ネタバレ有「アンという名の少女」シーズン2*第1話あらすじ感想|下宿人のたくらみ

アンという名の少女【シーズン2】

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海外ドラマ「アンという名の少女」シーズン2第1話のあらすじと感想、原作との違いをまとめました。

シーズン1よりも自然描写が増えましたね。画面が色鮮やかになった気がします。前作から持ち越しの“強盗2人組”が気になるところ。

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第1話のあらすじ

10月。アンは14歳になり、グリーン・ゲイブルズで2度目の秋を迎える。下宿人のネイトとダンロップはすっかり町に馴染んでいたが、ジェリーは地質学者を名乗るネイトを警戒する。

ある日、土壌の調査をしていたネイトは、隣人のウィリアム・バリーに「金が出た」と打ち明ける。正直に会社に知らせれば、土地を全部奪われてしまうと嘆くネイト。

ギルバートは蒸気船で働き、黒人青年のバッシュと友達になる。バッシュは10年以上石炭夫をやっていると語り、この先に希望はなく、陸にも居場所はないと打ち明ける。

ネイトの仕事に興味を持ち、彼から借りた地質学の本を読み込むアン。ネイトはアンの好奇心を懸念するが、ダンロップは利用すればいいと提案。わざとアンに聞こえるように金鉱の話をする。

翌日、アンは黙っていられずリンド夫人に昨夜聞いた話をする。たちまち町中に知れ渡り、集会が開かれ、ネイトは住民から質問攻めにされる。ニューヨークから届いた証明書を見せ、確かに金だと話すネイト。

しかし土地の検査には1件につき150ドルかかると言う。それを聞いたウィリアム・バリーは「検査料を立て替えてもいい」と申し出る。ダンロップと住民たちに後押しされ、ネイトは採掘事業を取り仕切ることを宣言する。

アンはギルバートに知らせるため、手紙を書こうとする。紙を探してネイトの部屋に入り、ニューヨーク市のスタンプを見つけるアン。集会から戻ったネイトは、スタンプが出ているのを見て誰かが部屋に侵入したことに気付く。

第1話の感想と解説

下宿人のたくらみ

シーズン2の始まりは秋。シーズン1の終わりが年明けだったので、それから10か月も経っています。

2人の下宿人・ネイトとダンロップは詐欺師であることが判明。10か月も善人のふりをして罠を仕掛けるなんて、根気強い詐欺師たちですね。

しかしその10か月の間に、アンもマリラもマシューもすっかり彼らを信用して打ち解けています。マリラは若いネイトを男性として意識し、ドギマギしてます。

ちなみに朝食に出されていたのは、スコットランドの朝食の定番「ポリッジ」。オートミールなどを水やミルクで煮たおかゆです。

ジェリーだけはネイトに引っかかりを感じているのですが、彼らが馬のお金を奪った強盗犯だとは気付いてない様子。ジェリーはシーズン1に比べて頬が引き締まって、青年っぽくなりましたね~。

地質学者を装うネイトは「アヴォンリーから金が出た」と大嘘をつき、偽造した金の証明書を使って住民たちから土地の検査料をせしめようとしています。

アンもリンド夫人もみんな騙されて、浮かれて大騒ぎになるアヴォンリー。ダイアナの父・ウィリアムはみんなの検査料を立て替えると言い出します。

ギルバートとバッシュの出会い

アンはギルバートに手紙を書いて、アヴォンリーで金が出たことを知らせようとします。「そしたら帰ってくるかも」という淡い期待もあるのでしょうね。

ギルバートは蒸気船で石炭夫として働いていました。そして同じ石炭夫の黒人青年“バッシュ”ことセバスチャンと仲良くなります。

バッシュは10年も船の石炭夫をしていて、「上を目指すことはできないし、陸にも居場所はない」と言います。バッシュの目には、白人で自由に人生を選べるギルバートが船で石炭夫をしていることが、“遊び”にしか見えなかったのです。

アンと『ジェーン・エア』の出会い

シーズン2でも引き続き、アンの孤児院時代のトラウマがフラッシュバックで描かれます。

今回はアンと『ジェーン・エア』の出会いが描かれました(シーズン1の始まりで、孤児院から来たアンが最初に口にしたのは『ジェーン・エア』の一節でした)。

孤児院の女の子たちに陥れられ、寮長から罰を受けるアン。その罰とは、膝立ちで伸ばした両腕の上に本を何冊も置いたまま耐えること。

しかしその本の中にシャーロット・ブロンテの長編小説『ジェーン・エア』を見つけたアンは、その後も本を読みたいがためにわざと夜中に騒いで罰を受けるようになります。

ちなみに『ジェーン・エア』は、情熱的な気性をもつ孤児ジェーン・エアが、逆境にもめげずにたくましく生き抜き、最後には家庭教師として住み込んだ屋敷の主人と結婚する…という物語。

原作との違い

ここからは松本侑子さん訳の文春文庫版『赤毛のアン』をもとに、ドラマと原作との違いを見ていきます。シーズン2は原作にないオリジナルエピソードがほとんどなので、原作と共通する部分だけ取り上げます。

14歳のアン

シーズン2のアンは14歳になり、グリーン・ゲイブルズに来て1年と4か月が経ちました。しかし落ち着きのなさは相変わらずで、子どものように服や靴を汚してマリラに叱られています。

原作のアンが14歳の時は、グリーン・ゲイブルズに来て3年目。その頃のアンは教師になることを決め、クィーン学院の受験を控えてひたすら勉強に打ち込んでいました。

リンド夫人が「こんないい子になるとは思いもよらなかった」と褒めちぎり、マリラが「何でも安心して任せられる」と太鼓判を押すほど、この頃のアンはすっかり落ち着きが出て、騒ぎを起こすことはなくなりました。

島の赤土

ネイトの仕事に興味を持ったアンは、何度も部屋に押しかけて質問します。詐欺師のネイトはアンの好奇心を警戒しますが、アンはまったく気づいてません。

「私がこの島に初めて来たとき赤土を見て驚いたけど、なぜ赤いのかあなたに教わった。“酸化鉄”って響きは科学的でゾクゾクするわ」

原作では、アンがはじめて島にやってきたとき、グリーン・ゲイブルズへ向かう途中でマシューに「どうして道が赤いの?」と尋ねています。マシューは「わからんな」と答えたので、アンが理由を知ることはできませんでした。

島の土が赤いのは、二酸化鉄が多く含まれているため。ジャガイモが島の特産品になったのも、鉄分を含んだ赤土に適していたからです。

物語クラブ

シーズン1の第4話で結成された〈アヴォンリー物語クラブ〉は、今シーズンでも健在。メンバーは以前と変わらず、アンとダイアナとルビー。場所は森の中の隠れ家。

原作では、アンが〈物語クラブ〉を作ったのは13歳のとき。新任のステイシー先生が出した“物語を創る”という課題に悪戦苦闘するダイアナを助けるためでした(その後、ルビーやジェーンも加わります)。

ドラマでも言っていましたが、アンたちは出来のいい作品をジョセフィンおばさんに送り、「こんなおかしい話は、生まれてこの方読んだことがない」という返事をもらっています。ものすごい悲劇なのに、とアンは不思議がっていましたが。

その後、アンたちがクィーン学院の受験勉強のために忙しくなると、〈物語クラブ〉はひっそりと消滅しました。アンは「みんな時間がないし、飽きてきたのよ」と語っています。

アヴォンリーの海

アンはマシューとマリラと3人で海へ出かけます。マシューとマリラは海へ来るのは50年ぶりだと言い、アンを驚かせていました。

アンが海に出会うことで、遠い海のどこかにいるギルバートと繋がり、アンもまた広い世界へこぎ出そうとしていること、アンに導かれるようにマシューとマリラも狭い世界から出ていくことが暗示されていました。

原作では、海はグリーン・ゲイブルズのすぐそばにあって、アンの部屋の窓からも海が見えます。物語の序盤、マリラがアンを孤児院へ返す相談をするためスペンサー夫人を訪ねる時、2人が通った道も「海岸通り」でした。

しかし、アンはいつも離れた場所から眺めるだけで、海で遊ぶ場面は出てきません。児童文学研究者の横川寿美子さんは、海を荒々しい人生の象徴ととらえ、アンから海を遠ざけることで、アンの少女時代を落ち着いたものにしたのではないか、と指摘しています。

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