海外ドラマ「FOREVER Dr.モーガンのNY事件簿」(全22話)についてまとめました。
現代のニューヨークを舞台にした一話完結のミステリードラマ。IMDbの評価は8.2。
SFファンタジー要素を取り入れた主人公の設定がとてもユニークで、後味もよく、毎回見終わった後に少し優しい気持ちになれます。
ニューヨークで起こる殺人事件の捜査と共に、主人公の秘密を知る謎の男との対決や、30年前に失踪したヘンリーの最愛の妻アビゲイルの行方、ヘンリーの200年間の壮大な人生ドラマにも迫っていきます。
主人公ヘンリーを演じるのは、「ファンタスティック・フォー」で主役を演じたヨアン・グリフィズ。
わたしはTVシリーズの「ホーンブロワー 海の勇者」のホーンブロワー役が印象深いです。クラシックな装いが似合うんですよね、この方。
アメリカでは2015年の放送終了時、熱狂的なファンからの猛抗議が放送局に殺到したとか。
シーズン2以降の制作を求めてSNSキャンペーン「#SaveForever」が実施され、10万人以上の署名が集まったそう。
続編がないことが本当に残念。
Contents
作品概要
- 製作国:アメリカ(2014年)
- 原題:Forever
- 脚本:マット・ミラーほか
- 製作総指揮:マット・ミラーほか
あらすじ
“死”に関する卓越した知識がNY市警の目に留まり、刑事ジョーとタッグを組んで、殺人事件の捜査に協力するヘンリー。遺体が出ると連絡を受け、クラシックなスーツに身を包み、颯爽と事件現場に登場。一見しただけで死因のみならず、被害者の職業や性格を言い当て、周囲が驚く鋭い推理で事件解決を強力に後押しする。 卓越した洞察力と豊富な知識は、どこからくるのか?実はヘンリーには、200年前から一切歳を取らず、何度死んでも生き返るというトンデモナイ秘密が…!
AXN公式サイトより
予告動画
登場人物(キャスト/吹替)
ヘンリー・モーガン(ヨアン・グリフィズ/声・森田順平)
NY市監察医局で働く監察医。35歳。不老不死の研究をしている。200年前、船医として乗り込んだ奴隷船で船長に銃で撃たれ海に転落するが蘇り、それ以来死ぬたびに近くの水中から全裸で蘇るようになる。イギリス出身だが不老不死を隠すために各地を転々としている。
天才的な洞察力と推理力がNY市警の目に留まり、刑事のジョーとパートナーを組んで事件捜査に協力する。最愛の妻アビゲイルとは第二次世界大戦で従軍医をしていた時に出会い、後に美術館でプロポーズして結婚した。
ジョー・マルティネス(アラナ・デ・ラ・ガーザ/声・佐竹海莉)
NY市警の殺人課刑事。ヘンリーとコンビを組んで捜査にあたる。一年前に夫を亡くし、今も深い悲しみを抱えている。ヘンリーの洞察力に一目置く一方で、ヘンリーが秘密を抱えていることにも感づいている。
エイブ(ジャド・ハーシュ/声・佐々木省三)
アンティークショップの経営者。ヘンリーの同居人で、唯一ヘンリーの不老不死の秘密を知る存在。店の品物はほとんどがヘンリーの私物である。
両親はナチスの収容所で亡くなっており、赤ん坊の時にヘンリーとアビゲイルに救われて養子になった。不老不死の研究に没頭し、人生を楽しもうとしないヘンリーを心配している。
ルーカス・ウォール(ジョエル・デヴィッド・ムーア/声・藤巻大悟)
NY市監察医局で働くヘンリーの助手。飄々とした性格。ヘンリーを尊敬しており、ヘンリーを真似て独自の推理を披露することもあるが、空回りしがち。
マイク・ハンソン(ドニー・ケシャワーズ/声・あべそういち)
NY市警の殺人課の刑事で、叩き上げの苦労人。当初はヘンリーを怪しんでいたが、やがて信頼を置くようになる。既婚者で2人の子持ち。
ジョアンナ・リース(ロレイン・トゥーサント/声・仲村かおり)
殺人課を取り仕切る警部補。厳格な性格で自由に動くヘンリーに手を焼くことも多いが、時折不器用な優しさを見せることもある。音楽マニアでジャズに詳しい。
アビゲイル(マッケンジー・モージー/声:三木美)
ヘンリーの最愛の妻。看護師で、第二次世界大戦中に従軍医をしていたヘンリーと出会う。孤児だったエイブをヘンリーと二人で育てていたが、80年代に忽然と姿を消した。
モーリーン・ドラクロワ
エイブの元妻。オー・ド・ラムールを愛用し、男を虜にする女。エイブとは2回結婚し2回離婚している。エイブに3回目の結婚を思案させ世界一周旅行に誘うが、断られる。
フォーン・エイムズ
エイブの初恋の女性で、小学生の時のファーストキスの相手。エイブが突然引っ越したため離ればなれになり、後に同じクラスメイトのライルと結婚した。ライルの葬儀の際にエイブと60年ぶりの再会を果たす。
アイザック・モンロー
大富豪。ラゴス・グループのオーナーで、沈没船を専門とする海洋サルベージ会社を支援している。200年前にヘンリーが助けようとした奴隷の子孫。ジョーに一目惚れしてデートに誘う。
アダム(ルイス・ファーバー)
ヘンリーに接触してきた謎の人物。ヘンリーと同じ不老不死で、2000年前から生きている。人を殺すことにためらいがなく、ヘンリーを陥れようとする。
ナチスに実験台にされた過去を持ち、同じナチスの犠牲者であるエイブに両親の名前が載った収容所の記録を渡す。
各話のあらすじ(ネタバレ有)
NYで監察医として働くヘンリーは地下鉄事故に巻き込まれるが、近くを流れるハドソン川から無傷で生還する。ヘンリーは運転手の遺体を調べ、毒殺と判断。捜査にあたったNY市警のジョーはヘンリーが列車に乗っていたことを知り、彼こそが犯人だと疑う。ヘンリーのもとには彼の秘密を知る謎の人物から電話が入る。ヘンリーはその人物こそ犯人だと推測するが、真犯人はかつて妻を列車事故で失った男だった。事件を解決に導いたヘンリーのもとに「私と君は同類だ」という謎の人物からの電話が入る。
ヘンリーは橋から落ちて亡くなった女性ヴィッキーの遺体を調べ、殺人だと判断するが、ジョーの上司リースは自殺と断定し捜査を禁じる。ヘンリーは古代ラテン語のコーデックスをヴィッキーと共に翻訳していたブラウニング教授が彼女と不倫関係にあったことを知るが、ブラウニング教授は取り調べを受けた直後に殺害される。
ヴィッキーとブラウニング教授を殺したのはポールだった。ポールはヴィッキーが本の共著に選ばれたことに腹を立て、ヴィッキーを殺害し、教授に罪をなすりつけようとしたのだった。
ポールはヘンリーを人質にとって逃亡を図ろうとするが、ジョーとハンソンに助けられる。ヘンリーのもとに〝アダム〟を名乗る謎の人物から電話が入り、2000年前から生きていることを匂わす。
67歳の男性が路上で突然死亡する。ヘンリーが調べると、彼の肉体は30代と思えるほど若く鍛え上げられていたが、脳は激しく老化していた。ヘンリーとジョーは捜査を進め、被害者がチャイナタウンにある高級美容クリニックに通っていたことや、高価なサプリ〝アテルナ〟を摂取していたことを突き止める。
クリニックのドクターが殺され、〝アテルナ〟を開発したのはドクターの恋人サーシャだとわかる。ドクターを殺したのはサーシャの兄だった。サーシャは罪悪感に駆られ自殺を図ろうとするが、ヘンリーに助けられる。
美術館で開催されたパーティの最中、91歳の老婦人が変死する。彼女は莫大な資金でNYの発展を支えてきたカーライル一族の長、グロリア・カーライルだった。ジョーはヘンリーに協力を求めるが、ヘンリーはなぜか美術館へ足を運ぼうとしない。
警察はグロリアの看護師が遺産を受け取るために薬を盛ったのではないかと推測するが、グロリアの家の暖炉から燃え残った手紙の欠片を見つけたヘンリーは、余命わずかだったグロリアが愛した画家の絵の前で死を遂げるため、自ら薬を飲んだことを突き止める。
ヘンリーはかつてアビゲイルと共にこの美術館を訪れたときのことを思い出す。若き日のグロリアに背中を押されたヘンリーは、この場所でアビゲイルにプロポーズしたのだった。
再開発が期待されている地域で、元ジャンキーの男性ラウルの遺体が発見される。ヘンリーは1890年代にその地域にいた移民の親子を救えなかったことを今も悔やんでいた。
ラウルが地域の開発に反対していたことから、ヘンリーは開発業者に殺害されたのではと推測するが、決め手がない。ラウルの殺害現場を目撃していた少年が命を狙われ、ヘンリーとジョーによって救われる。犯人の背後には黒幕と思われる開発業者の影が見えるも、証拠を手に入れることはできなかった。
警察は開発業者を収賄罪で逮捕し、ヘンリーはラウルを慕っていた少年の未来に希望を見いだす。
切り取られた女性の心臓が警察に送られてくる。やがて遺体が発見され、ヘンリーはその手口が1888年に発生した「切り裂きジャック事件」にそっくりだと気づく。ヘンリーとジョーは猟奇殺人事件を取り扱ったグラフィックノベルにたどり着き、ファンサイトに殺人予告の書き込みをした18歳の少年デヴィンを取り調べる。
犯行に使われた凶器はエイブの知り合いの骨董店で購入されていた。ヘンリーは密かに骨董店を訪ね、購入者の名前を聞き出す。購入したのはデヴィンの父親ベントリーで、ヘンリーはベントリーに襲われ重傷を負う。ベントリーは駆けつけたジョーに撃たれて死亡、ヘンリーは謎の男〝アダム〟の助けによって絶命させられ、蘇る。殺人に手慣れているアダムにヘンリーはますます不審を抱く。
貧困地区で無料のクリニックを経営する若き医者タイラー・フォレスターが殺される。タイラーは富豪の御曹司だったが、両親からの援助を断り自分の稼ぎも寄付する聖人君子だった。彼の胸には鏡文字で謎のタトゥーがあり、ヘンリーはその文字がタイラーが9年前に卒業した日の日付であることに気づく。
その日タイラーは同級生3人と別荘に出かけ、17歳の少年ロバートを轢き殺した。3人は遺体を山中に埋めて犯行を隠蔽していた。その日を境にタイラーは人が変わったと言う。3人は9年前の事件については認めるが、タイラーの殺人については否定する。
タイラーを殺した犯人は、当時ロバートがアルバイトをしていたガソリンスタンドの経営者。タイラーたちの犯行に気づき、長年タイラーを脅して金を強請ってきたが、タイラーが自首すると言い出したため口論になった。
ジョーは犯人を追い詰めるが、ベントリーを撃ったトラウマで引き金を引くことをためらう。ヘンリーは犯人に向かって「僕を撃て」と叫び、ジョーはヘンリーを守るために犯人を撃つ。
ヘンリーはかつて秘密を守るために重傷患者を見殺しにしたことがあり、その日医者を辞めることを決意していた。
広告代理店社員のリチャードがNYの道端で死体で見つかる。リチャードの体には無数の傷があり、首を絞められた形跡があった。リチャードはセラピーの一環としてSMプレイを受けていた。
ヘンリーとジョーはSMセラピーを行っていたセラピストのアイオナを疑うが、アイオナは犯行を否定。犯行時刻には患者と会っていたとアリバイを主張する。さらにアイオナはリチャードの死因を絞殺ではなく感電によるショック死だと見抜く。
アイオナが犯行時刻に会っていた患者はリチャードの妻だったことが判明し、アイオナの容疑は晴れる。だがヘンリーが何者かに拉致され、ジョーは監視カメラに映っていた映像から犯人をアイオナの患者だと特定。男はアイオナを独占するためリチャードを殺し、ヘンリーを拉致したのだった。
ジョーはヘンリーを救出するが、ヘンリーの胸の傷痕を見て疑問を抱く。ヘンリーは「銃で撃たれた」とだけジョーに告げる。
ヘンリーはかつて妻ノーラに自分が不死身になったことを告白したが、ノーラに信じてもらえず、精神病院へ送られたことがあった。
有名なジャズサックス奏者ペッパー・エヴァンスの息子イジーが殺される。遺体の口の中にはサックスで使用するリードが残され、首にはピアノ線で絞められた跡があった。イジーは殺される前に父親から古い録音テープを受け取っており、「これで金が手に入る」と語っていたらしい。
イジーは生前、ハバードの名曲「午前6時」は父親が作った曲だと主張していた。ヘンリーはサックスケースに隠されていた「午前6時」のマスターテープを発見する。イジーを殺したのは、盗作がバレることを恐れたハバードの息子バドと、レコード会社のCEOだった。
かつてエイブが少年の頃、ヘンリーはクラシックピアノを教えようとした。だがエイブは隣人が奏でるジャズに夢中になり、今でもジャズに心酔している。ヘンリーはようやくジャズの魅力を認め、エイブと一緒にジャズピアノを奏でる。
コリン・カヴェンディッシュ子爵を名乗る英国人の男が真夜中の公園で殺される。ヘンリーは彼がカヴェンディッシュでも貴族でもないことを見抜き、身元を偽って織物工場のオーナーの娘エミリーと婚約していたことを突き止める。
コリンを英国貴族に仕立て上げ、金持ちから大金を巻き上げようと計画を立てたのは恋人のパトリシアだった。だがコリンはエミリーを愛するようになり、真実を告白してエミリーとの愛を貫こうとしていた。
コリンを殺害したのはエミリーの父親の弁護士ピーターで、彼はエミリーに横恋慕しており、エミリーを騙したコリンを許せず言い争いになり、コリンを刺したのだった。
ヘンリーはかつて正体を知られた男から逃げるため、引っ越しを余儀なくされた日のことを思い出す。その日、エイブは初恋の少女フォーンとファーストキスをするが、引っ越しによって2人は離ればなれに。エイブは未亡人となったフォーンに会いに行き、2人は60年ぶりに再会を果たす。
タクシーに乗ったヘンリーは、運転手がアダムだということに気づく。アダムは頭を撃ちぬいて自殺し、車もろとも川に沈んでしまう。溺死したヘンリーは蘇るが、翌日ヘンリーの元にアダムに殺されたタクシー運転手の遺体が運ばれてくる。捜査のさなか2人目の犠牲者が発見され、ヘンリーの愛用するナイフが凶器だと判明する。
アダムの策略を知ったヘンリーはエイブと共に町から逃げようとするが、ジョーに見られてしまう。ヘンリーは真実を語るべきか迷い、かつて妻ノーラに信じてもらえず精神科病院へ送られ拷問を受けた過去を思い出す。ヘンリーはジョーたちにストーカー被害に遭っていると嘘をつく。ヘンリーは家に侵入し襲ってきた男を刺し殺すも、男はアダムではなかった。本物のアダムは精神科医ルイス・ファーバーだった。
休職していたヘンリーは職場に復帰し、若い投資家ジェイソンの死を調査する。ジェイソンはエイブの戦友マルコの息子だった。エイブと戦友たちの活躍によって、ジェイソンが勤務していた投資会社が証券詐欺に手を染めていたことが判明する。ジェイソンに詐欺行為を問い詰められた社長のクローステンはジェイソンを殺害し、後始末を社員にやらせ、さらに別の社員を身代わりにしようと企んだのだった。
職場復帰したものの、未だ人を殺した罪悪感に苦しむヘンリーだったが、ジョーの優しい言葉に救われる。ヘンリーはかつて若いエイブが徴兵され、戦地へ向かうのを複雑な思いで見送った過去を思い出す。
ジョーの家の近くで、車にはねられて死んだ28歳の男アーロンの遺体が見つかる。アーロンには山のように犯罪歴があり、3年前の担当検事はジョーの亡き夫ショーンだった。アーロンは死んだ前日の夜、宝石店に盗みに入っていたが、現場を見たヘンリーは「アーロンじゃない」と判断する。
真犯人は強盗事件を担当した刑事ダンだった。ダンは保険金詐欺を企む宝石店の店主と組んでアーロンの過去の犯罪仲間に店を襲わせ、その罪をアーロンに負わせて殺したのだった。事件が解決した後、ジョーは夫ショーンが死ぬ前日に大ゲンカをし、仲直りできないままだったことをヘンリーに打ち明ける。
ヘンリーはかつてサウスウォーク刑務所に移送され、そこで出会ったカトリックの司祭を思い出す。彼は初めてヘンリーの不老不死を信じてくれた人物だった。司祭はヘンリーとの出会いを運命の巡り合わせだと信じ、ヘンリーを刑務所から逃がすために自殺を手伝う。
美術商のカールが殺され、自宅で遺体となって発見される。凶器の彫像にはナチスのシンボルが刻まれていた。調査の結果、カールの父はヒトラーの側近で、芸術品を略奪する特殊部隊のトップだったことがわかる。カールは父がナチスから盗んだ美術品を密かに元の所有者に返却していたのだった。
やがてカールが所有する美術品が消え、管理していたジュリアンが殺される。カールの息子エリックは父親と口論になって殺害したことを認めるが、ジュリアン殺害については否定する。現場に残されたDNAを調べたヘンリーは、アダムが犯人だと気づく。
アダムはエイブの店を訪れ、ジュリアンから盗んだナチスの収容所の記録を置いて立ち去る。アダムもまたナチスの犠牲者だった。エイブはその記録から両親の名前を知り、博物館に残されていた写真を見る。
ヘンリーは尊敬していた父が奴隷貿易に関わっていたことを知って傷ついた過去を思い出す。父は死の床で自らの過ちを認め、モーガン家に代々伝わる懐中時計をヘンリーに手渡してこの世を去る。
公園のベンチで老人男性の遺体が見つかる。遺体に特徴的な手術跡を見つけたヘンリーは、かつて自分が施した手術の跡だと気づく。アビゲイルとの新婚旅行でオリエント急行に乗ったヘンリーは、列車内で急性虫垂炎になったウルケシュの王子を急遽手術したのだった。
公園の遺体は革命で処刑されたウルケシュ王族の生き残りで、最後の王アロノフだった。アロノフの胃の中から毒物が検出され、ヘンリーはアロノフが毒殺されたと主張。ジョーと共に領事館へ向かい、アロノフが愛人に産ませた娘リディアと共に祖国へ渡ろうとしていたことを知る。ヘンリーたちはアロノフの妻を疑うが、彼女も毒を盛られる。
犯人は領事館の職員カリモフだった。先代の王に恨みを持つカリモフは、王家の血を絶やすためリディアを殺そうとするが、駆けつけたジョーとヘンリーに阻まれる。
両親の名前がわかったエイブは、電話帳で同じ名前の親戚たちを探し出し自身のルーツを辿る。すると、ヘンリーと遠い親戚であることがわかる。
ゴミ捨て場で70年代のファッションに身を包んだ女子学生サラの遺体が見つかる。ヘンリーはサラが何者かの妄想の対象だったと考え、サラが取り憑かれていたという大学の講義を聞きに行く。そこで教授として教鞭を執っていたのは、以前捜査に協力してもらったアイオワことモリーだった。
ジョーとヘンリーは初老の男性ネヴィルを取り調べる。ネヴィルは亡き妻にそっくりなサラに70年代の格好をさせ、幸福だった過去を再現させていた。サラ殺害を自白したネヴィルだったが、ヘンリーは疑いを抱く。ネヴィルは真犯人に眠らされ、自分が殺したと思い込まされていたのだった。
サラを殺したのはルームメイトのジェニファーだった。ジェニファーが犯人だと気づいたモリーは、ジェニファーに襲われて重傷を負う。ヘンリーはモリーを本気で好きになり初めていることに気づき、再び愛する人を失うことを恐れ、彼女に別れを告げる。
ヘンリーは年をとった妻アビゲイルが周囲の目を気にしていたことを思い出す。アビゲイルは母親のような年齢の自分が若いヘンリーの隣に並ぶことを恥じていた。エイブはアビゲイルが残したレシピを発見し、彼女の料理を再現する。
ハッカー集団〈フェイスレス〉のメンバー、エリックが自宅で殺害される。サイバー犯罪課のキースとアイリーンは〈フェイスレス〉が攻撃した財界人クレフを容疑者と特定するが、ヘンリーは〈フェイスレス〉のメンバーでエリックの恋人リズを疑う。
リズはヘンリーの経歴詐称を突き止め、逃亡のための死亡診断書を書いて欲しいとヘンリーを脅す。だがその直後、リズは交通事故で重傷を負い意識不明に陥る。エリックを殺し、リズを自殺に見せかけて抹殺しようとしたのはサイバー犯罪課のアイリーンだった。アイリーンはエリックに騙されて市のパスコードを盗まれていた。
アイリーンはヘンリーの経歴詐称を黙っている代わりに見逃してほしいと懇願し、リズを殺そうとするが、ヘンリーはリズの命を優先する。絶望したアイリーンは自ら道路に飛び出し自殺を図る。
ヘンリーはかつて年老いた妻ノーラが病院を訪ねてきたことを思い出す。ノーラは年を取らないヘンリーを見て不老不死を信じ、事実を公表すべきだと訴える。ノーラは不老不死を証明するためにヘンリーに銃を放ち、ヘンリーをかばった看護師が死んでしまう。
古い沈没船の発見を専門とする海洋サルベージ会社の経営者リックが遺体で見つかる。リックが引き揚げた沈没船の品々の中には、かつてヘンリーが乗っていた奴隷船「エンプレス・オブ・アフリカ」の物もあった。
リックがエンプレス号を発見した場所は、ヘンリーが沈没したと記憶していた場所よりも遥かに北の位置だった。ヘンリーは自分が死んだ後、船に何かが起こったのではないかと推測し、事件の捜査に便乗して密かに調べようとする。
リックは死ぬ直前に黄金を発見しており、その黄金はリックに投資していた大富豪モンローの手に渡る。ヘンリーとジョーはモンローに会うため探検家クラブの集会へ。ヘンリーはそこで自分を不老不死に導いた銃を発見する。その場に現れたアダムは、その銃こそ不老不死の謎を解く鍵だと語る。
リックを殺したのは死んだダイバーの妹だった。モンローは奴隷船に乗っていた奴隷の子孫で、船が沈んだ位置を示す地図を受け継いでいた。
200年前、ヘンリーは奴隷船に収容されていた奴隷たちを解放しようとしたがその前に殺されてしまい、300人の奴隷たちを見殺しにしてしまったと罪悪感に苛まれてきたが、死んだヘンリーの手から落ちた鍵を拾った奴隷たちは船を乗っ取り、船が沈没する前に脱出して無事に上陸することができたのだった。
パンクミュージックで有名なクラブで、女性のミイラ化した遺体が発見される。女性は1980年代に殺されたルーシーと思われ、彼女を殺した罪で刑務所に入っているエディはヘンリーとジョーに無実を訴える。
2人はエディのバンド仲間だったリッチに会いに行く。リッチはエディとルーシーが言い争っていたこと、エディが出ていった後部屋に入るとルーシーが殺されており、エディをかばってルーシーの遺体を壁に隠したことを告白する。
ルーシーはエディの子どもを身ごもっていた。ルーシーが産んだジェフリーは、当時クラブの写真を撮っていたカメラマンのカールの養子になっていたことが判明。ルーシーを殺したのはカールだった。エディはカールを銃で撃とうとするが、ジェフリーを見て思いとどまる。
ヘンリーは1980年代に突然失踪した妻アビゲイルのことを思い出す。アビゲイルが姿を消す理由がわからず、警察にも取り合ってもらえず、1人で1年近く捜索を続け、心身共に疲弊するヘンリー。見かねたエイブはヘンリーが集めたアビゲイルに関する情報を全て捨ててしまう。そして200年間溜め込んだ思い出の品を片付けるため、骨董店を開くことを提案する。
だがエイブはヘンリーに内緒で密かにアビゲイルに関する書類を残しており、ジェフリーの出生記録を発行した聖テモテ医療グループのマークと、アビゲイルの葉書に貼られていた切手のマークが同じであることに気づく。
一時代を築いた伝説的バレリーナの引退公演中、次のプリマと期待されたエヴァの切断された片足が見つかる。エヴァは引退を控えたオデッサの差し金で、ストーキングや脅迫を受けていたが、オデッサは殺人を否定する。
彼女の車を調べたヘンリーは、残された血液の少なさから彼女が生きていると確信。意識不明で倒れているエヴァを発見する。彼女の傷口が外科的な焼灼処置を施されていたことを知ったヘンリーは、元軍医だったエヴァの兄ハビエルを疑う。だが警察に追い詰められたハビエルは逃亡中に転落死し、真相は闇の中に。
ヘンリーはエヴァの切断された足を再度調べ、彼女が骨疾患を患っていたことを知る。すべてはエヴァが名を残すために仕組んだ狂言だった。
エイブはルーカスに協力を頼み、聖テモテ医療グループの従業員記録を入手。アビゲイルらしき従業員の記録が見つかる。モンローとのデートを重ねていたジョーは、モンローからパリ旅行に誘われるが、土壇場でキャンセルする。
30年前に失踪したヘンリーの妻アビゲイルは、シルヴィアという偽名で看護師として働いていた。従業員記録から住所を突き止めたヘンリーとエイブは、アビゲイルが当時住んでいたタリータウンのコテージを訪れ、庭に埋められていた女性の遺体を発見する。
遺体はアビゲイルではなく、1985年に失踪した若い女性ベリンダだった。ベリンダは交通事故を起こしてアビゲイルが勤務していた病院に運ばれた後、アビゲイルに保護されてコテージで暮らしていたことが判明。ベリンダを殺して埋めたのは、当時ベリンダの恋人だった保安官ヴァンスだった。
ヴァンスはベリンダ殺害を認め、犯行の直前にアビゲイルが“黒髪の男”と家を出て行くところを見たと証言する。コテージの近くの森で壊れた車の残骸が見つかり、その近くでアビゲイルの遺体が発見される。
ルーカスの検死により、アビゲイルは事故のあと自らナイフで首を切って自殺を図ったことがわかる。同乗していたと思われる“黒髪の男”からアダムを連想したヘンリーは、アダムに電話をして真相を聞き出す。
アダムはベリンダが起こした交通事故で致命傷を負い、病院に運ばれていた。そこでアビゲイルと出会い、アビゲイルが自分以外の不老不死の男を知っていると気づき、その人物の名前を聞き出そうとして家に押しかけ脅していたのだった。
アビゲイルはアダムからヘンリーを守るため、アダムを車に乗せて自ら事故を起こし、自殺を図ったのだった。
博物館のスタッフだったブレアは“プギオ”と呼ばれる古代ローマの短剣を無断で持ち出し、その後何者かに殺害される。その短剣はアダムを不老不死に導いた短剣であり、アダムの命を奪えるものかもしれなかった。
やがてアダムもまた短剣を手に入れようとしていることが判明。ヘンリーは捜査に協力するふりをしてアダムよりも先に短剣を見つけ出し、手に入れようとするが、ジョーに行動を怪しまれる。
博物館の警備員にブレアを殺させて短剣を奪ったのは、ブレアと親しかった専門家のグリフィンだった。グリフィンはナチスが行ったアダムの人体実験の記録を見て不老不死の人間がいることを知り、短剣を使えば不老不死になれると思い込んでいた。
短剣はジョーによって没収され警察に保管されるが、ルーカスの協力で持ち出すことに成功。ヘンリーはアダムを呼び出し、アダムに短剣を渡してゲームを終わらせようとする。アダムはかつてヘンリーを不老不死に導いた銃を持ち出し、ヘンリーを撃つ。ジョーがその場にやってくるが、ヘンリーの姿は消えていた。
ヘンリーはエイブが待つ川に現れ、復活を遂げる。アダムはヘンリーが死の間際に打った注射によって“閉じ込め症候群”となり、病院で寝たきりの状態となる。
ジョーは現場に落ちていた懐中時計と、ヘンリーとアビゲイル、幼いアダムが一緒に映った古いモノクロ写真を持って骨董店に現れる。説明を求めるジョーに、エイブは話すよう促す。ヘンリーは長い話になることをジョーに伝える。
感想(ネタバレ有)
現実の物語に、ひと握りだけファンタジー要素が入っているという点がわたし好みで、面白かったです。
主人公ヘンリーのキャラクター造形が最高でした。イギリス人で、クラシック趣味で、あらゆる知識に精通していて、200年間生き続けている不老不死の医者。
彼の家族は30年前に失踪した妻のアビゲイルと、第二次世界大戦で孤児となり、2人の養子になったユダヤ人の息子エイブラハム。ヘンリーの見た目は変わらないので、今やエイブのほうが年老いた父親のように見えます。
見た目は「息子と父」なのに、実際は「父と息子」で、周囲には「友人」で通しているという、ちょっとややこしいヘンリーとエイブの関係がめちゃくちゃいいです。この2人のシーンは毎回癒やしでした。
ヘンリーの秘密を知っているのは、アビゲイルとエイブだけ。ところがそこにヘンリーと同じ不死身の体を持つ謎の男アダムが加わり、ヘンリーの命を狙います。
ひたすら不気味なアダムですが、2000年も生きている(ヘンリーの10倍!)彼の苦悩は想像を絶します。特に第14話でアダムが語った過去には、同情せずにはいられませんでした。
毎回挿入されるヘンリーの過去(回想シーン)も大好きで、楽しみでした。特に好きだったのが第18話の奴隷船のエピソード。まさか200年前の出来事と現代が繋がるとは…感動的でした。
刑事のジョーにはもっと早い段階で秘密を打ち明けて欲しかったなぁ…と、続編がないことを思うと残念でなりません。
最終回はヘンリーがジョーに秘密を打ち明けることを匂わせる場面で終わりましたが、その後の展開が気になってしかたないです。
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