WOWOWの連続ドラマ「悪党~加害者追跡調査~」第4話のあらすじと感想です。
今回は、これまでにも増して内容の濃い1時間でした。
加害者の味方だった弁護士の鈴本は、被害者遺族となって初めて被害者側に立たされる。そして自分の弁護が被害者の命を奪っていたことを知らされる…。
両方の立場に立たされた鈴本弁護士と、被害者遺族の佐伯と、犯人を逮捕した刑事の木暮。異なる立場の人々のそれぞれの思いが伝わってきます。
第4話のあらすじ
姉を殺した犯人のひとり寺田(山中崇)が現われ、田所(三浦誠己)を強請り始める。佐伯(東出昌大)は冬美(新川優愛)に頼んで寺田の部屋に盗聴器を仕掛ける。
誕生日の翌日、佐伯は姉ゆかりの墓参りに出かける。そこでゆかりの恋人だった松山(小林且弥)と再会する。松山から来月結婚することを告げられ、複雑な思いに駆られる佐伯。
事務所に弁護士の鈴本(柄本明)が現れ、過去に自分が弁護した加害者・久保田篤史(平埜生成)の追跡調査を依頼する。鈴本はかつてゆかりを殺した榎木和也(波岡一喜)を担当した弁護士でもあった。
寺田と田所の会話を盗聴していた佐伯は、寺田が15年前の犯行の一部始終を撮影したDVDを隠し持っていたことを知る。盗聴を一緒に聞いていた冬美は、2人の男たちと佐伯の関係を知ってショックを受ける。
弁護士という仕事に対し信念を持って臨んできた鈴本だったが、1年前にひとり娘を殺され、立場が変わったと言う。鈴本は犯罪被害者遺族の会で久保田が暴行した被害者の母親に会い、判決の1年後に被害者の女性が自殺したことを知る。
鈴本が久保田の調査を依頼したのは、被害者の母親から彼は何をしているのか、あなたは自分の言葉に責任を持っているのかと問われたからだった。
佐伯の調査の結果、久保田は2週間前に近所の火災で逃げ遅れた男の子を助け、全身に重度の火傷を負って今も危険な状態にあることがわかる。鈴本は久保田の更生を確信するが、木暮(松重豊久)は「そんなことで被害者の無念は晴れない」と糾弾する。木暮は久保田を逮捕し、取り調べをした担当刑事だった。
佐伯はゆかりが殺されたとき、犯人を殺そうと父から贈られたナイフを持って警察に忍び込んだことを思い出す。そのとき佐伯を制止しナイフを取り上げた刑事は木暮だった。木暮は佐伯が警察を辞めたと知って事務所に雇ったが、まだナイフを返すには早いと判断する。
佐伯が冬美のマンションを訪ねると、重傷を負った冬美が救急車で搬送されるところだった。
第4話の感想
ゆかりの墓参りで、15年前と同じようにゆかりに話しかける佐伯が切なくて痛々しかった。
墓参りで出会ったゆかりの恋人・松山は、過去の悲しみに区切りをつけ、新たな人生を踏み出そうとしていました。
ゆかりを忘れていく松山を、自分にはできない〝過去との訣別〟を叶えた彼を、佐伯はどんな思いで見送ったのか。想像するだけで苦しくなります。
原作では、松山はゆかりの死を目の当たりにしたショックで深い傷を負い、大学受験に失敗し、家に引きこもるようになっていました。松山を立ち直らせたのは、実は佐伯だったんですよね。
ドラマでも語っていましたが、佐伯が警察官になってゆかりの供養をすると言ったことが、憎しみに支配されていた松山を立ち直らせるきっかけになったのです。
ひとり取り残された佐伯の孤独が、胸に染みます。
鈴本弁護士は、自分が犯罪被害者遺族となって初めて、これまで自分がしてきたことがどれほど遺族に苦しみを与えていたか、知ることになります。
でも、彼の中にはまだ弁護士としての信念が残っているように見えました。佐伯のようにまっすぐに加害者に怒りをぶつけることができないのは、更生の可能性をわずかでも信じているからなのでしょう。
今回、木暮が隠していた秘密(佐伯との因縁)が明らかになりましたが、実は原作にはもうひとつの〝真実〟が描かれています。
木暮は鈴本弁護士が弁護を担当した久保田の事件の被害者遺族です。久保田に暴行され、判決後に自殺した女性の父親でした。ドラマでは〝事件の担当刑事〟に設定が変えられていましたね。
もしかして、ドラマは原作にはない染谷さんの事情も描こうとしているのかな。染谷さんの表情を見ていると、なんとなくワケアリのような気がします。
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