「コールドケース3」最終話ネタバレ感想|母親の呪縛と虐待の連鎖

WOWOWドラマ「コールドケース3 ~真実の扉~」あらすじキャスト

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WOWOWの連続ドラマ「コールドケース3-真実の扉-」最終話(第10話)“母の条件”のあらすじと感想(ネタバレ有)です。

ついに最終話となってしまいました。淋しいです。原作みたいに1シーズン20話くらいあればいいのになぁ。

今回の元ネタは、アメリカ版「コールドケース」シーズン5第18話“Ghost of My Child”です。

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最終話「母の条件」のあらすじ

2016年7月10日。山奥の川で菱田雅(北香那)の遺体が発見される。遺体のそばでぬいぐるみが見つかっており、行方不明の娘ミクと無理心中を図ったものと判断された。

2021年。雅の月命日に川を訪れた母・菱田千鶴(神野三鈴)は、雅にそっくりな少女を目撃。孫のミクに違いないと捜査一課を訪れる。千鶴は薬物依存で逮捕歴があり、雅との関係もうまくいっていなかったが、「無理心中なんてありえない」と主張する。

雅が死ぬ直前まで過ごした母子保護施設の代表・大野律子(富田靖子)は、雅が当時ミクを虐待していたことや、雅自身も母・千鶴から虐待を受けて育ち、娘との関係に悩んでいたことを話す。

百合の妹・沙耶(平田薫)が突然息子を連れて訪ねてくる。シングルマザーになっていた沙耶は、百合に息子の真人を預けて姿を消してしまう。沙耶に実母の姿を重ね、「虐待を繰り返すようなら母親になるべきじゃない」と語る百合。

ミクは雅が亡くなる前日にアカシア園から姿を消し、雅はミクを探しに出かけたまま帰らぬ人となっていた。金子と立川はアカシア園の近くに住む知的障害を抱える青年・坂口剛(中島広稀)から話を聞こうとするが、母親の聡子(西尾まり)は必要以上に息子をかばう。

問い詰められた聡子は、事件の前日に剛がミクを家に招き入れて遊んでいたことや、迎えに来た律子に口止めしていたことを明かす。

律子は5年前に娘の亜矢を亡くしていた。亜矢の遺体はアカシア園の律子の部屋から発見されるが、亜矢の健康保険証が最近まで使用されていたことがわかる。

雅の母・千鶴は、雅が亡くなる直前に訪ねてきて、ミクとともに生きようとしていたと証言する。百合は律子が元夫の名義で借りている山荘へ向かうが、その頃妹の沙耶は病院で危篤状態に陥っていた。

事件の日、律子は雅に携帯を届けに行き、そこで肺炎を患い寝込んでいるミクを発見。ミクを病院へ運んで事なきを得るが、雅の部屋で大麻を見つけ、帰ってきた雅を責めて殺したのだった。

その後、ミクを娘の“亜矢”として山荘で育てていた律子。百合は雅の部屋にあった大麻が母親のものであることや、彼女がミクと生きるために変わろうとしていたことを話す。

律子は逮捕され、ミクは祖母である千鶴と再会する。百合は病院へ駆けつけるが、沙耶は息を引き取った後だった。百合は妹の代わりに甥の真人を見守る決意をする。

最終話の登場人物(キャスト)

菱田雅(北香那)
シングルマザー。薬物依存症の母を持ち、自身も薬物に手を出して娘ミクに虐待を繰り返していた。5年前、山奥の川で水死体で発見されている。

菱田千鶴(神野三鈴)
雅の母。薬物依存症で逮捕歴がある。亡くなった娘・雅に瓜二つの孫の姿を見かけて捜査一課を訪れる。娘が無理心中なんてありえないと主張する。

ミク(野田あかり)
雅の娘。雅とともにアカシア園に滞在していたが、雅が亡くなった前日に行方不明になる。雅の遺体とともにぬいぐるみが発見されたため、無理心中と判断された。

大野律子(富田靖子)
母子保護施設「アカシア園」の代表。行き場を失って野宿していた雅とミクに声をかけ、施設に迎え入れた。虐待を繰り返してしまう雅に優しく寄り添う。

坂口剛(中島広稀)
知的障害を抱えている青年。5年前、アカシア園の近隣で少女を自宅に連れ込んで補導されている。ミクの行方を知っていると思われるが…。

坂口聡子(西尾まり)
剛の母。警察に目をつけられている息子を必要以上にかばう。

黒崎芽衣(中田クルミ)
アカシア園の元居住者。当時、薬物をやめられない雅のことを嫌って頻繁に言い争っていた。

石川沙耶(平田薫)
百合の妹。かつて百合の婚約者を奪ったことから百合とは不仲になった。その後、百合に内緒で高木と付き合い始めるが、カード詐欺に手を貸して逃亡した。ある日、突然息子を連れて百合の前に現れる。

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最終話で使用された曲

  • EXILE ATSUSHI + AI「No more」
  • ハナレグミ「深呼吸」
  • ONE OK ROCK「Always coming back」

最終話の感想

妹に実母の影を重ねる百合

毎回思ってたんですけど、序盤に百合たちが地下の保管庫に集まって過去の資料を読むシーンが好きです。事件に対するそれぞれの感想とか、チームの仲の良さが一瞬で伝わりますよね。

今回は5年前に無理心中を図った母娘について調べ直すという内容でした。遺体で見つかった21歳の母親・雅は娘のミクを虐待していて、彼女自身も薬物依存の母から虐待を受けていた…という設定。

ちなみに雅役の北香那さんは、光石さんも出ているドラマ「バイプレイヤーズ」のジャスミン役で有名。今回はまったく違う雰囲気の役でしたね。

百合はアルコール依存症だった母親から育児放棄されていた過去があるので、そういう母親に対して人一倍厳しい意見を持っています。今回も「虐待を繰り返す人間は母親になるべきじゃない」とピシャリ。

そこに、シーズン1に登場した百合のお騒がせな妹・沙耶が子連れで訪ねてきて、百合は男にだらしない彼女の姿に実母を重ね合わせます。

でも、実は沙耶はちゃんと更生して、子供を愛するいいお母さんになっていました。百合に子供を預けて突然姿を消したのも検査入院だったことがわかりますが、姉妹は和解できないまま、沙耶は旅立ってしまいます。

今回のストーリーとからめて登場させたんだろうけど、ちょっと急な展開で驚きました。原作では妹は死んでないのでね(詳しくは後述)。

母親の呪縛と虐待の連鎖

今回のストーリーは個人的にキツいというか、ちょっと客観的な視点を持ちにくい内容でした。あと富田靖子さんの容貌と髪型が昔の母に激似でびっくり。ドラマ「モコミ」の富田さんはそうでもないんだけど…メイクのせい?

富田さん演じる律子は、虐待から子供を守るためだと信じ、母親から強引に子供を引き離して何人もの母親から訴えられていました。

やがて律子が5年前に娘の亜矢を突然死で喪っていることがわかり、ミクは律子の娘“亜矢”として生きていることが判明します。

彼女が雅を殺したのは、雅が再び薬物に手を出し、肺炎のミクを放置して出かけたと誤解してしまったからでした(本当は風邪薬を買いに行っていた)。

怒る気持ちはわからなくもないです。実際、彼女がミクを病院に連れて行かなかったら、手遅れになってたかもしれないわけだから。でも殺したり誘拐したりするのは問題外。

百合は死んだ雅に沙耶を重ねて「彼女はきっといい母親になれた」と語っていたけど、わたしだったら断言できなかったと思う。

「親の愛を知らなくても、人のぬくもりを知った人間は、強くなれる。人を愛することができる。あの子はなれたよ、きっと。いい母親に。どんな過去があったとしても未来は変えることができるから」

そんなふうに言い切れたらいいけど、わたしには無理だ。だからといって、「愛し方を知らない可哀想な子は親になるべきじゃない」とも思わない。

ただ人間をひとくくりにはできないと思うだけ。

シーズン4&映画化お待ちしています

ともあれ、百合が「母親の呪縛」から一歩抜け出したことは確かですね。百合のもとには沙耶の忘れ形見・真人が残され、彼女はこれから真人を育てていくことになりそうです。

原作にはない展開だ…どうなるんだろう?

「捜査一課5人の小部屋」でも監督が話していましたが、百合と母親のエピソードとか、ねこさんの亡き妻のエピソードとか、原作にある5人のエピソードで描かれていないものがまだまだ存在するので、ぜひこの先も続けてほしいです。

っていうか、こんなに人気があって面白いドラマをここで終わらせるなんてありえないでしょ! 映画化も絶対してほしいです(満を持して)。

シーズン4は2年後かな。それまで、またシーズン1から見返して、何度も浸ることにします(気が向いたらシーズン1の記事も書きたいと思ってます)。

アメリカ版との違い

ここからは、元ネタとなったアメリカ版「コールドケース」シーズン5第18話“Ghost of My Child”との違いについて説明します。

今回は大幅にアレンジされていて、登場人物がかなり違っています。

時代設定は日本版が2016年だったのに対し、アメリカ版では2005年。放送されたのは2008年5月です。

雅とミク/プリシラとマックス

原作では薬物依存の母プリシラが息子マックスを探すという設定でしたが、日本版では雅が殺されて母・千鶴が孫のミクを探すという設定に変更されてました。

マックスは赤ん坊のときに火事によって焼死したとされていましたが、焼死体は別人であることがわかり、さらに火事はマックス誘拐を隠蔽するための放火だったことも判明します。

原作はアメリカのフィラデルフィアが舞台なので、ドラッグ事情も日本とは異なります。

プリシラだけでなく恋人のエリス(マックスの父親)もドラッグ中毒で、何度もリハビリ施設に入っているような男。プリシラ自身も離脱症状に苦しみ、麻薬密売人からは借金返済を迫られているというヘビーな設定でした。

しかし、プリシラは子供のためにドラッグをやめると決意し、エリスや密売人からの誘惑も断固として拒みます。

日本版では、雅は大麻に手を出したりミクを虐待したりしていましたが、プリシラはきっぱりとドラッグをやめ、虐待もしていませんでした。

火事のあった夜、彼女が子供を置いて家を出ていたのは、最も苦しい「夜」を乗り越えるため。離脱症状に打ち克つためでした。

3年後、プリシラは公園で成長したマックスを見たと訴え、火事に疑いを持ったリリーたちが捜査をして事件が判明。事件解決後、プリシラはマックスと再会しています。

日本版と違い、プリシラの両親は高級住宅地に住むお金持ち。ほとんど絶縁状態でしたが、母親はこっそり小切手を送っていました。

日本版にあった保護施設「アカシア園」や、坂口親子は登場しません。

律子/ロイス

日本版では、保護施設「アカシア園」の代表者・大野律子が犯人でした。原作では保護施設は登場せず、エリス(マックスの父親)が入所していたリハビリ施設の先生ロイスが犯人でした。

ロイスは薬物依存症の母親を何人も見てきて、リリーと同じように、彼女たちを“母親失格”だと決めてかかっていたんですね。

悪質なのは、彼女の夫で医師のトムも誘拐に手を貸していたこと。勤め先の病院から盗んだ乳児の遺体をマックスの代わりに置き、家に火をつけたのです。

ロイスが何度も流産を経験し、子供に恵まれなかったことも理由のひとつ。彼女は「不公平じゃない? 最高の親になれるのに」と言います。

彼らがマックスを誘拐したとき、着せられていたのはプリシラの手作りの服でした。胸の部分には「MY MOMMY LOVES ME(僕のママは僕を愛してる)」という文字が書かれていました。

百合/リリー

日本版の百合同様、アメリカ版のリリーも辛い幼少期を送っています。リリーの母は薬物依存症とアルコール依存症の持ち主でした。

そのため、リリーは薬物依存症の人間に対して(経験から)強い不信感を持っています。「妊娠してからドラッグはやってない」と主張するプリシラのことも、最初は信じていませんでした。

しかし捜査を続ける中で、しだいにプリシラの決意の固さと子供への深い愛情を知ることとなり、彼女に対する見方を変えるようになります。

日本版で登場した妹・沙耶は、原作のこのエピソードには登場していません。

沙耶/クリスティーナ

シーズン1で百合の妹・沙耶が高木と密かに関係を持ったり、詐欺容疑で警察に追われていたりした設定は原作と同じです。

ただ沙耶が病死する設定はオリジナル。原作では、ドラマ最終話となるシーズン7の第22話で、事件に巻き込まれた妹クリスティーナをリリーとスコッティ(高木)が救出。

その際、リリーはクリスティーナに子供がいることを初めて知ります。クリスティーナは負傷しただけで、死んではいません。

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