ネタバレ有「トッカイ」全話あらすじ・感想・登場人物(キャスト)

WOWOWドラマ「トッカイ ~不良債権特別回収部~」あらすじキャスト

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WOWOWの連続ドラマ「トッカイ ~不良債権特別回収部~」(全12話)についてまとめました。

「しんがり」「石つぶて」に次ぐ清武英利の衝撃作映像化、第3弾!国民の税金を守るため、6兆7800億円の不良債権回収に精鋭たちが立ち上がる――!

WOWOW公式サイトより

バブル経済崩壊後、6兆7800億円もの不良債権を回収すべく集められた精鋭たちが、国民の税金を守るために不動産王や闇金融らと命を懸けて闘う物語。

2015年の「しんがり~山一證券 最後の聖戦~」、2017年の「石つぶて ~外務省機密費を暴いた捜査二課の男たち~」に続く、ノンフィクション作家・清武英利氏の著書の映像化第3弾。

作品概要

  • 放送局:WOWOWプライム
  • 放送時間:1月17日(日)から毎週日曜夜10:00~ほか
  • 原作:清武英利『トッカイ バブルの怪人を追いつめた男たち』
  • 脚本:戸田山雅司(「しんがり」「石つぶて」)
  • 監督:若松節朗/村谷嘉則/佐藤さやか
  • 音楽:住友紀人
  • 主題歌:T字路s「夜明けの唄」

あらすじ

1996年、あおば銀行・融資部の柴崎朗(伊藤英明)は、経営破綻した住宅金融専門会社(住専)の不良債権回収を目的とした国策会社「住宅金融債権管理機構(住管機構)」への出向を命じられる。そこには、柴崎と同様に銀行からの出向組の塚野智彦(萩原聖人)のほか、経営破綻した元住専社員の葉山将人(中山優馬)、多村玲(広末涼子)、岩永寿志(矢島健一)らが集められていた。「不良債権を1円残らず回収する」――社長の東坊平蔵(橋爪功)が掲げた至上命題とともに彼らに背負わされた回収額は、6兆7800億円。バブル経済が崩壊し、経営破綻した住専の不良債権処理のため、政府は6850億円もの税金を投入し、国民の怒りを買った。その失政のツケを負わされるかのごとく、回収の最前線に集められた彼らは、バブル経済に踊った怪商、不動産王、暴力団ら悪質債務者と対峙し、国民の税金を守るために命を懸けた熱き闘いを繰り広げていく――。

WOWOW公式サイトより

原作について

このドラマの原作は、清武英利さんのノンフィクション『トッカイ バブルの怪人を追いつめた男たち』です。

バブル崩壊後に残された巨額の不良債権。回収にあたった住宅金融債権管理機構、のちの整理回収機構の奮闘を描いた、驚愕と感動の物語。

用語

住宅金融債権管理機構(住管機構)

経営破綻した住宅金融専門会社(住専)の不良債権6兆7800億円の取り立てを目的として作られた国策会社。社員には銀行、大蔵省、国税庁、検察、警察からの出向組のほか、旧住専七社の社員が採用された。

住宅金融専門会社(住専)

大蔵省が主導し、銀行等が共同出資して設立した、主に個人向けの住宅ローンを取り扱う民間会社。

大蔵省の意向で貸金法の規制から外されていたため、銀行が悪質業者を紹介するようになり、彼らに貸し付けた莫大な金がバブル崩壊によって不良債権化した。

1990年に行われた総量規制の際も対象外だったことから、同じく規制を逃れた農林系金融機関から多額の資金が流れている。

整理回収機構

住管機構と整理回収銀行が1999年4月1日に合併して誕生した新組織。

整理回収銀行は住管機構と同時期に作られた組織で、経営破綻した金融機関の預金の払い戻しや不良債権の回収を行っていた。

旧住専や銀行出身の社員など民間出身で成り立つ住管機構に対し、整理回収銀行のトップは元国税庁長官、役員は大蔵省や日銀OBが占める“官主導で作られた組織”だった。

登場人物(キャスト)

住管機構

柴崎朗(伊藤英明)
住管機構大阪特別整理部「特命班」班長。あおば銀行からの出向組。熱い理想と怒りを持って、6兆7800億円の回収に挑む通称「トッカイ」の指揮を執る。

葉山将人(中山優馬)
住専〈日国住宅ローン〉に勤務していたが破綻し、恋人と仕事を失う。金丸が逮捕された際、大阪地検の取調を受けたことから、金丸に恨みを抱いている。に住管機構の一員になり、前向きに回収に取り組む。年上の玲に密かに恋心を抱く。

多村玲(広末涼子)
住専〈第一ローンサービス〉に勤務するも破綻、住管機構の一員になる。男社会の中で信念を貫き、仕事に情熱を注ぐ優秀な社員。

岩永寿志(矢島健一)
住専〈中央住宅金融〉の一期生だったが破綻、住管機構へ。楽天家で人当たりがよく、銀行出向組と旧住専組との間で潤滑油的役割となる。住専時代のある契約に関して、詐欺の疑いをかけられる。                                                         

塚野智彦(萩原聖人)
産業振興銀行からの出向組。2年という条件で住管機構への出向を承諾した。銀行マンとしてのプライドが高く、帰任先のない葉山ら住専出身組を見下している。当初はやる気が見られなかったが、徐々に柴崎に影響されていく。

東坊平蔵(橋爪功)
住管機構の社長。元弁護士。大蔵省の二階堂に頼まれて社長を引き受けた。「最後の一円まで回収する」という強い信念を持ち、トッカイチームの面々にとって絶対的な存在。

周藤涼平(篠井英介)
住管機構の常務。その前は国税庁で金丸や仁科をマークしていた。東坊の右腕のような存在。

あおば銀行

袴田敏夫(渡辺裕之)
あおば銀行の頭取。銀行に対する国民のイメージに敏感に反応する。住管機構があおば銀行を提訴しようとしていることを知り、柴崎に東坊をスパイするよう命じる。

重信辰義(田中健)
あおば銀行の人事部専務。上司にたてつく柴崎を快く思っておらず、住管機構に異動させて密かに情報を流すよう命じる。

斎藤久志(本髙克樹)
柴崎のあおば銀行在籍時の部下。融資部調査役として、柴崎と不良債権回収を担当する。

悪質債務者

金丸岳雄(イッセー尾形)
金丸興産社長。大阪市西区新町を拠点とする“ナニワの不動産王”。強い自己顕示欲があり、自分の力を周囲にアピールする。ピーク時には住専各社から1兆円もの融資を受けた。バブル崩壊後、53億円の預金と222億円の再建を隠匿した強制執行妨害と所得税法違反で逮捕されるが、15億円の保釈金を払って保釈される。

安藤隆弘(三浦誠己)
金丸の腹心。頭のキレるクールな男。金丸の巨額の隠し金を管理している。

仁科真喜生(仲村トオル)
ポロクス社長。“京都の怪商”と呼ばれる男。京都仏教会の古都税騒動で交渉役を担って一躍有名になる。権威に対して強いコンプレックスを持ち、権力者との頭脳戦に勝つことに快感を覚えている。海外の金融機関やペーパーカンパニーを通すことでマネーロンダリングを行い、多額の資産を隠し持っている。

森沢早百合(太田莉菜)
仁科の秘書。常に仁科と行動を共にし、彼のビジネスをサポートしている。

水沼敬一(松澤一之)
高比良ホーム社長。多額の不良債権を抱え、担保物件の売却を住管機構に委任している。担当者である葉山の動向を探り、密かに会話を盗聴して東坊を陥れる。

政府関係者

二階堂頼明(佐野史郎)
大蔵省銀行局長。バブル経済崩壊の要因の一つとも言える金融政策「総量規制」を打ち出し、住専問題など混乱する経済の裏で舵を取るキーマン。東坊に住管機構を託す。

不破誠三(団時朗)
内閣官房長官。民主自由党の支持母体である農協との関係を守るため、公的資金を投入して住専各社を救済するよう二階堂に指示する。住管機構はあくまで国民へのポーズに過ぎないと捉えており、東坊の活躍が気に食わない。

そのほか

古賀幸秀(緒形直人)
紀州銀行副頭取。柴崎が九州で過ごした学生時代から憧れ、慕っている先輩。バブル崩壊後、不良債権の処理にあたろうとした矢先に暴力団員に銃殺される。

武内昇(松角洋平)
淀川北署の刑事課長。柴崎を気に入り、暴力団をはじめとする悪質債務者の債権回収に積極的に協力する。頼もしい味方。

西岡淳二(吉沢悠)
預金保険機構にいる敏腕弁護士。トッカイと連携して動く、強い味方。悪質債務者・仁科真喜生がショッピングセンター建設を予定していた滋賀県の土地に強制執行をかけた際、仁科と一悶着あった。

高坂幹恵(桜井ユキ)
ニュース番組「インサイドフォーカス」のキャスター。

柴崎麻子(中村ゆり)
柴崎の妻。重責を担う柴崎を見守りながら明るく支え続ける。

各話のあらすじ(ネタバレ有)

1996年。日本政府は住専7社の破綻と不良資産の処理のため、6850億円もの税金を投入。国民の怒りはピークに達する。大蔵省銀行局長の二階堂(佐野史郎)は、東坊平蔵(橋爪功)に不良債権回収を目的とした国策会社「住宅金融債権管理機構(住管機構)」の代表取締役を依頼する。
住管機構には旧住専7社の社員だった葉山将人(中山優馬)や多村玲(広末涼子)のほか、あおば銀行の柴崎朗(伊藤英明)や産業振興銀行の塚野智彦(萩原聖人)など銀行からの出向組が集められ、彼らを前にした東坊は「6兆7800億円の不良債権を1円残らず一斉回収する」と宣言する。
事の起こりは1986年頃から始まったバブル景気の到来。円高ドル安が加速し、地価と株価が急上昇。不動産・金融業界は好景気に浮き足立つが、柴崎の先輩で紀州銀行の副頭取・古賀幸秀(緒形直人)や東坊ら一部の人間は「不動産の価格は必ず値上がりする」という“土地神話”に不安を抱く。
政府は全国の金融機関に通達を出し、土地関連融資の総量規制を行う。その結果、不動産への投機熱が冷め土地取引が激減。地価は下落する一方となる。
1991年。柴崎の顧客だった町工場「生野アルミ」の社長・生野(佐藤B作)は不動産会社の口車に乗せられて高級リゾートマンションを購入した結果、1億近い借金を残して夜逃げしてしまう。一方、古賀は紀州銀行の不正融資疑惑が明るみに出て、不良債権処理に奔走。だがその直後、暴力団員に銃殺される。

古賀の葬儀に参列した柴崎は、紀州銀行の経営陣が責任のなすり合いをしているのを見て憤りを覚える。金融機関への逆風が強まり、柴崎は不良債権の回収部隊として大阪支社の調査役に異動を命じられる。
1995年1月17日、阪神淡路大震災が発生。日国住宅ローンの葉山は「復興のためには積極的に融資するべき」と訴えるが、上司は「もう融資はするな」の一点張り。会社に見切りをつけた住専各社の社員たちは、転職先を探していた。
1995年12月。官房長官の不破(団時朗)は住専7社を救うため、公的資金を投じるよう大蔵省の二階堂に指示。住専を見殺しにすれば、彼らに多額の資金を流した農林系金融機関もまた莫大な損害を被ることになり、農協を支持母体とする民主自由党にとっては都合が悪かったからだ。
やがて国会で平成8年度の予算案が成立し、住専への公的資金投入が決定的となる。大阪地検特捜部は、強制執行妨害ならびに所得税違反容疑で金丸興産の金丸岳雄(イッセー尾形)を逮捕。金丸に融資していた住専各社にも捜査の手が及ぶ。
1996年6月25日、政府は住宅金融債権管理機構の設立を決定。元弁護士の東坊平蔵が初代社長に就任する。転職先が見つからなかった葉山や多村、岩永ら住専組も住管機構に採用される。
1996年9月3日、住管機構への出向を命じられた柴崎は、四谷の会場へ向かう。集まる社員たちの前で、東坊は「6兆7800億円の不良債権を1円残らず一斉回収する」と宣言。
その頃、悪質債務者の一人である仁科真喜生(仲村トオル)は捜査の手がのびるのを恐れ、カナダ・バンクーバーへ逃亡していた。

1996年10月。柴崎は住管機構大阪特別整理部「特命班」の班長に任命される。特命班は悪質債務者の中でも焦げ付き額が100億円以上の大口の債務者を担当することになっていた。
古びたビルの一室で事務用品すら支給されない状況でも、東坊の言葉に自らを奮い立たせる柴崎。プライドの高い塚野は旧住専組を見下し、一斉回収など無理だと決めてかかる。
大阪地裁で金丸の初公判が開かれる。逮捕容疑は53億円の預金と222億円の再建を隠匿した強制執行妨害と所得税法違反だった。そんな中、悪質債務者の一人である仁科はガソリンスタンドに目をつけ、次のマネーゲームを仕掛けようとする。
担保物件の調査を進めていた特命班は、現地で不法占拠している暴力団に遭遇。柴崎は単独で組事務所に乗り込み、龍翠会系剣上組の組長・剣上崇彰と交渉しようとするが、「金を返すぐらいなら人を殺すほうを選ぶ」と脅される。
あおば銀行の重信は、住管機構の情報を流すよう柴崎に命じる。塚野は「報告は当然だ」と言い、「バブルのツケを払うためにヤクザと関わって死ぬのは犬死にだ」と漏らす。死んだ古賀を思い、思わず塚野につかみかかる柴崎。
住管機構に不安を抱いた柴崎は、東坊社長に会いに行く。東坊は「これは戦争だ」と言い、弱音を吐く柴崎に「覚悟がないなら銀行へ帰れ」と言い放つ。

1997年1月。東坊社長が打ち立てた本年度の回収総額目標は、6309億円だった。葉山は個人的な恨みから、金丸を担当させてほしいと柴崎に訴える。そんな中、塚野が債務情報を流したことにより、産業振興銀行に先を越されるという事態が起こる。塚野を問い詰める柴崎だったが、元住専組はいずれ銀行に戻る柴崎をも疑い始める。
東坊社長の出張に同行した柴崎は、東坊の“回収道”をまのあたりにする。柴崎はヤクザが不法占拠している「安羽ビル」を回収できなければ、ほかの債権の回収は不可能だと判断。保全処分を申し立てるため、部下たちとともに資料作りに取り組む。「正気の沙汰じゃない」と呆れていた塚野も、しぶしぶ手伝い始める。
建物の持ち主は淀峰不動産だったが、社長の中村はバブル崩壊で住専に借金を返せなくなり、龍翠会系の街金に手を出したと語る。安羽ビルを不法占拠していたのは龍翠会系の剣上組で、社長の剣上崇彰は武闘派ヤクザとして知られていた。
柴崎は保全処分の申し立てを行い、事前通告なしで1日で執行してほしいと頼む。保全処分当日、柴崎ら特命班のメンバーは、淀川北署の刑事課長・武内昇(松角洋平)が集めた警察官たちとともに「安羽ビル」に乗り込む。退去を求める執行官に刃向かう暴力団員たちを警察が逮捕し、柴崎らが部屋から荷物を全て運び出す。
柴崎は武内ら警察官とともに剣上崇彰の部屋に踏み込み、「自分も命を懸けなければ前には一歩も進めない」と剣上に強制退去を求める。剣上は要請に応じ、ビルを出ていく。
覚悟を決めた柴崎は、あおば銀行の人事部専務・重信に「特記すべき事項、特になし」と記載した報告書を提出する。

日々、回収に取り組む特命班の社員たち。そんな中、岩永が詐欺の疑いで警察の聴取を受ける。
岩永がいた中央住宅金融はサンクト不動産開発に多額の融資を行っていたが、そのサンクト不動産が担保物権を任意売却した際、契約書を偽造して“中抜き”を行っていたことが発覚したのだ。サンクトの担当者・吉原は、「岩永という人に入れ知恵された」と証言していた。
柴崎は塚野に相談し、中央住宅金融にサンクト不動産を紹介した産業振興銀行の担当者から情報を聞き出して欲しいと頼む。塚野はサンクト不動産がバブル崩壊後に総会屋系のインテリヤクザに乗っ取られ、総会屋のフロント企業になっていたことを聞き出す。
つまり産銀は、厄介なサンクト不動産を中央住宅金融に押しつけたのだった。自分の会社ながら情けなくなった、と漏らす塚野。柴崎は“中抜き”が会社ぐるみだったことを証明すれば、岩永の無実を証明できると考え、塚野とともに動き出す。
柴崎は元サンクト不動産の社員だったという女性に会い、岩永が立ち合った売買契約は偽物で、本当の契約は岩永が到着する前に行われていたという証言を得る。柴崎は彼女の証言をもとに上申書を警察に提出。岩永は釈放される。
塚野に礼を言い、2人で酒を飲む柴崎。その頃、金丸は15億円の保釈金を払って保釈されていた。

柴崎は金丸が1000億円近い隠し資産を持っていると見て、預金保険機構を使って私的財産の調査を行うことに。さっそく預金保険機構・特別業務部の西岡淳二(吉沢悠)と協力し、金丸個人や金丸興産周辺の金の流れを徹底的に洗い出す。
だが手がかりを見つけられず、焦る柴崎。そんなとき、刑事の武内がある情報を持ってくる。金丸が保釈になってすぐの頃、自宅に泥棒が入ったというのだ。だが金丸本人は否定し、通報は間違いだと主張したという。
柴崎は金丸の自宅が怪しいと睨み、金丸家に住み込んでいるお手伝いの清田伸江(菜葉菜)に接触する。伸江は家に泥棒が入ったとき、金庫の200万円を盗まれたにもかかわらず、金丸がはした金だと言って警察に届けなかったことを話す。
さらに保釈になる直前、金丸の腹心である安藤(三浦誠己)が池の底に大量のビニール袋を沈めていたと言い、柴崎は金丸が自宅に金を隠していると確信する。
明日の朝一番に強制執行を行うことを決めた柴崎だったが、翌朝、伸江から「池のお金が消えた」と連絡が入る。柴崎と伸江の会話を盗み聞きしていた安藤が、朝早く金を運び出したのだ。伸江は金丸家の手伝いを辞め、姫路の実家に帰る。
強制執行は中止になり、柴崎は一人で金丸興産本社へ乗り込む。「新しい隠し場所はどこです?」と金丸本人に迫る柴崎。すると金丸は、バブル時代に中央住宅金融の社長・四宮や、あおば銀行の専務・重信らが「金を借りてほしい」と頭を下げて金を置いていったと豪語。「あんたらとわしは同じ穴のむじなや」と言い放つ。

1997年。山一證券が自主廃業したという衝撃のニュースが流れる。破綻の要因のひとつは2600億円とも言われる多額の不良債権隠しだった。ニュースを見た多村は、自身も第一ローンで“飛ばし”と呼ばれる不正行為に加担していたことを柴崎に打ち明ける。
葉山は金丸興産に乗り込み、業務を監視する。やがて金丸が帝国興業銀行の各支店から多額の割引債を購入していたことが判明。購入日はいずれも金丸の自宅の池から現金が消えた後だった。
本社ビルに置かれていた現金は割引債に形を変え、別の場所に運ばれていた。柴崎は新町にある金丸興産の旧本社ビルに目をつける。金丸は過去に建築基準法違反で逮捕されたことがあり、旧本社ビルも8階建てと見せかけて、違法建築で作った9階が存在するのではないかと推測したのだ。
柴崎らは大阪地検とともに旧本社ビルにある子会社「金丸コーポレーション」への動産執行を開始。9階への入り口を見つけ、隠されていた大量の割引債を発見する。金を渡すまいとする金丸に、「あんたは大勢の人たちの人生を狂わせた」と怒りをぶつける葉山。
翌1998年、金丸は公正証書原本不実記載同行使などの罪で懲役4年の実刑判決を受ける。
住管機構が設立されて丸2年がたち、東坊は世の中に忘れ去られようとしていると危機感を抱く。内閣官房長官の不破は東坊を疎ましく感じ始め、住管機構と整理回収銀行を合併させて大蔵省の支配下に置こうとする。
柴崎は住管への出向が1年延長になるが、塚野は産業振興銀行に戻ることに。だがその矢先、産業振興銀行が経営破綻したというニュースが流れる。

産業振興銀行が経営破綻し、幹部による不良債権隠しが露呈する。塚野は大手銀行マンとしてのプライドを失い、住管機構に戻ることもできず、自棄になって酒浸りになる。
一方、あおば銀行頭取の袴田(渡辺裕之)と重信は、住管機構の社長・東坊があおば銀行を提訴しようとしていることを知り、危機感を抱く。急遽東京本社に呼び出された柴崎は、東坊に関する情報を報告すれば本社に部長のポストを用意する、と袴田に告げられる。
その頃、大蔵省銀行局職員の“ノーパンしゃぶしゃぶ宴会”が写真誌で報じられ、政府は国民の批判をそらすため住管機構と整理回収銀行の合併を急ぐよう、二階堂に指示する。
整理回収銀行は大蔵省や日銀OBが役員を占める官主導の組織であり、政府は合併した新組織を公的な特殊法人とし、5年間の期限を設けようとしていた。これを知った東坊は二階堂に激しく抗議し、新組織を株式会社にすること、期限を撤回することを要求する。
東坊が合併に承諾したのは、旧住専の社員たちを雇い続けるためだった。東坊の思いを知った柴崎は心を揺さぶられ、あおば銀行を辞める決意を固める。
柴崎はバーで飲んだくれている塚野を道場に連れていき、あおば銀行との戦いには元産銀の塚野の力が必要だと訴える。「もう帰る場所がない」と泣き言を言う塚野に、「死んだらまた生き返ればいいじゃないですか。やり直すには遅くないはずです」と励ます柴崎。
住管機構があおば銀行を提訴し、総額48億3300万円の損害賠償を請求する。柴崎はあおば銀行に出向き、袴田に「悪質債務者を化け物に変え、野放しにしてきたのは我々銀行、幹部や経営陣です。罪を犯した人間を罰することは、何も間違ってなんかいない」と退職届を出す。
塚野は住管機構で働くことを決め、特命班のメンバーに迎えられる。

1998年7月22日。あおば銀行に対する訴訟の第一回口頭弁論が開かれる。法廷において東坊は、あおば銀行による不当な紹介融資を訴え、今回の提訴は金融機関全体のモラルを問う裁判だと主張。それに対してあおば銀行側は「融資はすべて住専側の自己責任」と主張し、全面的に争う構えを見せる。
特命班の回収状況を見た東坊は、「もっと力を入れろ」と厳しく叱責。葉山は担当する高比良ホームから回収するため、大手ゼネコンの花江建設に担保物件の任意売却を持ちかける。交渉は順調に進み、62億円での売却見込みが立つ。
官房長官の不破は、あおば銀行と住管機構の訴訟を終わらせるため、住管機構顧問の緒方篤彦宛に金融再生大臣からとする書簡を届けさせる。そこには「あくまでビジネスライクに回収・買取に注力すべき」という意見が書かれていた。緒方は新組織の未来のために、訴訟はあおばを最後にすべきだと進言する。
葉山は高比良ホームの不良債権24億円を必ず回収すると東坊社長に報告するが、その直後に大阪府から14億円と勧告が入る。ともに交渉にあたっていた不動産部の峰岸は、土地に放置されたままの古い鉄骨を10億円で花江建設に買い取ってもらえばいいと提案。違法ではないかと懸念しつつも、葉山は峰岸の回収案を受け入れ、東坊を騙して書類に捺印させる。
一方、柴崎らは“京都の怪商”と呼ばれる仁科真喜生に狙いを定める。だが預保や住管機構の動きに気づいた仁科は、口座の金をすべて海外に送金し、自身も海外に渡って姿を消してしまう。
住管機構があおば銀行と和解するというニュースが流れ、柴崎は「法廷で白黒はっきりつけなければ国民は救われない」と東坊を問い詰める。東坊はそれを承知のうえで、「それよりも急いでやらなければならないことがある」と告げる。

1999年4月。住管機構は整理回収銀行と合併し、新会社「整理回収機構」となる。柴崎ら特別整理部の社員8名は、そのまま整理回収機構大阪特別回収部、通称「トッカイ」の所属となり、柴崎が初代部長となった。
元淀川北署の刑事・武内や、預金保険機構の西岡も「トッカイ」に加わることになり、京都の怪商・仁科からの債権回収に挑む。
多村は第一ローンにいたとき海外の飛ばしに加担したことを全員の前で打ち明け、その際に使っていた海外の金融機関の資料を提出する。自分の過ちをさらしても仁科の調査に役立てようとする多村の覚悟を見た葉山は、罪悪感に苦しむ。
やがて、仁科が高校時代の同級生・小林信博に経営させている石油の卸売会社ペトロリッツが浮上する。表向きはガソリンスタンドを経営する会社だが、仁科が海外に流出させた資金を日本国内に還流させるための入り口に使われていたことが判明する。
一方、東坊は地方の工場を潰さずに債権を回収する道を模索していた。世界に誇る技術を持つ中小企業を追い詰めることなく再生させることで、債権回収をはかろうとしていたのだ。まもなく70歳になろうとうする東坊は、「未来に繋がる再生のほうに力を注ぎたい」と柴崎に語る。
葉山は高比良ホームの土地売却で違法な手段をとったことを柴崎に告白しようとするが、その矢先、東坊が東京地検に呼ばれたという知らせが入る。

高比良ホームの件で柴崎に問い詰められた葉山は、虚偽の売却金額を報告する通知書を作成したことを告白。多くの書類に紛れ込ませ、東坊に捺印させたことを明かす。
東京地検に連行された葉山は、「すべて自分ひとりでやったこと」と罪を認める。事情を察した東坊はすべての責任を負い、整理回収機構の社長を辞任することを決意。葉山もまた、柴崎に退職願を提出する。
2人は不起訴になるが、東坊は間もなく心筋梗塞で亡くなってしまう。葬儀には政府関係者はひとりも現れず、柴崎はその憤りを二階堂にぶつけ、「東坊社長が国民に約束した一斉回収は、自分たちが必ずやり遂げる」と断言する。
柴崎らは仁科の隠し資産を見つけ出すため、ペトロリッツに振り込まれた総額41億円の金の流れを洗い出そうとする。一方、葉山は柴崎によって退職願を保留にされ、会社からは6か月間の出勤停止処分を受けていた。「戻る資格はない」という葉山に、多村は「また一緒に働きたい」と声を掛ける。
ペトロリッツの社長である小林は、仁科の高校時代の同級生だった。柴崎は小心者の小林を説得し、仁科のマネーロンダリングに関する資料を提出させる。いよいよ強制執行に踏み切ろうとした矢先、仁科が帰国。仁科は柴崎を呼び出し、小林から情報が漏れることは想定内だったと告げる。
仁科は強制執行妨害の容疑で逮捕されるが、その顔には不敵な笑みが浮かんでいた。

逮捕された仁科だったが、それは彼が本当の隠し資産を守るための奇策だった。ペトロリッツに還流された41億円は、彼が隠し持つ資産の一部に過ぎなかったのだ。
仁科の秘書・森沢小百合(太田莉菜)は、仁科と海外を回っていたときのことをノートに記録していた。柴崎と西岡は彼女のノートを入手し、仁科が海外で投資していたファンドを洗い出す。柴崎から戻ってくるよう声を掛けられた葉山もチームに復帰する。
仁科が海外に持ち出した金は、カナダの銀行から2つのルートに渡っていた。ひとつはペトロリッツに還流していた41億円、もうひとつは香港のペーパーカンパニーに渡り、そこで運用されて7つの金融機関に蓄えられていた。総額は約600億円にのぼった。
第一回公判が開かれ、仁科は突然態度を変えて罪を認める。仁科が保釈を焦っていることに気づいた柴崎は、香港に「マレーヴァ型資産凍結命令」という法令があることを突き止める。それは債権者の申し立てによって資産を国外に持ち出すことを一切禁止するというものだった。その命令が認められれば、香港内にあるあらゆる仁科の口座を凍結させることができるのだ。柴崎と塚野は香港へ飛び、資産凍結命令の発令を申請する。
2001年3月16日、仁科の第二回公判が開かれる。柴崎は証人として法廷に立ち、仁科が香港の口座に600億円の隠し資産を持っていることを証言。昨夜、仁科の全資産を凍結する命令が発令されたことを告げる。激怒した仁科は「俺はこのままでは終わらない」と叫んで退廷する。11月12日、仁科の懲役2年の実刑判決が確定する。
5年後。柴崎は大阪特別回収部を離れ、整理回収機構に新設された事業再生部で企業の再生支援に取り組んでいた。多村はトッカイの部長に、塚野は取締役に昇進する。整理回収機構の新入社員を迎える入社式。柴崎はトッカイのメンバーが見守る中、熱のこもったスピーチをする。

感想(ネタバレ有)

うーーん。個人的には微妙なドラマでした。

面白くないわけではないんだけど、ちょっと散漫な印象で、後半は盛り上がりに欠けたかな。強烈な存在感を放つイッセー尾形さん演じる金丸が前半で姿を消してしまった後、急速に盛り下がった気がします。

前回の「石つぶて」が傑作だっただけに、見る前から期待値が上がりすぎてしまったのかも。あの作品を越えるのは(わたしの中では)難しいかもしれない。

正直な気持ちを言わせてもらうと、この手の熱血ドラマは、もうWOWOWが作る必要はないんじゃないかと思っています。主人公たちを100%ヒーロー扱いするあたりに、どうしても時代遅れを感じてしまうんですよね。

主人公の妻にしても、なぜ「夫を支える優しい妻」という都合のいい一面しか描かれないんでしょう? 彼女には「妻」以外の顔もあるはずなのに、まったく見えてきません。

昭和を扱うにしても、現代的な切り口があると思うんです。「半沢直樹」のような作風のドラマは地上波局に任せて、WOWOWはもっと斬新なドラマを作ってほしい。今まで見たことがないようなドラマを見たい。そう思ってます。

辛口な感想になってしまいましたが、このような大変な状況の中でドラマを作り、届けてくださっている制作者の皆さんには心から感謝しています。おかげで息苦しい毎日の中でも、一服の癒やしをいただいています。

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