ネタバレ有「Face to Face-尋問-」全話あらすじ・感想・キャスト

「Face to Face-尋問-」あらすじキャスト

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北欧ドラマ「Face to Face-尋問-」(全8話)についてまとめました。

デンマーク発のスタイリッシュなサスペンスドラマ。主人公が1話ずつ異なる関係者を問い詰めていき、娘の死の真相を暴いていく構成。各話30分で、テンポ良く進みます。

主人公の刑事ビヨンを演じるのは、映画「未来を生きる君たちへ」のU・トムセン。暗くて渋い私好みの映像と、俳優陣の演技に引き込まれました。

作品概要

  • 放送局:WOWOWプライム
  • 放送時間:2020年5月3日(日・祝)午後0:30~ ※一挙放送
  • 製作国:デンマーク(2019年)
  • 原題:Forhøret
  • 監督:クリストファー・ボー

あらすじ

刑事ビヨンは同僚の代理で、遺体安置所(モルグ)へと身元不明の遺体の確認に出向くが、検視官フランクが作業を終えたばかりの遺体は、なんとビヨンの娘クリスティーナだった。死因は心臓の刺し傷で、複数のためらい傷があることからフランクは自殺だと断言するが、ビヨンはどうしても納得できず、フランクに検視のやり直しを迫るが……。

その後もビヨンは、自分が知らない間にクリスティーナと結婚していた同性のパートナー、売春クラブの経営者兼売春婦、過去に自分と因縁があった犯罪組織のボス、かつて自分の相棒だった刑事など、クリスティーナと最近接触した面々を訪ねる。そして彼らを尋問する中で、疎遠だった娘との関係も明らかになっていく……。

WOWOW公式サイトより

予告動画

登場人物(キャスト)

ビヨン(ウルリク・トムセン/声:千葉哲也)
刑事。検視施設に運び込まれた身元不明の遺体が娘クリスティーナだと知り、死の真相を突き止めようと動く。

クリスティーナ(アルマ・エケヒズ・トムセン/声:三浦千幸)
ビヨンの娘。同性愛者。アメーリェ通りの高級アパートで身元不明の遺体となって発見される。心臓にいくつかの逡巡創があったことから自殺と判断される。薬物を乱用していた痕跡がある。

フランク(ラース・ランデ/声:落合弘治)
検視官。アメーリェ通りのアパートで身元不明の若い女性の遺体を引き取り、検視を行った。自殺と判断するが、疑いを持つビヨンに検視のやり直しを迫られる。

ニッキー(クラーラ・ロスエーヤ/声:磯部莉菜子)
クリスティーナのパートナー。昨年、結婚式を挙げた。クリスティーナが娼婦だったことや、クリスティーナをブラックネットに引き込んだ“ミア”という女性についてビヨンに語る。

ミア(カトリーネ・グライス=ローセンタール/声:鹿野真央)
売春クラブ「アメージング・デイジー」の経営者兼売春婦。クリスティーナがドラッグの運び屋兼売人をやっていたことや、顧客の名が“セバスチャン”であることをビヨンに語る。

セバスチャン(ニコライ・リー・コース/声:加藤亮夫)
犯罪組織のボス。かつてビヨンと取引をして見逃してもらったことがある。昨夜のパーティーでクリスティーナを見たと話し、ビヨンに防犯カメラの映像を見せる。

リュランダー(ダーヴィッド・デンシック/声:小森創介)
ビヨンの元相棒。ギャンブル好きで、妻と双子の子どもがいる。ビヨンとは8年間相棒を務め、ビヨンから捜査について一から教わった。クリスティーナを見捨てたビヨンを責める。現在の相棒はラッセン。

ラング(ラース・ミケルセン/声:木下浩之)
ビジネススクールの教授。羽振りが良く、競走馬を所有している。クリスティーナを娘のように愛し、競走馬を与えていた。ビヨンにクリスティーナとセバスチャンの関係、ブラックネットについて語る。

リカート(セーアン・メリング/声:田中美央)
ビヨンの上司。クリスティーナの自殺を受け入れられず、他殺を疑って暴走するビヨンを説得しようとする。

スサンネ(トリーネ・デュアホルム/声:田中敦子)
ビヨンの元妻で、クリスティーナの母。ビヨンがクリスティーナを拒絶し、追い詰めたと避難する。

各話のあらすじ(ネタバレ有)

同僚の代理で検視施設を訪れたビヨンは、身元不明の若い女性が娘のクリスティーナだと知って激しく動揺する。検視官フランクは同情しつつも自殺だと断言し、納得がいかないビヨンはフランクを閉じ込めてもう一度検視をやり直すよう訴える。
フランクによると、クリスティーナの遺体はアメーリェ通りのアパートで発見された。フランクが駆けつけた時点で死亡後数時間経っており、床は血だらけだったという。服を着ていて争った痕跡も見られず、逡巡創があったことから自殺と判断されたのだった。
そこへ上司のリカートが現れ、ビヨンに締め上げられていたフランクを助ける。フランクはリカートの目を盗んで施設を出て行く。

ビヨンはクリスティーナの遺体が発見された現場へ向かう。そこは広々とした高級アパートだった。ビヨンが部屋の中を調べていると、ニッキーと名乗る女と出くわす。彼女は去年クリスティーナと同性婚したパートナーだという。
ニッキーは昨夜クリスティーナと会ったが喧嘩別れし、友達の家に泊まったと話す。昨夜のクリスティーナは興奮し、酔っ払って「パパに乾杯」と言い続けていたという。
アパートはリア・ムラーという名で借りており、クリスティーナが客の相手をする場所として使っていた。クリスティーナが娼婦だったと知り、ショックを受けるビヨン。ニッキーは「彼女は辛くて耐えられなかった」と語り、ビヨンに現実を受け入れるよう諭す。
ニッキーは廊下の奥にある部屋の鍵を隠し持っていた。部屋の中のシステム環境を見たビヨンは、ニッキーがクリスティーナの稼いだ金を盗みに来たと推測し、「ミア」という名前を聞き出す。
クリスティーナをブラックネットに引き込んだのはミアだと語るニッキー。ニッキーはビヨンを蹴って逃亡。ビヨンはミアが経営する売春クラブ〈アメージング・デイジー〉を探す。

ビヨンは〈アメージング・デイジー〉を訪ね、経営者兼売春婦のミアから話を聞く。クリスティーナのことはほとんど知らない、と白を切るミア。ビヨンは店内を捜索して彼女が隠し持っていたコカインを見つけ、知っていることを全部話せと脅す。
クリスティーナは当初ミアを手伝ってドラッグの運び屋兼売人をやっていたが、2~3か月前にミアを裏切り、顧客と直に取引したという。ビヨンはさらにミアを脅して“セバスチャン”という顧客の名前を聞き出し、留守電にメッセージを入れさせる。
その後、ビヨンの携帯にセバスチャンから連絡が入る。セバスチャンはビヨンを「知っている」という。

“セバスチャン”は、ビヨンがよく知る犯罪者ビャーゲだった。昨夜11時にクリスティーナがミアと一緒にパーティーに来た、と話すセバスチャン。
かつて、ビヨンはセバスチャンを見逃すことで金を手に入れ、その金でクリスティーナのために馬を買っていた。しかしその後、クリスティーナに失望したビヨンは、馬を精肉業者に売ったのだった。
セバスチャンは防犯カメラの映像を見せ、0時40分にクリスティーナが帰ったことを教える。ディープウェブで違法な取引をしているブラックネットは、クリスティーナが作り運営していたと明かすセバスチャン。
ショックを受けたビヨンはその場を立ち去るが、帰ったふりをして再び戻り、パソコン部屋に忍び込んで防犯カメラの映像を見る。クリスティーナのそばにいた帽子の男の顔を確認すると……。

防犯カメラの映像に写っていたのは、ビヨンの元相棒リュランダーだった。ビヨンはリュランダーを連れ出して車の中で尋問するが、逆にクリスティーナを傷つけたことを責められる。
リュランダーは昨夜パーティーでクリスティーナを見かけたことを認めるが、帰りはノアブロ広場で車から降ろしたと話す。ビヨンはリュランダーが大金を稼いでいるクリスティーナを強請ってギャンブルの借金を払わせ、断わられたために殺したのではないかと追及する。
だがリュランダーにはクリスティーナの死亡時刻にある人物を飲酒運転で取り調べたアリバイがあり、調書も残っていた。目と耳を殴るのはリュランダーが口を割らせるやり方だと知っていたビヨンは、リュランダーがクリスティーナを殴ったと確信し、口を割らせるため車を暴走させる。
追い詰められたリュランダーはついに“ホルガ・ラング”の名前を口にする。そしてリュランダーの携帯には、相棒のラッセンから「ラングがグランBで待ってる」というメッセージが届いていた。

ビヨンはラングが待っているという「グランB」を訪れる。そこは競馬場の観戦レストランだった。ラングはビジネススクールの教授で、競走馬も所有するほどの金持ちだった。
ビヨンに銃を向けられ、クリスティーナとの出会いを語り始めるラング。競馬場で出会って意気投合し、彼女を娘のように愛したラングは、競走馬を与え、父親代わりになろうとしたという。ブラックネット創設を支援し、セバスチャンと引き合わせたのもラングだった。
クリスティーナは犯罪行為に没頭していったが、突然ブラックネットから手を引くと言い出した。そのため、ラングが後を継いだという。クリスティーナが辞めた理由は、ビヨンに受け入れられたかったからだというラング。
パーティーでリュランダーとラッセンに会ったクリスティーナは、ラングに電話して助けを求めた。ラングは彼らと取引し、ブラックネットの稼ぎを分けることで納得させたという。ニッキーもまた分け前を与えたひとりだった。
ラングの携帯に入っていたクリスティーナのメッセージを聞いたビヨンは、クリスティーナが最後まで自分を求め、受け入れられないことに傷ついていたことを知る。絶望したビヨンは自殺を試みるが、そのとき元妻スサンネから着信が入る。

ビヨンはクリスティーナに別れを告げるため病院へ向かうが、入り口には見張りが立っていた。リカートに頼み、見張りに銃とバッジを預けて病院に入るビヨン。
中で待っていた元妻スサンネは、クリスティーナが犯罪行為に手を染めていたことに気づいていたと明かし、娘を拒絶し追い詰めたのはビヨンだと責める。
クリスティーナの遺体と対面したビヨンは、上唇の小帯が裂けていることに気づく。口を押さえられて抵抗したときにできる傷で、襲われたことを示す有力な痕跡だった。検視報告書に記載されていなかったことで、検視官フランクを疑うビヨン。
だがスサンネは、「昨夜はずっと彼と一緒にベッドにいた」と思いがけない告白をする。フランクと関係を持ったのは昨年のクリスマスからだと聞いたビヨンは、クリスティーナがフランクと会っていた可能性があると考え、フランクを怪しむ。

ビヨンは検視官フランクの家を訪ね、上唇小帯が裂けていること検視報告書に記載しなかった理由を問い詰める。フランクはリカートの指示で削除したと話すが、その場に現れたリカートは否定する。
ミアが刺されたという報告が入り、リカートはフランクの家を出て行く。ビヨンはテーブルの上のスプーンの並べ方が、アメーリェ通りのアパートのキッチンで見たキャンディーの並べ方と同じだと気づく。
去年のクリスマス、ビヨンに約束をすっぽかされたクリスティーナは、母スサンネの家へ行きフランクと会っていたのではないか。泥酔したクリスティーナはブラックネットについて語り、それをネタにクリスティーナを強請るようになったのではないか、とフランクを問い詰めるビヨン。
リュランダーとラッセンを引き入れ、手を引こうとしたクリスティーナを痛めつけ、一旦は言うことを聞かせたが、クリスティーナはラングにブラックネットを譲ってしまった。
昨夜、フランクはラングを見つけ出して飲酒運転で引っ張り、取引をした。だが自由になったクリスティーナが誰かに喋るかも知れないと心配になり、スサンネが寝ている隙にアパートへ行って殺したのだと。
ビヨンはフランクを人質に取り、戻ってきたリカートに再捜査をしてほしいと頼む。リカートは要求を聞き入れて検視をやり直させようとするが、クリスティーナの遺体は既に火葬に出されていた。
ビヨンは包丁でフランクを刺し殺す。逮捕されたビヨンの横にクリスティーナの幻が現れ、「ありがとう、パパ」と告げて消える。

感想(ネタバレ有)

主人公ビヨンの常軌を逸した捜査

刑事ビヨンは、身元不明の遺体が娘のクリスティーナだと知って捜査に乗り出します。ここまでは、珍しくない設定。ところが、ビヨンの行動が明らかに“異常”だとすぐにわかります。

突然ヒステリーを起こし、その場にいた検視官フランクにメスを突き付けて「検視をやり直せ」と脅迫。

その後もニッキー、ミア、セバスチャン、リュランダー、ラングと関係者に聞き取りを行うのですが、いずれも暴力と脅迫で口を割らせます。

リュランダーに至っては、ビヨンが起こした暴走事故に巻き込まれ、昏睡状態に陥るほど。丹念に捜査を重ねていく「刑事もの」だと思ったら大間違い!

やがてビヨンが同僚から敬遠されて公安部に異動になっていたことや、家族との隔絶は彼自身の異常な言動が原因だったことが明らかになっていきます。

関係者たちはみな口を揃えて「クリスティーナを拒絶した」とビヨンを責めるのですが、納得できないビヨン。彼は娘のほうが離れていった、と本気で思っているようでした。

クリスティーナは自殺なのか、他殺なのか。他殺だとしたら犯人は誰なのか。事件そのものの真相と同時に、「ビヨンは正常なのか異常なのか」という疑問が、ずっとついて回ります。

クリスティーナの真実

捜査を進めるうちに、ビヨンが知らなかったクリスティーナの素顔が見えてきます。

高級アパートを偽名で借りていたこと。ニッキーと同性婚をしていたこと。ミアが経営する売春クラブに入り浸り、ドラッグの運び屋兼売人をしていたこと。

犯罪組織のボス・セバスチャンと手を組んで闇ビジネスをしていたこと。違法な闇サイト〈ブラックネット〉を創設・運営し、女性や子どもや武器やドラッグや臓器を売っていたこと。

犯罪のレベルが桁外れで、正直、わたしにはまったく現実感がなかったです(デンマークでは、若い女性がここまで深い犯罪に手を染めることも珍しくないのだろうか?)。

クリスティーナが転落した原因はひとつではないと思いますが、やはり父親であるビヨンに拒絶されたことが大きいのは確か。

多忙なビヨンは娘と過ごす時間が少ないことに罪悪感を抱いていたのでしょう。犯罪者と取引をして大金を手に入れ、クリスティーナのために馬を買っています。

しかしその後、妻スサンネと離婚。精神のバランスを欠いたビヨンは、クリスティーナに「失望した」という理由(おそらく同性愛者だということを受け入れられなかったと思われる)で、彼女の馬を精肉業者に売ったのです。

クリスティーナは馬のことを複数の関係者に話していて、馬の一件が彼女の心に深い傷を残していることがわかります。

クリスティーナを利用した大人たち

犯罪者としてのクリスティーナを利用して、大金を手に入れようとした汚い大人たちも、彼女を“殺した”と言えるかもしれません。

父親面のラングはクリスティーナの〈ブラックネット〉創設を支援し、犯罪組織のボスであるセバスチャンと引き合わせ、彼女を泥沼に引きずり込みました。彼女が手を引いた後は、自分が後継者になって大金をせしめています。

ビヨンの元相棒で友人でもあったリュランダーは、現相棒のラッセンと組んでクリスティーナを強請り、暴力をふるって従わせ、ギャンブルの借金を払わせていました。

そしてビヨンの妻スサンネとできていた検視官フランクは、たまたまスサンネの家で鉢合わせたクリスティーナから〈ブラックネット〉の話を聞いて、彼女を脅して金を得ることを思いつきました。

フランクはクリスティーナが〈ブラックネット〉から手を引くと聞いて説得(というか脅し)を試みますが失敗。そこで後継者ラングと取引をして、分け前に与ることに。

口封じのためアパートでクリスティーナを殺害し、検視報告書にウソの死亡時刻を書いてアリバイを成立させていたフランク。一人目の検視官が犯人だったとは……驚きです。

リュランダーとフランクは自白していないので、実際のところはどうだったのかわかりません。あくまでビヨンの想像です。

ビヨンは病気なのか?

クリスティーナの遺体が焼かれ、検視のやり直しができないと知ったビヨンは、フランクを刺し殺しました。

最初から最後までビヨンの行動は常軌を逸していて、病的でした。彼を病気だと捉えることも可能ですが、彼が最初に疑いの目を向けたフランクが真犯人だったということは、案外冷静な目で観察していたのかもしれません。

聞き取りを行った関係者たちは、全員がウソをついていました。クリスティーナの妻ニッキーでさえ。ビヨンはそのことにも気づいていたと思われます。

異常だろうと正常だろうと、彼がクリスティーナのために何もかも投げ出して行動したことは確かです。

すべてを失い、大きな罪を背負うことになったけれど、クリスティーナの「ありがとう」の声が聞こえたということは、彼自身は満足しているのでしょうね。

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