ネタバレ有「アンという名の少女」シーズン2*第6話あらすじ感想|奇跡の島の物語

アンという名の少女【シーズン2】

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海外ドラマ「アンという名の少女」シーズン2第6話のあらすじと感想、原作との違いをまとめました。

クリスマスの回。髪を短く切ったアンは先生に嫌味を言われたり、友達にからかわれたりして嫌な思いをするけれど、楽しいことや嬉しいこともたくさん。

後半のクリスマスパントマイム「奇跡の島の物語」がとても素敵で、心が温かくなります。何度も見てしまいました。

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第6話のあらすじ

髪を切ったアンが学校へ行くと、ギルバートが戻ってきていた。フィリップス先生はアンを見て「男子の新入生が入ったようだ」と皮肉を言い、ジョーシーは「孤児だからシラミがわいたのだろう」と噂する。

アヴォンリーの人々は、毎年恒例の“クリスマスパントマイム”の準備に大忙し。その様子を見たマシューは、子供の頃に内気すぎるあまり参加できず、淋しい思いをしたことを思い出す。

アンはマリラにカーモディまでお使いを頼まれる。「これ以上笑い者になりたくない」と泣きじゃくるアンだったが、マシューに「お前は勇敢な子だ」と励まされ、男の子の格好をしてカーモディに出かける。

通りすがりの人に荷下ろしを頼まれたり、男の子たちに混ざってビー玉遊びをしたりして、“男の子”を楽しむアン。ジェニーもアンを男の子と間違えるが、アンだとわかるとパフスリーブの服を持ち帰らせる。

マリラはギルバートの家を訪ね、ギルバートとバッシュをクリスマスイヴの夕食に招く。バッシュを見て驚きつつも、それを表に出さないよう気遣うマリラ。

コールはパントマイムの準備で舞台を装飾する絵を描き、女の子たちの注目を集める。コールに嫉妬したビリーはわざとはしごを倒し、転落したコールは右手を骨折してしまう。アンたちはコールに指示を頼み、絵を完成させる。

クリスマスイヴ。夕食に招かれたギルバートとバッシュはグリーン・ゲイブルズを訪れる。マシューはバッシュを見て言葉をなくすが、マリラは快く2人を歓迎する。アンもまたバッシュに会えたことを喜ぶ。

パントマイム上演前、ジョーシーが風邪をひき、急遽アンが主役をやることに。マシューは町中の人々が集まる場に怖じ気づくが、アンから「小道具のシャベルがない」と聞き、シャベルを探しに行く。

「奇跡の島の物語」が始まり、アンはダイアナたちとともに舞台をもりあげる。だが終盤、ビリーの頭に舞台装置が落ち、ビリーは気を失ってしまう。わざとやったと誤解され、アンドリュース夫人に「野蛮人」と罵られるバッシュ。

マシューは近所の老人の家でシャベルを借り、車いすの老人を連れて戻ってくる。リンド夫人はビリーの代わりにマシューに衣装を着せて、舞台に送り出す。

戸惑いながらもセリフを口にし、堂々と代役をやってのけるマシュー。拍手喝采を浴び、パントマイムは大成功に終わる。帰宅したマシューは、子供の頃に兄からもらったビー玉をアンに渡す。

第6話の感想と解説

いっそ男の子になってみる

髪を短く切ったアンは、「学校を休みたい」と訴えますがマリラは許してくれません。しぶしぶ登校すると、教室にはギルバートの姿が。よりによってこんな日に…。

しかしさすがギルバート。アンの髪には触れることなく、再会を喜びます。一方フィリップス先生は、アンを見るなり「どうやら男子の新入生が入ったようだ。座る席を間違えてるんじゃないか」などと嫌味を言います。対照的だなー。

女性がズボンを履くと驚かれる時代ですから、アンのようなベリーショートは当時の女の子にはありえない髪型だったんでしょうね。髪が短い=男の子、髪が長い=女の子という固定観念は、今も(昔ほどではないにせよ)あります。

マリラに「カーモディへ行ってきて」と頼まれたアンは、また笑われると落ち込みます。納屋の2階で隠れて泣いていると、マシューがやってきました。そこは、子供時代のマシューの隠れ場所だったようで。

「だがお前の性格は私とは違う。お前は勇敢な子だ」

マシューのひとことで、勇気づけられるアン。そしていっそ男の子になってしまえと、パントマイム用の衣装を身につけて男の子に変装し、カーモディへ出かけます。

アンを男の子だと思ったおじさんから「坊主、荷下ろしを手伝ってくれたら駄賃をやるぞ」と声をかけられたり、男の子たちに混ざってビー玉遊びをするアン。

「女の子らしさ」から解放されたアンは、ほんのひととき自由を満喫します。でも、やっぱり美しいものに惹かれる気持ちもあって。

ジェニーの店のウインドウに飾られたパフスリーブのドレス(シーズン1の最終話でアンが借金返済のために売った)を見て、いつか買い戻そうと心に決めます。

もちろん、アンがこのドレスにこだわるのは美しいからという理由だけでなく、マシューからの贈り物で、アンにとって“特別なもの”だから。するとアンの思いを汲んだジェニーは、アンにドレスを手渡します。

コールに嫉妬するビリー

アヴォンリーでは毎年恒例のクリスマスパントマイム(劇)の準備をしています。子供たちだけでなく、大人たちも参加。監督はリンド夫人のようです。はりきってますね。

その様子を見て、少年時代の苦い思い出が蘇るマシュー。内気なマシューはみんなの輪の中に入る勇気がなく、舞台に参加することができませんでした。本当はやりたかったんだろうな…。

アンとダイアナとコールは、アンの部屋で衣装合わせ。ドレスを着てティアラをのせるコールを見て、アンはとっさに帽子を被って男の子役に。それを見たマリラは目が点。

アンが「女の子らしさ」の押しつけに悩むように、コールもまた「男の子らしさ」に苦しんでいる存在。

コールが女の子たちの人気を独占していることに嫉妬したビリーは、わざとコールのはしごに板をぶつけ、はしごから転落したコールは右手首を骨折してしまいます。

クリスマスイヴの夕食

ギルバートが戻ってきたと知ったマリラは、ひとりじゃ淋しいだろうとクリスマスイヴの夕食にギルバートを誘います。ギルバートの家でバッシュに会い、びっくり仰天のマリラ。

でもすぐに態度を改め、戸惑いながらも失礼がないよう普通に接しようとしていて、心を打たれました。マリラが差別主義者じゃなくてよかった。

何も聞いていなかったマシューは、家にやってきたバッシュを見て驚きを隠せません。思わずジロジロ見てしまい、マリラに睨まれています。

アンがバッシュを見てどんな態度を取るのか、不安を抱くマリラ。でも心配は要りませんでした。アンは素直な心で「有色人種の人に会うのは初めて。あなたの肌の色はとても美しいわ」と思ったままを口にし、それはバッシュにもまっすぐ伝わって、マリラをホッとさせます。

奇跡の島の物語

パントマイム上演当日、主役のジョーシーが風邪を引いて声が出なくなり、アンが代役に抜擢されます。髪が短いうえに男の子の予行練習もバッチリ。適役です!

出し物はプリンス・エドワード島を描いた「奇跡の島の物語」。島の恵みとしてりんごやじゃがいもなどの作物が登場しますが、なぜか同じく島の特産品であるロブスターは悪役です。

19世紀、イギリス系の農民に甲殻類を食べる習慣はあまりなかったそうです。缶詰にする技術が開発されるまでは、ロブスターは畑の肥料にされていたとか。

原作には、「人を雇っても、一人前になるとすぐにロブスターの缶詰工場へ行ってしまう」とマリラがぼやく場面があるので、缶詰工場は既にあるようです。

【追記】当時、ロブスターは「貧しいフランス系の猟師が食べるもの」という偏見があって、イギリス系住民はロブスターを食べなかったらしい。もちろん今ではそんなことはなく、ロブスターはカナダを代表するシーフードになってます。

牧師さん、フィリップス先生、リンド氏の名(迷?)演技で、会場は大盛り上がり。しかし途中でアクシデントが勃発。落ちてきた装置が頭にあたってビリーが気絶し、なんとマシューが代役に!

たまたまその場にいたからって、リンド夫人も思い切ったなぁ! 町中の人が固唾をのんで見守る中、マシューは見事にセリフ(一言ですが)を言ってのけ、拍手喝采を浴びます。舞台は大成功!

そして最後にリンド夫人がヴィクトリア女王(当時の英国女王で、カナダの国家元首)に扮して登場。おいしいところを持っていきますねぇ。

「今日は私の即位60年を祝うめでたき日」と言っていたので、ドラマの時代設定は1897年ということになります。日本は明治30年です。

ちなみに「プリンス・エドワード島」の名前は、ヴィクトリア女王の父親ケント公の独身時代の名前“エドワード王子”にちなんで付けられました。

原作との違い

ここからは松本侑子さん訳の文春文庫版『赤毛のアン』をもとに、ドラマと原作との違いを見ていきます。シーズン2は原作にないオリジナルエピソードがほとんどなので、原作と共通する部分だけ取り上げます。

アンの短い髪

緑に染まった髪を短く切ったことで、周りから「男の子」とからわかれ、悔しい思いをするアン。原作には、そのあたりのことは詳しく書かれていません。「アンの刈り上げ頭は、学校にセンセーションを巻き起こした」とあるだけです。

ドラマでは、「髪を切ったのはシラミがわいたせい」とジョーシーが言いふらしたとアンが怒っていましたが、原作のジョーシーは「まるで案山子(かかし)にそっくりね」と言っています。

フィリップス先生が「男子の新入生が入ったようだ」と嫌味を言ったり、アンが男の子の格好をしてカーモディへ行く場面はありません。

トーマス・リンド

クリスマスパントマイムで「悪いロブスター」を演じたのは、リンド夫人のおちゃめな夫トーマス・リンドでした。このドラマではたびたび登場してラブラブ夫婦っぷりを披露していますが、原作では影の薄い存在です。

原作の第1章において、彼が小柄なおとなしい男性で、みんなから「レイチェル・リンドのご亭主」と呼ばれていることが示されるだけで、以降はリンド夫人の話の中にしか登場しません。

続編『アンの青春』では、マリラが彼のことを「気合いを入れたことなんか一度もない」「結婚するまでは母親に牛耳られ、結婚後は女房の言いなり」とこきおろし、「レイチェルがいなかったら、ろくな男にならなかった」と語っています。

クリスマスパントマイム

アヴォンリー恒例のクリスマスパントマイムは、原作にはありません。ただし、新任のステイシー先生の発案で、アヴォンリー校の生徒たちがクリスマスの夜に演芸会を開催する場面があります。

これはアンが12歳の時、グリーン・ゲイブルズに来て2度目のクリスマスの出来事。出し物は、合唱、対話劇、暗唱、活人画(歴史や絵画などの名場面を再現する)で、アンは対話劇と暗唱と活人画に出ました。

この演芸会で、アンは初めてパフスリーブの服(マシューがリンド夫人に頼んで仕立ててもらった ※シーズン1第5話の「原作との違い」参照)を着ています。

マリラは当初、演芸会の計画には反対していましたが、終わってみるとアンの出来映えにすっかり感心し、アンをクィーン学院に行かせることを考え始めます。

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