アンという名の少女【シーズン1】第3話|アンがギルバートに怒った理由

アンという名の少女【シーズン1】

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海外ドラマ「アンという名の少女」シーズン1第3話のあらすじと感想です。

9月を迎え、憧れの学校通いを始めるアン。緊張と期待に胸をふくらませながら登校するも、教師や学友たちの視線は冷たく…。

原作からユーモアを抜いて悪意を加えると、こんなに辛い物語になるんだなぁ。

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第3話「若さとは強情なもの」あらすじ

9月、アンは緊張と期待に胸を膨らませながら学校へ行く。学校ではダイアナが声をかけてくれるが、ダイアナの両親はアンと一緒に登校することを禁じていた。

ダイアナに友達を紹介され、大人びた口調で挨拶するアン。女の子たちはアンが孤児であることをあげつらい、流行遅れの服を着せられていると笑う。

マリラはベル夫人とアンドリュース夫人の訪問を受け、PMSC(進歩的な母親の会)に参加しないかと誘われる。娘を持つ母親たちの集まりだと聞かされ、勉強のために参加するマリラ。

アンとダイアナはフィリップス先生が女生徒のプリシー・アンドリュースと密会している現場を目撃する。アンは、体に触るのは親密な関係だからだと言い、2人は子作りをしているのだと話す。

アンの話を聞きたがり、昼休みにアンを取り囲む女の子たち。アンはハモンド家にいたときに見た夫婦の話をするが、やがて女の子たちは顔色を変え、「汚らわしい人とは食べたくない」とアンを仲間はずれにしてしまう。

翌朝、アンは登校途中にプリシーの弟ビリーに待ち伏せされ、姉の悪口を言ったと脅しつけられる。偶然通りがかったギルバートに助けられるが、2人が一緒に登校するのを見た女の子たちに糾弾され、「ギルバートには近寄らない」と約束させられる。

マリラは雑貨店で会ったベル夫人から「アンが学校に来ると悪影響を及ぼす」と言われて驚く。マシューは情報通のリンド夫人から事情を聞き出し、アンが学校で男女の営みについて語ったことを知る。

恥ずかしさのあまりアンに対する腹立ちを抑えきれないマリラだったが、マシューは「まだ知らなくていいことを知らされる環境にいた」とアンへの同情を口にし、マリラも初めてそのことに思い至る。

マリラはアンドリュース夫人を訪ねて謝罪するが、アンドリュース夫人はアンを「アバズレ」と呼んで許そうとしなかった。マリラはアンが苛酷な環境にいたことを伝え、「あの子が見聞きしたことに、本人の責任はない」と意見する。

アンが気になるギルバートはたびたび声をかけるも相手にされず、授業中に「にんじん」と呼んで髪を引っ張り、アンの気を引こうとする。アンは立ち上がるなり石板でギルバートの横面を殴りつける。

先生に怒られ、「かんしゃく持ちのアン・シャーリーです」と書いた黒板の前に立たされるアン。耐えられなくなったアンは学校から飛び出す。家に帰ったアンはマリラに抱きついて泣きじゃくり、「もう学校には行かない」と言う。

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第3話の感想と解説

学校で孤立するアン

これは『赤毛のアン』をまったく知らない人のほうが素直な気持ちで楽しめるだろうなぁ。原作とはタッチがまるで違う。

純粋にドラマとして面白いと思う客観的なわたしと、コレジャナイという感情的なわたしが胸の中でせめぎ合ってる。見終わった後はどっと疲れました。

憧れていた学校で、辛い体験をするアン。異質なものを認めない子供たちは、自分たちとは違う境遇のアンを残酷な態度と物言いで排除します。孤児に対する偏見と差別の描写が生々しい。

アンはダイアナが説明するさまざまな学校の“決まりごと”にも拒絶反応を示していました。ああ~わかりすぎて辛い。

初日から仲間はずれにされて、落ち込むアン。それでも必死に自分を励まし、前向きになろうとします。

「明日になれば、失敗のない1日が新しく始まる。ひとりでできる失敗には限りがあるし、全部やり尽くせばもう失敗しない。そう思ったら気が楽になる」

原作にもあるこのセリフは、原作ではアンが香料と間違えて塗り薬を入れたケーキを牧師夫人に出してしまった後、マリラに語ったセリフです。

ドラマのほうは、アンが失敗したというよりは“いじめられた”という印象の方が何倍も強かったですが…。

進歩的な母親の会に参加するマリラ

マリラは〈進歩的な母親の会〉に参加するものの、フェミニズムや女性参政権について語り合う若い母親たちについていけません。

「結婚できない女性のために、女性の教育の向上を目指している」という彼女たちの言葉に、下を向くマリラ。マリラが自身が“結婚できない女性”であり、人に言えない葛藤を抱えていることが暗示されます。

アンをちゃんと育てられるのか、自分に母親の素質があるのか、不安になるマリラ。10人の子供を育てたリンド夫人は、〈進歩的な母親の会〉と若い母親たちをよく思っていない様子。母性は自然なものであって思想など絡めるもんじゃない、と言います。

リンド夫人に意見を求められたマシューは、

「何事も初めは進歩的だろ? 古くなるまでは」

と、もっともなことを言ってリンド夫人を黙らせてしまいます。

アンがギルバートに怒った理由

アンは登校途中に偶然出会ったギルバートと一緒に学校へ来て、ますます女の子たちから嫌われてしまいます。

ギルバートとアンの関係を決定づける教室でのシーンは、このドラマではシークエンスの中のひとつに組み込まれていて、やはり違和感が拭えなかった…。

原作では「にんじん(赤毛の意)」と呼ばれたことに対してアンは怒り狂い、その後も思い返しては怒りを再燃させて、決して彼を許そうとしません。

ですが、このドラマの流れだとアンは女の子たちの目を気にして仕方なくギルバートを無視し、あんまりしつこいので怒った、というふうにも見て取れます(その後もアンは、にんじんと呼ばれたことに怒っているとは言っていない)。

だから、アンがその後も頑なにギルバートを無視し続けるのがいまひとつ腑に落ちない。怒ってないなら、ひとまず「あの時はごめん」と謝るのが自然な流れのような気がするのですが…。

アンの無邪気な発言が問題に…

びっくりしたのは、アンが学校でプリシーとフィリップス先生の密会現場を見て「子作りしてる」と言い放つシーン。手や髪に触れてただけなんですけどね。

実際のところアンはよくわかっていなくて、「男性はズボンの前ポケットにペットのネズミを入れていて、そのネズミを触るたびに子供が産まれる」とかトンチンカンなことを言い出します。

無邪気なアンのおしゃべりは、その日のうちに好奇心旺盛な女の子たちの間に広まり、やがてプリシー本人やその家族にも知れることに。

たちまちアンは「村の風紀を乱す」「子供たちに悪影響を及ぼす」問題児として、大人たちからも排除されてしまいます。

事情を知ったマリラは恥ずかしさのあまりアンに怒りを覚えますが、マシューの「まだ知らなくていいことを知らされる環境にいたアンが可哀想だ」という言葉にはっとします。

その後のマリラが取った行動が最高でしたね。プリシーの母親(マリラを進歩的な母親の会に誘ったアンドリュース夫人)に謝ると同時に、アンをあばずれ扱いした彼女に毅然とした態度で言い返しました。

「あの子の発言を非難するのは構いません。でもあの子が見聞きしたことに、本人の責任はないんです。以前は酷い環境で、私たちの想像を絶する辛い目に遭っていたんです。進歩的な母親とやらに思いやりはないようですが、日曜には教会に足を運んでみて、アンが安息の地を見つけたことを神に感謝したらどうですか。私はそうします」

マリラは母親の素質がどうのと悩んでいたけど、何の心配も要りませんでしたね。

原作との違い

今回も、松本侑子さん訳の文春文庫版『赤毛のアン』をもとに、ドラマと原作との違いを見ていきたいと思います。

花飾りの帽子

初登校の日、アンは道端で摘んだ花で帽子に飾りたてて学校へ行き、みんなに白い目で見られます。

原作では、初めて日曜学校へ行ったときのエピソードです。まだ学校へ行く前で、ダイアナとも会っていないとき。アンはきんぽうげや野バラで作った花輪を帽子に飾って教会へ行き、リンド夫人を仰天させます。

仲間はずれ

学校へ行ったアンは孤児だというだけで女の子たちに嫌われ、仲間はずれにされてしまいます。ダイアナもみんなに合わせるしかなく、孤立するアン。

原作では、アンが仲間はずれにされることはありません。初登校の日はダイアナと一緒に登校し、女の子たちともすぐに仲良くなり、上機嫌で帰ってきます。3週間後にギルバートが登校してくるまで、アンは学校生活を心から楽しんでいました。

ジョーシー・パイは原作においても意地悪な女の子で(パイ家はみんな性格が悪いらしい)、アンは「ジョーシー・パイだけは好きになれないわ」と言っています。

プリシーとフィリップス先生

初登校の日、プリシーとフィリップス先生が密会しているのを目撃するアンとダイアナ。アンはそれを見て「子作りしている」と勘違いします。

原作にも、フィリップス先生とプリシーが教室で親しくしている場面はたびたび出てきます。女の子たちは2人が恋仲であることに薄々気付いていますが、そのことで騒動に発展することはありません。

もちろん、アンが学校で「子作り」について語る場面は原作にはありませんし、大人たちがアンを問題児扱いしてマリラが謝りにいく場面もありません。

ギルバートとの出会い

学校へ行く途中、プリシーの弟ビリーに待ち伏せされるアン。偶然通りかかったギルバートが間に入り、事なきを得ます。

アンとギルバートが一緒に登校したことで、ギルバートに恋するルビーは泣きじゃくり、ジョーシーたちはアンを非難します。アンは「彼には近寄らない」と約束しますが…。

原作では、アンがビリーに待ち伏せされる場面はないので、登校途中にギルバートに会うこともありません。アンが最初にギルバートに会うのは、初登校の日から3週間後の教室の中です。

登校前、ダイアナはギルバートについて「ものすごいハンサム」で「女の子をからかって散々な目にあわせる」と語っています。

にんじん事件

「ギルバートには近寄らない」と女の子たちと約束したアンは、何度もしつこく話しかけてくるギルバートを無視し、ついには怒りを爆発させて石板でギルバートの横面を殴ります。

原作では、女の子たちが「ギルバートに話しかけちゃだめ」とアンに注意する場面はありませんし、ここに至るまでにアンが精神的に追い詰められていたということもありません。

いつも教室で女の子をからかっているギルバートは、アンを振り向かせようといろいろやってみるのですが効果はなく(アンは空想の世界に浸っていた)、ついにアンのおさげ髪をつかんで「にんじん!」とささやきます。

アンは烈火のごとく怒り、「よくも言ったわね!」と石板をギルバートの頭に打ち下ろして叩き割ります。単純に赤毛をからかわれたことに怒ったのです。

このことがきっかけで、アンはそれから5年間、ギルバートを無視し続けます。

不登校のきっかけ

石板でギルバートを殴ったアンはフィリップス先生に怒られ、「かんしゃく持ちのアン・シャーリーです」と書いた黒板の前に立たされます。

酷い仕打ちに耐えられず、教室から出ていくアン。そして泣きながらマリラの胸に飛び込むと、「もう学校になんか行かない」と言います。

原作では、アンはこの屈辱に耐えて学校が終わるまで黒板の前に立っていました。ギルバートへの怒りが煮えたぎり、二度と口をきくもんかと胸の中で固く誓いながら。

アンに不登校を決意させた直接のきっかけは、にんじん事件の翌日でした。昼休みから戻るのが遅れた複数の生徒の中から、フィリップス先生はアンひとりだけを選んで、罰を与えたのです。

その罰とは、ギルバートの隣の席に座らせることでした。アンは午後いっぱい罰に耐え、学校が終わると教科書やノートを全部持ち帰って、「もう二度と学校へは戻らない」とダイアナに宣言するのです。

進歩的な母親の会

マリラはベル夫人とアンドリュース夫人の訪問を受け、若い母親たちが集まる〈進歩的な母親の会〉に参加します。

女性の教育の向上を目指しているという彼女たちは、優雅に刺繍をしながらフェミニズムや女性参政権について語っていました。

原作には〈進歩的な母親の会〉は登場しません。マリラはアンの育て方に悩みますが、同時に自分のやり方を信じてもいます。

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