「バビロン・ベルリン」シーズン3第7話・第8話ネタバレ感想|ヴェント大佐と仲間たち

海外ドラマ「バビロン・ベルリン」シーズン3あらすじキャスト

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海外ドラマ「バビロン・ベルリン」シーズン3、第7話・第8話のあらすじと感想です。

殺人事件の犯人の証拠を掴んだゲレオンとシャルロッテ。撮影所には再び黒マントの“怪人”が現れ、主演女優のヴェラに襲いかかります。

ヴェント大佐と保守派の仲間たちは、それぞれに思惑がある様子。ニッセンは空売りで大儲けしようと彼らに持ちかけますが、まるで相手にされず。

ゲレオンはフリッツを見つけ出し、グレータと対面させますが…。

第7話・第8話のあらすじ(ネタバレ有)

ゲレオンはフリッツことリヒャルト・ペヒトマンを見つけ出し、署に連行してグレータと対面させるが、グレータは知らない人だと主張する。
ニッセンはゼーガース大将やヴェント大佐らを集め、ドイツの金融市場がいずれ大崩壊することを予言し、大規模な投資を提案。株式の空売りで莫大な利益を得ようと持ちかけるが、単なる夢物語だと誰も本気にしない。
記録課のウルリヒたちは殺されたティリー・ブルックスの遺留品を調べ、ペンダントの中に入っていたワイントラウブの毛髪を見つける。ゲレオンとシャルロッテは本人に確認するため撮影所を訪ねるが、黒マントの“怪人”が現れ衣装合わせ中のヴェラを襲う。
ゲレオンは“怪人”を追うも逃げられ、自らも負傷。シャルロッテはヴェラを助けようとするが、“怪人”はヴェラを拉致して屋上から飛び降りる。ヴェラは命を落とし、“怪人”も重症を負う。“怪人”の正体はワイントラウブだった。

釈放されたリヒャルトはヴェント大佐のもとを訪れ、ゲレオンに連行されたことを話す。見返りに金を要求するリヒャルトだったが、その場でヴェント大佐に射殺される。
ワイントラウブは病院に運ばれるが、意識が戻らない。三度主演女優が殺されたことで撮影所は閉鎖され、撮影続行は絶望的となる。エスターは「彼が犯人のはずがない」とエドガーに訴える。
ヘルガは入院中のゲレオンを見舞い、妊娠したことを告げる。ヘルガの浮気を疑うゲレオンは父親を問いただし、傷ついたヘルガは病室を出て行く。
弁護士ハンス・リッテンの控訴請求は無視され、グレータの刑の執行が5日後の10月6日に決まる。グレータは裁判で嘘の証言をしたことを同室のフォルカー医師に告白し、子供を盾に脅されたことを打ち明ける。
カテルバッハの記事がテンポ新聞に掲載され、カテルバッハのもとには政治警察から召喚状が届く。絶望するカテルバッハに、ベーンケは結婚を考えるよう促す。
マルと再会したヴェント大佐は、彼女から「株式市場は間違いなく崩壊する」と聞く。ヴェント大佐はニッセンに連絡し、再び仲間に加わりたいなら資金を集めろと命じる。
エドガーは入院中のワイントラウブを拉致し、シュミット博士のもとへ連れて行く。電気ショックで目覚めたワイントラウブは、真犯人に襲われて黒マントを着せられ、屋上から落とされたことを話す。
シャルロッテは姉イルゼの手術代を稼ぐため、いかがわしいショーに出演する。トニは義兄の友人ペーターに再会し、金持ちのおじに本を読んでやってほしいと頼まれる。

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第7話・第8話の感想

真犯人は誰?

とうとう3人目の主演女優ヴェラまで殺されてしまい、撮影所は閉鎖、映画は頓挫してしまいました。

犯人はヴァルター・ワイントラウブかと思ったら、違うみたいですね。ヴァルターじゃないとなると、もうエスターしかいないんじゃないの…?

ただ、彼女がヴァルターと愛し合っているなら、彼に罪を被せるはずないしなぁ。第2話にチラッとだけ登場したエスターの妹夫婦が怪しいけど、彼らも映画が頓挫したら負債を抱えるわけだし。

エドガーとヴァルターとエスターの三角関係は、正直どうでもいいって感じ。

グレータの裁判やナチ党の動きのほうが気になって、撮影所の事件がまどろっこしく感じてしまうわ。

フリッツの最期

ゲレオンはついに共産主義者を騙っていたフリッツことリヒャルト・ペヒトマンに辿り着きますが、肝心のグレータが認めません。ヴェント大佐に脅されてるから、認めるわけにはいかないのよね…辛い。

借りを返せとヴェント大佐に金を要求したフリッツは、その場であっさり殺されてしまいました。まぁそうなるよね。

つまりベンダ殺害の真犯人はヴェント大佐で、実行犯がフリッツ(国家社会主義者)ということになるのかな。政治警察のトップが犯人なのだから、捜査が進むはずないですね。

グレータを騙したフリッツに同情する気持ちは1ミリもないけど、恐らく彼も貧しい労働者の一人だったんだろうと思う。

突撃隊はボランティアなので、党のために働いても何の手当も出ません。隊の制服や装身具なども自己負担。それだけに、同志としての連帯感は強かったらしい。

青年団のキャンプでモーリツが喧嘩したとき、兵長のオットーが説教する場面がありましたが、あの言葉は本心だと思う。

「ここにいるみんなは絆で結ばれた共同体だ。血でつながってる。ドイツの血だ。ヒトラー総統に忠誠を誓う。総統は見てる。我々が団結してるか。1つになって総統とその理念を支持する。我々はそう誓った。統一のため、共同体のため、人々のため。総統は見てるぞ」

なんだか虚しくなりますね。

ニッセンの復讐

さて、こそこそ調べ回っていたニッセンが動き出しました。目的は「復讐」だそうです。

誰に対する復讐なんだろう。会社から自分を追い出した母親? 帝政を崩壊させた共産主義者や社会主義者?

ニッセンの担当医がシュミット博士(=アンノー)というのも皮肉ですね。シュミット博士は彼がヘルガに接近していることを知ってるんだろうか。

「いずれドイツの金融市場は崩壊する」というニッセンの分析は正しい。なのに、保守派エリートの仲間たちは誰も、専門家でさえ信じない。

“歴史は繰り返される”という言葉をよく耳にするけど、こういうのを見ると本当にその通りだなと思います。まるでバブル景気に浮かれる80年代の日本を見ているよう。過去にこんなわかりやすい例があったのに、なぜ学べなかったんでしょうね…。

ちなみにニッセンのモデルの一人はフリッツ・ティッセン(1873~1951)で、ナチスの最大のパトロンだった実業家です。

父親が築いた事業を継ぎ、1926年に合同製鉄会社を設立。1931年12月にナチ党に入党し、巨額の資金援助でナチ党の政権獲得に助力しました。

しかしその後ヒトラーと対立して、1939年にスイスに亡命。翌年フランスで逮捕されてナチスに引き渡され、第二次世界大戦終結まで強制収容所に収容されていました。

戦後はナチスの支援者としてドイツ国内の財産のうち15%を没収され、1951年に移住先のアルゼンチンで亡くなっています。

ヴェント大佐と仲間たち

ヴェント大佐が保守派の仲間たちとポーカーをする場面がありました。彼らの望みは、帝政時代のような権威主義政治を実現させることでしたが、互いに不信感を持っています。

メンバーの中には、のちに首相となるクルト・フォン・シュライヒャー(1882~1934)や、フランツ・フォン・パーペン(1879~1969)もいました。

シュライヒャーはヒンデンブルグ大統領の息子の友人で、大統領に強い影響力を持ち、“政治将軍”として暗躍した人物。大統領にナチ党を利用するよう勧めたのも彼です。

第6話のニッセン家での音楽会に出席していたハインリヒ・ブリューニング(1885~1970)を首相にするための工作を行い、1930年に実現させています。

パーペンは、ブリューニングが更迭された後、シュライヒャーによって1932年6月に首相に任命され、わずか半年で失脚した人物(後継首相はシュライヒャー)。

復活を企むパーペンは、新政権樹立のためにヒトラーを首相(自分は副首相)にするようヒンデンブルグ大統領に進言し、1933年1月にヒトラー政権が誕生しました。

シュライヒャーも、パーペンも、議会制民主主義を崩すことが目的で、そのための道具としてナチ党およびヒトラーを利用したに過ぎず、用が済めばお払い箱にするつもりでした。

ゲレオンとシャルロッテが抱える問題

病院でヘルガと再会したゲレオン。ゲレオンは“A”がアンノーだと思ってたんですね。なるほどそうか…それはキツいですね。

アンノーが生きていることを知らないヘルガは、ゲレオンがなぜ疑うのかわからない。妊娠を報告したのに「父親は誰だ」と聞かれ、子供を堕ろそうとするヘルガ。こっちも辛い。

シャルロッテは姉の手術代を稼ぐために体を売り、妹のトニは寂しさを紛らわせようとセキセイインコを買うためのお金を稼ごうとしています。

トニに声をかけてきた怪しい男は、シーズン2でトニに下着をプレゼントした義兄の友人ですよね。絶対なにか企んでるよね。金持ちの闇商人に本を読んでほしいとか、なに。怪しすぎ。

カテルバッハは反逆罪で召喚されるし、グレータの処刑の日は5日後に決定するし、辛い展開になりそうで憂鬱。

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