どうも、夏蜜柑です。
アガサ・クリスティ二夜連続ドラマスペシャルの第一夜、「パディントン発4時50分~寝台特急殺人事件~」。
こういう古典的名作のドラマ化は、難しいですね。全体の雰囲気は悪くなかったのだけど、主人公の設定に魅力が感じられなかったことと、最後の見せ場である謎解きがあっさりしすぎて物足りなかったです。
以下、ネタバレを含みますのでご注意ください。
Contents
番組情報
- 放送局:テレビ朝日系
- 放送時間:2018年3月24日(土)夜9:00~
- 原作:アガサ・クリスティ『パディントン発4時50分』
- 脚本:竹山洋(大河ドラマ「秀吉」「利家とまつ~加賀百万石物語~」)
- 監督:和泉聖治(「相棒」「そして誰もいなくなった」)
- 音楽:吉川清之(「臨場」「刑事7人」「警視庁捜査一課9係」)
あらすじ
- 元敏腕刑事の天乃瞳子(天海祐希)は、義母の天乃雀(草笛光子)から殺人現場を目撃したと聞いて調査に乗り出す。“特急オリオン”に乗っていた雀は、並走していた“寝台特急朝霧”内で男が女性の首を絞めているのを見たと言うが、死体は見つからなかった。
- 瞳子は、犯人が列車内で絞殺した女性の死体を窓から投げ落としたと考え、線路に隣接して広がるトミー製菓会長・富沢信介(西田敏行)邸の敷地がその場所だと推理。知人の家政婦・中村彩(前田敦子)を富沢邸に潜入させる。
- 富沢邸に雇われた彩は、まもなく敷地内の納屋から女性の死体を発見する。遺体の身元確認は難航を極めるが、長女・恵子(原沙知絵)が手紙を受け取っていたことから、富沢家の長男が中国で知り合った中国人女性・張美麗の名が浮上する。
- その後、四男と三男も続けざまに毒殺され、富沢家は不穏な空気に。さらに張美麗を名乗る女性(黒谷友香)が現れ、死体は別人であることがわかる。
- ホテルのバーテンから中国人女性が会っていた男性の仕草を聞き、犯人は信介の主治医・佐伯(石黒賢)だと推測した瞳子は、雀に事件当時と同じ佐伯の後ろ姿を見せて犯人と断言させる。佐伯は別れてくれない妻を殺害し、恵子と結婚して富沢家の遺産を相続しようと企んでいたのだった。
登場人物(キャスト)
- 天乃瞳子……天海祐希
- 天乃雀……草笛光子
- 中村彩……前田敦子
- 佐伯慶一……石黒賢
- 唐木警部……勝村政信
- 富沢恵子……原沙知絵
- 富沢哲次……鈴木浩介
- 鈴木刑事……桐山漣
- 木村麗子……黒谷友香
- 山口参事官……橋爪功
- 富沢信介……西田敏行
感想
原作はアガサ・クリスティの推理小説で、マープルシリーズの長編第7作目「パディントン発4時50分」です。
なんで原作のタイトルそのままにしたんでしょうねー。
パディントン駅なんて出てこないのに。「寝台特急殺人事件」じゃダメだったのかしら。
わたしは原作未読なので違いを語ることはできないのですが、それでも違和感はかなりありました。この手の作品は最後の謎解きでスカッとするのがお決まりなのに、モヤモヤ&肩透かし感がハンパなかったです。
よく、主人公が推理を披露する場面で、回想シーンが挟まれたりするじゃないですか?
「ああ、犯人はあの時こんなことしてたのか!」ってわかるやつ。
わたし、あれが好きなんですよねー。なんで一個もなかったんだろう?
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いや、想像はできるんですよ。
古典的名作を現代でドラマ化することの難しさは。
特に推理小説だと、犯行に使われる小物やトリックはその時代ならではの物が多いと思うし、犯罪が生まれる背景にしても登場人物の設定にしても、時代と切り離せない部分は多いと思う。
それに加えて、長年積み重ねられてきたイメージ&リスペクト。
壊すのも壊さないのも、それなりに大変だと思います。
でもさ、1年前に同局で放送されたアガサ・クリスティ原作のドラマ「そして誰もいなくなった」は、とてもよくできていましたよね(渡瀬恒彦さんの渾身の演技が記憶に焼きついて離れません)。
だから、今回もとても期待してたのですが……。
あんまり面白くなくて残念。
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このドラマで天海祐希さんが演じた主人公・天乃瞳子は、原作では言わずと知れたミス・マープル。推理が大好きな田舎の老婦人です。
おばあちゃんだから、事件現場に優秀な家政婦を潜り込ませて自分の代わりに調査してもらう……という手法を取っているらしい。そんなの、原作の設定を知らなかったら「なんで天海さんが行かないの?」って思いますよね。
瞳子は元敏腕刑事で、危機管理のプロとしてバリバリやってる設定。なのに、家政婦に指示を出すだけで自分は何もしないって、無理があると思うんですよね。見ているほうだって、フラストレーション溜まりまくりです。
どっちかというと前田敦子さんより天海祐希さんのほうが動き回るイメージがあるし、SNSでもさんざん言われてたけど、草笛光子さんが主人公で、天海祐希さんが家政婦役のほうが断然しっくりきます。
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富沢家の男たちも、黒谷友香さん演じる張美麗も、何をしているのかよくわからなかった。出演者は豪華だったのに、みんな影が薄くて記憶に残らなかったのがもったいない。
警察側の人たちも、たくさん出てきた割にはあまり印象に残らず。ミラージュ(桐山漣)にはもっと活躍してほしかったわ。
西田敏行さん演じる信介だけは強烈なキャラだったけど、あんなに頑なに「誰にも遺産は渡さん!」って言い張ってたのに、ラストで急に「俺が悪かった」って泣き出したのも、「えっなんで?」って思ったし。
スマホを使っているのにSLが現役で走ってたり、富沢家の電話がびっくりするほどアンティークだったりするのは、ご愛敬ですかね。架空の世界設定にするのは、わたしはアリかなと思いました。
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明日の第二夜は、「そして誰もいなくなった」と同じ方が脚本を担当されているようなので、期待したいと思います。
アガサ・クリスティ。一冊も読んだことないんですよね、わたし。
映画やドラマはよく見てるし、面白いのはわかってるんだけど。
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