ネタバレ解説「山賊のむすめローニャ」全話あらすじと感想|評価が分かれる理由

ドラマ「山賊のむすめローニャ」全話ネタバレあらすじ

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海外ドラマ「山賊のむすめ ローニャ」シーズン1全6話のあらすじと感想(ネタバレ有)です。

山賊の娘として生まれたローニャが父親や古い価値観に疑問を抱き、敵対する山賊の息子とともに新しい生き方を見つけ出そうとする成長物語。

本当に途中で終わってしまいました。続きはシーズン2で、ということですね。

本国スウェーデンで本作の評価が分かれている理由や、原作との違いについても解説します。

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「山賊のむすめローニャ」あらすじキャスト 「山賊のむすめローニャ」登場人物(キャスト)一覧・予告動画

各話のあらすじ

嵐の夜、山賊の首領マッティスとその妻ローヴィスの間に娘が生まれる。その直後、マッティス砦に雷が落ち、砦は真っ二つに裂けてしまう。マッティスたちはその裂け目を「地獄の口」と名付け、北側の砦は使わないことを決める。
子どもは「ローニャ」と名付けられ、両親と十数人の山賊仲間たちに愛されてたくましく育つ。
成長したローニャは森で遊ぶ楽しさを知り、毎日森へ出かけていく。森には人間を襲う灰色こびとや妖し鳥がいて、楽しさと同時に恐ろしさも存在していた。
一方、村ではヴァルディルが代官のハルヴェットをけしかけ、山賊を捕まえさせようとしていた。村へ来る商人の荷馬車がことごとく山賊に襲われ、食べ物が届かず、村人たちは飢えていた。
ハルヴェットはマッティスと対立する「ボルカ山賊」から賄賂をもらい、山賊行為を見逃していたが、ヴァルディルの圧力に屈してボルカ山賊の住処である洞穴を襲撃する。そして山賊は捕まえずに全員逃がし、洞穴に残された盗品を強奪する。
ある日、ローニャが「地獄の口」へ行くと、裂け目の向こう側に見たことのない男の子が立っていた。
男の子は「ビルク・ボルカソン」と名乗り、父親のボルカと母親のウンディス、そしてボルカ山賊たちが北側の砦に越してきたことを告げる。

マッティスからボルカ山賊の悪口を聞かされていたローニャは、勝手に砦の北側に越してきたビルクに怒りを覚える。
ローニャとビルクは裂け目を飛んで度胸試しをするが、ビルクが足をすべらせて裂け目に落ちそうになってしまう。ローニャは持っていた紐を使ってビルクを引き上げ、彼を助ける。
ローニャは初めて自分と同じ子どもに会えたことを喜ぶと同時に、それがボルカの息子であることに複雑な気持ちを抱く。
マッティスはボルカ山賊が北側の砦に越してきたと知り、激怒する。ボルカとは幼なじみで、かつて2人で北側の砦に繋がる入口を見つけたことを思い出すマッティス。
ボルカに跡取り息子がいたことを知って焦ったマッティスは、ローニャに山賊の仕事を教え込もうとする。
何も知らないローニャは、マッティスたちが荷馬車を襲って積荷を奪う山賊行為をまのあたりにし、ショックを受ける。そして「私は死んでも山賊にはならない」と泣きながらマッティスに告げる。
ヴァルディルは山賊を退治するため、悪徳代官のハルヴェットに代わりキャッパとその妹スマーヴィスを村に呼び寄せる。

代官のハルヴェットは、ボルカ山賊から奪った盗品をひそかに商人に流し、倍の値段で売らせて儲けを山分けする。
村で暮らす貧しい青年シェッゲは、妹のソルヴェとその赤ん坊のために食べ物を盗もうとしてキャッパに捕まり、さらし刑にされる。
偶然その現場を見たストゥルカスは、マッティスの許可を得てシェッゲに声をかけ、山賊の仲間に引き入れることに。
マッティスは北の砦に陣取るボルカ山賊を閉じ込めるため、火薬を爆発させて砦の入口を塞いでしまう。
ボルカたちは岩壁にはしごを下ろして出入りするしかなくなり、大きな獲物を狩っても運び入れることができず、食料事情が厳しくなる。
ローニャは森でビルクと出会い、2人で楽しい時間を過ごす。砦に戻ったローニャは、「いずれボルカ山賊は飢えてここから出ていく」とマッティスから聞かされるが、喜ぶことができない。
シェッゲはひそかに砦を出て、森の中でキャッパと落ち合う。

冬が来る前に狩りをし、ヘラジカを射止めて大喜びするマッティスたち。一方ボルカ山賊は、マッティスたちに馬を盗まれ、移動手段を失ってしまう。
キャッパはマッティスをおびきだすためにローニャを利用することを思いつき、シェッゲにローニャを連れてくるよう命じる。シェッゲはローニャに「しばらく森へ行かないほうがいい」と忠告する。
キャッパに代官の地位を奪われたハルヴェットは、山賊を捕まえたら復帰させてほしいとヴァルディルに直談判する。ハルヴェットはひとりで森に入り、妖し鳥に襲われて命を落とす。
季節は冬を迎え、ローニャは降り積もった雪におおはしゃぎ。毎日スキーを履いて森に遊びに出ていたが、ある日、着地に失敗して片足を雪の中に突っ込んでしまう。地中には「ずんぐり小鬼」の巣があり、片足が引っかかったまま抜けなくなる。
雪の中で動けず、ローニャが寒さに震えていると、目の前に妖し鳥が現れる。

妖し鳥に連れ去られそうになったローニャを、ビルクが助ける。ローニャは命の恩人であるビルクときょうだいの契を交わすが、翌日から本格的な冬が到来し、砦の外に出られなくなる。
翌日、熱を出したローニャは、なぜマッティスとボルカは仲が悪いのかと、ローヴィスに尋ねる。
ローヴィスは、かつて2人が親友で、親に隠れて会うほど仲が良かったことを明かす。だがある日、マッティスの父親に見つかり、マッティスは二度とボルカに会わないと約束させられたという。
そして後日、ボルカはマッティスを裏切り、2人の秘密の通路から兵隊を砦に引き入れたのだと。そのときにマッティスの母親が死んでしまい、2人の友情は終わったのだった。
ビルクに会いたいローニャは、地下の通路を塞ぐ岩をどけて北側の砦と行き来できるようにする。だが再会したビルクは飢えてやせ細っていた。ローニャは食料庫から少しずつ食べ物を盗み出し、ビルクに渡す。
キャッパの妹スマーヴィスは、シェッゲの妹ソルヴェと仲良くなる。ある夜、ソルヴェは川に水を汲みに出て川に落ち、死んでしまう。翌朝ソルヴェの家を訪ねたスマーヴィスは、凍えた赤ん坊の亡骸を見つける。

ようやく冬が終わり、春が訪れる。ローニャは再び森に出て、ビルクと遊ぶようになる。ビルクはローニャからもらった最後の食料を食料庫に入れているところを父親のボルカに見つかってしまい、自分でマッティス山賊の所から盗んできたと嘘をつく。
シェッゲはローニャを連れてくるようキャッパに急かされるが、子どもを巻き込みたくないと反論する。キャッパはソルヴェと赤ん坊が死んだことを隠し、「ローニャを連れてくれば2人に会える」と嘘をつく。
マッティスは飢えたボルカ山賊たちがすぐにも砦を出ていくに違いないと考えていたが、誰かが食料庫の食べ物を盗んで彼らに与えていたと知って激怒する。シェッゲが犯人だと思い込んだマッティスは、シェッゲを砦から追放する。
シェッゲは村へ行き、キャッパに「今夜ローニャを連れ出す」と約束する。
スマーヴィスは墓参りするキャッパを見て、両親が亡くなったのはこの村だったと思い出し、キャッパを問い詰める。キャッパはかつてこの村に住んでいたことを話し、両親はマッティスの父親に殺されたと打ち明ける。
森で商人の荷車から積荷を奪ったマッティスたちを、ボルカ山賊が襲う。食料庫から食べ物を盗んだのはビルクだと知ったマッティスは、怒り狂って剣を抜く。
シェッゲは森にいたローニャに声をかけ、「見せたいものがある」と誘い出す。ローヴィスはなかなか帰ってこないローニャとマッティスたちを心配する。

感想と解説

ダークで成熟した雰囲気の作品

スウェーデンでは賛否両論あるようですが(その理由はのちほど)、わたしはけっこう楽しめました。

もともと児童文学もリンドグレーンも好きなので、本で読んだ空想の世界が実写化されるというだけでワクワク。

登場人物も、マッティス砦も、森も、わたしが抱いたイメージよりも素晴らしかったです。

シーズン1で描かれたストーリーは原作のほぼ半分で、ここから急展開してもっと面白くなります。

ローニャとビルクが遊びではなく本当に「自然の中で生きる」ことを学ぶのもここから。

ただ、原作には登場しないキャラクターが多いので、彼らがどのように後半のストーリーに絡んでくるのか、そこが楽しみでもあり不安でもありますね。

原作よりもダークで成熟した雰囲気をまとい、オリジナルキャラクターを数多く配置することで重層的になり、子どもだけでなく大人も楽しめる内容になっていたと思います。

評価がわかれる理由

IMDbの評価が6.4とやや低めなのがちょっと不思議でした。

いくつかのレビューを読むと、1984年に制作された映画(評価7.3)と比較している方が多いようです。わたしはこの映画を見ていないのでわからないのですが。

あとは、やっぱりオリジナルキャラクターかなぁ。

ヴァルディルやハルヴェット、キャッパ、スマーヴィス、シェッゲといった村の人たちは、原作にはまったく登場しません。

原作で描かれるのは、ローニャがいる砦とその周囲の森だけ。

村のシーンが加わったことで現実的になり、ファンタジーとのバランスが崩れてしまったことは否定できません。

ただ、この作品において「ローニャが山賊仕事を嫌う」という部分はとても重要で、飢えた村人たちを描くことは、「山賊が物を奪うことで誰かが飢える」という現実を、より身近に感じさせる効果があったと思います。

原作では描かれないマッティスとボルカの少年時代のエピソードについても、同じことが言えます。

2人の関係にリアリティを持たせる一方で、人間同士の確執にストーリーが偏りすぎてしまい、原作の面白さ(ローニャの冒険)が二の次になっている。

そこは評価が分かれるところかなと思いました。

妖し鳥の正体

妖し鳥や灰色こびと、地下のもの、ずんぐり小鬼といった森の生きものたちは、原作にも登場します。

リンドグレーンは自然を単なる背景として描くのではなく、キャラクターとして存在させ、ローニャとビルクの冒険や成長を助ける役割を与えました。

「妖し鳥」は原作では「鳥女」と呼ばれています。

ギリシャ神話に登場する女面鳥身の伝説の生物ハーピー(またはハルピュイア)のことで、その名は「掠める女」を意味します。

本来は風の精で、地上の物体や人間をさらって空に持ち上げる「つむじ風」や「竜巻」のような現象を具象化した存在。

ドラマに登場する「妖し鳥」は、女性ではなく鳥の顔をしていましたが。

シーズン2では

シーズン2(全6話予定)では、原作の後半部分が描かれることになると思います。

ローニャとビルクが大きな決断し、親たちとは違う道を選択するという内容です。ここにキャッパやシェッゲがどう絡んでくるのか…。

おそらく原作のストーリーを変えることはしないと思うので、その点では心配していません。

放送を楽しみにしています。

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