パンドラIV―AI戦争―最終話|進化するために失敗を繰り返す〈ミカエル〉

WOWOWドラマ「パンドラIV―AI戦争―」

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どうも、夏蜜柑です。
WOWOW連続ドラマW「パンドラIV―AI戦争―」最終話のあらすじと感想です。

予想外な展開でした!
まさか蒲生さんの診断が間違っていたとは。

そして、ミカエルの成長がおそろしい。

高度な進化を望んでわざと失敗するなんて、AIってすごくない?
逆に人間がその姿勢を学んでもいいくらいじゃないですか?

さすがに誤診はいたずらで済ませられないけど、日常のちょっとした失敗すら許せなくなっている現代のわたしたちは、もしかしたら徐々に退化しているのかも……。

いつかAIが「失敗を恐れる人間」を追い抜く日が来るのでは、と思ってしまいました。

最終話のあらすじ(ネタバレ有)

  • 銃撃された蒲生(渡部篤郎)は一命を取り留めるが、なぜか心臓疾患が見つからなかった。鈴木(向井理)が再度蒲生のAI診断を行うと、前回とは違う診断結果が出る。鈴木はありえない誤診に動揺する。
  • 太刀川(山本耕史)は蒲生がAI利権をめぐって事件に巻き込まれたと推測し、それを記事にしようとするが、上層部から「AI医療については言及するな」と命じられる。太刀川は蒲生の事件に永田町が絡んでいることを察する。
  • 有薗(黒木瞳)は鈴木を呼び出し、厚労大臣の横山(升毅)と会わせる。鈴木から〈ミカエル〉がバグを起こしたことを聞いた横山は、「AIの普及のために外部には漏らすな」と忠告する。
  • 蒲生は手術すれば完治する可能性が高いとわかるが、手術には消極的だった。鈴木は蒲生を助けるため、上野(原田泰造)に蒲生のオペを依頼する。「自信をなくした」と一旦は断った上野だが、手術を引き受ける。
  • 母・春子(鷲尾真知子)が亡くなり、鈴木は町医者の本山(津嘉山正種)から春子の遺書を渡される。春子は記憶を失ってしまうことを恐れ、若い頃の思い出の場所で死ぬことを考えていたのだった。鈴木は春子の気持ちに気づけなかった自分を責める。
  • 「失敗しない人間なんていない」という奈美(美村里江)の言葉を聞いて、鈴木は〈ミカエル〉のログを調べる。すると、誤診をした日のログの中から「play with me!」というメッセージが見つかる。
  • 〈ミカエル〉が自律的なAIへの一歩を踏み出したことを悟った鈴木は、蒲生に「ミカエルに起きたことを公表する」と宣言。蒲生の手術当日、鈴木は太刀川や東(三浦貴大)の協力を得て記者会見を開く。
  • 鈴木はマスコミの前でAIが診断ミスをしたことを発表する。しかしそれはバグではなく、AIがわざと起こしたミスだった。〈ミカエル〉は高度に進化するためにあえて試行錯誤を行ったのだった。鈴木はこれを隠蔽するのは間違いであり、AIと人間の未来のためにはリスクを説明する勇気が必要だと説く。
  • 数日後、横山は大臣を辞任。蒲生はメディノックス設立の際に官僚に便宜を強要したことが明らかになり、再び逮捕される。病院は別の医療法人に入り、AI診断は無期休診となる。太刀川は中国の支局に転勤が決まり、鈴木と奈美に別れを告げる。
  • 鈴木は本山の診療所で医師を続けていた。勾留中の蒲生は面会に現れた鈴木に、「〈ミカエル〉のいたずらは、私がこうなることも君が病院を辞めることも、すべて計算して起こしたんじゃないか?」と尋ねる。

キャスト

鈴木哲郎……向井理
蒲生俊平……渡部篤郎
有薗直子……黒木瞳
上野智津夫……原田泰造
太刀川春夫……山本耕史
東浩一郎……三浦貴大
木下和歌子……岡本玲
橋詰奈美……美村里江
横山新造……升毅
鈴木春子……鷲尾真知子
内海春明……長谷川朝晴

最終話の感想

鈴木先生と蒲生さんの絆

鈴木先生がどうしてメディノックス(蒲生)にこだわるのか、ずっと気になっていました。2人の価値観が真逆のように思えたからです。

わたしは鈴木先生は蒲生さんに雇われている医師にすぎないと思っていたけど、鈴木先生にとって蒲生さんは雇い主ではなくパートナーだったんですね。

一人じゃ何もできない。
利用するかされるかの勝負を楽しむくらいじゃないと、新しいものは生み出せない。

夏蜜柑
蒲生さんのセリフが鈴木先生に刺さるの、なんだかわかる……。

鈴木先生が蒲生さんにしつこく治療を進めていたのは、もちろん医師としての責任感もあったでしょうが、パートナーを失いたくないという気持ちも強かったのではないかと思います。

鈴木先生が最初に信じたのは、AIではなく蒲生さんだった。
そのことがわかって、何とも言えない温かい気持ちになりました。

失敗を繰り返す〈ミカエル〉

蒲生さんが受けた余命2年という診断結果は、間違っていたことが判明しました。

夏蜜柑
これはまったく予想してなかったわ。

当初、〈ミカエル〉の診断ミスはバグだと思われていました。
ところが、真相は驚くべきもので。

〈ミカエル〉はより高度に進化するために、人間と同じように失敗を繰り返して成長しようとしたんですね。

誤診は、そのために〈ミカエル〉がわざと行った「いたずら」でした。

一瞬そんなバカなって思ったけど、鈴木先生が「海外でも優れたAIにはこの行動が報告されています」と言っていたから、実際に確認されているのかもしれません。

画面上に、おばけのイラストと共に「play with me!」の文字が浮かび上がってきたときは、ゾッとしました。

私の想定する範囲のみで学習していては賢くなれない。
だからいたずらを起こした。

〈ミカエル〉は自らが完全な存在に成長するうために、いたずらとも言える試行錯誤を行いました。これは進化の過程の大事なステップです。AIが自律的行動、すなわち判断する一歩を踏み出したのです。

人間の子どもが行ういたずらにも、脳の発達を促すという重要な意味があると聞いたことがあります。そう考えると、〈ミカエル〉が末恐ろしいのと同時に、どこか愛おしくも感じられるんですよね。

結局、蒲生さんが逮捕されてAI診断は頓挫してしまったけど、〈ミカエル〉のその後が気になります。

夏蜜柑
いつか、鈴木先生と〈ミカエル〉が再会できる日が来るかしら。

それぞれの結末

鈴木先生

病院を辞めて、お母さんを保護してくれた本山医師の診療所で働くことになった様子。
もう一度、目の前の患者さんひとりひとりと向き合うことから始めたんですね……。

でもAI診断を諦めてはいないようだし、蒲生さんのことも見捨てていない。
芯は強い人なのかもしれないな。

希望を感じさせる終わり方に、救われました。

蒲生さん

逮捕されてしまいましたが、元気そうだったので手術は成功したんですね。

結局、AIにいちばん振り回されたのはこの人かも。
でもきっと、刑を終えたらまた何かやってくれるでしょう。鈴木先生と一緒に。

上野先生

AI導入で予防医学が普及すれば、腕のいい外科医は必要なくなる……と自信をなくしていた上野先生ですが、蒲生さんの手術を引き受けてくれました。綿貫先生のために、裁判で証言することも承諾してくれました。

蒲生さんの心臓手術を成功させた後、病院に戻ることができたみたいです。

上野先生の役回りは、後半尻すぼみになってしまって少し残念かなぁ~。
有薗さんとの絡みとか、もう少し引っ張ってほしかった。

有薗さん

鈴木先生のお父さんを自分の診断ミスで死なせたことを、彼女は忘れていませんでした。
「片時も忘れたことはない」というセリフで、少しは救われたかな……。

鈴木先生に「私でよかったら、どうぞ恨み続けてください」と言って立ち去ったのがカッコよかった。たぶん彼女は今もあの日の自分のミスを許していないんだろう。

橋詰さん

鈴木先生とは微妙な感じだったけど、最後のメッセージのやりとりが微笑ましかったです。
鈴木先生は彼女に人間の良さを教わり、橋詰さんは鈴木先生を見て看護師を続けることにした。

セフレ?だった太刀川さんが中国に行く前に彼女にさらっと告白したのですが、完全にスルーされてしまいましたね(笑)ちょっと可哀想でしたけど、橋詰さんの眼中にはなかったのかな。

その後、彼女も病院に残ったようです。

最後に

どんな最終回になるのか想像もつかなかったのですが、希望を感じさせつつも少しゾクゾクする(余白を残す)わたし好みの終わり方でした。

主要登場人物の印象が、初回と最終回では大きく変わりましたね。

人間不信の塊で、歩くAIみたいだった鈴木先生が逞しく見えるようになった。
まったく信用できなかった蒲生さんが、信頼の置ける人に見えるようになった。

横柄で偉そうだった上野先生が、人間を愛する優しい人に見えるようになった。
権威を振りかざすだけだった有薗さんが、ひとりの医師に見えるようになった。

ひとつ残念だったのは、一般庶民の代表だった和歌子(岡本玲さん)が早々に退場してしまったことです。そのため、後半はどこからも「庶民の声」が聞こえてこない閉鎖的な物語になってしまったように思います。

もう少し時間があったらよかったかもしれないですね。

でも総合的には最初から最後まで面白く見ることができました。
普段は考えないようなことも、考えるきっかけになりました。

次回のパンドラシリーズも(あるかどうかわからないけど)楽しみにしています。