WOWOWの連続ドラマ「悪党~加害者追跡調査~」第3話のあらすじと感想です。
弥生を演じた篠原ゆき子さんの演技に釘付けになってしまいました。無理やり貼り付けた笑顔や、噴き出す感情を全身で堪えようとする表情が痛々しい。
加害者家族の苦しみを見せられると、「加害者を赦せない」気持ちも仕方ないと思える一方で、坂上が突き付けた「どうすれば赦される?」という問いにも考え込んでしまいます。
第3話のあらすじ
坂上(青柳翔)が佐伯(東出昌大)に向けた銃はオモチャだった。坂上は佐伯が細谷に「赦すな」と言ったことをりさ(蓮佛美沙子)から聞き、「俺たち悪党はどうやったら赦されるんだ?」と問いかける。
事務所に新たな依頼人・弥生(篠原ゆき子)が現れる。弥生の弟・文彦(中島歩)は17歳の時に強盗殺人を犯し、服役した過去を持っていた。弥生は文彦には会いたくないが、末期がんを宣告された母が会いたがっているため、弟を探して連れてきてほしいと言う。
佐伯は文彦を見つけ出すが、文彦は仕事に就かず自堕落な生活を送り、身元引受人になることを拒んだ弥生を今も恨んでいた。母親に会うことも拒み、反省の色を見せない文彦に佐伯は怒りを覚える。
弥生が事務所を再訪し、母親の死を告げる。依頼は取り下げるという弥生に、佐伯は「このままでいいんですか」と食い下がる。これまで苦しんできた家族の思いを文彦に伝えるため、弥生は文彦に会う決意をする。
佐伯は文彦を連れて弥生の家を訪ねる。弥生は母親の形見として果物ナイフを突き付ける。入院していたベッドの枕の下に隠してあったというそのナイフは、母が文彦を殺すために用意していたものだった。
わが子を殺そうとした母親の気持ちがわかるか、と弥生に問われ、泣き崩れる文彦。佐伯は「俺が死ねばいい」と叫ぶ文彦を殴りつけ、弥生が文彦と向き合う覚悟でいることを伝える。
佐伯は姉・ゆかりを殺害した犯人のひとり、田所健二(三浦誠己)を監視する中で、キャバ嬢のはるか(新川優愛)と親しくなり、店の外でも会うようになる。佐伯の職業を知ったはるかは調査を手伝うと言い、田所の情報を伝える。
田所は社長令嬢との結婚が決まっている一方で、はるかに愛人契約を持ちかけていた。さらに、昔の仲間である寺田正志(山中崇)から脅されていた。
第3話の感想
原作を読んだときも衝撃でしたが、弥生の決断には心を揺さぶられました。
原作とドラマでは文彦の罪状が大きく異なっていて、ドラマでは女性のバッグをひったくろうとした末に逃げられそうになって殺害していますが、原作では独り暮らしの女子大生の家に侵入し、暴行した末に殺害して金品を奪っています。
弥生の文彦に対する「おぞましい」は、後者の罪状のほうが腑に落ちます。
「私はお母さんの形見を引き継いでいく。あなたはこれからここで私と一緒に生活をしていく。どんなに辛いことがあっても、逃げ出させない。人を傷つけて、刑務所に入ったほうが楽だなんて考えには絶対にさせない。そんなことしようものなら、私が家族の責任において、たったひとりの家族の責任において……あなたを殺すから」
角川文庫『悪党』より
正直、わたしは原作の文彦を赦すことはできないと思ったし、文彦と暮らす決断をした弥生のことも心から理解することはできませんでした。
そういう意味では、ドラマのほうが受け入れやすかったかもしれません。良いか悪いかは別として。
罪を犯した弟を赦す決断をした弥生を、佐伯はどんな思いで見ていたのでしょう。弥生が恋愛を諦めたように、佐伯も女性と深く関わることを諦めているようでした。冬美の存在が佐伯を変えることになるといいけど…。
次回登場する柄本明さん演じる鈴本弁護士は、かつてゆかりの事件の弁護もしていた人。後半は佐伯自身の問題に深く切り込んでいく展開になりそうです。
関連記事