ネタバレ有「アンという名の少女」シーズン1*第6話あらすじ感想|マリラの過去とアンの後悔

アンという名の少女【シーズン1】

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海外ドラマ「アンという名の少女」シーズン1第6話のあらすじと感想、原作との違いをまとめました。

嬉しい出来事はつかの間で、今回も悲しい出来事が続きます。マリラの過去のロマンスも切ない。

アンはギルバートに無神経なことを言ってしまい、後悔します。

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第6話「後悔は人生の毒」あらすじ

夜、ダイアナがグリーン・ゲイブルズに駆け込んでくる。妹のミニー・メイが病気で苦しんでいるという。ダイアナの両親とマリラは首相の演説を聞きにシャーロットタウンに出かけていた。

マシューは医者を呼びに行き、アンはダイアナの家へ。子守をしていた経験からクループだとすぐに察したアンは、痰が詰まって苦しむミニー・メイをあり合わせのもので処置する。

その様子を見ていたダイアナのおばジョセフィンは感心し、到着した医者もアンがミニー・メイを救ったと褒める。

翌日、アンが眠っている間にバリー夫人がグリーン・ゲイブルズを訪ね、マリラに謝罪する。ダイアナとの交際が許されたことを知ったアンは、大喜びでダイアナに会いに行く。

ギルバートの父親ジョンが亡くなり、葬儀が行われる。ブライス家にある古い帽子を見て、若かりし日のことを思い出すマリラ。アンがつけている青いリボンは、ジョンがマリラに贈ったものだった。アンはギルバートを慰めようと「私に比べれば運がいい」と言い、ギルバートを怒らせてしまう。

ギルバートとの関係に悩むアンに、ダイアナのおばジョセフィンは「自分の望みに素直に従うべき」だと助言する。アンは我が道を行くことを決め、人生に恋愛は不要だと宣言する。

マリラはかつてジョンからもらった手紙を再び読み返す。アンになぜ結婚しなかったのか聞かれたマリラは、兄が死んだとき母親が私を必要としたからだと答える。

マシューは食料雑貨店の店主から、作物を積んだ船が本土に向かう途中で沈んだと聞かされる。船は保険をかけておらず損害補償がないと知り、動揺するマシュー。

アンはギルバートに謝罪の手紙を書こうとするが、うまく書けない。助言を求めてジョセフィンを訪ねるアン。愛した女性を失ったジョセフィンは深い悲しみの底にあり、「後悔のない人生を送りなさい」とアンに告げる。

アンはギルバートの家を訪ねるが、無人の家の中は片付けられていた。マシューはカーモディ銀行へ行き、融資を受けることを決める。

第6話の感想と解説

ミニー・メイの命を救うアン

過去の子守経験が生かされ、ダイアナの妹ミニー・メイの命を救ったアン。ダイアナの母親の誤解も解け、また以前のようにダイアナと一緒にいられるようになりました。

ミニー・メイが病気になった夜、マリラとリンド夫人、ダイアナの母親は留守でした。首相の演説を聞きに、シャーロットタウンに出かけていたのです。

原作には、アヴォンリーの住民の大半が首相の政党(保守党)を支持しており、その夜の政治集会には男性のほとんどすべてと女性の相当数がシャーロットタウンに出かけた、と書かれています。

そのため、マシューは遠くまで医者を呼びに行かなければならなかったんですね。

この時代の女性にはまだ参政権がありませんでしたが、プリンス・エドワード島の人々の政治への関心は、とても高かったようです。

当時のカナダの政治は「保守党」と「自由党」の二大政党が担っていて、保守党はイギリス寄りの政策と互恵主義、自由党はアメリカと同じようにイギリスから離れた新しい政策と自由主義を目指していました。

マリラとマシューは保守党を、リンド夫人は自由党を支持しています。当時は宗教と同じように、先祖が支持してきた政党を守ることは重要だと考えられていました。

マリラの切ない思い出

ギルバートの父ジョンが亡くなり、マリラやマシューとともに葬儀に参列するアン。マリラはブライス家で懐かしい帽子を見つけ、ジョンと過ごした若かりし日の思い出に浸ります。

マリラがアンに結んであげた青いリボンは、かつてジョンから贈られたものだったんですね…。

その夜、マリラは自室のクローゼットの奥にしまい込んでいたジョンからの手紙を読んで涙を流していました。おそらくマリラは過去にジョンに求婚されていて、断ったのでしょう。

マリラはアンに「昔は結婚したいと思っていたけど、無理だったのよ」と語っています。兄マイケルが亡くなった時、母が立ち直れなくて私を必要としたのだと。

ジョンのお墓の前でギルバートに会った時も、「私はここを離れられなかった。義務感に縛られたのよ」と言っていました。もしあの時、何もかも捨ててジョンについて行ってたら…。その苦い思い出は、何度もマリラを苦しめたに違いありません。

ギルバートへの思い

アンは葬儀の日にギルバートを元気づけようと「私に比べれば運がいい」と言って、ギルバートを怒らせてしまいました。アンに悪気はなかったのですが、ギルバートはたったひとりの愛する家族を失ったばかり。酷な言葉でした。

ギルバートの手の上でとけていく一粒の雪が、涙を見せないギルバートの深い悲しみを伝えていました。

アンはギルバートに対する自分自身の気持ちに戸惑い、持て余しているように見えました。私は我が道をゆくんだから、男の子なんて、恋愛なんて必要ない! とわざわざ声高に宣言しているのがその証拠。

しかしジョセフィンさんに「後悔のない人生を送りなさい」と言われ、アンはギルバートに謝ろうと家を訪ねます。ところがギルバートは、もう村を出た後でした。

原作との違い

ここからは松本侑子さん訳の文春文庫版『赤毛のアン』をもとに、ドラマと原作との違いを見ていきます。

ジョセフィン・バリー

ダイアナの妹ミニー・メイが喉頭炎になり、急いでダイアナの家へ向かうアン。家にはジョセフィンおばさんがいましたが、彼女は何も分からずウロウロするだけ。

原作ではダイアナの家にいたのはお手伝いのメアリで、ジョセフィンおばさんが登場するのはもう少し後。アンがダイアナの家に泊まりに行った時でした。

アンとダイアナはジョセフィンおばさんが来ていることに気付かず、彼女が寝ている客用寝室のベッドに飛び込み、彼女を死ぬほど驚かせてしまいます。

激怒したジョセフィンおばさんは「ダイアナの音楽のお稽古代を払うのはやめる」と言い出し、責任を感じたアンは謝罪に行き、彼女に気に入られます。

ドラマではジョセフィンおばさんが同居していた親友を亡くして悲しんでいる様子が描かれていましたが、原作にはありません。アンが彼女から結婚や恋愛について助言を得る場面もありません。

マリラの過去

ギルバートの父ジョンとマリラはかつて恋愛関係にあり、マリラの家の事情で破局していたことがわかりました。

原作にはギルバートの父親は登場せず、亡くなる場面も、マリラが青いリボンを贈られる場面も、彼の手紙を読み返す場面もありません。

マリラがジョンについて語るのはたった一度だけ。物語の終盤、16歳のアンと2人でギルバートのことを話していたときです。

ギルバートは父親の若い頃にそっくりだと言い、昔は父親のジョンと仲良しだったと語るマリラ。だけど喧嘩をしてしまい、マリラは意地を張って彼の謝罪を受け入れず、それきりになってしまったと。

ドラマでは結婚を考えるほどの仲になっていたようですが、原作の2人はそこまでは進んでなかったようで、マリラはギルバートを見てジョンのことを思い出すまで忘れていた、と言っています。

アンとギルバート

ドラマでは葬儀の日にアンがギルバートに話しかける場面がありましたが、原作にはありません。原作のアンは「にんじん」事件以降、ギルバートを憎悪し、頑なに無視します。

原作にはギルバートが学校を休む場面もアヴォンリーを出ていく場面もないので、2人は16歳になるまで(5年間も!)ずーっと仲違いしたまま、勉強での競争関係を続けます。

ちなみにドラマでアンが被っていたベレー帽に似た帽子は「タモシャンター帽」と言い、スコットランドの民族衣装です。プリンス・エドワード島にはスコットランドからの移民が多く、アンもマリラもマシューもスコットランド系です。

船が沈む

マシューは雑貨店の店主から「作物を積んだ船が本土に向かう途中で沈んだ」と聞かされ動揺します。その後、書類を持ってカーモディの銀行へ向かうマシュー。

原作にはこの場面はありません。カスバート家を襲う悲劇のきっかけは「銀行の倒産」です。ネタバレになるので、これについては次回書きます。

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