アンという名の少女【シーズン1】第4話|アンの不登校と“よき妻”

アンという名の少女【シーズン1】

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海外ドラマ「アンという名の少女」シーズン1第4話のあらすじと感想です。

後半は救われたけど、「良き妻」のくだりは作為的なものを感じてしまって面白いとは思えませんでした。

そういう切り口のドラマだからしかたないんだけど、作り手の狙いが見えすぎてしんどい…。

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第4話「宝物は私の中に」あらすじ

アンの不登校に悩んだマリラは、リンド夫人に相談。10人の子供を育てた経験を持つ彼女は、「放っておけば必ず学校に戻りたがる」と言う。

だがアンはますます空想の世界に閉じこもるようになり、心配したマリラは無理やりアンを登校させる。

アンが喜んで登校するようになり、安堵するマリラ。だがダイアナとルビーの訪問でアンが学校に行っていないことを知る。

マリラは牧師を家に呼んで解決方法を聞くが、牧師は「女子に教育など不要」と言い放ち、良き妻になるよう育てるべきと意見される。

その夜、ルビー・ギリスの家で火事が起きる。アンは消火活動を手伝うマリラやマシューとともに火事現場へ向かい、家の窓やドアが開いていることに気付く。

火の勢いを弱めるため、燃えさかる家の中に入ってドアと窓を閉めるアン。アンの勇気ある行動のおかげで火の勢いは弱まり、アンはギリス夫人に感謝される。

ギリス家の修理が終わるまでの一週間、ルビーはカスバート家で預かることに。アンの家はイヤだとごねるルビーだったが、アンの優しさと前向きな言葉に慰められ、しだいにアンを慕うようになる。

アンとダイアナ、ルビーの3人は大の仲良しになり、アヴォンリー物語クラブを結成。週に一度、自作の物語を読んで意見交換することを決める。

家に帰る前の晩、ルビーは「アンが学校にいないと淋しい」と言う。アンはマリラの寝室を訪ね、牧師の言うとおり“学校に行かず良き妻になる”ことが正しい道なのかわからないと伝える。

マリラは牧師の話は時代遅れだと言い、「何になるのかは自分で決めなさい」と助言する。アンは学校へ行くことを決め、空想の中の友達“ケティ”に別れを告げる。

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アンという名の少女【シーズン1】NHK放送決定「アンという名の少女」登場人物(キャスト)・あらすじ・原作・時代背景・予告動画

第4話の感想と解説

ガラスに映る友人〈ケティ〉

学校に行かなくなったアンは、空想の世界に救いを求めて架空の友人を作ります。柱時計のガラス窓に映る自分を〈ケティ〉と呼んで、友達のように話しかけるアン。

〈ケティ〉は、アンが以前いたトーマス家の本棚の中に住んでいた架空の友人(ガラスに映った自分)です。その後、アンはハモンド家に引き取られることになり、〈ケティ〉と泣きながら別れのキスをしたと原作では語っています。

原作のアンは不登校の日々を楽しみますし、マリラも無理に学校に行けとは言わないので、学校嫌いのわたしには大いに救われるエピソードでした。今作では精神的に追い詰められていくアンが別人のようで、見ていて辛かったです。

空想の世界に入り浸った結果…

空想にふけってパイを焦がしてしまったアンは、明日から学校へ行くようマリラに命じられてしまいます。

リンド夫人は「焦らずに待てばいい」とアドバイスしたのに、マリラは待てなかったみたいですね。アンが心配でたまらず、先行きが不安だったのでしょう。

ちなみにこの時代はストーブで料理を行っていて、ストーブにはコンロの役割をする平らな部分や、オーブンとして使える蓋付きの部分がついていました。

温度計はなく、手を入れて温度をはかりながら料理します。燃やす薪の種類でも変わってくるので、使いこなすにはある程度の経験が必要でした。

“よき妻”に考え込むアンとマリラ

アンは登校するふりをして、森の中で過ごします。アンの嘘に気付いたマリラは状況を深刻に受け止め、なんと牧師を呼んで相談。

牧師は「女子に教育などいりません。よき妻になるよう育てるべきなのです」と言い放ち、この言葉にアンとマリラはそれぞれ思い悩むことに。

結婚してよき妻になることなんて考えたこともなかったアンは、「男の子は好きな道が選べていいわね」とジェリーに愚痴をこぼします。

マリラは深く考え込んだ末に自棄になり、マシューに「料理でも掃除でも何なりと私に言いつけて」と八つ当たりします。

マリラは高等教育も受けていないし、誰かの妻にもなっていない。自分が望んでそうなったわけでもない。アンを育てることで、マリラは自分自身と向き合うことになるのです。

アンの勇気ある行動

ルビーの家が火事になり、アンは孤児院で読んだ「消火の手引き」の知識を生かして消火に一役買い、称賛されます。

さらに家を修復する間、ルビーをグリーン・ゲイブルズで預かることになり、ルビーとの友情も芽生えます。よかった。

アンがルビーのためにギルバートとの仲を取りもとうとしたり、すっかりアンを好きになったルビーが家に帰るのを淋しがるシーンには、見ているこちらもほっこり。

女を見下す発言を連発するビリーに「あんたは悪態つくだけで何もやってないじゃないの!」とアンがビシッと言い返すシーンも痛快でした。

アンと仲直りしたいギルバートがちらちらアンを見るシーンも微笑ましい。アンも素っ気ない態度を取りながら、彼が気になっている様子。もう既に恋が始まっていますね。

あなたは道を選べる

アンは「学校に行かずによき妻になる」という牧師の言葉がどうしてもわからない、とマリラに正直に打ち明けます。

アンと同じようにずっとモヤモヤしていたマリラは、「牧師さんの話は時代遅れだわ」と言います。信心深いマリラが牧師の言葉を否定するとは…。

「あなたは賢いし機転が利く。可能性を狭めないで。私には選択肢がなかったけど、あなたは自分で道を選びなさい」

アンは学校に行くことを決め、柱時計のガラスに映る〈ケティ〉に別れを告げます。学校では、ダイアナとルビーが大喜びで迎えてくれました。

原作との違い

ここからは松本侑子さん訳の文春文庫版『赤毛のアン』をもとに、ドラマと原作との違いを見ていきます。

アンの不登校

学校へ行かなくなり、以前よりも空想世界に浸るようになったアンを心配し、無理やり学校へ行かせるマリラ。原作では、マリラはリンド夫人の意見を聞き入れ、アンに学校へ戻りなさいとは言いません。

そもそもアンが不登校を決めたのは、フィリップス先生のひどい仕打ちに腹を立てたから。これにはリンド夫人も憤慨し、「フィリップス先生はなってないね。こんな学校なら行かなくても損にはなるまいよ」と言っています。

それからのアンは家で勉強し、家事をこなし、ダイアナと遊び、実りの秋の季節をたっぷり楽しみました。

ケティ

アンは柱時計のガラスに映る自分を〈ケティ〉と呼び、彼女に救いを求めます。原作では、〈ケティ〉はアンが以前いたトーマス家の本棚のガラス扉に映った自分に付けた名前で、孤独なアンは“ケティ”を本棚の中に住む女の子と想像して友達のように話しかけていました。

原作でアンが〈ケティ〉について語ったのは、ダイアナに会う前。グリーン・ゲイブルズに来てからは〈ケティ〉は現れていません。「だって本物の友達と付き合ったら、想像の女の子じゃもう満足できないもの」とアンは語っています。

ちなみにこの話は原作者モンゴメリの実体験。物心つく前に母親を亡くし、厳格な祖父母に預けられたモンゴメリは、淋しさを紛らわすために祖父母の家の本棚のガラス扉に映った自分を妖精の国に住んでいる友達だと想像し、〈ケティ・モーリス〉と名付けて話しかけていました。

牧師の助言

アンが学校に戻り、楽しそうにしているのを見て安堵するマリラ。ところがアンは学校には行っておらず、嘘をついていたことが判明。対処に困ったマリラは牧師を呼んで相談します。

原作では、マリラはアンを無理に学校に行かせようとはしないので、アンが嘘をつく場面もマリラが牧師を呼ぶ場面もありません。当然、牧師が「よき妻になるよう育てるべき」と発言する場面もありません。

ギリス家の火事

ルビー・ギリスの家が火事になり、村人たちは協力して消火活動にあたります。アンは家のドアや窓が開いていることに気付き、ひとり燃えさかる家の中に飛び込んでドアと窓を閉め、火を弱めることに成功します。

原作では、このエピソードはありません。

ルビー・ギリス

燃えた家を修復する間、ルビーをカスバート家で預かることに。泣いて嫌がるルビーでしたが、親に説得されてしぶしぶグリーン・ゲイブルズに向かいます。

原作には火事そのものがないので、カスバート家がルビーを預かる場面もありません。ドラマでは、アンとルビーが一つ屋根の下で暮らすうちに仲良くなっていく過程が描かれていましたが、原作のアンはそもそも人気者で嫌われてはいないので、ルビーとも最初から仲良しです。

原作ではルビーがギルバートに熱烈な恋をしているという描写もなく、終盤、美しく成長した彼女がいつもギルバートのそばにいる、という場面がちらっと出てくるだけです。

ビリー・アンドリュース

ドラマではアンや女の子たちに対して攻撃的な態度を取るビリー。原作では「気の毒なくらい話し下手な、愛想のない寡黙な少年」というまったく異なる性格設定で、ほとんど登場しません。

終盤、20歳になったビリーがホテルの演芸会へ向かうアンたちを馬車で迎えに来るシーンがあるのですが、「アンを限りなく崇拝して」いる彼は、アンに自分と並んで御者席に座ってほしい、と頼んでいます。

物語クラブ

アンとダイアナ、ルビーは〈アヴォンリー物語クラブ〉を結成し、森の中の小屋で第1回会合を開きます。この小屋は原作に出てくるおままごとの家〈アイドルワイルド〉かと思われます。

原作では、アンがグリーン・ゲイブルズに来て1年10か月後の3月に結成されます。新任のステイシー先生が出した“物語を創る”という課題に悪戦苦闘するダイアナのために、アンが結成したのです。

最初はアンとダイアナ2人きりでしたが、やがてルビーとジェーンも加わり、最終的には女の子5~6人になっています。

よき妻

牧師に「女子は学校へ行かずによき妻になるべき」と言われ、思い悩むアンとマリラ。マリラは時代遅れだと言い、アンに「何になるかは自分で選びなさい」と助言します。

これらの場面は原作にはありません。アンが学校へ戻る決心をしたのは、ある失敗をしてバリー夫人にダイアナとの交際を禁じられてしまったからです。

「学校へ行けばダイアナを見て過去の思い出にふけることができる」という理由からでした。ネタバレになるので、詳しくは次回書きます。

学校に戻る

ルビーがカスバート家を去るタイミングで、アンは学校に戻ることを決意します。原作では、アンが学校に戻るのは10月です。

ドラマでは、学校に戻ったアンを喜んで迎えたのはダイアナとルビーだけでしたが、原作では違います。人気者だったアンは、みんなから大歓迎を受けます。

友達からさまざまな贈り物が届く中、机の上に置かれていたリンゴに手を伸ばしたアンは、それがブライス家の果樹園で穫れるストロベリー・アップルだと気づき、慌ててリンゴを落とし、ハンカチで手を拭きます。

ギルバートはアンを怒らせて以来、何度も謝ろうとし、「あなたは優しい」と書かれたピンク色のハート型キャンディーを贈ったりもしていますが、アンが彼の謝罪を受け入れることはありません。

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