ネタバレ有「さまよう刃」全話あらすじ・感想・キャスト

WOWOW「東野圭吾さまよう刃」あらすじキャスト

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WOWOWの連続ドラマ「さまよう刃」(全6話)についてまとめました。

2009年に映画化された東野圭吾さんの長編小説「さまよう刃」を連続ドラマ化。娘を殺した少年たちへの復讐に突き進む主人公・長峰を中心に、少年犯罪をめぐるさまざまな人間の“罪と罰”への想いが描かれる人間ドラマです。

映画では主人公を追う若手刑事を演じた竹野内豊さんが、今作では主人公を演じています。

作品概要

  • 放送局:WOWOWプライム
  • 放送時間:2021年5月15日(土)から毎週土曜22:00~ほか
  • 原作:東野圭吾『さまよう刃』
  • 脚本:吉田紀子
  • 音楽:髙位妃楊子(映画「岬の兄妹」 )
  • 監督:片山慎三(映画「岬の兄妹」「そこにいた男」)
  • エンディングテーマ:佐藤玖美「薄明」

あらすじ

社会や法律、すべてを敵に回してでも家族のために復讐を果たす……。長峰重樹(竹野内豊)は妻を亡くした後、男手一つでひとり娘の絵摩を高校生になるまで育ててきた。時折、けんかこそすれ、父親と娘は互いに支え合いながらつつましく生きてきた。
ところが、ある夜、絵摩がバイト先から戻らず、やがて凄惨な遺体で発見される。数日後、悲しみに暮れる長峰のもとに、犯人の名と居場所を告げる密告電話がかかってくる。逡巡の末、教えられたアパートへ向かい部屋を物色すると、そこには絵摩があまりにもむごい手段で殺されていくさまを捉えた映像が残されていた。帰宅した犯人のひとりであるアツヤを思わず殺害してしまった長峰は、主犯のカイジを追う。カイジやアツヤは、現行法上はまだ死刑は適用されない少年。父親の行動は、是か非か。世論を二分する長峰の逃亡復讐劇が始まる。

WOWOW公式サイトより

原作について

このドラマの原作は、東野圭吾さんの長編小説『さまよう刃』(2004年刊行)です。

遺族の復讐と少年犯罪をテーマにした問題作。150万部を超すベストセラーとなり、2004年には寺尾聰さん主演で映画化、2014年には韓国でも映画化されました。

登場人物(キャスト)

主要人物

長峰重樹(竹野内豊)
早くに妻を亡くし、男手ひとつで一人娘の絵摩を育ててきた。絵摩を残忍な手口で殺され、犯人の一人である伴崎敦也を衝動的に殺害する。逃亡した主犯格の少年・菅野快児に復讐するため、猟銃を手に長野へ向かう。

長峰絵摩(河合優実)
長峰重樹の一人娘。16歳。母親亡き後、父と2人で支え合って生きてきた。アルバイトの帰りに菅野たちに拉致され、覚醒剤を打たれて強姦される。遺体は荒川の河川敷で発見された。

木島和佳子(石田ゆり子)
長野で父親が経営するペンションを手伝う女性。7年前に幼い息子を病気で亡くし、今も深い悲しみから抜け出せずにいる。長峰の正体を知りつつ、戸惑いながらも手を差し伸べる。

警察

久塚耕三(國村隼)
警視庁捜査一課の警視。絵摩の事件を担当する冷静沈着な指揮官。伴崎敦也を殺して逃亡した長峰を追う。

織部孝史(三浦貴大)
警視庁捜査一課の巡査部長。同じ娘を持つ父親として、長峰に共感に似た思いを抱く。

真野(古舘寛治)
警視庁捜査一課の警部補。久塚、織部とともに長峰を追う昔かたぎの刑事。

川崎圭(勝矢)
警視庁捜査一課の刑事。伴崎が殺された事件を担当し、被疑者である長峰を追うことになる。

加害者と家族

菅野快児(市川理矩)
絵摩を殺害した犯人。17歳。絵摩のほかにも数多くの女性たちを強姦し、その記録を写真や動画に残して保管している。実家にはほとんど寄り付かず、足立区のアパートで独り暮らしをしている。

伴崎敦也(名村辰)
菅野とともに絵摩を拉致し、殺害した犯人。17歳。罪の意識がなく、ゲームのように犯行を楽しんでいた。菅野のアパートで長峰と鉢合わせ、逆上した長峰にその場で殺される。

中井誠(井上瑞稀)
高校生。学校には行かず、菅野や伴崎と行動をともにしている。事件の夜は途中で帰ったが、翌朝2人が絵摩を殺したことを知ってしまう。罪悪感に襲われるも、警察に出頭する勇気はない。絵摩の携帯を隠し持っている。

中井泰造(堀部圭亮)
誠の父親。医者。優秀な兄に比べ、不登校なうえに遊び歩く誠に苛立っている。誠が事件に関与していることを知り、誠を連れて警察に出頭する。

中井昌美(霧島れいか)
誠の母親。息子の誠を心配するあまり、つい甘やかしてしまう。

菅野未知(MEGUMI)
快児の母親。スナック経営者。息子に金を与えて好きにさせている。事件が発覚した後も息子の犯行を認めようとせず、長峰に命を狙われている息子を守ってほしいと警察に訴える。

そのほか

小田切ゆかり(瀧内公美)
週刊誌記者。長峰の娘・絵摩が殺された事件を追う。被害者や遺族に共感することなく、「売れてナンボ」を信条に強引な手段で事件を書きたてる。真野いわく「イノシシみたいな女」。

木島隆明(本田博太郎)
和佳子の父親。妻に先立たれ、離婚して戻ってきた娘の和佳子とともに長野でペンションを経営している。和佳子が長峰の逃亡に手を貸していることに気づき、苦悩する。

村越優佳(木﨑ゆりあ)
17歳の高校生。家出して菅野快児とともに逃亡する。

長峰絵里子(和田光沙)
長峰重樹の妻。病死している。

池田由美(竹内都子)
長野の子ども食堂店主。和佳子親子のペンションと付き合いが深い。

鮎村武雄(松浦祐也)
タクシー運転手。高校生の娘・千晶を自殺で失っている。のちに菅野と伴崎に強姦されていたことがわかる。

織部梨沙子(徳永えり)
織部の妻。多忙な夫の代わりに一人で娘を育てている。現在第2子を妊娠中。

各話のあらすじ(ネタバレ有)

早くに妻を亡くした長峰(竹野内豊)は、一人娘の絵摩(河合優実)を男手ひとつで育ててきた。ある日、絵摩はアルバイトに行ったまま帰宅せず、やがて荒川の河川敷で遺体となって発見される。
事件を担当する捜査一課の警視・久塚(國村隼)は、絵摩の腕に注射痕があったことや、尿から覚醒剤の反応が出たこと、死因が急性心不全であることを、遺族である長峰には告げずにいた。SNSで捜査状況を知った長峰は、警察が何も知らせてくれないことに憤るが、久塚は「逮捕に踏み切るまで待ってほしい」と話す。
絵摩に覚醒剤を打って強姦し、遺体を川に捨てた菅野快児(市川理矩)と伴崎敦也(名村辰)は、仲間の中井誠(井上瑞稀)に罪を被せようとする。誠は父親の車を彼らに貸し、絵摩を拉致した現場にも居合わせていたが、見て見ぬふりをして帰宅したのだった。絵摩の携帯を手にした誠は、恐怖と罪悪感で落ち着かない日々を過ごす。
長峰の携帯に、犯人の名と居場所を告げる密告電話がかかってくる。教えられたアパートへ行くと、彼らが犯した数多くの女性たちの写真と服が“戦利品”のように保管されていた。その中には絵摩が着ていたワンピースもあった。
パソコンには絵摩が彼らに犯され死んでいく一部始終を撮影した映像が残されており、映像を見た長峰は強い怒りと悲しみで我を失う。そこへ犯人のひとりである敦也が現れ、長峰は衝動的に敦也を刺し殺してしまう。

菅野快児のアパートで伴崎敦也の死体が発見され、2人が日常的に若い女性を連れ込んで強姦を繰り返していたことが明らかになる。
押収したレイプ動画の中から絵摩の動画を発見した久塚たちは、長峰に連絡を取ろうとするが、彼は会社を無断欠勤して行方をくらましていた。伴崎を殺害した凶器の指紋と長峰の指紋が一致したことから、警察は長峰を伴崎殺害の被疑者と断定する。
誠は父・泰造(堀部圭亮)とともに警察に出頭し、菅野と伴崎に脅されて仕方なく車を貸したと主張する。快児の母・未知(MEGUMI)は息子の犯行を認めようとせず、長峰から守ってほしいと警察に訴える。
一方、長峰は快児の潜伏先である長野へ向かい、写真を手がかりにペンションを訪ね歩いていた。長峰が警察に送った手紙はマスコミの手に渡り、ラジオで全文が読み上げられる。
息子・大志の墓参りに出かけた和佳子(石田ゆり子)は、帰りの車の中でそのラジオを聞いていた。そこには、最愛の娘を残忍な手口で殺された、長峰の怒りと悲しみに満ちた悲痛な叫びが綴られていた。
手紙の中で長峰は、伴崎敦也を殺害したことを明かし、もう一人の犯人である菅野快児を見つけ出して娘の敵を討つことを宣言。目的を達して自首するまで捜さないでほしい、と訴える。
7年前に息子を亡くした和佳子や、娘を自殺で失ったタクシー運転手の鮎村(松浦祐也)、幼い娘を持つ父親である刑事の織部は、その内容に激しく心を揺さぶられる。
疲れ果て、かつて亡き妻と幼い絵摩を連れて訪れたペンション“クレセント”に辿り着く長峰。そこは和佳子が父親とともに経営するペンションだった。

長峰は“吉川”という偽名を使って隆明(本田博太郎)と和佳子が経営するペンションに身を寄せ、菅野の行方を捜す。警察は長峰を伴崎殺害の容疑者として全国に指名手配する。
タクシー運転手の鮎村武雄(松浦祐也)は、自殺した娘・千晶が菅野と伴崎に強姦された可能性があるとして、警察を訪れる。千晶が強姦される様子を撮影した動画を見せられた鮎村は、「あいつらをぶっ殺す」と逆上。署内で真野や織部たちに取り押さえられる。誠は隠し持っていた絵摩の携帯を手に警察に出頭しようとしていたが、鮎村の言葉を聞いて怖じ気づき、何も言わずに帰ってしまう。
和佳子はメガネを外した“吉川”の顔を見て、ニュース報道で公開された長峰の写真と似ていることに気づく。彼の留守中に部屋に忍び込んだ和佳子は、パソコンに入っていた絵摩のレイプ動画を見てしまう。そこへ長峰が帰ってきて…。

和佳子は逃げようとする長峰を引き留め、かつて自分が住んでいた空き家に匿う。長峰は「気が変わったらいつでも通報してください」と告げたうえで、和佳子の好意に甘えることに。和佳子は7年前に10歳の息子を肺炎で失い、何度も死のうと思ったことを長峰に語る。
そのころ菅野快児は、家出した村越優佳(木﨑ゆりあ)とともに山中に潜んでいた。菅野を慕う優佳だったが、食事の際に箸の持ち方を注意したことで菅野の逆鱗に触れ、歯が折れるほど殴られる。
誠は警察に連行され、菅野から連絡があったことを認める。激怒した父・泰造に激しく罵られた誠は、「殺してやる!」と泰造に襲いかかる。そのまま家を飛び出した誠は、菅野と伴崎が長野のペンションについて話していたことを思い出し、その情報を長峰の携帯に送る。
久塚たち捜査班は長野県小諸町に狙いを絞り、長野県警に一斉捜査を要請する。長峰はひとりで目的の場所へ向かおうとするが、和佳子に止められる。やがて和佳子のペンションにも警察が来て、長峰の写真を見せられた隆明は「うちに泊まっていた客に似ている」と申告する。
週刊誌記者の小田切は、菅野たちに娘を強姦されたタクシー運転手・鮎村に接触。巧みに情報を聞き出し、扇情的な記事を書く。

和佳子から警察が来たと連絡を受け、出ていくことを決意する長峰。一方、久塚ら捜査班は菅野と伴崎が廃業した宿泊施設に忍び込んで犯罪に利用していたことを突き止め、織部と真野を長野に向かわせる。
菅野に娘を強姦されたタクシー運転手の鮎村は、ゆかりの書いた扇情的な記事に怒りを爆発させ、編集部に乗り込む。鮎村はゆかりから誠の情報を手に入れ、誠を脅して菅野の居場所を聞き出そうとする。
和佳子の不自然な様子からすべてを悟った隆明は、長峰に自首を勧める。和佳子は初めから復讐を手伝うつもりはなく、長峰を止めるつもりだったと明かし、菅野が潜んでいるペンションに長峰を送り届ける。
織部と真野たちはペンションソレイユで村越優佳を発見する。優佳は菅野から酷い暴行を受けていたが、それでもなお彼を逃がそうとする。織部は優佳が菅野から強姦された被害者のひとりであることに気づく。
ペンションに辿り着いた長峰と和佳子の前に、隠れていた菅野が姿を現す。長峰に気づき、山に逃げ込む菅野。長峰は菅野に向かって発砲するが、弾は外れてしまう。銃声に気づいた織部たちが山の中を捜索するが、長峰を見つけることはできなかった。
和佳子は負傷した長峰を手当てしながら、絵摩のために生きて罪をつぐなってほしいと訴える。かつて絵摩がペンションを訪れた際に書いたノートを見せられ、自首を決意する長峰。
織部に連絡しようとしたその時、「スガノカイジは今夜10時、新宿中央公園に来る」というメッセージが届く。長峰は和佳子の制止をふりきって新宿へ向かう。

誠の携帯に菅野から連絡が入る。誠は「金を持って来い」という菅野の要求に応じるふりをして、警察に協力して菅野を新宿におびき出す。
一方、菅野が新宿に現れるという密告を受けた長峰は、追いすがる和佳子を振り切って新宿へ向かう。織部たち捜査員は長峰が向かっているという情報を得て、拳銃を携帯することに。
捜査員が見張る中、誠は菅野と再会。だがそこに現れたのは、包丁を手にしたタクシー運転手の鮎村だった。鮎村は菅野を刺そうとするが転倒し、菅野に刺されてしまう。捜査員に囲まれた菅野は誠を人質に取り逃亡を図ろうとするが、そこへ猟銃を構えた長峰が現れる。
誠に「おまえなんか友達だと思ったことは一度もない。死ねばいい」と言われた菅野は、放心状態になり、誠を解放して長峰の前で目を閉じる。菅野を撃とうとした長峰は、捜査員の織部に胸を撃ち抜かれ、泣き叫ぶ和佳子の姿を目にしながら息絶える。
警察の事情聴取を受けた和佳子は、長峰を殺した織部が罪に問われないことについて「人を殺して許される人と許されない人、そんな区別があっていいんでしょうか」と問いかける。
菅野に下された判決は、10年から15年の不定期刑だった。真野は織部を連れて、警察を辞めた久塚に会いに行く。誠が情報提供していたのは長峰の携帯ではなく、江東署の警察官に告げられた架空名義のプリペイド携帯だった。
密告者は警察関係者だと確信する真野は、久塚を問い詰める。久塚は「警察が守るのは市民ではなく法律だ。被害者の親族の心まで踏みにじる行為は許されることか? それは正義と言えるのか?」と問う。
和佳子は長峰をかくまっていた家へ行き、彼が置き忘れたメガネを手に取る。

感想(ネタバレ有)

あまりにも残酷でリアルな内容に…

最後にずしんとくる問いを突き付けられて、見終わった後もずっと自問自答しています。

第1話からあまりにも残酷で、見るに堪えない内容。ここ数年はいろんな海外ドラマを見ているので多少は慣れたつもりでしたが、この作品はそんなわたしの免疫を一瞬で吹き飛ばすほど破壊力がありました。

第1話を見た後、数日間は夜眠れなくて、一週間くらい引きずっていました。

それでも最後まで見ようと思ったのは、ここまでのものを過去に見たことがなかったから。どの映像からも作り手の並々ならぬ気迫を感じ、リアルな登場人物たちに惹きつけられました。怖いけれど目が離せない状態でした。

たとえば、菅野のアパートから押収された大量のレイプ動画を、捜査員たちがひとつひとつ確認するシーン。

このわずかな瞬間にしか映らない動画でさえ、ひとつひとつリアルに作り込まれていて、まるで本物のよう。心からゾッとしました。被害者を演じた女優さんたち…顔もろくに映らず厳しい役どころだったと思うけど、真に迫る演技でした。

ここから先は結末に触れています。ご注意ください。

どんな選択をすれば主人公は救われるのか

主人公の長峰をはじめ、物語に登場する人々にはそれぞれの人生、生きてきた背景があります。それは日常的に強姦を繰り返し、ついには殺人にまで至った少年たちも同じ。

でも、人は「自分が知っていること」や「実際に見たこと」でしか判断できなくて、ドラマや映画になると、どうしても露出度の高い主人公や、苦境に立たされている人々に感情移入してしまいます。

長峰と同じように菅野を憎み、復讐を果たすことを望んでいるわたし。一方で、視聴者としては、これ以上彼に罪を犯してほしくないという(和佳子と同じ)気持ちにもなるし、単純に“殺人”という行為に対する嫌悪感もあります。

どんな選択をすれば、長峰は救われるんだろう。

最後まで正解がわからないまま、そして長峰の死という結末で物語が閉じてしまったことで、永遠に、問いに対する答えを探し続けなければならなくなりました。

久塚の選択は正義なのか?

個人的に最も混乱したのが、最終話で明らかになった久塚の選択です。

第1話で長峰に犯人の名前と住所を密告し、その後も彼に情報を与え続けたのは、菅野の仲間である中井誠であるかのようなミスリードがありました。しかし密告者の正体は、捜査班を率いる指揮官の久塚でした。

常に冷静かつ適切な判断をくだし、犯人逮捕へ導く理想的な指揮官に見えた久塚が、まさか密告者だったとは…。

わたしは誠ではない可能性もあるなと思いつつ、「誠だったら許せない」と思っていました。犯罪に加担しながら自分は罪を償おうともせず、長峰を煽って邪魔な菅野を殺させようとしていると思ったからです。

しかし密告者の正体が久塚となると、そんな単純な話ではなくなってきます。

久塚がその場の思いつきや単なる同情心で密告したとは、到底考えられません。数年前に少年たちのいじめによる殺人事件を担当し、被害者遺族の悲しみと怒りをまのあたりにした彼は、そのときから自分の中で処理できない矛盾を抱えていたのかもしれない。

彼の密告によって長峰は菅野のアパートを突き止め、そこで伴崎を殺すことになり、さらに菅野を追って復讐へと駆り立てられていく。そして最終的には、久塚の部下である織部に射殺されるのです。

こうなる可能性は充分に想像しえたはずで、それをわかったうえで密告し続けたのなら、久塚の取った行動もまた“人を殺す”ことと変わらないのでは…?

彼は本当に「長峰の復讐をかなえさせてやりたい」という思いだけだったんだろうか? そこに、菅野たち犯人に対する個人的な怒りがなかったと言い切れるだろうか?

もし個人的な怒りが少しでもあったとしたら、これは正義じゃない。長峰を利用して自分の怒りを処理した、とても卑劣な行為。そう思ってしまいます。

ひとつだけ救われたのは、長峰が人生の最後に和佳子と出会えたこと。彼女を見ながら旅立ったこと。地獄のような日々だったけど、少なくとも孤独ではなかった。それだけが救いです。

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