ 死神永生』は2021年5月に刊行され、どちらも大ヒットを記録しています。
登場人物(キャスト)
主要人物
汪淼(ワン・ミャオ)/張魯一(チャン・ルーイー)
応用物理学者。ナノ素材の研究者。妻の李瑶、娘の豆豆と3人で暮らしている。ある日、作戦センターでの秘密会議に招集され、世界中で相次ぐ物理学者たちの自殺を調査するため、学術組織《科学境界(フロンティア)》への潜入を依頼される。自身も不可解な現象に見舞われるようになり、謎を解くために史強と協力して調査を進めることに。《科学境界》の会員たちが〝主〟と呼ぶ存在の正体を探るべく、VRゲーム「三体」の世界に入る。
史強(シー・チアン)/于和偉(ユー・ホーウェイ)
作戦センターに所属する停職中の警察官。捜査官としては優秀だが、礼儀知らずで学問については門外漢。元上官である常偉思の指示で、科学者たちの自殺を調査する。汪淼とともに《科学境界》を調べるうちに、自殺した楊冬の母で天体物理学者の葉文潔の関与を疑い始める。
葉文潔(イエ・ウェンジエ)/陳瑾(チェン・ジン)
天体物理学者。楊冬の母。文化大革命で理論物理学者だった父親を亡くしている。清華大学出身で、教壇にも立っていた。現在は退職しているが、時々学生の活動に参加している。
作戦センター
常偉思(チャン・ウェイスー)/林永健(リン・ヨンジエン)
作戦センターの陸軍少将。史強の元上官。各国の司令官たちと協力し、姿の見えない〝敵〟と戦っている。世界各地で相次ぐ科学者たちの自殺に事件性を感じ、史強に調査させる。学術組織《科学境界》の関与を疑っており、汪淼に潜入捜査を依頼した。
徐冰冰(シュー・ビンビン)
史強の助手として捜査課から配属された警察官。10人分の働きをする有能な助手。
科学境界と周辺人物
申玉菲(シェン・ユーフェイ)/李小冉(リー・シャオラン)
外国籍の物理学者。学術組織《科学境界(フロンティア)》の会員。自殺した科学者たちは死ぬ前に彼女と接触していた。汪淼を科学境界に誘い、「三体」のゲームに参加させた人物。人類を救済するために〝三体問題〟を解決しようとする「救済派」。
潘寒(パン・ハン)
環境保護主義の生物学者で、“中華田園計画”の創立者。環境破壊に対して強い危機感を持っている。《科学境界》の会員だが申玉菲とは見解が異なり、〝主〟が降臨して人類に罰を与えることを望む「降臨派」。
慕星(ムー・シン)
独立系メディアの記者。環境保護について調べている。潘寒への取材を通して彼に感化され、協力するようになる。
魏成(ウェイ・チョン)
申玉菲の夫。天才数学者。家にひきこもり、ひたすら計算をしている。
葉文潔の周辺人物
楊冬(ヤン・ドン)
自殺した物理学者。ひも理論の研究者。自殺する10か月前に超弦理論の衝突実験に失敗し、結婚して普通に暮らす道を選択していた。遺書には「人類の物理学は存在しない」と書かれていた。
陳雪(チェン・シュエ)
葉文潔の姪。母親の葉文雪と離別し、大学からは文潔が援助している。今年6月にマサチューセッツ工科大学を卒業した。
沙瑞山(シャー・ルイシャン)
天文学者。葉文潔の教え子。北京郊外の電波天文観測基地で働いている。汪淼とともに“宇宙の瞬き”を目撃し、その謎を解明しようと夢中になる。汪淼と史強に頼まれて、VRゲーム「三体」を体験する。
マイク・エヴァンズ
地球三体協会(ETO)の創始者。第2紅岸基地で〝主〟との連絡手段を確立した。
1960~70年代の人々
葉文潔(イエ・ウェンジエ)/王子文(ワン・ズーウェン)
天体物理学者。父親が反革命派だったことから家族がバラバラになり、大興安嶺の営林場に配属される。記者の白沐霖から「沈黙の春」を借りて読んだことが問題になり、社会主義思想を攻撃していると見られ拘束されてしまう。
葉哲泰(イエ・ジョータイ)
葉文潔の父。理論物理学者。大学教授。文化大革命の時、反革命派だったことから連行された。
紹琳(シャオ・リン)
葉哲泰の妻。文潔の母。物理学者。夫・哲泰とは科学に対する見識が異なリ、後に彼が連行された際に文雪とともに糾弾した。
葉文雪(イエ・ウェンシュエ)
葉文潔の妹。父親を連行させ、母・紹琳とともに糾弾した。
白沐霖(バイ・ムーリン)
兵団機関紙「大生産報」の記者。大興安嶺の営林場で葉文潔と出会い、意気投合した。葉文潔にレイチェル・カーソンの著書「沈黙の春」を貸し、中央政府宛ての手紙の代筆を頼む。
雷志成(レイ・ジーチョン)
紅岸基地の政治委員。野心家。真面目で優秀な葉文潔を評価し、紅岸基地の中核的な仕事を任せようとする。
楊衛寧(ヤン・ウェイニン)
紅岸基地のチーフ・エンジニア。かつての葉哲泰の教え子。重刑を課されそうになった葉文潔を救うため、雷志成に頼んで紅岸基地に異動させた。なぜか葉文潔の中核入りに難色を示す。
参考
射撃手と農場主
《科学境界》の用語。第2話で語られた。
Shooter(狙撃手)とFarmer(農場主)を略してSFと呼ばれる。宇宙の法則の本質を説明する2つの仮説、「射撃手仮説」と「農場主仮説」を意味する。
【射撃手仮説】
凄腕の射撃手が的に10センチ間隔で一つずつ穴を開ける。この的には二次元生物が住んでいて、その二次元生物の科学者は“宇宙”を観察して「10センチごとに必ず穴が空いている」と気づく。射撃手の気まぐれによる行為を、“宇宙の不変の法則”だと考えた、というもの。
【農場主仮説】
ある農場で農場主が毎朝11時に七面鳥に給餌する。七面鳥の科学者は、この現象を一年近く観察し、一度の例外も見つからなかったため、「この宇宙では毎朝午前11時に食べ物が出現する」と発表する。しかしその日は感謝祭で、午前11時にエサは現れず、農場主がすべての七面鳥を殺してしまった。
三体問題
天体力学の一分野。三個の物体が、万有引力で引き合っている場合の運動を明らかにする研究。二体問題はニュートンによって解かれたが、三体問題は今日に至るまで厳密な解は得られていない。
精選版 日本国語大辞典より
第11話~第20話のあらすじ(ネタバレ有)
1960年代後半。葉文潔は白沐霖記者の手紙を代筆し、久方ぶりの温もりに包まれる。だが彼が営林場を去って程なく、葉文潔は師団政治部の主任に呼び出され、手紙について詰問を受ける。彼女が西側資本主義社会に波紋を起こした書籍「沈黙の春」に感化され、環境問題にかこつけて社会主義思想を攻撃しているというのだ。
葉文潔は代筆しただけだと弁明するが、その場に現れた白沐霖は「彼女に頼まれて手紙を投函した」と嘘をつき、葉文潔を激しく糾弾する。濡れ衣を着せられた葉文潔は本部に護送され、極寒の部屋に監禁される。
中級裁判所軍管会の軍代表・程麗華は、「この書類に署名をすれば営林場に戻す」と葉文潔に署名を迫るが、それは父・葉哲泰を告発するものだった。葉文潔は頑なに署名を拒み、程麗華は立ち去る。意識を失った葉文潔が目を覚ますと、ヘリコプターに乗せられていた。
汪淼から葉文潔の過去を聞かされた史強は、彼女の経歴を調べようとする。だが常偉思によると、彼女はかつて紅岸基地の国防重点プロジェクトに参加しており、経歴の一部が機密扱いになっているという。
汪淼はゲーム「三体」にログインし、漢代に到達した文明141号を体験する。そこで出会った墨子から、かつて孔子の時代に太陽が突然消え、そのあと飛星が現れたという話を聞く。墨子は膨大な観測をもとに「宇宙は巨大な機器だ」という仮説を立て、独自の宇宙モデルを構築していた。
しかし彼のモデルでは飛星について説明できず、汪淼はその点を問題視する。汪淼の不安は的中し、文明141号は太陽の熱で燃え尽き、滅亡する。
汪淼と史強は専門家の助言を求めるため、沙瑞山に会いに観測基地を訪ねる。ゲーム「三体」を体験した沙瑞山は、壮大な天文現象を目の当たりにして驚嘆する。汪淼は太陽と飛星には必ず何らかの関係があると推測する。
ゲーム「三体」をクリアすれば、宇宙の瞬きの謎を解明できるかもしれないという汪淼に対し、史強は天文物理学者である葉文潔に協力を仰いではどうかと助言する。
その頃、あるラボで爆発が起き、ノーベル賞受賞者を含む科学者4人が死亡する事件が発生する。彼らの能力に期待を寄せていた申玉菲は、潘寒を責め立てる。潘寒は〝主〟が降臨して人類に罰を与えることを望んでおり、それを望まない申玉菲と対立していた。
葉文潔は汪淼の研究センターを訪れ、実験のようすを見学する。そして“紅岸基地”に配属された過去について語る。
1960年代後半。葉文潔はかつて父の教え子だった楊衛寧と再会する。彼女を紅岸基地に異動させたのは、重刑を課せられた葉文潔を救おうとする楊衛寧の計らいによるものだった。同時に、楊衛寧は「紅岸基地に足を踏み入れれば生涯出られないだろう」と警告する。
世間から隔絶された場所を望んでいた葉文潔は、紅岸基地に入ることを即決する。そして「紅岸プロジェクト」と呼ばれる、巨大なパラボラアンテナによる送信の一部始終を目撃する。
紅岸基地に入った当初、葉文潔には特定の仕事が与えられず、監視の下で技術的な雑用のみを行っていた。だが実験に関する観察眼と知識を所々で発揮し、基地所属の政治委員・雷志成の目に留まる。
雷志成の期待を受け、葉文潔は徐々に中核的な仕事を任されるようになる。久々に他人からの信頼を得て喜ぶ葉文潔だったが、チーフ・エンジニアの楊衛寧はなぜか彼女の中核入りに難色を示し、「与えられた仕事だけをこなせ。他のことに関わるな」と忠告する。
送信部に配属された葉文潔は、送信システムが敵の宇宙船や通信衛星への攻撃と偵察のための武器であることを雷志成から知らされる。楊衛寧は激怒し、彼女にそんな話をした雷志成を非難する。
そのときの葉文潔は雷志成を信じ込んでいたが、のちに彼の言葉はすべて嘘だったことが明らかになったという。紅岸が建てられた真の目的は別にあったのだ。
2007年。史強は葉文潔が過去に「飛星」に関する論文を書いていたことを知り、彼女への疑いを深める。
汪淼は葉文潔から薦められた本を読み、ゲーム「三体」に新たなID“コペルニクス”でログインする。現われたのは中世ヨーロッパを思わせる世界で、アリストテレスやガリレオらが三体問題に取り組んでいた。
汪淼は教皇グレゴリウスの前で、「この世界には3つの太陽が同時に存在する」という仮説を述べる。この星が1つの太陽の周囲を安定的に運行する時は「恒紀」。別の太陽が近づいてきてその引力で元の太陽から引き離されると、3つの太陽の引力圏内を不安定に漂う。それが「乱紀」。そして他の2つの太陽こそ「飛星」だと。3つの飛星が厳冬を意味するのは、このとき太陽が遠く彼方にあるからだ。
教皇グレゴリウスは汪淼に火刑の宣告を下し、十字架にはりつけて火炙りにしようとする。そのとき3つの太陽が同時に出現し、文明183号は灼熱の炎の中で滅亡する。だが汪淼が宇宙の基本構造を示したことにより、ゲームはレベル2に到達する。
汪淼は文明184号で、ニュートンやノイマンと出会う。彼らは数学の知識をもとに太陽運行の法則を把握しようと試み、始皇帝のもとへ。そして3千万人の兵を使った巨大な人列コンピューターを作り上げる。
一方、史強と徐冰冰は、葉文潔の人間関係を洗い直し、姪の陳雪が今年の6月にマサチューセッツ工科大学を卒業していることを知る。陳雪は母・文雪と離別し、葉文潔の援助を受けていた。
また、申玉菲が数学系の人材を大量採用していることも判明。彼女の夫・魏成は数学者で、彼のための人員補強と思われた。
申玉菲が数学者を大量に雇って何かの計算を進めている、という情報を得た史強と徐冰冰は、申玉菲の家を訪ね、夫の魏成が「進化的アルゴリズム」の計算で成果を挙げる瞬間に居合わせる。申玉菲の冷たい態度から、史強は2人の夫婦関係に疑問を抱く。
一方、汪淼は「三体」の世界で人列コンピューターによる計算に立ち会っていた。計算を始めてから16か月が経過し、第1ステップが完了。今回の恒紀は1年以上続くという計算結果が出る。
すぐさま最水化を命じる始皇帝だったが、まもなく計算に誤りがあったことが判明。3つの太陽が直線に並んで昇り、文明184号は三恒星直列の引力により滅亡する。ゲーム終了後、汪淼は「三体」のシステム管理者から電話を受け、近々開催されるオフ会に招待される。
潘寒は申玉菲の家に侵入し、魏成のパソコンを銃で撃ち抜いて「計算をやめなければ殺す」と脅迫する。申玉菲は魏成を逃がし、潘寒と対峙する。
潘寒ら「降臨派」の最終目標は、〝主〟に罰を執行してもらい、人類を滅ぼすことだった。それに対して申玉菲ら「救済派」は、〝主〟に改造してもらい、完全で新しい人類文明を創造することを望んでいた。
汪淼と史強は、申玉菲が海市へ向かったことを知る。海市の隣の斉家屯には、申玉菲の会社の紅参工場があった。汪淼は以前、葉文潔から紅参をもらったことを思い出す。
葉文潔からもらった紅参は、斉家屯の工場で作られたものだった。史強は申玉菲と葉文潔が以前から接触していたことを確信する。そのころ葉文潔もまた、海市へ向かっていた。
海市行きの列車に乗り込んだ申玉菲は、怪しい男に命を狙われるが、葉文潔と姪の陳雪に助けられて難を逃れる。陳雪は男を殺害し、遺体を列車のトイレの中に隠す。
葉文潔こそ、申玉菲らが「総帥」と呼ぶ人物だった。葉文潔と申玉菲たちは海市の前で列車を降り、車で斉家屯に向かう。申玉菲は葉文潔が「救済派」かどうかを確認しようとするが、彼女は明確な答えを避ける。
史強と汪淼は、葉文潔と申玉菲が乗った海市行きの列車になんとか乗り込む。しかし2人の姿は確認できず、列車内で起きた殺人事件に彼女たちが関与しているかどうかもわからなかった。汪淼は史強にうながされて葉文潔に電話をかけ、斉家屯へ向かっているという彼女に、紅岸基地の案内を頼む。
葉文潔と申玉菲は、打ち捨てられて廃墟と化した紅岸基地を訪れる。そこには彼女たちが作った新たな紅岸があり、最新の受信システムによる監視が続けられていた。しかし〝主〟との交信は2年前から途切れ、メッセージを受け取ることはできなくなっていた。葉文潔は沈黙もメッセージだと捉え、全システムを破壊して撤退するよう命じる。
斉家屯に到着した汪淼は紅岸の跡地へ向かい、史強は紅参工場を調べに行く。村人の斉建国によると、紅参工場は外国人が開いたもので、葉文潔は関係ないという。
汪淼は紅岸基地で葉文潔と会う。かつて配属された監視部があった場所に汪淼を案内し、「この場所こそが紅岸の核心だった」と明かす葉文潔。あのとき、葉文潔は雷志成に呼び出され、送信部から監視部への異動を告げられたのだった。監視部の仕事は、宇宙空間にいる敵の全行動を監視することだった。
紅岸プロジェクトの要である監視部に異動を命じられた葉文潔は、雷志成から厚い信頼を寄せられていることを実感して涙する。しかし依然として制限は厳しく、データベースへのアクセスは禁じられていた。楊衛寧はなぜか彼女に厳しく当たり、理解し難い行動を取るようになる。
ある日、葉文潔は執務室に呼び出され、楊衛寧から紅岸プロジェクトの真実を伝えられる。雷志成の言葉は全て嘘だった。紅岸は攻撃のための武器でも敵の宇宙船を監視する基地でもなく、彼の葉文潔へのいたわりも抜擢も、全て偽りだった。
紅岸の真の目的は、地球外知的生命体の探査だった。葉文潔は楊衛寧に命じられて自動翻訳システムを開発し、宇宙に向けて送信するメッセージを考案する。メッセージには、地球の概況と地球の生命システムの概況、人類社会の概況、世界の歴史の基本情報が含まれていた。
70年代末、紅岸で大規模なシステム改造が行われた。だが視野が広がるにつれ、地球外文明探査の難しさが明らかになり、上層部は徐々に紅岸への興味を失っていった。そして紅岸の管理が民間に映ると、軍は完全に紅岸を放棄したという。
葉文潔はかつて宇宙からのノイズを聞き続けた孤独な日々を振り返り、地球外文明の探査が研究者としての人生感に大きな影響を与えたと汪淼に話す。
紅岸基地の真の目的を知った汪淼と史強は、斉家屯を後にする。一方、葉文潔は紅岸の跡地で「地球三体協会(ETO)」の創始者であるエヴァンズと再会を果たす。19年前、彼は巨船“審判の日(ジャッジメントデイ)号”を手に入れ、葉文潔から教わった周波数と座標をもとに〝主〟との連絡手段を確立したのだった。
エヴァンズは自分を選んでくれた“総帥”に感謝すると同時に、もはや人類の悪を消すのは不可能だと告げ、当時の葉文潔が語った「主に文明を矯正してもらい、罪なき世界を作る」という理想を否定する。
汪淼と史強は作戦センターに戻り、常偉思が取り寄せた紅岸基地に関する機密資料を読む。その中には葉文潔が1973年に楊衛寧と結婚したことや、1979年10月21日に楊衛寧と雷志成が転落死したという記録があった。史強は葉文潔が異星人との交信に成功したのではないかと疑っていた。
申玉菲の夫・魏成が保護されていると知り、汪淼と史強は公安局へ赴く。魏成はついに三体問題を解決できる数学モデルを完成させていた。史強に問い詰められた魏成は、自分の過去について語り始める。
魏成は数学に天賦の才があったが、無精な性格で数学以外に興味が持てず、自堕落な生活を送っていた。人生に嫌気がさした魏成は父の友人がいる山寺に行き、そこで色即是空の概念を教わる。
ある夜、魏成は“空”を理解しようと試み、意識の中で無限の宇宙を創造した。そしてその何もない空間に球体を浮かべると、2つ目までは安定するのに、3つ目が加わったとたん運動が不規則になることに気づいた。その日から、魏成は「三体問題」の探究にのめり込むようになった。
「三体問題」に魅了された魏成は、計算に明け暮れるようになった。そんなある日、申玉菲が寺を訪ねてきた。申玉菲は魏成が書いた数枚の計算式を見ただけで「三体問題」だと理解し、よりよい環境を提供すると持ちかけて下山を促した。
魏成は申玉菲とともに下山し、彼女が与えてくれた快適な環境のもとで計算に没頭したという。2人が結婚したのは、そのほうが互いに好都合だったからだ。
魏成はついに三体の全運動を正確に予測できる数学モデルを確立した。だが潘寒に「計算をやめなければ殺す」と脅され、申玉菲からは「計算をやめたら殺す」と脅されているという。魏成は全てのモデルと共有データが入ったCDを汪淼に託し、検証してほしいと頼む。
汪淼と申玉菲は検証のため、「三体」にログインする。そこは三太陽により滅びた文明から再生した世界で、空には見たこともない巨大な月が浮かんでいた。汪淼と申玉菲は、魏成が構築した数学モデルを国連事務総長に提出する。だがこの世界ではすでにそのモデルは構築され、「三体問題に解はない」ことが決定的に証明されていた。
未来への希望を口にする汪淼に、国連事務総長は文明191号を滅亡させた大断裂について語る。3つの太陽が惑星に衝突し、2つに裂いたのだ。空に浮かぶ巨大な月は、その片割れだった。大地はマグマで覆われ、何世紀にも渡って隕石の雨が降り、生態系は破壊された。文明192号が現れるまで、9千万年もの時間を要したという。
もともと三体星系には12個の惑星が存在したが、すべて太陽にのみ込まれ、残っているのはこの惑星のみ。そしてこの惑星も、いずれ太陽にのみ込まれる運命だった。
振り子が起動され、人々が広場に集まる。申玉菲は「あなたには使命がある」と汪淼に告げて消える。三体文明が生き残る唯一の方法は、三体星系を離れ、銀河の中から移民可能な惑星を見つけ出すことだと、国連事務総長は語る。
451年後、原子力と情報の時代まで到達した文明192号は、2つの太陽の烈火により滅亡する。この文明で三体問題に解が存在しないことが証明され、「三体」のゴールが変更される。新しいゴールは、宇宙で新たな故郷を見つけることだった。
現実世界に戻った申玉菲の前に、潘寒が現れる。潘寒は「主は選択したんだ」と告げて彼女を射殺する。現場に駆けつけた史強と汪淼は、遺体を確認して動揺する。防犯カメラには潘寒の姿が映っていた。
第11話~第20話の感想(ネタバレ有)
ますます面白くなってきました!
第20話で明かされた「三体星系」の真実がとんでもなかった…。壮大なストーリーに、見終わって1日たった今もまだ心がざわついています。
「三体」の世界の謎を汪淼とともに追いかけてきたからこそ、突きつけられた残酷な真実と、惑星がたどる不可避な運命に心が痛む。「生命は宇宙において最も脆弱」と語る申玉菲の涙にも共感できます。
物語はちょうど3分の2を終えたところで、これからどういう展開で最終話に向かうのかはわかりませんが、謎の多くは解明されたように思います。
作戦センターについて
常偉思らは“科学者たちの自殺”を敵による攻撃ととらえ、その敵と戦うために各国が協力し、情報共有しているようです。現段階では敵の正体を掴んでいませんが、予想はしていたらしい。
第19話で、常偉思が会議でこのような発言をしています。
「作戦センターも当初、異星人の存在を考えてはいたが、一番認めたくない可能性だった」
敵=異星人という可能性を、当初から考えていたんですね。
葉文潔と紅岸基地について
葉文潔は若い頃、紅岸基地で地球外知的生命体の探査を行っていたことが明らかになりました。
「プロジェクトは失敗した」と葉文潔は汪淼に語っていましたが、このとき彼女が異星人と交信したことは間違いないと思います。
地球三体協会(ETO)のエヴァンズや、科学境界の申玉菲たちは、彼女のことを「総帥」と呼んでいました。
ゲーム「三体」について
VRゲーム「三体」の舞台である惑星は、葉文潔が交信した異星人たちの故郷星なのでしょう。3つの太陽に翻弄され、文明の繁栄と滅亡を繰り返す数奇な星。
申玉菲は過酷な生存環境に耐えている惑星の住人たちを救うために、難題である「三体問題」に取り組んでいましたが、三体問題に答えはなく、どうやっても救えないことがわかりました。
第20話で、この惑星がいずれ太陽にのみこまれて消滅する運命であることが語られました。惑星の住人たちにとって、地球は新たな故郷になりうる星です。
申玉菲は〝主〟を救うことで地球人を守ろうとしたのでしょうか。「降臨派」の潘寒やエヴァンズたちは、異星人に地球を明け渡そうとしているのでしょうか。
残っている謎は、
- 楊冬の死
- 「人類の物理学は存在しない」の意味
- カウントダウンの仕掛けと意味
- 楊衛寧と雷志成の死
あたりでしょうか。
しかしこうなると、科学者たちを抹殺しているのは潘寒ら“降臨派”という可能性も高くなりましたね。
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