海外ドラマ「スパニッシュ・プリンセス キャサリン・オブ・アラゴン物語」※シーズン1(全8話)についてまとめました。※NHK放送時のタイトルは「キャサリン スペイン王女の華麗なる野望」
2013年「ホワイト・クイーン 白薔薇の女王」、2017年「ホワイト・プリンセス エリザベス・オブ・ヨーク物語」の続編にあたるフィリッパ・グレゴリー原作の歴史ドラマ。
テューダー王朝の陰謀渦巻く宮廷を舞台に、絶対王政を築いたヘンリー8世の最初の妻キャサリン・オブ・アラゴンの数奇な人生が描かれます。
史実とは異なる部分もありますが、異国の地で逆境に立ち向かう強かでたくましいキャサリンの姿が好ましく、彼女を演じたシャーロット・ホープも適役です。
16世紀のウェストミンスター宮殿を忠実に再現したセットや、美しく華やかな衣装など、すべてが絵画のように美しい。映像美に圧倒されました。
Contents
作品概要
- 放送局:NHK(BS4K)
- 放送時間:2021年1月10日(日)から毎週日曜午後0時~
- 製作国:アメリカ/イギリス(2019年)
- 原題:The Spanish Princess
- 原作:フィリッパ・グレゴリー『The King’s Curse』『The Constant Princess』
あらすじ
政略結婚のためにスペイン・アラゴン王国から海を渡った王女キャサリン。「祖国のために」という強い決意、情熱的な手紙を送り続けてくれたまだ見ぬ婚約者アーサーへのほのかな恋心、異国での新たな生活への不安を胸に、イギリスの地に降り立つ。受け入れる側のイギリスの王ヘンリー7世はキャサリンの美しさに心奪われるが、王の母マーガレット、妻のリジーらはよそよそしい。また、アーサーは、ひ弱で神経質そうな若者だった。
NHK公式サイトより
予告動画
原作について
このドラマの原作は、イギリスの作家フィリッパ・グレゴリーの『The King’s Curse』『The Constant Princess』です。残念ながら、日本語翻訳はまだ出ていないみたいです。
2008年に映画化されたフィリッパ・グレゴリーの小説「ブーリン家の姉妹」では、ヘンリー8世の2番目の妻となるアン・ブーリンと、その妹メアリー・ブーリンの姉妹が描かれています。
時代背景
このドラマの主人公キャサリン・オブ・アラゴンは、チューダー朝第2代のイギリス国王ヘンリー8世の最初の王妃です。
チューダー朝は、薔薇戦争(ランカスター家とヨーク家による権力争い)に勝利したランカスター家系のヘンリー7世(ヘンリー8世の父)が即位して誕生した王朝。
当時のイギリスは弱小国でした。度重なる戦争や伝染病の影響で人口は200万人にまで落ち込み、国内は混乱し、王室の財政は逼迫していました。
国力増強を目指したヘンリー7世は、王権の強化と国内秩序に務め、外交面では政略結婚による融和政策を進めました。
キャサリンの祖国スペインは、神聖ローマ帝国のハプスブルク家とも血縁関係にある新生の大国でした。つまりスペインと同盟関係を結べば、ハプスブルク家に攻めこまれることはない、という政治的思惑があったのです。
年代 | 出来事 |
---|---|
1485年 | 薔薇戦争が終結 ヘンリー7世がイギリス王に即位 キャサリン・オブ・アラゴン誕生 |
1486年 | ヘンリー7世がヨーク家の王女エリザベスと結婚 |
1492年 | スペインがグラナダを制圧し、レコンキスタが終結 コロンブスがアメリカ大陸に到達する |
1494年 | フランスとハプスブルク家の戦争が始まる |
1496年 | キャサリンの姉フアナがブルゴーニュ公フィリップと結婚 |
1501年 | ヘンリー7世の長男アーサー王太子とキャサリンが結婚 |
1502年 | アーサー王太子が病死 |
1503年 | ヘンリ7世の妻エリザベス死去 |
1509年 | ヘンリー8世が即位、キャサリンと結婚 |
1510年 | キャサリンがメアリー(のちのメアリー1世)を出産 |
1517年 | ルターの宗教改革が始まる |
1519年 | 神聖ローマ皇帝カール5世即位 |
1533年 | ヘンリ8世がアン・ブーリンと結婚 |
1534年 | イギリス国教会成立 |
登場人物(キャスト)
スペイン
キャサリン(シャーロット・ホープ)
イサベル女王とフェルナンド王の四女。スペインとイギリスの同盟のため、幼少時にアーサーと婚約した。イギリス王妃になる使命を背負い、母国スペインを離れてイギリスに渡る。
フアナ(アルバ・ガローチャ)
キャサリンの姉。神聖ローマ皇帝マクシミリアン1世の長男フィリップに嫁ぐが、夫の浮気癖に悩まされ精神を病む。信仰心がなく、母から拷問を受けた過去があり、母に愛されたキャサリンを憎悪する。
イサベル(アリシア・ボラチェロ)
キャサリンとフアナの母。カスティーリャ女王。イベリア半島に残存するイスラム教勢力を撃破し、夫フェルナンドとともにスペイン王国を誕生させる。権力維持のためイギリスとの同盟を望んでいる。
リナ(ステファニー・リーバイ・ジョン)
女官。キャサリンと共にイギリスへ渡る。どんなときもキャサリンを思い、忠実に仕える聡明な女性。イギリス貴族との結婚が約束されているが、兵士のオビエドと恋に落ちる。
オビエド(アーロン・コブハム)
ムーア人(イスラム教徒)の兵士。キャサリンの護衛としてイギリスに渡る。リナと恋に落ち、求婚する。
ロサ(ナディア・パークス)
女官。キャサリンと共にイギリスに渡る。貴族との結婚を夢見るも妻子あるスタッフォード公爵に言い寄られ、関係を持ってしまう。
イギリス
ヘンリー7世(エリオット・コーワン)
薔薇戦争を終結させたチューダー朝の初代国王。かつての宿敵ヨーク家から嫁いだ妻リジーとの間に4人の子供を持つ。勢力を増すスペインとの同盟を望み、花嫁キャサリンの到着を待ちわびる。
マーガレット(ハリエット・ウォルター)
ヘンリー7世の母。王宮の実質的支配者。チューダー朝を守るためには違法行為もいとわず、あらゆる手段を使って画策する。横柄で気位が高いキャサリンを嫌悪し、王宮から追い出そうとする。
リジー(アーサー・ベイトマン)
王妃。ヨーク朝の王エドワード4世の王女。夫ヘンリー7世を支え、国の安泰のためにキャサリンを受け入れる。出産で命を落とし、死の間際にチューダー朝の未来を予見する遺言を残す。
アーサー(アンガス・イムリー)
ヘンリー7世と王妃リジーの長男。チューダー朝の王位継承者。不器用で消極的な性格で、キャサリンともうまく打ち解けることができない。結婚してまもなく流行病で亡くなる。
ハリー(ルアイリ・オコナー)
アーサーの弟。甘やかされて育ち、飽きっぽいところがある。対抗意識が強く、アーサーになりすましてキャサリンに詩的な手紙を送っていた。アーサーの死後、キャサリンと恋に落ちる。
メグ(ジョージー・ヘンリー)
アーサーの妹。和平のため、スコットランド国王ジェームズ4世との政略結婚を強いられる。
メアリー(Isla Merrick-Lawless)
アーサーの妹。アーサーの死後、キャサリンの代わりに同盟を成立させるため、スペインのカルロス王太子と婚約する。
マギー・ポール(ローラ・カーマイケル)
王妃リジーの父方のいとこ。宿敵ヨーク家の一族で、王の母マーガレットから謀反を疑われている。アーサーの世話係としてキャサリンを迎える。当初は処刑された実弟を思い冷淡な態度を取っていたが、キャサリンの強さに惹かれるようになる。
リチャード・ポール(アラン・マッケンナ)
マギーの夫。妻マギーがヨーク家の一族であることから、王室の疑心を晴らそうと奔走する。マギーが宮廷を追い出された後、事故で命を落とす。
エドワード・プランタジネット
ウォリック伯爵。マギーの弟。12年もの間ロンドン塔に収監されていたが、キャサリンとアーサーの結婚の条件(ヨーク家の王位継承者の排除)のため処刑された。