海外ドラマ「バビロン・ベルリン」シーズン3、第5話・第6話のあらすじと感想です。
ゼーガースの娘マルが登場。しかも弁護士志望の共産主義者。当然ながら保守派の父とは対立。
その彼女がボランティアをしているリッテン法律事務所が、グレータの弁護を引き受けてくれました。いやーもー面白いなー!
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第5話・第6話のあらすじ(ネタバレ有)
ゲレオンとベーム、シャルロッテの3人は、トリスタン・ロートが主催する〈土星同胞団〉の集いに潜入する。謎めいた儀式を取り仕切っていたのはシュミット博士だった。
ベームは確かな証拠もないままトリスタンを逮捕する。オカルトに傾倒するトリスタンは、ティリーが殺害されたときに庭にいたのは死んだ妻と接するためだったと語る。
ゲレオンはカテルバッハに会い、政治警察のリストに名前が載っていることを伝える。リストには弁護士ハンス・リッテンの名前もあった。ゲレオンはリストの人物の住所と電話番号をシャルロッテに調べさせる。
1929年9月26日、グレータに死刑判決が下される。グレータを助けたいというシャルロッテに、ゲレオンは赤色救援会の弁護士ハンス・リッテンに会うよう勧める。
ゲレオンはシャルロッテから「ラインゴールド・ホテルで奥さんを見た」と聞き、ホテルの部屋を訪ねる。部屋には薔薇の花が飾られ“A”という人物からのカードが添えられていた。モーリツに誰のことかと確かめるも、知らないという。
カテルバッハは国防軍が企む軍用飛行場の建設計画の写真を手に入れ、テンポ新聞に持ち込む。そこへナチ党の突撃隊が押しかけ、編集部を襲撃する。下宿に逃げ込んだカテルバッハを家主のベーンケがかくまい、編集長のハイマンに無事原稿を届ける。
ゼーガースは軍の新しいトップに任命される。娘のマルはリッテン法律事務所でボランティアをする法学部の学生で、共産主義者だった。父に説得され渋々ニッセン家での音楽会に参加するが、保守派の集まりに嫌気が差して途中で抜け出すマル。
シャルロッテはリッテン法律事務所を訪ね、弁護士のハンス・リッテンに会う。グレータの裁判には明らかに政治的意図があり、死刑は不適切だというリッテン。リッテンは無償でグレータの弁護を引き受ける。
ゲレオンはリストの人物に電話をかけ、ほとんどが警察に逮捕されたり死亡していることを知る。リストの中には突撃隊のホースト・ケスラーの名もあった。警視総監のツェルギーベルは、なぜこのリストが政治警察の記録に紛れ込んだのか調べろと命じる。
グレータの尋問記録からオットーとフリッツが偽名だと知ったゲレオンは、オットーの本名がホースト・ケスラー、フリッツの本名がリヒャルト・ペヒトマンだと知る。
ヴェントは軍が実権を握るためには人々の不安をあおり、街を混乱させる必要があるとゼーガースに説く。そのためにナチスを利用するというヴェントに対し、ゼーガースは「それでは人々が伝統の価値を思い出せない」と反論する。そこへシュトレーゼマンが現れ、新たな時代に進むため協力し合うべきだと諭す。
ヘルガは医者から妊娠を告げられるが、「捜さないで」と書いた手紙をモーリツに預け、ゲレオンに届けさせる。モーリツは家に帰ることを望み、ゲレオンに母を説得してほしいと頼む。
シャルロッテは友人のヴェラがヴァルターのことで嘘をついていることに気づき、問い詰める。ヴェラはベティが殺された日にヴァルターとドライブしていたことや、ずっと一緒にいたと答えるよう言われたと明かす。だが実際には、ヴァルターはベティの殺害時刻に車を離れていたことという。
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ネタバレ「バビロン・ベルリン」シーズン3全話あらすじ感想・登場人物(キャスト)・視聴方法第5話・第6話の感想
ヴァルターのアリバイ工作
まずは女優殺人事件から。ベティの夫トリスタン・ロートを逮捕するも、証拠不十分であっさり釈放。
それにしても〈土星同胞団〉の集いはブキミだったねぇ。しかもなんでアンノーが仕切ってんの? 意味不明。
そしてやはり、ヴァルターの動きが怪しいです。ヴェラと口裏を合わせ、ベティ殺害時のアリバイ工作をしていたことがわかりました。
第5話でエドガーが会合を開いたとき、裏切り者をユダに例えていましたよね。もしかしてエドガーは薄々気づいているのでしょうか?
でもヴァルターが犯人だとしたら、ベティを殺す理由がわからない。映画が失敗すれば、自分も損をするはず…。
ハンス・リッテンの苛酷な運命
グレータには死刑判決が下されました。既に死ぬ覚悟を決めていたんでしょうね、子供のために。グレータはその場で判決を受け入れます。
諦めきれないシャルロッテは弁護士のハンス・リッテンを訪ねます。そこにはゼーガース大将の娘マルもいました。
ハンス・リッテン(1903~1938)は実在の人物ですね。ドラマの中で彼自身が語っていたとおり、労働者の権利を擁護した反ナチスの弁護士です。
1931年に彼の人生を変える出来事が起こります。彼はナチス突撃隊が起こした殺人事件の証人として、アドルフ・ヒトラーを召喚し、3時間にも及ぶ尋問を行ったのです。
ヒトラーはこの時の屈辱を忘れず、2年後にナチスが政権を握るとリッテンを逮捕し、強制収容所に送りました。5年間に及ぶ尋問や拷問で希望を失ったリッテンは、1938年に自ら命を絶っています。
突撃隊に追われるカテルバッハ
ナチスの動きもいよいよ活発になってきました。国防軍のスキャンダル記事を書いたカテルバッハは突撃隊に追われ、記事を掲載しようとしたテンポ新聞も襲撃を受けます。
突撃隊は、もともとはナチ党の集会を妨害から護るための警備隊でした。ヒトラーが黒シャツ隊(イタリアのファシスト党の武装組織)をまねて準軍隊的な武装組織に作り替え、やがてマルクス主義者やユダヤ人を襲撃するようになります。
ベルリン突撃隊の指導者ヴァルター・シュテンネス(1895~1989)も実在の人物です。第一次世界大戦に陸軍少尉として従軍したシュテンネスは、その後ベルリン警察の職務に就き、警察を辞めたあと〈黒い国防軍〉に参加。ナチ党に入党したのは1927年です。
オットーとフリッツは突撃隊のメンバーで、偽名を使ってグレータに近づき、ベンダ殺害を企てたことが判明しました。2人はシュテンネスとともに編集部を襲い、ユダヤ人記者のカテルバッハを追います。
ベーンケの機転で突撃隊をやりすごすカテルバッハ。そのあとも、ベーンケは編集長に原稿を届けるため、しつこくつきまとうフリッツを見事に撒くという手腕を発揮。
ゲレオンに振られたベーンケがカテルバッハに協力し、2人がなんかちょっといい雰囲気になっているのが微笑ましいです。
カフェに集う有名人たち
カテルバッハとゲレオンがカフェで会ったとき、カテルバッハが「後ろの席にトーマス・マンがいる」「ディートリヒとアインシュタインも」と嘘をついてゲレオンを驚かせるシーンがありました。
トーマス・マン(1875~1955)は「ヴェニスに死す」や「魔の山」で知られるドイツの小説家。ワイマール共和国を支持し、ナチズムの危険性を訴えました。
1929年にノーベル文学賞を受賞しているのですが、このドラマの設定は1929年9月だから、この時点ではまだ発表されてないのかな。どうなんだろう。いずれにしても既に有名作家だったはず。
マレーネ・ディートリヒ(1901~1992)はワイマール共和国時代を代表する女優。1930年にドイツのトーキー映画「嘆きの天使」に出演後、「モロッコ」でハリウッドデビューを果たしました。
QUEENのボーカル、フレディ・マーキュリーのお気に入りで、自宅に彼女の写真が飾られていたり、アルバム「QUEEN Ⅱ」のジャケットがオマージュになっていることでも有名。
アインシュタイン(1879~1955)は説明するまでもないですね。1921年にノーベル物理学賞を受賞したドイツ出身の物理学者です。彼は1932年にドイツを離れ、以来、祖国に戻ることはありませんでした。
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