The Sinner【シーズン3】登場人物(キャスト)・全話あらすじ・感想

The Sinner【シーズン3】あらすじキャスト感想

「海外ドラマ」記事一覧

海外ドラマ「The Sinner」シーズン3(全8話)についてまとめました。

ビル・プルマン演じる刑事ハリー・アンブローズが不可解な事件に挑むアンソロジースタイルの犯罪サスペンスドラマ第3弾。

シーズン1、シーズン2はWOWOWで視聴しましたが、このたびNetflixでシーズン3の配信が始まったので今回はNetflixで視聴。

前2作同様、一見単純に見える事件の裏に隠された真相と、容疑者に共鳴しすぎる刑事ハリーの心の闇が描かれます。

今回も期待に違わず面白いのですが、ミステリー要素は控えめでした。容疑者ジェイミーを演じたマット・ボマーの存在感がすごい。独壇場でしたね。

作品概要

  • 製作国:アメリカ(2020年)
  • 放送日:2020年2月6日~3月26日
  • 原題:The Sinner
  • 脚本:デレク・シモンズほか
  • 監督:アダム・バーンスタインほか
  • 製作総指揮:ジェシカ・ビール

あらすじ

スピードの出し過ぎによる衝突事故でジェイミー・バーンズは助かるが、彼の旧友は命を落とす。ハリー・アンブローズ刑事が事故現場に向かう。

Netflix公式サイトより

予告動画

登場人物(キャスト)

ハリー・アンブローズ(ビル・プルマン)
ドーチェスター警察の警部補。賃貸住宅で暮らしていたが、ドーチェスターの町外れに建つ築100年の一軒家に引っ越す。上司から引退を勧められるも本人にその気はない。双極性障害を患う母親に育児放棄されていたトラウマを現在も引きずっている。

ジェイミー・バーンズ(マット・ボマー)
ドーチェスターに住む高校教師。18年ぶりに大学時代の友人ニックと再会するが、彼が運転する車に同乗して交通事故に遭う。以来、ニックの幻覚に悩まされるようになる。

ニック・ハース(クリス・メッシーナ)
ジェイミーの大学時代の友人。ある夜、突然ジェイミーの自宅を訪ねてきて強引に夕食を共にし、その後交通事故を起こして死亡する。謎めいた人物。

リーラ・バーンズ(パリサ・フィッツ=ヘンリー)
ジェイミーの妻。ドーチェスターでアロマオイルの店を経営している。妊娠中で、1週間後に出産予定。交通事故以来、精神が不安定な夫を心配する。

ソニヤ・バーゼル(ジェシカ・ヘクト)
森の中に住む画家。ジェイミーとニックが交通事故を起こした土地の所有者。事故を知って以来、ジェイミーを恐れつつ、密かに興味を持つようになる。

ソト(エディ・マルティネス)
ドーチェスター警察の巡査部長。ハリーを尊敬し、捜査に協力する一方で、ジェイミーに深入りしすぎるハリーを心配している。

モリス(アダム・ルフェーヴル)
ドーチェスター警察の警部。ハリーの上司。半年後に退職することが決まっており、ハリーにも引退を勧める。

ジョーンズ(ガミーラ・ライト)
ニューヨーク市警の刑事。ブルックリンで起きた殺人事件の捜査を担当し、ジェイミーを容疑者として疑う。

メラニー(Leslie Fray)
ハリーの娘。シングルマザー。10歳の息子イーライが友達を作らないことに心を痛める。町外れで独り暮らしをするハリーを心配している。

イーライ(ルーク・デイビット・ブルム)
メラニーの息子。10歳。離婚のショックで閉じこもり、本ばかり読んでいる。

エマ(Layla Felder)
ジェイミーが勤務する高校の生徒。ジェイミーに進路相談していたが、ある日突然「自分のやりたいことをやれ」と大学進学に反対されて動揺する。

各話のあらすじ(ネタバレ有)

ドーチェスター警察の警部補ハリーは、退職を決めた上司モリスから引退を勧められる。坐骨神経痛で思うように歩けないハリー。モリスは去年の夏に少年ジュリアンの事件を担当してからストレスが溜まっているのでは、と指摘する。
ハリーは町外れにある築100年の一軒家に住み始め、娘のメラニーと孫のイーライを招待する。離婚のショックで友達を作らず本ばかり読んでいるというイーライを心配するメラニー。ハリーは「時々ここへ連れてくるといい」と助言する。
高校教師ジェイミーは、ドーチェスターの自宅で出産間近の妻リーラと2人暮らし。夕食時、大学時代の友人ニックが突然訪問し、夕食をともにする。ニックは挑発的な言葉を繰り返し、ジェイミーを動揺させる。
ハリーは夜中に交通事故の連絡を受け、現場へ向かう。横転した車にはニックの遺体が残されていたが、同乗していたジェイミーは軽傷で病院へ運ばれたという。ジェイミーに事情聴取したハリーは漠然とした疑いを持つ。
ニックとハリーが車を走らせていたのは、画家ソニヤ・バーゼルの私有地の中だった。ソニヤは2人のことを知らず、彼らがここへ来る理由についてもわからないと言う。
事故車にはジェイミーの供述と矛盾する不審な点があり、ハリーは巡査部長のソトと組んで捜査を始める。やがて現場付近でニックの携帯が発見されるが、携帯の指紋は拭き取られていた。さらに通話記録から、ジェイミーの通報が事故発生時から1時間以上たっていたことがわかる。
ジェイミーは日常生活に戻ろうとするが、ニックの幻覚に悩まされる。事故の夜、車を運転するニックを止めようとしてサイドブレーキを引いたのはジェイミーだった。事故発生直後、ニックは瀕死の状態だったが意識があり、救急車を呼んでくれと携帯を渡したが、ジェイミーは携帯の電源を切ってニックを見殺しにしたのだった。

ニックの掌にはナイフで刺したような傷があり、ハリーは事故より前にニックとジェイミーが接触していたのではないかと疑う。ジェイミーを監視し、苗木を植えるのを手伝うなどして距離を縮めようとするハリー。
ジェイミーは事故の前、18年ぶりにニックと再会した時のことを思い出す。連絡したのはジェイミーのほうだった。ニックと高級レストランへ行き、18年前に突然姿を消したことを謝るジェイミー。ニックは「もう一度やってみよう」とジェイミーを誘い、断るジェイミーの手にナイフを握らせ、自分の手に突き立てて「これが現実だ」と言う。
防犯カメラの映像で、事故の3日前にジェイミーとニックが会っていたことを知るハリーとソト。ジェイミーはニックについて「刺激的だが自分にとって良くない人。離れられてほっとした」とハリーに語る。
ソニヤは森の中で誰かが掘った墓穴を見つける。穴の付近には木材とホース、上着のかかったスコップが突き立てられていた。上着のポケットには、ニックが泊まっていたホテルの部屋にあったのと同じ、数字が書かれた折り紙が入っていた。
ハリーはジェイミーを問い詰めるが、ジェイミーは「墓穴を掘ったのはニックだろう」と言う。夜、自宅を抜け出したジェイミーは病院へ行き、ニックの幻覚に促されて入院中の老人の首を閉めようとするが、抵抗されて逃げ出す。

ジェイミーは子供を誕生させることへの絶望感を口にし、リーラを不安にさせる。学校では生徒のエマに進学を考え直すよう意見し、エマの両親を激怒させてしまう。リーラは無事に男の子を出産するが、その間もずっとニックが墓を掘る様子を思い出しているジェイミー。
ハリーはジェイミーの大学時代のルームメイトに会う。ジェイミーはニックと知り合ってから変貌し、暴力的になったと話す。当時の写真には、ヘッドボードに“ウーバーメンシュ”と刻まれたベッドの前で、ホースを手にして座っているジェイミーが写っていた。
墓穴で採取した毛髪はジェイミーのDNAと一致する。ハリーはジェイミーに自供するよう促すが、ジェイミーは「もう終わったことだ」と片付ける。
ハリーはジェイミーとニックを知る大学教授に会う。ベッドのヘッドボードに刻まれていた“ウーバーメンシュ”は、哲学者ニーチェの言葉で“超人”という意味だった。2人は哲学の授業でニーチェを研究し、普通の人間より高いレベルに生きて真の存在意義を見つける“超人”を求めたのだと言う。
ジェイミーは子供を殺そうとするニックの幻覚に怯え、警察署に駆け込んでハリーに助けを求める。ジェイミーの状態を危ぶんだハリーは彼を精神科へ連れて行くが、ジェイミーは医師の質問を受けているうちに不信感を募らせ、病院から走り去る。

ハリーは令状を取らずにジェイミーの携帯を探知し、彼を追ってニューヨークへ向かう。
ジェイミーはニューヨークの町をさまよいながら、事故の夜のことを思い出す。森で墓穴を掘った後、ニックは「この道の先に住む女をここに入れて殺す」と言い出したのだった。ニックが既に殺人を経験していることに気づき、怖くなったジェイミーはパニックに陥る。
アート展の会場で卒業生のソフィーに偶然再会したジェイミーは、彼女に誘われてパーティーに出席。そこで“声”が聞こえるという男性カイルに出会う。カイルはニックに関する言葉を口にし、ジェイミーはその場から逃げるように出ていく。
ソフィーを乗せて猛スピードで車を走らせるジェイミーだったが、追跡するハリーの車と衝突する寸前に車を止める。
事故の夜、ジェイミーはやはりニックを見殺しにできないと考え直し、救急車を呼ぼうとしたが、ニックに止められていた。「約束してくれ。この道を歩むと」と言い残して息を引き取るニック。
ジェイミーはハリーの車に乗せられて帰宅する。リーラにすべて告白するよう説得し、車で待つハリーだったが、痛み止めの薬を飲んで寝てしまう。
翌朝、車の中で目を覚ましたハリーは、ニューヨーク市警の刑事から今朝早くブルックリンで殺人事件が起きたと知らされる。ハリーが現場へ行くと、パーティー会場でカイルが殺されていた。

カイルを殺したジェイミーは学校で体を洗い、凶器の石をゴミ袋に入れて海に投げ捨てる。帰宅したジェイミーは病院へ行ったとリーラに嘘をつくが、リーラはジェイミーの耳に血がついていることに気付く。
ジェイミーから連絡を受けたハリーは、密かにジェイミーと会い、事情を聞く。「魔が差した」というジェイミー。ハリーは自首を勧めるが、ジェイミーは拒む。
ハリーから殺人事件の話を聞いたソニヤは、リーラの店を訪れてジェイミーが私有地に墓穴を掘ったことや、ブルックリンの殺人事件現場にいたことを話す。リーラは帰宅したジェイミーに「一緒には住めない」と告げ、ジェイミーを追い出す。
ニューヨーク市警のジョーンズ刑事がドーチェスターに現れ、ジェイミーとハリーを事情聴取する。殺人事件のあったパーティー会場に2人がいたことや、ハリーが事件後に何度もジェイミーに電話していることを確認し、2人の関係を疑うジョーンズ。
さらに、ハリーは上司のモリスから令状なしにジェイミーの携帯を探知したことを問い詰められ、職務を制限されてしまう。
孫のイーライがハリーの家にやってくる。夜、ジェイミーがイーライに接触したことを知って激怒したハリーは、イーライが見ている前でジェイミーを殴る。

ハリーがソニヤと付き合っていることを知ったジェイミーは、怒りを募らせる。ジェイミーはソニヤの家に侵入し、彼女が自分を隠し撮りして絵を描いていることを知る。ジェイミーに銃を向けるソニヤだったが、欲求を抑えきれずカメラを構え、彼の写真を撮る。
リーラはジェイミーと会い、彼がブルックリンで人を殺したことを知って動揺する。ハリーはジェイミーの過去を調べるが、犯行のきっかけとなるものは出てこない。ソニヤは「彼は認められたいだけかも」と話す。
ハリーはジェイミーからの連絡を受け、危険を承知で会いに行く。ジェイミーはハリーを森の墓穴に連れて行き、かつてニックと2人でやったことを、今度はハリーと実行したいと言う。互いに墓穴に入り、死を実感するのだ。本当に理解するにはそれしかないというジェイミー。
ハリーはジェイミーによって墓に埋められる。閉ざされた墓の中で、死の恐怖と闘うハリー。

呼吸用のホースが抜かれ、ハリーは苦しみの中で父と母のイメージを見る。やがてソニヤとイーライに代わり、安らぎを覚えるハリー。日が昇る頃、ハリーはジェイミーによって墓穴から掘り出される。
ハリーを信頼したジェイミーは、事故現場でニックを見殺しにしたことを自供する。だがハリーはその声を録音しており、ソトに逮捕してほしいと頼む。ジェイミーは学校へ行き辞職を申し出る。そこへ警察が現れ、ジェイミーは逮捕される。
拘置所に入れられたジェイミーのもとに、リーラが弁護士を連れて面会にくる。弁護士からハリーが自供を録音していたと聞かされ、打ちのめされるジェイミー。ハリーは騙したことを謝罪するが、ジェイミーは無言で唾を吐きかける。
弁護士は裁判でハリーとジェイミーの関係を問題視し、自白させるまで何週間も嫌がらせをしたと指摘する。ジェイミーは証拠不十分で釈放されるが、リーラはハリーの助言でジェイミーに接近禁止命令を出していた。
ホテルで髪を短く切ったジェイミーは、生徒のエマに会いに行く。「流されず、真の自分を見つめろ」とエマを励ますが、エマは両親の理解を得て1年休んでから大学へ行くことにしたと落ち着いた様子で語る。
リーラは殺人事件の夜にジェイミーの耳についていた血を警察に提出し、夫が殺人を自供したことを告白する。ジェイミーはゴルフ場へ行き、ハリーの上司モリスを襲う。

モリスの遺体を確認するハリー。ジェイミーがモリスを狙ったのは、ハリーの身近な人間を殺して復讐するためだった。モリスの上着には「モリス」「ソニヤ」「メラニー」「イーライ」と書かれた折り紙が入っていた。
ハリーはソニヤとメラニーに警告するが、イーライは既にジェイミーに連れ去られた後だった。ソニヤは家に現れたジェイミーを説得しようとするが失敗し、警察に助けられる。逃亡中のジェイミーから「ひとりで来い」と連絡を受け、自宅へ向かうハリー。イーライを囮にしてハリーに襲いかかったジェイミーは銃を奪い、ハリーにゲームを挑む。ゲームを拒んだハリーはジェイミーに飛びかかってイーライを逃がし、ジェイミーに撃たれる。
金庫の中の銃でジェイミーに立ち向かうハリー。ジェイミーは銃を置くが、ハリーはジェイミーの腹を撃って致命傷を与える。救急車を呼ぶも間に合わず、死に怯えながら、ハリーの目の前で息を引き取るジェイミー。
お手柄だというソトに、ハリーはミスを犯したことを明かす。翌日の夜、ソニヤの家でくつろくハリーに、ジェイミーの最期を教えてほしいというソニヤ。ハリーは「怯えていた」と話し始めるが、それ以上言葉が続かず、嗚咽を漏らす。

感想と解説(ネタバレ有)

過去2作とは大きく異なるストーリー

S1では平凡な主婦コーラが赤の他人と思われる男性を突然刺殺した事件を、S2では13歳の少年ジュリアンがモーテルで両親を毒殺する事件が描かれた「The Sinner」の最新作。

過去2作で捜査にあたったドーチェスター警察のベテラン刑事ハリー・アンブローズが、今回も一見単純に見える交通事故の真相を探ります。

S1、S2ではいずれも犯行の「動機」がわからず、ハリーの執念深い捜査によって事件の裏に隠された驚愕の真実(過去のトラウマ)がしだいに明らかになっていくという、とても緻密に計算されたミステリアスなストーリーでした。

なので今回も、ハリーが犯人の過去を掘り起こしていく展開になるのだろうと予想していたら、みごとに裏切られましたね。犯行に至る経緯も動機も、序盤の早い段階で明らかになってしまい、あれっ?と肩すかし状態に。

が、本作の見せ場はこの先にありました。過去ではなく、現在進行形の犯罪だったのです。

犯人が逮捕された後に捜査する(動機を探る)過去2作とは違い、今回の犯人(ジェイミー)は野放しで、いつ犯行に及ぶかわからない危険な状態。

そしてこれまで同様、自身も深い心の闇を抱えるがゆえに、犯人に共鳴してしまうハリー。ジェイミーの心理を読み解いて捜査を進める一方で、彼自身も崖っぷちを歩く危うい状況に陥ります。

ジェイミーが生み出した亡霊の正体

結論から言うと、面白かったです。前2作に比べてミステリー要素が控えめなので“謎解き”の楽しさはないけど、ジェイミーが非常に興味深いキャラクターになっていたので十分楽しめました。

終始グラグラ状態で(それはハリーもだけど)、何をしでかすかわからない怖さ。犯行を未然に防ごうとするハリーとの攻防も、多少まどろっこしさを感じる部分はあったものの、ハラハラさせられました。

わたしはS2(ジュリアン編)のように複数の人間の闇が暴かれるよりも、1人の人間に焦点をあてて深く掘り下げる内容のほうが好みなのかもしれない。

ジェイミーは交通事故を起こした直後、救急車を呼ばず大学時代の友人ニックを見殺しにしました。ただ、このときのジェイミーを突き動かしていたのは“恐怖”であって、ニックを憎んでいたわけではない(その証拠に、冷静になると救急車を呼ぼうしていた)。

ニックの死後、亡霊(幻覚)に脅かされるようになるジェイミー。ニックを殺した罪悪感かと思ったのですが、第4話でニックが自ら死を選んだこと、ジェイミーに「この道を進め」という遺言を残していたことが明かされます。

ジェイミーが見ていた亡霊は、ニックを失った世界で生きていかねばならない不安と戸惑い、“この道”を進むことへの恐怖が作り上げたものだったのでしょう。

ニーチェの「超人」を目指して

18年前、ジェイミーは暴走するニックの過激さについていけず、彼から逃げ出しました。教師になり、結婚し、家を持ち、子供を迎え、平凡な、けれど穏やかな人生を送っていたジェイミー。

端から見れば文句のつけようがない幸せな暮らし。けれどもその生活に“何も”感じられず、ジェイミーは18年ぶりにニックに連絡を取ってしまう。

自分と同じ感覚を持ち、常に自分の先にいて、刺激的な新しい世界へと導いてくれる親友。わたし自身はそんな親友を持ったことがないのでわからないけど、ジェイミーにとっては“分身”のような存在だったのかもしれない。

ニーチェは絶対的な価値観や道徳観念が失われた(神が死んだ)世界で生きていけるのは、強くなりたいという意志を持ち、自分自身で生きるべき価値を作りだして生きていく「超人」たちだけだと主張しました。

2人はヒトラー同様にその「超人」を曲解したのですね。少なくともニックが殺人を強要するロジックは、ヘリクツとしか思えませんでした。

そもそも占いの結果に身を任せている時点で意志などないわけで、結局のところ、ただ大好きなジェイミーをいじめて危険な遊びをしたかっただけなのでは?という気がしなくもない。

ちなみに2人が“ゲーム”をする際に使っていた占いの折り紙は、日本では「パクパク」「パックンチョ」などの名前で知られていますが、英語ではPaper fortune teller(紙の占い師)、フランス後ではcocotte(鍋)と呼ばれているそうです。世界共通だったんですね、これ。

墓穴に埋められて覚醒?

必死に助けようとするハリーの腐心もむなしく、ジェイミーは人を殺めてしまい、ニューヨーク市警のジョーンズに追われることに。

ハリーに助けを求めた彼は、自分を理解してもらおうと森の中に掘った墓穴にハリーを埋めてしまう。「恐怖を越えると自由を味わえる」という究極のSMプレイを、彼はニックとやっていたそうで(彼らは大真面目です)。

閉ざされた土の中で、幼い頃に自分を虐げた母親や父親の恐ろしい夢(イメージ)を見るハリー。やがてそれは愛する女性ソニヤと孫イーライの姿に代わり、やすらぎへと導かれます。

夢の中で父親がトイレから出てこないというのが意味深。存在するのに姿が見えない=存在していないのと同じ状態だったのでしょうね。そういえば今回、父親の遺品がたびたび出てきましたが、ハリーには葛藤があるように見えました。

ジェイミーに掘り出され、無事に生還したハリー。すっかりハリーを信用して心を開いたジェイミーは、交通事故の真相を打ち明けます。それを録音し、部下のソトに逮捕させるハリー。ジェイミーの純粋さが辛い。

ジェイミーの孤独

最も心を打たれたのは、ジェイミーがハリーに裏切られたと知った時の顔。そして肩入れしていた生徒のエマを励ました直後に「もう大丈夫、両親とわかり合えたから」と彼女にすがすがしく告げられたときの顔。

なんという顔をするんだ…。こっちまで切なくなるよ。

ジェイミーはニックの代わりを、自分とともに闘ってくれる“孤独な戦士”を探していたのだと思う。彼はこの欺瞞に満ちた場所ではなく、“向こう側”に行く人を探していた。だけどハリーもエマも彼の手を拒み、“こちら側”に残ることを選んだ。

少なくともハリーにはジェイミーの孤独が理解できたはずで、だからこそ彼の手を拒んで“こちら側”のルールに従ったことに後ろめたさを感じたのだろう。でもそんなことは裁判の証言台で言えるはずがないし、言っても誰もわからない。

ジェイミーの死とハリーの罪

最後はハリーに撃たれ、彼に見守られて死んでいったジェイミー。このときのハリーは、かつてのジェイミーと同じです。恐怖に駆られてニックを殺し、後悔に苛まれながら見送ったジェイミーと。

丸腰のジェイミーを撃つ必要はどこにもありませんでした。ハリーは彼が怖くて仕方なかったんだと思う。ジェイミーが撃たれる前に放った言葉は、わたしが聞いても怖い。

「僕たちは同じってことさ。本当だ。逃げられはしない。僕がいなくてもほかの人がまたお前に現れる。その後も、その後も」

もし撃たなければ、ハリーは“向こう側”へ渡ってしまっていただろう。ジェイミーと一緒に。自分から目をそらすためにジェイミーを殺したという事実は、この先もハリーを苦しめることになるかもしれない。

トラウマの否定

S1、S2との大きな違いがもうひとつ。トラウマの否定です。

ハリーはジェイミーが人を殺したきっかけを探そうと、彼の過去を調べますが、これといったトラウマが見つかりません。大学時代の回想シーンでも12歳のときに母親を亡くし、父親ともうまくいっていないことが仄めかされただけでした。

ソニヤは「原因のトラウマはひとつじゃなく、単なる境遇とか小さなことが積み重なった結果かもしれない」と言います。

殺人=トラウマという既成概念をあえて否定したのでしょうね。それによってジェイミーはますます理解しにくい人物になり、同時にハリーの心の闇も単純ではないことが暗示されていました。

ソニヤもまた、ハリーやジェイミーに通じる繊細な神経の持ち主。ハリーはこれから自身の闇と向き合うことになりそうですが、ソニヤの存在が支えになってくれるといいのだけど。

シーズン4の製作が決定しました。次作も楽しみです。

「海外ドラマ」記事一覧

ほかの記事を読む?