海外ドラマ「カウンターパート/暗躍する分身 」シーズン2(全10話)の紹介です。
アカデミー賞受賞のJ・K・シモンズ主演。陰謀と裏切りに満ちた新感覚スパイスリラーのシーズン2。
WOWOW公式サイトより
シーズン1のラストで通路が閉じられ、入れ替わったまま元の世界に戻れなくなってしまった2人のハワード。2つの世界はどうなってしまうのか?
2つの世界の分岐点(=何が人格を決定づけるか)という考え方が面白くて、お気に入りのドラマだったのですが、シーズン2でキャンセルになってしまい残念です。
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Contents
作品概要
- 放送局:WOWOWプライム
- 放送時間:2019年12月3日(火)から毎週火曜夜11時~【全10話】
- 監督:カイル・パトリック・アルバレスほか
- 脚本:エイミー・バーグ/ジャスティン・マークス
- 製作総指揮:ジャスティン・マークスほか
- 全米放送:2018年12月~2019年2月(第2シーズン)
あらすじ
ベルリンにある国連秘密諜報機関の情報伝達部で30年近く働いてきたハワード。上司の指示で会わされたのは、なんと自分とうり二つな“もうひとり”のハワード。実はハワードがいる表の世界と“もうひとり”がいるパラレルワールド=裏の世界が存在していた。表ハワードと裏ハワードは正反対の性格だったが、やがて一流スパイである裏ハワードが表の世界で、戦略部に異動した表ハワードが裏の世界でそれぞれミッションをこなすようになる。
前シーズン最後、表の世界と裏の世界の外交関係は終わり、2つをつなぐ“交差点”のドアは閉じられた。裏の世界で監禁されてしまった表の世界のハワードの運命は。一方、表の世界で立場が危うくなった裏の世界のハワードは……?
WOWOW公式サイトより
予告動画
登場人物(キャスト)
※シーズン1のネタバレを含みます
表の世界(アルファ)
ハワード・シルク(J・K・シモンズ/声:壤晴彦)
ベルリンにある国連の諜報機関で働く平凡なサラリーマン。温厚な性格で愛妻家。情報伝達部で30年地味な単純作業をこなしていたが、ある日戦略部のクエイルに呼ばれ、平行世界の存在を知らされる。戦略部への昇進を条件に裏ハワードに協力することを約束し、裏の世界へ潜入するが、ポープを殺害し交流局に拘留されてしまう。
エミリー・バートン・シルク(オリヴィア・ウィリアムズ/声:五十嵐麗)
ハワードの妻。交通事故に遭い昏睡状態に陥っていたが、意識を取り戻した。実は戦略部のスパイで裏ハワードの情報源でもあったが、夫のハワードには秘密にしていた。昏睡状態から目覚めるも記憶があいまいで、夫のふりをする裏ハワードに違和感を抱く。記憶を失う前、何らかの秘密を握っていたと思われる。
ピーター・クエイル(ハリー・ロイド/声:森川智之)
国連諜報機関の戦略部の副部長。裏の世界から送り込まれたスパイ〈シャドウ〉を特定しようと調査する中で、妻・クレアが〈シャドウ〉だと気づくが、部下のアルドリッチに罪を被せて偽りの結婚を続けることを決断する。
クレア・ファンチャー(ナザニン・ボニアディ/声:加藤有生子)
クエイルの妻。実は裏の世界から送り込まれたスパイ〈シャドウ〉で、表の世界のクレアを殺してすり替わっている。クエイルに正体がバレた後、クエイルを説得して不正行為に加担させる。クエイルとの間に産まれた息子スペンサーを愛しており、〈シャドウ〉としての使命と家族への愛情の間で揺れ動く。
ナヤ・テンプル (ベティ・ガブリエル/声:仲村かおり)
元FBIのスパイ狩りエキスパート。潜伏スパイ一掃のため、クエイルのパートナーとして戦略部に配属される。今回の指令を受けた際に初めて「もう一つの世界」が存在することを聞かされ、戸惑いを隠せない。
エミリーが「シャドウは女」と語ったことから、クエイルに疑いを持つようになる。
ナディア・フィエロ/ボールドウィン(サラ・セラヨッコ/声:種市桃子)
裏の世界の暗殺者。ヴァイオリニストだった表の世界のナディアと少女時代の辛い記憶を共有していたが、ナディアは銃撃戦に巻き込まれて命を落とした。
裏ハワードから金をもらって一旦は姿を消すも、恋人グレタのことが忘れられずベルリンに戻ってきてレミーたちに捕まってしまう。
クロード・ランベール(ガイ・バーネット)
元大使。過激派組織に加担し、クレアに裏の世界からの指令を伝えている。大使館に勤務していたが、現在は逃亡中。分身とともに隠れ家に身を隠している。クレアの裏切りを疑っている。
ローランド・ファンチャー(リチャード・シフ)
外交官。クエイルの義父で、クレアの父。 クレアが裏の世界から来た〈シャドウ〉とすり替わっていることに気づかず、娘として溺愛する。
スペンサー(ケン・デュケン)
裏の世界から送り込まれた〈インディゴ〉のスパイ。クレアとは〈インディゴ〉で共に学んだ幼なじみ。クレアの初恋の人でもある。
裏の世界(プライム)
ハワード・シルク(J・K・シモンズ/声:壤晴彦)
平行世界からやってきたハワードの分身。こちら側のハワードとは正反対の性格で、大胆不敵な腕利きのスパイ。優秀だが自己中心的で高圧的な男。
離婚した妻・エミリーとの間にアンナいう娘がいるが、夫婦関係、親子関係ともに破綻している。現在はハワードと入れ替わり、表の世界でハワードになりすましている。〈シャドウ〉がクレアであることを知っている。
エミリー・バートン(オリヴィア・ウィリアムズ/声:五十嵐麗)
国連諜報機関の上級職員。戦略部でスパイ防止活動をしている。薬物依存の過去があり、裏ハワードとは離婚している。表の世界から来たハワードと協力し、スパイ養成学校〈インディゴ〉の存在を暴いた。
その後戦略部副部長に任命され、執行部から直々に〈インディゴ〉のリーダーであるミラの捜査を命じられる。表のエミリーが密かに渡航してスパイ活動を行っていたことを知り、ミラとの関係を突き止めようとする。
イアン・ショウ(ニコラス・ピノック/声:神尾晋一郎)
諜報員。裏エミリーと交際中。エミリーが薬物依存で苦しんでいたとき、彼女のそばにいなかったハワードに憎しみを抱いている。エミリーの依頼を受けてミラの捜索にあたる中で、執行部のケースを偶然手に入れる。
ミラ(クリスティアーネ・パウル)
スパイ養成学校〈インディゴ〉のリーダー。冷酷非情なテロリスト。クレアを育て、〈シャドウ〉として表の世界に送り込んだ。裏エミリーたちが〈インディゴ〉に乗り込んできた際、証拠隠滅を図って子どもたちを殺し、アルドゥスとともに逃亡した。
オスマン・パラシュ(カラン・オベロイ)
交流局の尋問官。密かにミラと繋がっており、ミラの指示でハワードをエコーに送る。ミラの真意については図りかねている。
アンナ・バートン・シルク(サラ・ボルジャー)
裏ハワードと裏エミリーの娘。医者。子どもの頃にインフルエンザで入院したことがあり、エミリーが薬物に依存するきっかけとなった。冷酷で家庭を顧みない父親を嫌っていたが、表の世界から来たハワードに心を開くようになる。
ヤネク・トームズ(ジェームズ・クロムウェル)
エコーの監視者であり、囚人。執行部と特別な取り決めを交わしており、過去の罪を償うべくエコーに身を置いている。2つの世界の分岐点を探り、同じ人間に違いが出る条件を特定しようとしている。1987年に世界が2つに分かれる原因を作った人物。
用語解説
表の世界(アルファ)
現在の私たちが生活している世界のこと。スマートフォンといったハイテク機器が身近にある、現代的なライフスタイルが特徴的。建造物は裏の世界のそれよりモダンで、喫煙が許されている。
裏の世界(プライム)
90年代初めにインフルエンザが大流行し、4年間で人口の7%が減少。都市部の人口も激減した。それ以降、表の世界と大きな違いが生じるようになる。
現在は食用の豚の飼育やタバコの販売が禁止されている。政府は公衆衛生に対する厳しい監視を行っており、医療技術は表の世界よりもはるかに進んでいる。
交差点
表の世界と裏の世界を繋ぐ通路。1987年頃に発見されたと言われている。ハワードが勤務するビルがその場所にあたる。税関のように、身元確認とパスポートチェックが必要。地下に「中間地帯」と呼ばれる中立の領域がある。
インディゴ
裏の世界の局の過激派たちが、表の世界への「秘密工作」を目的として作ったスパイ養成学校。子どもの頃からスパイとしての訓練を受け、表の世界へ送り込まれる。
シャドウ
〈インディゴ〉で養成され、表の世界へ送り込まれるスパイの名称。表の世界の自分と入れ替わるため、子どもの頃から表の世界の自分に関する情報を叩き込まれ、同じ身体状況を維持することを求められる。
ケース
執行部たちが会話するために使用している通信機器。ある理由から互いに会うことを避け、通信機器で連絡を取り合っている。
各話のあらすじ(ネタバレ有)
交差点の通路が閉じられ、こちら側の交流局はチェックが厳しくなる。税関の地下には刑務所が設けられ、向こう側から合法的にこちらへ渡ってきた外交官や役人たちも全員拘留される。
執行部は局内に潜むスパイを一掃すべく、クエイルのパートナーとして元FBIのスパイ狩りエキスパート、ナヤ・テンプルを戦略部に配属させる。局員同士を監視させ、何かあれば密告させようとするテンプル。
クエイルは逃亡中の元大使ランベールを見つけろと命じられるが、密かにクレアに情報を渡してランベールを逃がしたのは彼自身だった。互いの妻を守るため協定を結んだ裏ハワードとクエイルは、テンプルのやり方に身の危険を感じ、彼女に“情報”を与えて気を逸らさせようとする。
クエイルはクレアから提供された情報をもとに、エドガー・ブラントという配達人を捕まえる。エドガーは〈インディゴ〉から預かった荷物をザクロウの倉庫に届けたと証言し、税関の刑務所内で殺される。
テンプルに情報源を探られたクエイルは、自力で始末をつけることを決意。何かあったときのために、クレアの正体と自身の不正行為について告白した音声をレコーダーに残して金庫に保管する。
昏睡状態から目覚めたエミリーは退院するが、記憶があいまいな上に失語症にも悩まされていた。エミリーは事故に遭ったときのこと、戦略部で仕事をしていたこと、不倫をしていたことを思い出す。
「昔の自分のことが好きじゃない」と話すエミリー。ハワードは初デートの話をして「初めからやり直そう」と彼女を励ます。
〈インディゴ〉から逃亡したミラとアルドゥス。子どもたちを見捨てた罪悪感に悩むアルドゥスに対し、使命を遂げることしか頭にないミラは執行部メンバーを訪ね、ケースを手に入れようとする。
ハワードは裏世界の交流局に拘留され、尋問官のオスマンからエミリーが昏睡から覚めたこと、彼女が裏ハワードと長年やりとりをしていたことを知らされる。そんな中、閉じられていたドアが一瞬開き、表世界の執行部から提案が届けられる。
裏世界の執行部は裏エミリーを4階に呼び出し、戦略部副部長に任命する。裏エミリーはその場で〈インディゴ〉のリーダーがミラという女性であること、両世界の執行部は以前からミラの活動について把握していたことを知らされる。
表世界の執行部は、ミラを引き渡せば再びドアを開け外交を再開すると提案。裏エミリーはミラを探して始末するよう命じられる。裏エミリーは拘留中のハワードと面会することを許されるが、ハワードは妻エミリーが自分の昇進を邪魔していたと知り動揺していた。
裏エミリーはかつて自分も夫と娘を守るために同じことをしたと語り、ハワードに真実と向き合うべきだと告げるが、混乱したハワードは「二度と来ないでくれ」と裏エミリーを追い返してしまう。
エミリーはイアンの手を借りて、ミラとアルドゥスの隠れ家を突き止める。だがミラは不在で、逃亡したアルドゥスは屋上から身を投げて自殺を図る。隠れ家にはエミリーに関する書類があり、表のエミリーが裏世界へ来ていたこと、彼らが以前から表エミリーを監視していたことがわかる。
尋問官のオスマンはハワードを手に負えない者と判断し、エコーへ送るよう誘導する。オスマンはミラと繋がっており、エコーに送ることはミラの希望だった。
裏ハワードはセクション・ツーの同僚レミーに呼び出され、彼らの隠れ家に拘束されているボールドウィンと再会する。命の危険に怯えるレミーたちは、ランベールを見つけ出してこちらの世界と取引しようと考えていた。裏ハワードはボールドウィンを逃がすため、レミーたちにランベールを見つけ出すことを約束する。
イアンは裏エミリーからミラと繋がっている古い家の調査を任されるが、家の主は既に殺されていた。イアンは家の庭に埋まっていたケースを発見する。
裏エミリーは自身の記録簿に載っていたリチャード・ラングストンに会いに行き、表の世界のエミリーが接触していたことを知る。エミリーはインフルエンザの原因が90年代初めに表の世界で行われた生物学的実験だと知り、その報告書を執行部に提出していた。ラングストンは「執行部には気をつけろ」と忠告する。
テンプルはエミリーを訪ね、彼女が事故に遭う前に何をしていたか聞き出そうとする。エミリーは「もうひとつの世界へ行ったことがある」と言うが、断片的な記憶だけで目的まではわからなかった。だがアルドリッチが死んだことを知らされたエミリーは、彼はシャドウではないと断言する。
クエイルはクレアに盗聴器を仕掛け、ランベールとの会話を盗聴。チームを率いて偽造ビザ業者のオフィスへ乗り込むが、狙撃されて部下1人を失う。帰宅したクエイルはクレアを責めるも、彼女はランベールが仕掛けた罠だと告げる。そこへ裏ハワードが現れ、互いにとって邪魔な存在のランベールをどうするか話し合おうと持ちかける。
エコーに送られたハワードは、表の世界とは別人のように気さくな裏クエイルに出会う。エコーには裏ハワードに陥れられたマルセルらがいた。マルセルは別人とは気づかず、ハワードを痛めつけて報復する。
裏エミリーは少女時代に母親と訪れたコテージを訪ね、古い教会の近くで「秘密の隠し場所」を見つける。そこには自分の筆跡で書かれたメモや、オスマン・パラシュの写真が〝機密文書〟として保管されていた。
裏ハワードはクエイルとクレアにランベール抹殺計画を持ちかけ、ボールドウィンにランベールを殺させる。ボールドウィンは逃亡を阻むレミーたちをやむを得ず殺してしまう。
エミリーは“ブリキの太鼓”という本を図書館に返しに行き、自分のほかにもその本を頻繁に借りている人物がいることを知る。1時間後、“ブリキの太鼓”を借りにきたのはランベールの分身だった。エミリーはランベールが情報源だったことを知り、テンプルに報告する。
イアンは古い家の庭に埋められていた執行部のケースを友人のモリッツのもとに持ち込み、情報を取り出して欲しいと頼む。だが後日、モリッツは殺されケースはオスマンに奪われてしまう。
エコーに送られたハワードは、ヤネクが2つの世界の分岐点を探していることを知る。ヤネクはハワードが堕落した父親を許容する裏で、実は背を向けていたことを指摘し、その瞬間に分身が解放されたのだと話す。ハワードは偽善ではないことを証明すべく自分に敵意を向けるマルセルに優しく接するが、激しく拒まれる。
クレアはランベールの隠れ家でポープとランベールの会話を録音したデータを見つける。2人の会話を聞いたクレアは、インフルエンザで死んだと思っていた両親が〈インディゴ〉に殺されていたことを知ってショックを受ける。ミラは外交官の娘であるクレアを〈シャドウ〉にするために両親を抹殺していたのだった。
テンプルに呼び出されたクエイルは、殺したはずのランベールと対面し動揺する。
ケースを奪われたイアンは、執行部に対する裏切りを責められる。イアンは10年前に表の世界から裏の世界に逃げ込み、執行部と取引をして新しい身元を与えられていた。執行部は裏エミリーが逸脱した捜査を行っているのではと懸念し、イアンに裏エミリーを連れてくるよう命じる。
地下に保護された裏ランベールは、何年も前から表ランベールと情報を共有していたことを明かす。クエイル夫妻の秘密を知る裏ランベールは、クエイルに大金を要求し取引を持ちかける一方で、テンプルに「全スパイのリストがある」と同様に取引を提案する。
クエイルは裏ハワードに事情を伝え、密かに裏ランベールの暗殺を依頼。裏ハワードは盗んだ銃を手にして裏ランベールのもとへ向かうが、既に何者かによって殺されていた。テンプルは即座に局を封鎖し、犯人捜査を開始する。
裏ハワードがクエイルの指示で銃を盗んだことを知ったテンプルは、裏ハワードにすべて打ち明けるよう迫る。テンプルはクエイルが保身のためにアルドリッチを〈シャドウ〉に仕立て上げたことに気づいていた。
裏ハワードはクエイルに自殺を勧める。覚悟を決めて銃を手にしたクエイルの前に秘書が現れ、自分を〈シャドウ〉だと証言するよう言い残して命を絶つ。クエイルが録音した告白の音声は秘書によって処分されていた。駆けつけたテンプルに、クエイルは秘書が〈シャドウ〉だと告げる。
クレアは幼なじみのスペンサーと再会。スペンサーはクレアが表の世界に来たときからずっと見守っていたと語り、2人は一夜を共にする。
一方、エコーにいる表ハワードは、ヤネクから「世界が2つになる原因を作ったのは私だ」という告白を受ける。そこへミラとオスマンが現れエコーを襲撃。ミラは父ヤネクを拉致して立ち去る。
銃撃のさなか、思わず銃を手に取り人を撃ってしまうハワード。ミラを追跡していたエミリーが現れ、ハワードを連れてエコーを出る。
1987年東ベルリン。ヤネクは反体制活動をする息子ライナーを守るために、家族で西へ脱出しようとしていた。だが研究所での作業中、致命的なエラーで2つの世界ができる原因を作ってしまう。
もうひとつの世界、もうひとりの自分の存在を知った2人のヤネクは、研究に没頭する。2つの世界は何もかも同じだったが、ヤネクは実験のためにわざと違いを生み出し混乱を引き起こそうと考える。
ヤネクは交差点のあるビルを閉鎖し、マーティン、ジュマ、イルセ、フォルカーの4人の専門家たちとチームを作る。向こう側の5人も合わせた計10人は互いに信頼し合う仲間となり、実験は飛躍的に発展する。
ある日、ヤネクの家に警察が押しかけ、ライナーがてんかんの発作を起こして死んでしまう。だが“向こう側”のライナーは生きていた。世界は完全に分かれ、ヤネクは温かい家庭を求めて密かに“向こう側”へ通うようになる。
1989年、ヤネクたちは交流のための新しい研究機関を作る。扱える秘密のレベルをフロアで分け、4階は自分たちだけの場所とする。1990年、ヤネクは2つの世界で免疫システムが違ってきていることに気づき、向こうにだけ影響を及ぼすウイルスを作る。
裏ヤネクとの関係はますます悪化。ヤネクは自分よりも優位に立つ裏ヤネクを妬み、言い争いの末に殺害。その現場を“こちら側”の娘ミラに見られてしまう。マーティンたちはヤネクを囚人として“向こう側”へ引き渡す。
ヤネクが作った「ミュンヘン・ウイルス」は“向こう側”の世界に放たれ、インフルエンザが流行。両世界の信頼関係は消え失せてしまう。執行部のメンバーは身を守るために今後会わないことを誓い合い、それぞれケースを手にして交流局を去っていく。
エコーからヤヌクを拉致したミラは、ケースを使って執行部にメッセージを送る。ミラの望みは交差点を永遠に閉じ、戦争を終わらせることだった。
ミラはヤヌクとともに降伏することを約束し、執行部全員に会いたいと告げる。
ミラのメッセージを受け取った裏の世界のマーティンたち執行部3人は、表の世界にメッセージを送り、執行部同士の対面を打診する。
クエイルは5年前から秘書のミラ・カステルと不倫関係にあったと嘘をつく。テンプルはエミリーを呼んでミラの死体を見せ、彼女が〈シャドウ〉かどうか確認させるが、エミリーは「シャドウはクエイルに近い人間」ということ以外、はっきりとは思い出せない。
裏ハワードの正体に疑問を持つテンプルは、エミリーと裏ハワードに警護をつける。裏ハワードはテンプルに脅威を感じ、エミリーは恐ろしいことがまた起こる前に記憶を呼び起こさなければと焦っていた。
一方、ハワードと裏エミリーはミラがヤヌクの娘で、執行部が2つの世界の分身同士であること、ヤヌクがその一員だったことに気づく。裏エミリーはイアンに助けを求めるが、イアンはヨークを連れて現れる。銃撃戦の末、裏エミリーは撃たれたハワードを連れて車で逃走する。
クレアはスペンサーに呼び出され、かつて〈インディゴ〉で学んだ仲間たちと再会する。スパイとしての人生に疑問を持ち始めたクレアは、ミラを正義と信じて疑わないスペンサーに違和感を覚える。
クエイルはすべてを断ち切るためクレアと子どもを連れて逃げることを決意。裏ハワードがクエイルの家を訪れるが、既に3人は姿を消した後だった。クレアは裏の世界で〈インディゴ〉として使われていた建物にクエイルを連れて行く。
裏エミリーは撃たれたハワードを田舎のコテージに連れて行き、医者である娘のアンナを呼んで手当をさせる。アンナに自分たちはスパイだと告げる裏エミリー。アンナはこれまでの疑問が解消したと言い、幼い頃、母と一緒にこの場所に来たことを思い出す。だがそれは表の世界から渡航してきたエミリーだった。ハワードは表世界に戻るため、執行部と取引することを決意する。
昔の記憶を取り戻しつつあるエミリーは、流産で亡くした娘アンナに会うため、何度も向こう側へ渡っていたことを思い出す。エミリーは裏ハワードを夫だと思い込み、2人はベッドを共にする。だがその夜、〈インディゴ〉が差し向けた殺し屋が現れ、裏ハワードが殺し屋を始末するところを目撃したエミリーは、夫の正体に気づき部屋から追い出す。
〈インディゴ〉の隠れ家だった建物に逃げ込んだクエイルとクレア。クエイルの説得で洗脳が解けたクレアは、インディゴがウイルスを使って表世界を征服しようとしていることを知り、クエイルと共にテンプルに会いに行く。
ハワードと裏エミリーは交流局へ戻り、執行部と取引することを選ぶ。だが、表世界の職員が重要な情報を持って接触してきているということで、裏エミリーが面会することに。その職員とはエミリーだった。
エミリーは、夫だと思っていた男が裏ハワードだったこと、執行部同士の会合はミラが仕掛けた罠で、彼女は計画の最終段階を実行に移そうとしていることを告げる。
エミリーは昔、裏世界のインフルエンザ流行に自分たちの側が加担していたという証拠を見つけたが、上に相談しても相手にされず、昇進のために沈黙することを選んだと明かす。その間にミラは〈インディゴ〉を作り、エミリーの報告書を利用してテロリストを養成していたのだ。
エミリーが密かに娘のアンナと会っていたことを非難する裏エミリー。エミリーは本心では子どもを望んでいなかったことを明かし、子育てをする裏エミリーが羨ましかったと白状する。「夫を返してほしい」というエミリー。
ハワードは裏エミリーに別れを告げて交差点を通り、元の世界へ戻る。そこには妻エミリーが待っていた。
ミラはヤネクと一緒にいるところをイアンに連行され、拘束される。ヤネクは交流局の4階で執行部の仲間たちと再会。交差点を閉じるべきだと主張するが、彼らは自分たちの過ちを認めようとしない。
投獄したミラを監視していたイアンは、向こう側で殺された妻ノミの分身を人質に取られ、「ミラと引き換えだ」とテロリストに脅迫される。解放されたミラは4階へ行き、ヤネク以外の執行部メンバーを皆殺しにする。
テンプルに〈シャドウ〉であることを打ち明けたクレアは、テロリストたちがどうやってウィルスを撒くのか聞き出すため、盗聴器を付けてスペンサーの職場へ向かう。だが盗聴器に気づいたスペンサーに追われ、地下道で捕まってしまう。そこへボールドウィンと裏ハワードが現れ、2人を拘束する。
執行部に成り済ましたミラは、ケースを使ってメッセージを流し、24時間後に交差点を永遠に封鎖すると宣言。裏エミリーは、イアンがミラを逃がしたことを知る。
ボールドウィンと組んだ裏ハワードは、クレアとスペンサーを監禁。2人からミラの計画を聞き出す代わりに自由を保証してほしい、とテンプルに取引を持ちかける。クレアは裏ハワードに命じられてスペンサーを説得し、仲間たちがポツダム郊外にあるミラの小屋に集まっていることを聞き出す。
表世界に戻ったハワードは、交流局で厳しい尋問を受ける。エミリーとともに自宅に戻り、自分たちの今後について話し合うが、やり直せる自信が持てない。そこへ裏ハワードが現れ、ミラの計画が進んでいることを告げる。
エミリーとハワード、裏ハワードはテンプル率いる部隊と合流し、エミリーの案内でポツダム郊外にある小屋へ向かう。小屋には爆弾が仕掛けられており、残っているのはエセルひとりだけだった。エセルの説得にあたるエミリー。彼女はここで自爆することを命じられたが、できなかったと話す。
〈インディゴ〉の仲間たちは注射をうってウイルス保有者となり、ウェストバーンホフ駅から11時の列車で方々に散らばることになっていた。情報を聞き出したエミリーがエセルを連れて小屋を離れようとした瞬間、小屋が爆破され、エミリーは爆発に巻き込まれる。
救急車で病院へ運ばれるエミリーだったが、出血多量で亡くなる。ハワードは裏ハワードに銃を向け、エミリーを死に向かわせた責任を問うが撃つことができない。ハワードからエミリーが残したメモを受け取った裏ハワードは、ウェストバーンホフ駅でテロリストたちを皆殺しにする。
ウイルス拡散は食い止められ、裏ハワードとボールドウィンは拘留者たちとともに向こう側に戻り、交差点は閉鎖される。テンプルは潜んでいるインディゴの残党を見つけ出すため、クレアに協力を依頼。クレアはクエイルの復職を要求する。
復職したクエイルは拘束されているスペンサーと会い、クレアが分身を殺したことに気づくが、それをクレアに確かめることができない。2人は娘の名前を“スペンサー”からほかの名前に変えようと話し合う。
裏エミリーはイアンがつけた発信器により、ミラの居場所を突き止める。帰宅したミラは裏エミリーが仕掛けた致死量の薬で殺される。テンプルはハワードに戦略部に戻らないかと提案するが、ハワードは「妻が望んでいない」という理由で断る。
ヤネクは結婚して母親になっている娘のミラと再会。孫を連れて公園に行くが、体調の異変に気づく。ヤネクは眠っている間にミラにウイルスを注射されていた。公園で意識を失うヤネクの周りに、子どもたちが集まってくる。
感想(ネタバレ有)
2つの世界を生んだ人間の罪
面白かったーーー!!
シーズン3はキャンセルされたので物語はここで終わりなんだけど、もったいないなぁ。まだまだ続きを見たかったし、ネタはいくらでもありそう。
シーズン1では謎だらけだった2つの世界の秘密が、ほぼ解き明かされたシーズン2。圧巻は第6話でしたね。なぜ世界が2つにわかれ、ここまで対立するようになったのか、その経緯が描かれた回。
すべては科学者たちの「知りたい」という欲求から始まったことでした。
最初はまったく同じ世界。そこに「違い」を生み出したらどうなるか。それを試してみたい、世界を混乱させてみたいという欲求に耐えられなくなったヤネク。
娘にミュージックテープを贈るか、贈らないか。たったそれだけの違いが、やがてヤネクの息子の命を奪うことに繋がっていく、という流れは本当に怖かったし、まさに〝バタフライ・エフェクト〟でした。
タイムリープしてほんの少し過去を変えると未来はどう変わるか、というSFストーリーと似ているものがありますね。
個人的には「人知を越えた何か」が絡んでいるともっとワクワクしたんですけど、オカルト要素は一切なく、あくまでも「人間の罪」として描かれていました。
それぞれの結末
ハワード
裏の世界で投獄されるわ隔離されるわ撃たれるわ、さんざんでしたね~。ようやく戻ってきてエミリーと再会したのも束の間、エミリーは死んでしまうし…ほんと不憫。もう局には戻らないと言っていましたが、彼はまた厄介ごとに巻き込まれそうな気がしてならない。
裏ハワードが表でも裏でもみんなから嫌われて、居場所をなくしていくのに対し、表のハワードはどちらのエミリーからも愛され、求められていました。同じようで、同じではない2人。
でも、裏ハワードが駅にいたテロリストたちを皆殺しにするシーンは、鬼気迫るものがありました。エミリーを殺された冷たい怒りが彼を包んでいるのが見えるようだった。エミリーへの愛は本物だったと思う。
エミリー
優秀なスパイで、向こう側にも何度も足を運んでいたエミリー。インフルエンザ流行に表の世界が関与しているという証拠を見つけたり、密かに〈インディゴ〉の正体を追っていたり、裏の世界で娘のアンナと会っていたり、おそらく最も〝秘密〟を抱えていた人物。
彼女が交通事故に遭う前に、もっと早い段階で手を打っていれば、ここまでややこしくならなかったのでは?と思う。ほとんどの重要な事実は掴んでいたのだから。だから命を狙われることになったのだろうけど。
裏エミリーとハワードの別れのキスも切なかったです。娘のアンナも、裏ハワードが戻ってきたらガッカリだろうなぁ…。
クエイル
小心者で情けなくて虚栄心の塊でもあるクエイルでしたが、シーズン2のクエイルは好きだったなぁ~。クレアとの屈折した関係も、見ているうちに切なくなってきて、後半は心を揺さぶられました。
彼にとってクレアは〝ニセモノ〟だったはずなのに、いつしか〝ホンモノ〟になっていたことに気づくクエイル。自分に死が迫ったとき、彼が「愛してる」とクレアに残した留守電のメッセージが本当に泣けた。
クレアが分身(もともとクエイルが愛したクレア)を殺したことに気づきながらも、それを確かめる勇気がなくて先送りするところが小心者のクエイルらしい。
クレアとの夫婦関係はこれからも大変そうだけど、なんとかやっていけるんじゃないかしら。まぁ「スペンサー」という娘の名前は早々に変えた方がいいですね。
クレア
シーズン1の後半からずっと彼女にクギヅケです。ずっと見ていられるくらい、素晴らしいキャラクターだった。
インフルエンザで亡くなったと思われていた両親は、実はミラが手を回して殺害していたことが判明。その真実に気づいたときから、クレアの中の〝確固たるもの〟が崩れていきました。
初恋の人スペンサーにその代わりを求めようとしましたが、彼もまた昔の彼ではなく、ミラによって洗脳されていました。拠り所を失ってさまようクレア。
そんな彼女の心に届いたのが、クエイルの「愛してる」だった。
最後は〈インディゴ〉を裏切り、テンプルに協力してミラの最終計画(ウイルスをばらまいて交差点を閉じる)を阻止しました。
クレアの要望でクエイルは復職しましたが、これからもなんだかんだありそうですよね。
スペンサー
クレアの初恋の人でしたが、再登場時はミラに洗脳されたテロリストになっていました。でもクレアに対する気持ちは本気だったみたいです。
彼女の説得に応じてミラの計画を打ち明け、その後は表の世界に拘留されたまま、交差点が封鎖されました。彼、どうなるんでしょうね。
ボールドウィン
シーズン2では影が薄かったボールドウィン。愛する人グレタに去られたショックもあり、殺し屋稼業をやめてもう一度バイオリンを始めようとしていましたが、ハワードに「俺たちは変わらない」と言われて協力することに。
クレアが助かったのは、スペンサーに追われていたとき彼女と裏ハワードが現れて拘束してくれたおかげなので、結果的にはよかったのですが。
最後は裏ハワードと一緒にもとの世界にもどることになりました。向こう側に帰ったら、裏ハワードとは手を切って新しい人生を送ってほしいです。
イアン
シーズン2の後半で意外な過去が明らかになりました。突然だったので、これにはびっくりしましたね~。
イアンの本名はウェズリー・ピアース。もともとは表の世界の住人でしたが、スパイであることを妻に打ち明けたがために妻は殺され、「それくらいの秘密も守れないヤツは用無しだ」と局からお払い箱にされたという経緯が。
表の世界の戦略部が人員補充するというので、高額で買い取られイアン・ショウとして生きることを余儀なくされました。裏の世界にいた分身はインフルエンザで亡くなっていたので、本名を名乗れなかったんですね。
ウェズリー・ピアースとしての人生をずっと引きずっていた、と最後にエミリーへの手紙で打ち明けたイアン。名前も生きる世界も変えて別人になろうとしても、なりきれなかったということでしょう。
最後はミラに脅されて(裏の世界でほかの男と結婚している妻を殺すと言われた)彼女を逃がしますが、発信器を付けて裏エミリーに報告しました。
ミラ
〈インディゴ〉のリーダーで、表の世界にテロを仕掛けた張本人。科学者ヤネクの娘なのですが、よくわからない点が多い。
第5話でクエイルの代わりに死んだ秘書、彼女も「ミラ」という名前でしたよねぇ? わたしはてっきり、彼女がミラの分身だとばかり思っていました。
ところが最終話で解放されたヤネクは、娘のミラと再会していました。どういうこと? ややこしいので整理してみます。
- 〈インディゴ〉のリーダー・ミラ
裏の世界の住人。ヤネクの娘ミラの分身と思われる。ヤネクに父(裏のヤネク)を殺され、ヤネクと執行部に復讐するためテロリストになった? - 母親として暮らしているミラ
表の世界の住人。ヤネクの本当の娘と思われる。ヤネクが裏の世界の分身を殺して表の世界を去って以来、会っていない。
秘書のミラは、名前が同じというだけで別人だったんでしょうか? あと、ヤネクはどうやって表の世界に戻ってきたんですかねぇ。
ミラの最終計画は、表の世界にウイルスをばらまいて交差点を閉じる、というものでしたが、テンプルたちの活躍で阻止することができました。
ミラはイアンがつけた発信器によって裏エミリーに追跡され、自宅で殺害されました。以前、裏エミリーがやられたのと同じ方法で。
意外とあっけなく死んだなぁ、と思っていたら、最後にやってくれましたね。ヤネクへの復讐が強烈でした。
ヤネク
世界を混乱に陥れた元凶。彼(と分身)が誘惑に負けて2つの世界を実験台にしたばかりに、取り返しのつかないことに。
ヤネクが父親(裏のヤネク)を殺すところを目撃したうえに、周囲に真実を訴えても信じてもらえなかった少女時代のミラは、精神的に深い傷を負ったのだと思う。テロリストのミラを生み出したのも、ヤネクだと言える。
第9話でミラは執行部のメンバーを集めて皆殺しにした後、ヤネクを解放し、娘に会いに行くよう促しました。優しさではなく、復讐のために。
ミラの復讐計画は、
- 〈インディゴ〉のスパイたちを表の世界に送り込んでテロを実行する
- ヤネクを人質にとり、執行部のメンバーを集めて全員抹殺する
- スパイをウイルス保有者にして表の世界にウイルスをばらまかせる
- 交差点を永遠に封鎖する
- ヤネクをウイルスに感染させる
という流れだったんですね。
③のウイルスばらまき作戦はテンプルや裏ハワードたちによって阻止され、ミラの計画は失敗したかのように見えましたが、ヤネクにウイルスを仕込んでいたことが最後の最後に判明。
ウイルスに感染し、公園で倒れたヤネクに駆け寄る子どもたち。ラストシーンの怖さといったらなかった。
勝利したのはミラ……なのかもしれない。
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