Netflix「クイーンズ・ギャンビット」感想|神秘的な瞳とチェス盤、エキサイティングなストーリー

海外ドラマ「クイーンズ・ギャンビット」あらすじキャスト感想

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Netflixの海外ドラマ「クイーンズ・ギャンビット」(全7話)の感想です。

冷戦時代の1950年~1960年代を舞台に、孤児でチェスの天才ベス・ハーモンの8歳から22歳までを描いた物語。Netflixにて2020年10月23日から配信されています。

アニャ・テイラー=ジョイの神秘的な瞳にくぎづけになり、天井に現れるチェス盤にワクワクさせられ、最終話で涙。

面白かったです。

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アニャ・テイラー=ジョイの神秘的な瞳

主人公ベスを演じるのは、映画「マローボーン家の掟」「スプリット」のアニャ・テイラー=ジョイ。ドラマ「刑事モース」Case7にも女学校の生徒役でちょこっと出ています。

一度見たら忘れられないような、神秘的で大きな目。ほとんど目で表現していると言っても過言じゃないほど。ドラマでは“並外れたチェスの天才”を演じましたが、彼女の目ありきとさえ思えます。

序盤は野暮ったい服を着て、田舎の冴えない少女として登場するのですが、瞳だけは一級品の宝石のようで、彼女が特別な存在であることを予感させます。

チェスの対局中、テーブルに肘をつき、両手の指を組み合わせてあごを乗せ、その大きな瞳で見つめるときの最強感! 女性的かつ威圧的なこのポーズだけで、対局相手は得体の知れない恐怖を感じ取ったかもしれない。

少し残念だったのは、男性優位のチェス界を舞台にしている割には、ベスが女性差別を受けるシーンがほとんど見られなかったことですね。シーズン2があればそのあたりを期待したい。

彼女がつぎつぎと強敵を倒して優勝賞金を稼ぎ、チェス界で上りつめていくのと同時に、どんどんファッショナブルになって大人の女性へと変貌していく過程を見るのも楽しかったです。

60年代のファッションがよく似合ってますね~。ちなみに60年代は、ミニスカート、Aラインワンピース、パンタロン、モッズ、ヒッピー、花柄、オプティカル柄などが流行しました。今見るとすっごいオシャレ。家の内装も素敵でした。

天井に現れるチェス盤

もうひとつ、ベスの超人的なキャラクターを演出する手法として上げられるのが、彼女が夜寝るときに見る天井のチェス盤や波打つ駒の影。

このファンタジックで独創的な演出は、チェス(知らない人には退屈極まりない)を刺激的に見せる効果もあって、個人的にはかなりワクワクさせられました。最終話に繋がる重要な伏線としても、絶妙なアイデアだったと思います。

もともとは、子供のときに養護施設で与えられた精神安定剤がきっかけで見えるようになり、それ以来ベスは(視聴者も)「薬を飲めばチェス盤が見える」と思い込み、チェスと薬は切り離せないものになっています。

9歳のベスにチェスを教えたのは、用務員のシャイベル。ビル・キャンプの存在感は最後まで期待を裏切りません。

大人になったベスはアルコールにも依存するようになり、家族に見捨てられたというトラウマと、普通の人生を送ることができない不満を洗い流す手段となって、ベスを破滅へと導いていきます。

チェスによって生かされるベス

チェス以外に生きる目的を見いだせないベスは、養母から「もっと人生を楽しんで」と言われても、どう楽しめばいいのかわかりません。

この養母も自己愛が強すぎてかなりめちゃくちゃな人なんですけども、彼女とベスの「互いに許し合っている」関係がすごくいいんですよね…。

第3話のこのシーン、めちゃくちゃ好き。BGMの「The End of the World」が最高にグッとくる。

ベスが唯一恐れる相手は、ロシア人の強敵ボルゴフ。実際に世界チェス選手権の歴代チャンピオンを調べてみると、1948年~1972年まで、ソ連の選手が独占しています。

で、そのソ連を破ってアメリカ史上初の世界チャンピオンになったのが、ボビー・フィッシャー。ベスのモデルは彼なのでは? と思ったりもします。

ボビー・フィッシャーの伝記ではないけど、実在の天才少年チェスプレイヤーを主人公にした「ボビー・フィッシャーを探して」という傑作映画があるので、興味がある方はぜひ。

少し歴史的背景にふれると、当時アメリカとソ連は冷戦のまっただ中で、バッチバチの関係でした。ガガーリンの宇宙飛行も、アポロ11号の月面着陸も、両国の熾烈な宇宙開発競争によってもたらされたもの。

そういう世界状況の中、アメリカ人のベスとロシア人のボルゴフが対立するのも自然な流れのように思えますが、ボルゴフはベスについて「彼女も我々と同じで負ける選択肢はない。他に生きるすべがないんだ」と語っていました。

実の母親に人生を否定されたベスには、生きる目的がない。孤独な彼女が生きる目的と帰属意識を感じられるのは、チェスをしているときだけ。そしてそれは、敵であるボルゴフも同じでした。

最終話では、ボルゴフとのモスクワ決戦が最高のシチュエーションで描かれます。ラストシーンは感無量でした。シーズン2は決定していませんが、あるといいなぁ。

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