ネタバレ「両刃の斧」全話あらすじ・感想・キャスト

WOWOW「両刃の斧」あらすじキャスト

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WOWOWの連続ドラマ「両刃の斧」(全6話)についてまとめました。

15年前に娘を殺された元刑事と、迷宮入りとなったその事件を再捜査する現役刑事が、ぶつかり合いながら真相を解き明かしていく心揺さぶるミステリードラマ。原作は大門剛明氏の同名小説。

引退した元刑事を柴田恭兵さんが、彼を師と仰ぐ所轄刑事を井浦新さんが演じます。

作品概要

  • 放送局:WOWOW
  • 放送時間:2022年11月13日(日)から毎週日曜22:00~ほか
  • 原作:大門剛明『両刃の斧』
  • 脚本:鈴木謙一
  • 監督:森義隆
  • 音楽:大間々昂

あらすじ

捜査一課の刑事・柴崎の娘が刺殺体で見つかる事件が発生。警察組織を挙げての懸命な捜査が続けられるが、事件は迷宮入りとなった。しかし、事件から15年後、未解決事件の再捜査を専門とする専従捜査班が立ち上がったことで事態は急転。現場には不審な点が多く一向に進展しなかった捜査だが、事件を洗い直す中で犯人と目される「ある男」の存在が判明し、柴崎の後輩刑事・川澄らが動きだす。

一方、独自に真相を追う柴崎だったが、1本の電話をきっかけに、彼自身に「ある嫌疑」が掛けられることに……。疑念が渦巻く中、真相を追う川澄がたどり着いた真相とは?誰もが予想し得ぬ衝撃の結末が待ち受ける!

WOWOW公式サイトより

原作について

このドラマの原作は、大門剛明氏の『両刃の斧』(2019年刊行)です。

登場人物(キャスト)

※第1話のネタバレを含みます

川澄成克(井浦新)
弥生署の刑事。柴崎との出会いがきっかけで警察官となり、現在も家族ぐるみの付き合いをしている。15年前、管轄内で柴崎の長女・曜子が刺殺される事件が起き、捜査を担当するものの解決には至らなかった。未解決事件専門の専従捜査班が再捜査を行うことになり、捜査に加わる。

柴崎佐千夫(柴田恭兵)
元県警捜査一課の刑事。15年前に長女・曜子を何者かに殺害され、次女の和可菜も白血病で失っている。重い病を患う妻の看病をしながら、現在も1人で犯人探しを続けている。

柴崎三輪子(風吹ジュン)
柴崎の妻。重病を患い入院中。川澄の娘・日葵の婚約を喜ぶが、余命2か月と宣告されてしまう。

川澄多映子(高岡早紀)
川澄の妻。刑事の妻として気丈に家族を支える。柴崎家とは家族同然の付き合いで、2人の娘を喪った柴崎夫婦を常に気にかけている。

川澄日葵(奈緒)
川澄の一人娘。家庭を省みない父親に反発しながら、自身も警察官となった。現在は実家を出てアパート暮らし。県警本部の刑事・山田と交際している。柴崎家とは幼い頃から親しくしていたため、曜子や和可菜を姉のように慕っていた。

山田太士(坂東龍汰)
県警本部捜査一課の刑事で、日葵の婚約者。事故でシングルマザーだった実母を亡くし、養父母のもとで育った。

梶野彬(波岡一喜)
県警本部の刑事で、専従捜査班の班長。有力なネタをつかみ、15年前の事件の再捜査を始める。川澄の同期で、要領がよく計算高い人物。捜査に私情を挟む川澄を咎める。

沢木美織(高橋メアリージュン)
専従捜査班のメンバー。科捜研出身のやり手の刑事。15年前の事件を再捜査するにあたって、当時事件を担当した川澄に協力を仰ぐ。

柴崎曜子(見上愛)
柴崎の長女。保育士。15年前、一人暮らしをしていたアパートの自宅で刺殺体で発見された。

柴崎和可菜(長澤樹)
柴崎の次女。曜子の死後、17歳の時に白血病で他界した。

青山陽太(宇野祥平)
交番勤務の巡査。15年前、アパートの住人からの通報を受けて現場に駆けつけ、曜子の遺体を最初に発見した人物。再捜査が始まった直後、犯人の名前を記した遺書を残して自殺する。

森下竜馬(黒田大輔)
元警察官。23年前、在職中に酒気帯び運転で死亡事故を起こして懲戒処分を受けた。現在は派遣社員として自動車工場に勤務している。脅迫やストーキングなど、数々の犯罪行為が明らかになる。

白井哲史(ルー大柴)
青山巡査の叔父。元警視正。15年前の事件当時、県警の捜査一課長だった。

塚越明美(手塚理美)
被害者支援センターの相談員。定期的に自助グループの会合を開き、犯罪被害者を受け入れている。

各話のあらすじ(ネタバレ有)

2004年。県警捜査一課の刑事・柴崎(柴田恭兵)と所轄刑事の川澄(井浦新)は、15年前に出会って以来、家族ぐるみの付き合いを続けてきた。川澄にとって柴崎は、自分の人生を変えた恩人でもあった。
ある夜、柴崎の長女・曜子(見上愛)が一人暮らしをしていたアパートの部屋で、刺殺体で発見される。「らくだのような目をした男」が部屋から出てくるところをアパートの住人が目撃していたが、犯人逮捕に至らぬまま15年が過ぎる。
柴崎は警察を辞め、入院中の妻・三輪子(風吹ジュン)の看病をしながら静かな余生を過ごしていた。川澄の一人娘・日葵(奈緒)は警察官となり、県警本部捜査一課の巡査部長・山田太士(坂東龍汰)と婚約する。
そんな中、未解決事件を専門とする専従捜査班が15年前の事件を再捜査することが決まる。班長は川澄の同期で、かつての柴崎の部下・梶野(波岡一喜)だった。再捜査のきっかけとなったのは、曜子がストーカー被害に遭っていたという新たな情報が入ったためだった。
川澄は15年前に通報を受けて対応していた警官・青山陽太(宇野祥平)に話を聞くため、彼が勤める交番を訪ねるが、青山は川澄の目の前で拳銃自殺を図る。

自殺した青山は、自らの罪を告白する遺書を残していた。彼は“らくだ男”の正体を知っていたにも関わらず、ある人物に命じられ、15年間隠し通してきたという。遺書には、元警察官の森下竜馬(黒田大輔)が“らくだ男”であることが記されていた。
専従捜査班に入るよう命じられた川澄は、沢木(高橋メアリージュン)とともに森下の身元を調べ始める。森下の知人らに聞き込みを行ううち、脅迫やストーキングといった彼の異常な行動が明らかになる。
柴崎から青山の自殺の理由を聞かれるも、答えることができず苦悩する川澄。さらに柴崎の妻・三輪子が余命2か月と宣告されたことを知り、心を痛める。
柴崎は三輪子の代わりに犯罪被害者の会合に参加する。そして未だに捕まらない犯人への怒りと憎しみを明かし、「このまま妻を死なせるわけにはいかない」と苦しい心の内を吐露する。そんな柴崎のもとに、「犯人を教えますよ」という不審な電話がかかってくる。

川澄は沢木とともに、15年前の事件の唯一の目撃者・岡田光樹を訪ねる。森下の写真を見せると、岡田は「この人で間違いない」と断言する。これで森下を逮捕できると奮い立つ川澄だったが、そこへ柴崎から連絡が入る。すぐに様子がおかしいことに気づくが、柴崎は話をごまかして電話を切る。
署に戻った川澄は、ひなた公園で変死体が見つかったという報告を受け、現場に駆けつける。遺体は森下だった。
その頃、柴崎は血まみれのナイフを手にして逃走していた。

森下の死亡推定時刻は午後10時30分から11時と判明。川澄は同じ頃に柴崎からかかってきた不可解な電話のことが気になり、妻の多映子(高岡早紀)や日葵とともに柴崎の家を訪ねる。
しかし自宅はもぬけの殻で、テーブルの上には傷の手当をした痕跡が残されていた。多映子は柴崎から「三輪子を頼む」という留守電が入っていたことを話す。
川澄は事件現場付近の聞き込みを行い、黒いマウンテンパーカーを着た若い男が森下の家の様子をうかがっていたという目撃証言を得る。
柴崎ではなかったことに安堵する川澄だったが、捜査一課の刑事で日葵の婚約者でもある山田が防犯カメラの映像を入手、そこにはナイフを手にした柴崎の姿が映っていた。柴崎宅を家宅捜索した結果、森下の殺害現場に残された血痕は柴崎のものと判明する。
川澄のもとに、逃走中の柴崎から「もう少しだけ待ってくれ」という連絡が入る。山田は柴崎が自首してこない理由について、まだ復讐が終わっていないからではないか、と推測する。
専従捜査班は森下の自宅を捜索、パソコンのデータから曜子の殺害直後と思われる画像が見つかる。さらに、自殺した青山巡査の叔父で元警視正の白井哲史(ルー大柴)が現役時代に捜査費用を不正流用していたことを示す会計データも見つかり、森下が白井を強請っていたことが判明する。
弱みを握られていた白井は、森下が起こしたトラブルや犯罪行為のもみ消し・隠蔽工作を20年以上にわたって行ってきたのだ。青山を口止めしたのも白井だった。
川澄と山田は、柴崎が復讐の標的として白井を狙っていると考え、彼を警護することに。そこへ柴崎が現れ、白井に襲いかかってナイフをかざす。説得を試みる川澄だったが…。

白井に襲いかかった柴崎は、殺人未遂容疑で現行犯逮捕される。だが柴崎が手にしていたナイフは、森下の遺体の傷と一致しなかった。森下殺害については不明瞭な点が多く、川澄は柴崎から真実を聞き出そうとするが、柴崎はなぜか完全黙秘を貫く。
日葵は結婚式の準備を進めようとするが、山田は柴崎のこともあり前向きになれない。彼は実の母親が目の前で轢き殺されたことを日葵に打ち明け、柴崎の気持ちがよくわかると語る。
そんな中、柴崎の元同僚から、ある情報が寄せられる。森下が殺害された夜、柴崎からDNA型鑑定の精度について確認する電話がかかってきたというのだ。川澄と沢木は凶器に別の誰かの血液が付着していた可能性を考え、柴崎が共犯者をかばっているのではないかと推測する。
どうにかして柴崎から供述を得ようとする川澄。だが、妻・三輪子が危篤状態に陥ったという知らせを受けても、完全黙秘を貫く柴崎の態度は変わらなかった。
一方、15年前の殺人事件を追う沢木は、森下が盗撮したビデオ映像の中から、曜子が当時付き合っていたと思われる恋人が映り込んでいる映像を見つけ出す。そこに映っていたのは、専従捜査班の班長・梶野だった。
川澄は梶野が森下殺害に関与していると考え、彼を激しく問い詰める。

梶野は15年前に亡くなった曜子との関係を、「恋人と名乗れるほどではなかった」と明かす。年齢が離れ、上司の娘でもあった曜子に対し、踏み込めなかったと語る梶野。曜子が当時ストーカーに狙われていたことにも気づけなかったという。森下殺害の動機がある梶野を共犯者と考えた川澄だったが、彼には事件当夜のアリバイがあった。
川澄は被害者支援センターの相談員・塚越明美(手塚理美)と会い、森下が過去に起こした人身事故の被害者遺族が山田太士であることを知り、激しく動揺する。その後、森下が殺された夜に彼の家の前で目撃されたマウンテンパーカーの男が、山田であることが判明する。
柴崎の家の近隣宅の庭から、森下殺害に使用されたナイフと彼の携帯電話が見つかる。川澄は森下殺害の共犯者として山田に疑いを掛けるが、ナイフに付着した指紋と血液は柴崎と森下のものだった。
日葵は「彼にどんな過去があっても、信じて一緒に生きていく」と決意を語り、川澄に事件の真相を明らかにしてほしいと頼む。川澄は山田と向き合う覚悟を決め、彼のアパートを訪ねて2人きりで話す。
23年前、山田の実母は森下につきまとわれ、轢き殺されていた。目の前で事件を目撃した山田は、事故ではなく殺人だと警察に訴えたが、取り合ってもらえなかったという。山田は真相を探り出すために警察官になったが、不正を裏付ける証拠は何一つ残されていなかった。
日葵と出会い、人生に希望を見出した山田だったが、母の死んだ顔がいつも頭から離れず、気がつけば森下の家の前にいるという。事件の夜も、窓に映る影を見て「いつかあいつを殺す」と言い聞かせ、自分を抑え込んでいたと打ち明ける。
山田は公園で柴崎が森下を殺害する場面を目撃していたが、自分が抱え込んでいる殺意を知られてしまうことを恐れ、通報しなかったと話す。どうしても柴崎の犯行とは思えず、「あの人はそんな人じゃない」という川澄に、山田は「あなたに何がわかるんですか?」と声を荒げる。
昏睡状態が続いていた三輪子は意識を取り戻し、「あの人、犯人じゃない」と叫ぶ。

川澄と多映子、日葵の3人は、意識を取り戻した三輪子に呼ばれて病室を訪ねる。三輪子は森下が曜子殺害の犯人ではないことを告げ、柴崎に伝えてほしいと15年前の事件の真実を語り始める。
三輪子の告白を聞いた川澄は、完全黙秘を続ける柴崎に対して最後の取り調べを行う。森下殺害に使用された凶器は、森下自身が持ち歩いていたナイフだった。事件当日、柴崎は森下に呼び出されて公園へ行き、そこで森下から15年前の事件の真相を示す音声データを聞かされたのだった。
川澄は森下のスマホに保存されていた盗聴の音源を再生する。そこに入っていたのは、帰宅した曜子と、妹・和可菜(長澤樹)の声だった。森下はそれをネタに柴崎を脅迫しようと、公園に呼び出したのだ。柴崎は森下を逮捕しようとしたが、彼はナイフを取り出して柴崎に切りつけ、ナイフを奪おうとした柴崎ともみ合いになって森下自身に刺さってしまったのだった。
柴崎は出頭する前に真実を確かめるべく、曜子の恋人だった梶野に密かに協力を依頼し、15年前の凶器を再鑑定させることにした。その一方で、娘の復讐を果たした殺人犯として逮捕されるよう、わざと防犯カメラに映り込んで逃亡の痕跡を残したのだった。
再鑑定の結果、曜子の殺害現場から、当時は見つからなかった和可菜の血液が見つかった。曜子を殺したのは和可菜だと知った柴崎は、余命僅かな妻・三輪子にその事実を隠すため、復讐を装って白井を襲い、逮捕されたのだった。
三輪子が死ぬまで真実を暴かないでくれと懇願する柴崎に、川澄は三輪子がすでに和可菜本人から打ち明けられ、事件の真相を知っていたことを明かす。
15年前、和可菜は塾の帰りに曜子の部屋に寄り、帰宅した姉を驚かせようと部屋の電気を消して隠れていた。ストーカーに悩まされていた曜子は気配に怯え、包丁を手にして部屋に入った。そして暗闇の中で落としてしまった包丁を和可菜が拾って立ち上がろうとしたときに、曜子の頸動脈を傷つけ死なせてしまったのだった。
三輪子は和可菜が病死する直前に事実を打ち明けられていたが、家族を守るために柴崎には真実を伝えないことを決めた。だがそのせいで柴崎が人を殺めることになったと、自分の選択を悔やんでいた。
柴崎は2時間だけ勾留の執行停止が認められ、三輪子の病室を訪ねる。そして「ずっと一緒に生きてこれて、本当に幸せだった」と告げる。三輪子は柴崎に見守られながら息を引き取る。
その後、森下殺害に関しては柴崎の正当防衛が認められ、無罪判決に。白井の殺人未遂についても殺意のなかったことが明らかになり、執行猶予付きの判決を受ける。
半年後。日葵は山田と結婚し、式を挙げる。披露宴には柴崎の姿もあった。川澄は一人で帰っていく柴崎を呼び止め、庭の畑仕事を手伝うと約束する。

感想(ネタバレ有)

久しぶりに最終話で泣きました。
ストーリーも良かったし、役者さんたちの演技も素晴らしかったです。

日葵の婚約者・山田がどのように事件に絡んでくるのかずっと気になっていたのですが、まさかそんなところで繋がっていたとは…。でも罪を犯していなくてよかった。「殺意をこらえる」ということがどれほどのことなのか、わたしには想像もできませんが、彼がそこまで追い詰められていたことにも涙でした。

梶野は曜子との関係を誰にも明かさず、この15年間ずっと彼女への想いを抱え込んだまま、犯人を追い続けてきのたでしょうね。その地道な捜査によってストーカー(=森下)の存在が浮上し、再捜査が決まったのだと思うと、胸が熱くなります。逃亡中の柴崎に協力することを決めたときも、辞職を覚悟していたんだと思います。最初のほう「ヤな奴」とか思ってごめん。

そして、悲しすぎる真実を自分ひとりの胸に秘めて生きてきた三輪子。家族を思っての選択だったけど、そのことが結果的には柴崎を苦しめることになってしまいました。2人で秘密を共有していれば、こんなことにはならなかったかもしれないけど、柴崎に伝えなかった三輪子の気持ち、少しわかる気がします。

三輪子を亡くし、とうとう独りになってしまった柴崎のその後を心配しましたが、立ち直ってくれてよかった。「野菜を作る」という、ただそれだけのことが、彼の中に「生きる」思いが残っていることを伝えてくれている。川澄が信じていたように、柴さんは強い人なんですね。

見てよかったと思える、いい作品でした。

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