NHK放送「アンという名の少女」徹底解説!全話あらすじ感想・キャスト・原作「赤毛のアン」との違い・時代背景・予告動画

アンという名の少女【シーズン1】

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「アンという名の少女」記事一覧

Netflixの海外ドラマ「アンという名の少女」シーズン1(全7話)についてまとめました。

カナダのプリンスエドワード島を舞台に、想像力豊かな孤児のアンが明るく前向きに生きていく姿を描いた作品。カナダのテレビ局CBCとNetflixにより共同製作され、2019年のシーズン3で完結しました。

世界中で愛されるL・M・モンゴメリの小説『赤毛のアン』のシリアスなエピソードを中心に、現代的な視点と大胆なアレンジを加えた大人向けのドラマになっています。

「ブレイキング・バッド」のプロデューサーのひとりであるモイラ・ウォリー=ベケットの脚本がかなり挑戦的なので、原作ファンには賛否両論ありそう。

アン役は、1800人以上の中から抜擢された14歳のカナダ人女優エイミーベス・マクナルティ。撮影はプリンスエドワード島およびオンタリオ州南部で行われました。

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作品概要

  • 製作国:カナダ(2017年)
  • 原題:Anne with an “E”
  • 原作:L・M・モンゴメリ『赤毛のアン』
  • 脚本:モイラ・ウォリー=ベケット
  • 監督:ニキ・カーロほか

あらすじ

未婚の兄弟、マシューとマリラ。男の子を引き取るはずが手違いがあったようで、アン・シャーリーという元気な少女がグリーン・ゲイブルズにやってくる。

Netflix公式サイト

予告動画

原作について

このドラマの原作は、ルーシー・モード・モンゴメリの小説『赤毛のアン』です。

作品の舞台にもなっているカナダのプリンス・エドワード島在住のモンゴメリが33歳の時(1908年)に出版し、100年以上たった今も高い人気を誇る不朽の名作。

日本では翻訳家・村岡花子さんによって1952年に初めて翻訳出版されました。原題は「Anne of Green Gables(グリーン・ゲイブルズのアン)」で、直訳すると“緑色の切妻屋根のアン”。

今回、久しぶりに新作を見るということで、日本初の全文訳である松本侑子さん訳の文春文庫版『赤毛のアン』を読みました。

児童文学・少女小説のイメージが強い本作ですが、数多くの英米文学や聖書の引用が“意味を持って”散りばめられ、重層的な構造になっていることを初めて知りました。新たなアンを発見できます。おすすめです。

時代背景

年代できごと
1763年北アメリカがイギリス領となる
1776年アメリカ独立宣言
1861~1865年南北戦争
1867年自治領カナダ(カナダ連邦)成立
1873年プリンス・エドワード島がカナダ連邦に加盟
1874年L.M.モンゴメリ誕生
1878年スワンが白熱電球を発明
1892年ディーゼルがディーゼルエンジンを発明
1908年『赤毛のアン』出版
1909年『アンの青春』出版
1912年タイタニック号沈没事故
1914~1918年第一次世界大戦

わたしが見た「赤毛のアン」

わたしが初めてアンの物語にふれたのは、1979年の高畑勲監督のアニメでした。日曜の夜に放送されていた「世界名作劇場」の第5作目です(当時、このシリーズは毎週欠かさず見てました!)。

その後、1985年に公開されたミーガン・フォローズ主演の映画にどハマり。初めて目にしたプリンス・エドワード島の美しさに心を奪われ、このタイミングで小説(村岡花子さん訳)も読みました。

ミーガン・フォローズ版は今でも定期的に見返さずにはいられない、大好きな映画です(映画のパンフ探したけど見つからない~)。

プリンス・エドワード島について

この作品の舞台となっているプリンス・エドワード島は、カナダ東部のセントローレンス湾に浮かぶ島です。カナダの中でいちばん面積が小さな州で、愛媛県とほぼ同じ広さ。人口も最も少ない州です。

州都はシャーロットタウン。アンが暮らすことになる「アヴォンリー村」は架空の村ですが、作者モンゴメリが暮らしたキャベンディッシュがモデルになっています。

現在、キャベンディッシュの北海岸一帯は国立公園となっていて、作者モンゴメリの親戚が住んでいた家(グリーン・ゲイブルズのモデルになったと言われている)を再建したグリーン・ゲイブルズ・ハウスや、モンゴメリの墓がある共同墓地、モンゴメリ博物館などがあります。

グリーン・ゲイブルズ・ハウス

アンの生まれ故郷ノヴァスコシア州はカナダ本土にあり、上の地図でいうと左下に位置します。現在は島と本土の間に橋が架かっていますが(1997年に開通)、アンの時代にはもちろん橋は存在せず、アンは蒸気船に乗って島へ渡ってきました。

一方で、アンがシャーロットタウンから乗ってきた汽車は、現在はありません。プリンス・エドワード島の鉄道は車の普及とともに廃れ、1989年に完全に廃止されました。

歴史

カナダの土地には、はるか昔から多くの先住民族が暮らしていました。プリンス・エドワード島に住んでいたのはミクマク族です。

大航海時代に白人が海を渡ってやってきて、初めはフランス人が、その後イギリスからイングランド人やスコットランド人が入植。七年戦争でイギリスがフランスに勝利し、イギリス領となりました。

島の名前が“プリンス・エドワード島”になったのは1799年で、当時総司令官として赴任していた王子エドワード(ヴィクトリア女王の父親)にちなんだもの。

アメリカ独立戦争には同調せずイギリスの植民地としてとどまり、1867年に植民地を統合させた自治領カナダが誕生。そのとき連邦会議が開かれた場所がプリンス・エドワード島でした。

しかし独立精神の強い島の人々は本土と一体化することに利点を見いだせず、プリンス・エドワード島がカナダ連邦の一州に加わるのは6年後の1973年。

『赤毛のアン』の物語の時代背景は1880年~1890年代前半と考えられるので、島が「カナダ」になってから10年くらいしか経っていないことになります。

ちなみに現在でもカナダはイギリス連邦加盟国であり、英連邦王国のひとつです。

暮らし

プリンス・エドワード島の主産業は、農業と漁業です。農作物はイギリス開拓者が持ち込んだジャガイモ(二酸化鉄が多く含まれた赤い土壌が適していた)、海産物はロブスターと鱈が有名。

ジャガイモ畑

アヴォンリーのモデルとなったキャベンディッシュは、町から遠く離れた海辺の農村です。スコットランド人の入植者(作者モンゴメリの祖先はその一家族)によって開拓されました。マシューとマリラ、そしてアンもスコットランド系です。

アンの時代には電気もガスも水道も通っておらず、自給自足の暮らしが営まれていました。灯りはランプかロウソクを使い、水は井戸から汲んで運び、暖房を兼ねた調理ストーブで料理をしていました。

電気冷蔵庫もないので、長期保存したいものはスモークにしたり、砂糖漬けや酢漬けにします。女性たちは厳しい環境の中で工夫し、代々受け継がれるレシピを大切に保管していました。

登場人物(キャスト)

カスバート家

アン・シャーリー(エイミーベス・マクナルティ)

アン・シャーリー(エイミーベス・マクナルティ)
カスバート家に引き取られた孤児。おしゃべりで空想好きな13歳。ノヴァスコシア出身。生後3か月で両親を亡くし、トーマス家、ハモンド家を経て孤児院に預けられた。赤毛とそばかすを気にしている。

マリラ・カスバート(ジェラルディン・ジェームズ)

マリラ・カスバート(ジェラルディン・ジェームズ)
グリーン・ゲーブルズに住む老婦人。堅実で禁欲的な暮らしを好む。手違いで送られてきたアンに最初は戸惑うものの、やがてアンを愛するようになり正式に養女に迎える。愛情表現が苦手で、内心ではアンを思いやりつつも厳しく接する。

マシュー・カスバート(R・H・トムソン)

マシュー・カスバート(R・H・トムソン)
マリラの兄。グリーン・ゲーブルズに住む農夫。内向的で女性が苦手。農場を手伝える男の子の孤児を望んでいたが、初めて会った時からアンを気に入り、珍しくマリラに意見する。アンを溺愛し、マリラからは「甘やかしすぎ」と怒られることも。

ジェリー・ベイナード(エイメリック・ジェット・モンタズ)

ジェリー・ベイナード(エイメリック・ジェット・モンタズ)
カスバート家の農場で働くフランス人少年。町に大家族で住んでいる。学校へは行かず、家計を助けるために働いている。対抗心を燃やして食ってかかるアンの扱いに手を焼く。

バリー家

ダイアナ・バリー(ダリア・ベラ)

ダイアナ・バリー(ダリア・ベラ)
アンの親友。グリーン・ゲイブルズのそばに住むバリー家の長女。裕福で礼儀に厳しい家柄だが、アンとは初対面で意気投合し“親友の誓い”で結ばれる。

エリザ・バリー(ヘレン・ジョンズ)

エリザ・バリー(ヘレン・ジョンズ)
ダイアナの母。礼儀に厳しく、ダイアナが孤児のアンと仲良くすることをよく思っていない。

ウィリアム・バリー(ジョナサン・ホームズ)

ウィリアム・バリー(ジョナサン・ホームズ)
ダイアナの父。礼儀に厳しく、 アンが娘の友人にふさわしいか見定めようと家に招待する。

ジョセフィン・バリー(デボラ・グローバー)

ジョセフィン・バリー(デボラ・グローバー)
ダイアナのおば。シャーロットタウンの豪邸に住む大金持ち。聡明で個性的なアンを気に入り、友人になる。

ミニー・メイ・バリー(ライアン・キエラ・アームストロング)

ミニー・メイ・バリー(ライアン・キエラ・アームストロング)
ダイアナの妹。

アンの学友たち

ギルバート・ブライス(ルーカス・ジェイド・ズマン)

ギルバート・ブライス(ルーカス・ジェイド・ズマン)
アンと同じ学校に通うハンサムな男の子。女の子に人気がある。教室でアンを「にんじん」と呼んでからかい、激怒したアンに石板を叩きつけられた。以降、アンに無視されている。病気の父親と2人暮らし。

ルビー・ギリス(カイラ・マシューズ)

ルビー・ギリス(カイラ・マシューズ)
アンと同じ学校に通う女の子。孤児という理由でアンを嫌っていたが、ある事件をきっかけに仲良くなる。ギルバートに片想い中。

ジョーシー・パイ(ミランダ・マッキーオン)

ジョーシー・パイ(ミランダ・マッキーオン)
アンと同じ学校に通う意地悪な女の子。初対面の時からアンを嫌う。何かとアンを見下す発言をする。

プリシー・アンドリュース(エラ・ジョナス・ファーリンガー)

プリシー・アンドリュース(エラ・ジョナス・ファーリンガー)
アンと同じ学校に通う女の子。クィーン学院を受けるため、フィリップス先生に特別扱いされている。

ビリー・アンドリュース(クリスチャン・マーティン)

ビリー・アンドリュース(クリスチャン・マーティン)
アンと同じ学校に通う男の子。プリシーの弟で、ジェーンの兄。アンに嫌がらせをする。

そのほかの人々

レイチェル・リンド(コリーン・コスロ)

レイチェル・リンド(コリーン・コスロ)
カスバート家の隣人で、マリラの親友。人の噂に目がなく、アヴォンリーで起きたあらゆる出来事を把握している。10人の子どもを産み育てた経験があり、アンに関しても何かとマリラに意見する。

ジョン・ブライス(ウェイン・ベスト)

ジョン・ブライス(ウェイン・ベスト)
ギルバートの父。元軍人で旅をするのが好きだが、現在は重い病を患っている。かつてマリラと恋仲だったことがある。

アンドリュース夫人(ジャネット・ポーター)

アンドリュース夫人(ジャネット・ポーター)
プリシー、ビリー、ジェーンの母。〈進歩的な母親の会〉の中心的存在。

ジェニー(ブレンダ・バジネット)

ジェニー(ブレンダ・バジネット)
カーモディの高級婦人服店の店主。マシューの元クラスメイト。未亡人。

各話のあらすじと感想

各話のあらすじと感想、原作との違いを詳しく解説しています(ネタバレ有)。