WOWOWでの放送が決定した中国ドラマ「長安二十四時」(全48話)の紹介です。
タイムリミットは24時間。爆破テロを企てるテロリストたちの陰謀を阻止し、長安の街を守れ!豪華キャストで贈るノンストップ・アクション時代劇。
WOWOW公式サイトより
長安の治安を守る靖安司の責任者と死刑囚がタッグを組み、24時間以内に爆破テロから都・長安を救うべく奔走するアクション時代劇。
緻密なストーリーとスピード感あふれる展開が中国版「24 -TWENTY FOUR-」と評され、ネット視聴回数31億回を記録。アジア諸国のみならず世界から注目を集めているドラマです。
撮影期間270日という壮大なスケールで描かれ、長安の街を忠実に再現した美術セットのほか、映画監督・黒澤明の長女で映画衣装デザイナーとして活躍する黒澤和子さんが手がけた豪華な衣装も見どころ。
エンディング曲は、数々のドラマや映画音楽を手掛ける村松崇継さんが担当しています。
この記事の目次
作品概要
- 放送局:WOWOWプライム
- 放送時間:2020年4月11日(土)から毎週土曜午前11時~ ※2話連続
- 製作国:中国(2019年)
- 原題:長安十二時辰
- 原案:馬伯庸『長安十二時辰』
- 脚本:爪子スタジオ
- 監督:曹盾(ツァオ・ドゥン)
あらすじ
唐の時代。張小敬(レイ・ジャーイン)は、地方を守る兵士として手柄を挙げ、長安の罪人を捕まえる不良帥となったが、ある殺人事件の犯人とされ死刑囚として投獄されていた。ある時、長安の治安を守る靖安司の責任者・李必(イー・ヤンチェンシー)は、テロ集団「狼衛」の一味が城内に潜入しているという情報をつかむ。李必は、かつて長安の警備経験もあり城内の人物や地理を熟知する張小敬に目を付け、功績を挙げれば免罪にすることを条件に、特例で張小敬を捜査係に任命する。
WOWOW公式サイトより
やがて張小敬は、狼衛が多くの人が集まりにぎわう上元節(旧暦正月の15日)に、長安で爆破テロを計画していることを探り当てる。しかし、その背後にはより深い陰謀が渦巻いていた…。爆破まで残された時間は24時間。果たしてタイムリミットまでに犯人を捕まえ、長安の人々の命を救えるのか。
予告動画
原作について
このドラマの原作(WOWOW公式サイトでは原案表記)は、馬伯庸の歴史ミステリー小説『長安十二時辰』です。
「十二時辰」を現代語に言い換えると「24時間」。著者はアメリカのドラマ「24(トゥエンティフォー)」を参考にしたそうで、現代の設定を時代劇に落とし込むのに苦労したとか。
ドラマの大ヒットを受けて中国ではベストセラーになりましたが、日本語翻訳版は発売されていないようです。
「時辰」とは?
原作は「1章」で半の時辰(約1時間)が描かれるという構成。
「時辰」というのは、かつて中国や日本で使われていた時間の単位です。1日をおよそ2時間ずつに分けて12等分にし、それぞれに十二支を割り当てて表しました。
たとえば、午後11時~午前1時を「子の刻」、午前1時~午前3時を「丑の刻」といった具合。今でも午前2時前後のことを「丑三つ時」などと言うのはその名残です。
時代背景
物語の舞台は8世紀半ば、第6代皇帝・玄宗が治める唐の時代です(玄宗は楊貴妃を寵愛したことでも有名)。「国破れて山河あり」で有名な詩人・杜甫や李白が登場するのもこの時代。※
唐の基盤(三省六部や州県制、均田制など)は7世紀前半の第2代皇帝・李世民の頃につくられ、首都長安は西域から多くの異国の人々が集まる国際都市に発展しました。
ちなみにこの頃の日本は、奈良時代。東大寺が建立された頃です(奈良の都・平城京は、長安を模してつくられました)。
しかし、8世紀に入った頃から唐の衰退が始まります。このドラマで描かれる玄宗の時代は、統治の原則だった「均田制」「府兵制」「租庸調制」が崩壊し、財政的にも軍事的にも危機に直面していた頃。
根本的な原因をつくったのは農民です。商業が発達したことで農民間の貧富差が拡大し、田を捨てて逃げる者が続出。均田を行う際に作成していた戸籍が意味をなさなくなり、課税も徴兵もできなくなっていました。
中央政府の力が弱体化したことで、治安は悪化していきます。やがて争乱や異民族の進入が相次ぐようになり、907年に唐王朝は滅亡します。
※ドラマでは“天宝”の代わりに架空の年号“天保”が用いられ、天保3年(744年)という設定になっています
登場人物/キャスト&相関図
靖安司と関係者
張小敬(ちょうしょうけい)/レイ・ジャーイン
元不良帥の死刑囚。冷酷非情で「五尊閻魔」と呼ばれている。熊火幇34人と上官を殺害した罪で斬首刑が確定。長安の警備経験があり、城内の人物や地理を熟知していることから、狼衛の捜査係に任命される。
李必(りひつ)/イー・ヤンチェンシー
長安の治安を守るために朝廷が密かに設置した「靖安司」の司丞(責任者)。テロ集団「狼衛」の一味が城内に潜入しているという情報をつかみ、特例で死刑囚の張小敬を捜査係に任命するが、そのことで立場が危うくなる。
徐賓(じょひん)/チャオ・ウェイ
靖安司・戸部の役人。李必の右腕的存在。記録の分析を好み、高官の道より今の職を選んだ。記憶力にすぐれ、大案牘術(データの分析術)を得意とする。
檀棋(だんき)/レイザ
李必に仕える忠実な下女。名門の出だが一族が取り潰され、10歳で下人となり14歳で李必に仕えた。
崔器(さいき)/サイ・ルー
旅賁軍の旅帥(指揮官)。崔六郎の弟。もともとは農民だったが、六郎が手段を選ばず金を作り、弟のために軍籍を買った。李必の命を受けて狼衛捕縛に尽力するが、小敬のことは信用していない。
崔六郎(さいりくろう)/黄海波
有名な仲買人。密輸、人身売買、口封じの仕事などを請け負っていた。死刑囚だったが李必の特命を受けて曹破延に接触し、正体がバレて殺された。殺される直前に、狼衛の計画を記した地図を飲み込んでいた。
何執正(かしゅうせい)/韓童生
靖安司の秘書監(長官)。86歳。李必の師。敵対する右相・林九郎の差し金で、不本意ながらも引退を余儀なくされてしまう。
何孚(かふ)/寒青
何執正の養子。6歳の時に何執正に引き取られた。周囲からは“うつけ者”と呼ばれている。
龐霊(ほうれい)/何晨
司天台の報時博士。
陸三(りくさん)/岡村秀
靖安司の伝令係。
太子と関係者
李璵(りよ)/周陸拉
皇太子。後の皇帝・肅宗。右相・林九郎と対立している。
姚汝能(ようじょのう)/ルー・ファンション
太子の側近。官職は東宮右衛率。宰相・姚崇の孫で、李必と太子とは幼馴染み。太子の命を受けて張小敬とともに狼衛の捜査にあたる。
李静忠(りせいちゅう)/張衛
太子に仕える宦官。
李適之(りてきし)/尹昭德
兵部尚書。左相。
王宗汜(おうそうし)
朔方節度使。大将軍。太子の義兄で、王韞秀の父親。右刹が唐に投降した際、長安まで護送した。
韓朝宗(かんちょうそう)/閔政
京兆尹。太子派の一人。太子と李必と景龍觀で密会し、太子の新税法を支持する。
皇甫惟明(こうほいめい)/王東
隴右節度使。
韋堅(いけん)/李品夆
水陸転運使。皇太子妃の実兄で太子の義兄。
テロリスト
曹破延(そうはえん)/ウー・シャオリャン
狼衛の首領。数十人の仲間とともに長安に潜入。李必の命を受けた仲買人・崔六郎が間者として接触し、丙六倉庫で捕らえようとしたが失敗。水路を使って逃亡した。幼い娘がいる。
右刹(ゆうさつ)/曲高位
狼主ガロの末息子。曹破延たち狼衛を長安に呼び集めた人物。波斯僧の扮装をしている。天保元年に狼衛が大食(アラビア)に殲滅された際、唐に投降した。
龍波(りゅうは)/ジョウ・イーウェイ
白蟻団の首領。懐遠坊に商人として潜伏しながらチェラホトの計画を進め、昌明坊の廃屋で爆薬の製造に取り組む。平康坊の妓楼「趙団児」に通い、なじみの妓女・丁瞳児を修政坊の屋敷に招くなどしていた。
魚腸(ぎょちょう)/リー・ユエン
龍波と夫婦のフリをして懐遠坊に潜伏していた女性。普段は男装している。龍波を慕っているが女性として扱われておらず、不満を募らせる。
聞染(ぶんぜん)/ワン・ホールン
香舗の主。“降芸神香”という銘の香りを作っている。小敬の戦友だった聞無忌の一人娘。父を殺した長安を憎み、計画に加わる。王宗汜大将軍の娘・王韞秀を狼衛に引き渡す。
林九郎と関係者
林九郎(りんきゅうろう)/尹鑄勝
右相。権謀に長け、門下以外は罪を着せて排除する。太子の政敵で李必とも対立し、靖安司に“三女”という間者を送り込んでいる。開元二十三年の烽燧堡の役の際は兵部尚書を務めていた。
吉温(きつおん)/朱輝
新豊県・県丞。林九郎に太子側の動きを逐一報告する。
甘守誠(かん・しゅせい)/韓朴俊
右驍衛将軍。狼衛捜査に加わるため、旅賁軍の指揮を執るよう林九郎に命じられる。
趙七郎(ちょうしちろう)/公磊
右驍衛参軍。甘守誠の部下。
永王と関係者
永王(えいおう)/葛兆恩
太子の異母弟。小敬を恐れており、封大倫と結託して小敬を再び投獄させようと企む。
封大倫(ほうたいりん)/肖芸
永王の威を借る工部役人。熊火幇を使って悪事を働いている。永王とともに小敬を恐れ、再び投獄させるために策を弄する。
秦珏(しんかく)
熊火幇の頭。永王と結託し、安業坊の住民たちを脅して強制的に立ち退かせた。封大倫に命じられ、小敬を狙う。
元載(げんさい)/余皚磊
大理寺評事。機知に富み、好機を察する感覚が鋭い。封大倫の依頼を受けて小敬の引き渡しを求める公文書を書く。出世のために王韞秀を利用するが、次第に惹かれていく。
皇帝と関係者
皇帝陛下/馮嘉怡
李四郎。太子(李璵)の父。政を右相・林九郎に委任し、驪山の温泉宮に隠居することを考えている。
厳太真(げんたいしん)/徐璐
皇妃。皇帝に寵愛されている。かつて檀棋に救われたことがある。
郭利仕(かくりし)/呂涼
驃騎大将軍。不正とは無縁と言われる忠臣。表向きは中立の立場を取っているが、林九郎が政務を司ることに危機感を抱き、影ながら李必を応援する。
そのほか
程参(ていしん)/宋允皓
書生。たまたま逃走中の狼衛トゥガルに出くわし、仕官のために書いた詩文を台無しにされ、愛馬を殺される。報復のためにトゥガルを襲撃し、靖安司の牢に入れられる。
葛の旦那(かつのだんな)/ジャイモン・フンスー
平康坊の地下都市を牛耳るお尋ね者。元奴隷。妓女を高官に接触させて機密を買収し、人身売買や戸籍の偽造、薬物や武器の取引などをしてのさばっている。
影(えい)
安業坊の立ち退きで犠牲になった娘。妓女の戸籍に入り、宴で永王と林九郎の密談を聞く。不正の証拠となる右相の玉佩を盗み出したが、不審死を遂げる。いつも独特な香を漂わせていた。
王韞秀(おううんしゅう)/艾如
王宗汜大将軍の娘。聞染に騙されて狼衛の根城に連れてこられ、拘束されてしまう。その後、永王の息が掛かる工部役人・封大倫に監禁されるが、元載によって救出される。
聞無忌(ぶんむき)/楊溢
聞染の父。小敬の戦友で第八団の伍長。“烽燧堡の役”で生き残った9人のうちのひとり。安業坊で香舗を営んでいたが、熊火幇との諍いに巻き込まれ、命を落とす。
許鶴子(きょ・かくし)/曲柵柵
歌伎。狼衛に人質に取られた弟・許歌を小敬が救出したことから、小敬に協力するようになる。
イス
義寧坊にある大秦景寺の僧。小敬から事情を聞かされ、捜査に協力する。本人いわく「長安一身が軽い」。
毛順(もうじゅん)/徐正運
唐朝一の工匠。天賦の才と運を兼ね備え、皇帝からも絶賛されている。大仙灯の作者。
用語解説
上元節(じょうげんせつ)
旧暦の1月15日の夜に行われる祭。灯籠を飾って祝う。
大仙灯(だいせんとう)
今年の上元節の目玉。名匠・毛順が陛下のため献上した高さ150尺、幅24間の巨灯。複雑な構造で、点火すればからくりが動いて数里先まで照らし出す。興慶宮の近くで丑の正刻(午前2時)にお披露目することになっている。
靖安司(せいあんし)
長安の治安を司る役所。司丞(責任者)は李必。狼衛の首領と部下が何か企んでいるという情報を掴み、調査させるために朝廷が4か月前に密かに設置した。光徳坊の景龍観跡地にある。
望楼(ぼうろう)
靖安司が新設された際、武候が街を見張るために設置された。長安坊の108坊に300歩ごとに置かれ、太古の音や旗、12の小窓の色の組み合わせによって暗号通信を行う。異常を察知すると靖安司に伝達し、靖安司の指令が各所に伝わる仕組みになっている。
武候(ぶこう)
街の治安・防火要員。各地の戦いを勝ち抜いた精鋭が集められ、特別な訓練を受けている。弩弓を持ち、230歩以内なら全てを射止める。視力に優れ、望楼で常に街を見張っている。
不良帥(ふりょうすい)
罪人を取り締まる、“不良人”と呼ばれる捕吏たちの統領。
熊火幇(ゆうかほう)
流れ者集団。永王と結託し、安業坊の住民たちを脅して強制的に立ち退かせた。その後、小敬が34人を殺害している。
龍武軍(りゅうぶぐん)
興慶宮の警備に当たっている。狼衛捜査の権限を奪おうと、靖安司に乗り込んでくる。
右驍衛(うぎょうえい)
皇宮を守る部隊。林九郎に仕えている。崔器いわく「高官の子弟ばかりで訓練を疎かにしている」。狼衛捜査の権限を奪おうと、靖安司に乗り込んでくる。
都護府(とごふ)
新たな支配地や交易路を統括するために設置された役所。全部で6つある。小敬が配された安西都護府は、現在の新疆ウイグル自治区にあたる。
各話のあらすじと感想(ネタバレ有)
第1話
唐の時代・長安。旧正月から数えて15日目の上元節。死刑囚・張小敬は、長安の治安を守る役所「靖安司」の司丞を勤める李必に呼び出される。

第2話
無罪放免を条件に曹破延追跡を引き受けた小敬。だが崔器は李必に放免する意思はないと言い放つ。

第3話・第4話
小敬はトゥガルを追い詰めるが、逆上した群衆がトゥガルを殺し、長安の地図も何者かに奪われてしまう。

第5話・第6話
「思恩客」は、平康坊の妓楼でなじみ客だけに渡す札だと判明。小敬は捜査に向かう。

第7話・第8話
李必は右相・林九郎と面会し、狼衛捜査を靖安司に一任してほしいと頼み込む。

第9話・第10話
小敬の過去を知った李必たちは、小敬が靖安司のために働くのには別の目的があるのかもしれないと考え始める。

第11話・第12話
靖安司を訪れた驃騎大将軍・郭利仕は、靖安司から情報が漏れていることを李必に伝え、用心するよう忠告する。

第13話・第14話
牢に入れられた徐賓の服についていた墨を見て、書生の程参は“チェラホト”の在りかを察知する。

第15話・第16話
徐賓は墨を扱う店を調べるよう仲間たちに指示するが、大案牘術を使って欺いた徐賓に従う者はいなかった。

第17話・第18話
事件は解決したとして、狼衛捜査の打ち切りを言い渡される李必。捜査続行を求めるが…。

第19話・第20話
小敬は趙七郎を脅して右驍衛からの脱出を試みるが、戻ってきた甘守誠に捕まってしまう。

第21話・第22話
魚腸は聞染を始末しようとしたことを龍波に知られ、腕の銅貨を火鉢に捨てられ懲戒される。

第23話・第24話
龍波率いる白蟻団が靖安司を襲撃し、李必の目の前で官吏たちが虐殺される。

第25話・第26話
劉記書房を出た檀棋とイスは、望楼が「即刻殺せ」という暗号を送っていることに気付き、靖安司に何かあったと察する。

第27話・第28話
林九郎は、汚名を着せられて死んだ何孚の父の名誉を回復する代わりに、黒幕の名を明かすよううながす。

第29話・第30話
小敬は代理火師に右刹暗殺の依頼主を問う。だが小敬が訪れる前に魚腸が現れ、契約書を燃やされたという。

第31話・第32話
李必は「太子の謀反を裏付ける物証がある」と林九郎に与するふりをして右相府から脱出する。

第33話・第34話
小敬はイスとともに靖安司に潜入し、昌明坊の焼け跡から見つかった証拠品を盗み出す。

第35話・第36話
林九郎と永王によって追い詰められる太子。永王はかつて張小敬に襲われたことを明かす。

第37話・第38話
自ら設計した建造物で長安を滅ぼそうとする毛順。理由を問う小敬に、毛順は「ある者の言葉が私の心に種をまいた」と語る。

第39話・第40話
灯楼の中で意識を取り戻した小敬の前に聞染が現れ、「一緒に長安を出よう」と言う。

第41話・第42話
皇帝の仕打ちに耐えかねた太子は宴の席を離れる。何執正は皇帝を糾弾し、林九郎を刺し殺そうとする。

第43話・第44話
龍波は皇帝を、小敬は厳太真になりすました檀棋を連れて、花萼楼を脱出。4人は抜け道を通って寂れた廟に身を隠す。

第45話・第46話
何執正は寧王の孫の力を借り、右驍衛の甘守誠に捕まっていた太子を救出する。

第47話・第48話(最終話)
調査を続ける程参と何執正は、事件の真相に近づいていく。

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