WOWOWの連続ドラマ「ゴールデンカムイ-北海道刺青囚人争奪編-」(全9話)についてまとめました。
映画の続編となるドラマシリーズ第1弾。
金塊のありかを示す暗号を体に彫られた24人の〝刺青囚人〟を探す杉元とアシㇼパ。
そんな彼らの前に、強烈な信念を持つ〝くせもの〟たちが次々と現れます。
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映画「ゴールデンカムイ」ネタバレあらすじ感想|連続ドラマに繋げる壮大なプロローグ作品概要
- 放送局:WOWOW
- 放送時間:2024年10月6日(日)から毎週日曜22:00~ほか
- 原作:野田サトル『ゴールデンカムイ』
- 脚本:黒岩勉
- 監督:久保茂昭/片桐健滋/落合賢/佐藤洋輔
- 音楽:やまだ豊/出羽良彰
あらすじ
日露戦争を生き残り「不死身の杉元」と呼ばれた杉元(山﨑賢人)は、アイヌの少女・アシㇼパ(山田杏奈)、網走監獄からの脱獄囚・白石(矢本悠馬)とともに、金塊の在りかを示す暗号の刺青を彫られた脱獄囚たちを捜す。一方、負傷して鶴見(玉木 宏)率いる第七師団から離脱していた谷垣(大谷亮平)は、「伝説の熊撃ち」と呼ばれる二瓶鉄造(藤本隆宏)と出会い、絶滅したとされているエゾオオカミのレタㇻを追い、狙っていた。
WOWOW公式サイトより
予告動画
原作について
このドラマの原作は、野田サトル氏の漫画『ゴールデンカムイ』です。
2014年から2022年まで、「週刊ヤングジャンプ」(集英社)で連載されました。単行本は全31巻。
集英社の公式マンガアプリ「ヤンジャン!」で、11月7日(木)まで10巻分無料で読めます。
明治時代の北海道を舞台に、アイヌの埋蔵金をめぐって苛烈な争奪戦を繰り広げる冒険活劇で、アイヌ文化や歴史を背景にした壮大なストーリーが特徴です。
2018年4月からは、テレビアニメの第1期~第4期までが放送され、最終章となる第5期の製作も決定。
2024年1月19日には、原作の第1巻から第3巻前半までを実写化した映画も公開されました。
時代背景(年表)
物語の主な舞台は、明治末期から大正初期にかけての北海道と樺太(現在のサハリン)。日本が近代国家としての地位を確立しつつあった時代です。
主な時代背景
- 日露戦争
主人公の杉元佐一は、日露戦争の激戦地である二〇三高地の戦いから生還した元軍人です。
日露戦争は、日本とロシア帝国の間で行われた戦争で、日本が勝利し、朝鮮半島や南樺太の領有権を獲得しました。 - 北海道と樺太
物語の主な舞台である北海道と樺太は、当時の日本の開拓地で、多くの移民や屯田兵が住んでいました。 - 歴史的背景
戊辰戦争やロシア革命など、当時の歴史的な出来事も物語に影響を与えています。
年表
西暦 | 出来事 |
---|---|
1867 | 徳川慶喜、大政奉還上表を朝廷に提出 |
1868 | 王政復古の大号令 鳥羽・伏見の戦いを機に戊辰戦争が始まる 江戸を東京と改称し、年号を明治とする |
1872 | 大久保利通が富岡製糸場を設立 福沢諭吉が『学問のすすめ』を刊行 |
1875 | 樺太・千島交換条約が調印される |
1877 | 鹿児島で西郷隆盛が挙兵、西南戦争が始まる |
1881 | ロシアのアレクサンドル2世暗殺される |
1894 | 日本、清国に宣戦布告。日清戦争勃発 |
1902 | 八甲田山で199人死亡(八甲田雪中行軍遭難事件) |
1904 | 日本、ロシアに宣戦布告。日露戦争勃発 |
1905 | 日露講和条約(ポーツマス条約)調印 ロシアで血の日曜日事件。第1次ロシア革命始まる |
1906 | 夏目漱石が小説「坊っちゃん」を発表 |
1909 | 伊藤博文がハルピンで暗殺される |
1910 | 石川啄木が歌集「一握の砂」を刊行 |
用語解説
日露戦争
1904年から1905年にかけて日本とロシア帝国の間で行われた戦争。主に満州(現在の中国東北部)と朝鮮半島の支配権を巡る争いが原因で勃発しました。
主人公の杉元佐一が戦った二〇三高地は、旅順港を巡る「旅順攻囲戦」で最大の激戦地となった丘陵で、日本軍は多大な犠牲を払いながらも旅順を攻略しました。
満州南部で行われた「奉天会戦」、日本海軍がバルチック艦隊と戦った「日本海海戦」でも日本軍が勝利し、追い込まれたロシア側は和平に向けて動き出します。
1905年、アメリカの仲介で締結されたポーツマス条約により、ロシアは日本の朝鮮半島における優越権を認め、南樺太(サハリン)を日本に割譲しました。
この戦争での勝利により、日本は国際的にその地位を高め、列強の一員として認められるようになりました。
第七師団
北海道・旭川に本部を置く大日本帝国陸軍の師団の一つで、1896年に北海道の防衛と開拓を目的として設立されました。
かつて屯田兵と呼ばれた組織を前身とした部隊で、北海道民からは「北鎮部隊」と呼ばれ、畏敬の念を持たれていました。
日露戦争では「旅順攻略戦」や「奉天会戦」に参加し、重要な役割を果たしています。
第七師団は満州事変や太平洋戦争に参加した後、1945年9月22日に帯広で復員し、解散しました。
アイヌ
北海道や樺太(現在のサハリン)、千島列島などに住んでいた先住民族。独自の文化、言語、信仰を持ち、自然との共生を重視してきました。
アイヌの信仰では、自然界のすべてのものに魂が宿ると考えられています。
これらの魂を「カムイ」と呼び、動植物や自然現象などもカムイとして崇められています。
狩猟や漁労、採集を主な生活手段とし、衣服や道具には独特の文様が施されています。
明治時代以降、日本政府はアイヌに対して同化政策(土地の没収、日本語や日本文化の強制など)を推進しました。
これにより、アイヌの伝統的な生活様式や文化は大きな影響を受けました。
現在、アイヌは先住民族としての権利を認められ、文化の復興や保護が進められています。
エゾオオカミ
かつて北海道や樺太(現在のサハリン)、千島列島に生息していたオオカミの亜種。
体重30~35kg、体長120~130cmほどで、本州に生息していたニホンオオカミよりも大型。
北海道の森林や山岳地帯でアイヌの人々と共存し、アイヌの文化では「狩する神(ホロケウカムイ)」として崇拝されていました。
明治時代に入ると、家畜を襲う害獣と見なされ、人間による駆除が進みました。
また、開拓による生息地の減少や病気の蔓延も絶滅の原因とされています。
最後のエゾオオカミは1889年頃に確認されており、その後絶滅したとされています。
登場人物
※映画版のネタバレを含みます
杉元一派
杉元佐一(山﨑賢人)
日露戦争で多大な戦功を上げ生還した元陸軍兵。驚異的な回復力と並外れた身体能力を持ち、その戦いぶりから「不死身の杉元」と呼ばれる。戦死した幼なじみ・寅次との約束を果たすため、アイヌの埋蔵金を探す。
アシㇼパ(山田杏奈)
アイヌの少女。北の大地を生き抜く知恵と、優れた狩猟技術を持つ。アイヌの埋蔵金を強奪した男に父を殺されており、その真相を突き止めるため、杉元と行動をともにする。
白石由竹(矢本悠馬)
“脱獄王”の異名を持つ男。お調子者だが脱獄に関しては天才的。金塊のありかを記した刺青を持つ網走監獄の脱獄囚の一人で、金塊を手に入れるために小樽で出会った杉元とアシㇼパに同行する。
キロランケ(池内博之)
アシㇼパの父の旧友。極東ロシアのアムール川流域に暮らす少数民族の出身。元第七師団の隊員で、工兵として日露戦争に出征した。土方から「のっぺらぼう」について聞かされ、アシㇼパに伝える。第3話から登場し、杉元たちの旅に同行する。
第七師団
鶴見篤四郎(玉木宏)
第七師団の中尉。歩兵第27聯隊所属の小隊長で、情報将校。日露戦争の奉天会戦で砲弾の破片を受け、前頭葉を欠損している。新たな軍事政権樹立をもくろみ、その資金としてアイヌの埋蔵金を狙っている。
尾形百之助(眞栄田郷敦)
上等兵。凄腕のスナイパー。杉元との戦いで重傷を負うも生還。その後、鶴見中尉を裏切って第七師団を敵に回す。金塊のありかを記した刺青を手に入れるべく、脱獄囚たちを追う。
谷垣源次郎(大谷亮平)
一等卒。狩猟を生業とする阿仁マタギの生まれ。義理堅く真っ直ぐな性格。アシㇼパを追っていた際にレタㇻに襲われて負傷し、第七師団から離脱する。絶滅したとされているエゾオオカミのレタㇻに魅了され、仕留めようとする。
月島基(工藤阿須加)
軍曹。鶴見中尉の補佐役として日露戦争に参加し、戦後も彼の野望を実現しようと動く。実直な性格で、鶴見中尉に並々ならぬ忠誠心を抱いている。
二階堂浩平(栁俊太郎)
一等卒。双子の兄弟である洋平を杉元に殺され、復讐のため杉元の命を狙っている。一度は第七師団を離れ、尾形と行動をともにするも、「杉元を殺させてやる」という鶴見中尉の言葉を受けて第七師団に戻る。
鯉登音之進(中川大志)
少尉。海軍少将の父を持つ薩摩生まれのエリート。並外れた身体能力を持ち、興奮状態に陥ると早口の薩摩弁になったり奇声を発したりする。鶴見中尉に心酔している。
土方一派
土方歳三(舘ひろし)
箱館戦争で戦死したとされている元新選組副長。網走監獄の脱獄囚の一人。囚人たちの脱獄を指揮した人物で、自らの野望実現のためにアイヌの埋蔵金を手に入れようとする。網走監獄にいた際、「のっぺらぼう」から暗号を解くヒントを与えられている。
永倉新八(木場勝己)
元新選組二番隊隊長。剣の達人。脱獄した土方に手を貸し、資金や武器の調達などで支援している。
牛山辰馬(勝矢)
「不敗の牛山」と呼ばれる柔道の達人。網走監獄の脱獄囚の一人。土方と手を組み、金塊のありかを記した刺青を持つ脱獄囚を探している。
奥山夏太郎(塩野瑛久)
第4話に登場。元賭場の用心棒。茨戸の宿場町で土方、永倉と出会う。
アイヌ
ウイルク(井浦新)
アシㇼパの父。母は樺太アイヌ、父はポーランド人。アシㇼパに山で生き抜く知恵や狩猟技術を教えた人物。5年前、埋蔵金を強奪した男に殺されたと思われていたが…。
フチ(大方斐紗子)
アシㇼパの祖母。コタンで暮らしている。病死した夫が村で一番偉い人物だったため、村人から一目置かれている。アイヌ語しか話せない。
大叔父(秋辺デポ)
アシㇼパの大叔父。強奪された金塊を「呪われたもの」と考え、金塊探しに反対している。
オソマ(永尾柚乃)
アシㇼパのいとこ。アイヌの風習で、病魔除けの幼名として「オソマ(うんこ)」と呼ばれていたが、体が弱かったため本名も「オソマ」と名付けられた。和人の言葉が話せる。
勇拂の大叔父(宇梶剛士)
アシㇼパの大叔父。フチの弟で、6人兄弟の一番末。勇拂にあるコタンで暮らしている。杉元らを歓迎する。
インカㇻマッ(高橋メアリージュン)
北海道各地を放浪する占い師。「シラッキカムイ」というキツネの頭骨を用いた占いを得意とする。勇拂のコタンで杉元らに出会い、「不吉な兆候を感じる」と忠告する。第4話から登場。
チカパシ(青木凰)
天涯孤独の少年。狩りに興味を持ち、谷垣に懐く。第7話から登場。
そのほか
のっぺらぼう
アイヌが軍資金として貯めていた金塊を強奪した男。網走監獄に収監され、金塊のありかを示す刺青を24人の囚人たちに彫り、彼らを脱獄させた。土方歳三にだけ暗号を解くヒントを与えた。顔の皮膚を失い、足の腱を切られている。
二瓶鉄造(藤本隆宏)
第1話に登場。「悪夢の熊撃ち」と呼ばれる伝説の猟師で、網走監獄の脱獄囚の一人。谷垣とともに最後のエゾオオカミであるレタㇻを仕留めることに執念を燃やす。
辺見和雄(萩原聖人)
第2話に登場。網走監獄の脱獄囚の一人。これまでに100人以上を殺している殺人鬼。最高の死に方を想像して興奮するという特殊な性癖を持つ。ニシン漁場のヤン衆(出稼ぎ労働者)として潜伏していたところ、杉元たちと出会う。
家永カノ(桜井ユキ)
第4話に登場。「札幌世界ホテル」を経営する謎めいた美女。実は網走監獄の脱獄囚の一人で、同物同治を信奉する元医者。ある目的から、ホテルに泊まったアシㇼパに目をつける。
エディー・ダン(モーリー・ロバートソン)
第5話に登場。アメリカ人の牧場経営者。不死身のヒグマ〝モンスター〟に馬を襲われて手を焼いている。モンスターを倒せば刺青囚人の居場所を教える、と杉元らに取引を持ちかける。
若山輝一郎(渋川清彦)
第5話に登場。賭場を牛耳るヤクザの親分。ダンが所有する客人用の農家にいたところ、杉元たちと遭遇する。網走監獄の脱獄囚の一人。
仲沢達弥(木村知貴)
第5話に登場。イカサマを自由自在に操る壺振り。ダンが所有する客人用の農家にやってきて杉元たちと遭遇する。あることがきっかけで、若山との関係がこじれている。
江渡貝弥作(古川雄輝)
第6話に登場。天才的な剥製職人。夕張の炭鉱の近くに住み、夜な夜な墓地から遺体を掘り起こしては皮を剥ぎ、奇妙な作品を作っている。その腕を見込んだ鶴見中尉から「刺青人皮の偽物を作ってほしい」と頼まれる。
青山賢吉(阿部翔平)
第7話に登場。谷垣のマタギ仲間で、義理の兄。谷垣の妹フミと結婚して幸せに暮らしていたが、失踪した。
エクロㇰ(佐藤貢三)
第7話、8話に登場。杉元たちが偶然立ち寄ったアイヌコタンの住人。杉元たちを歓迎するが、何かを隠している様子。
モノア(渡辺真起子)
第8話に登場。杉元たちが立ち寄ったアイヌコタンの住人。エクロㇰの妻。
熊岸長庵(徳井優)
第8話に登場。腕利きの贋作師。月形の樺戸監獄に収監されていたが、脱獄してアイヌコタンに潜伏中。鈴川に偽札づくりを命じられている。
鈴川聖弘(山路和弘)
第8話に登場。結婚詐欺師で、変装の達人。網走監獄の脱獄囚の一人。樺戸監獄の集団脱獄を手引し、熊岸らとともにアイヌコタンに潜伏中。
有坂成蔵(浅野和之)
第8話に登場。陸軍中将で、天才銃器開発者。鶴見に頼まれ、二階堂の義足を作る。
犬童四郎助(北村一輝)
網走監獄の典獄。土方歳三に個人的な恨みを抱き、ひそかに網走監獄に幽閉していた。
剣持梅子(高畑充希)
杉元の幼なじみで、かつての想い人。杉元が村を去った後、寅次と結婚した。その後、病で視力を失った。
剣持寅次(泉澤祐希)
杉元の幼なじみで、親友。日露戦争で杉元をかばって戦死した。息を引き取る直前、「梅子を頼む」と杉元に遺言を残した。
ナレーション(津田健次郎)
各話のあらすじ(ネタバレ有)
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