WOWOWの連続ドラマ「コールドケース3-真実の扉-」第2話“鼓動(後編)”のあらすじと感想(ネタバレ有)です。
いつもの1話分でも内容が濃いのに、2話分だからその倍以上の濃さで、複雑なストーリーでした。
面白かったし、多彩なキャスト陣を眺めるだけでも見応えがありました。
まさか「虹の向こう」の話がこんなふうに繋がるとはなぁ…泣けますね。
▼シーズン2はこちら
ネタバレ有「コールドケース2-真実の扉-」登場人物(キャスト)一覧・全話あらすじ感想第2話「鼓動(後編)」のあらすじ
病院で意識を取り戻した高木(永山絢斗)は、日向秀樹(江口洋介)に殴られたことを明かすが、黒崎の部屋にいたことについては「事件のことで聞きたいことがあった」と嘘をつく。百合(吉田羊)は高木が黒崎に暴力を振るったことに気づく。
大樹(潤浩)に心臓を提供した諸星光(神尾優典)の担当医・幸田健治(池田良)の自殺について調べるうちに、光が自転車で転倒して病院に運ばれた際、幸田が臓器移植のためにあえて光の処置をせず、脳死を促したことが判明する。
光の父・諸星要司(緒形直人)は臓器提供に協力的だったが、「虹の向こうに行こう」という光との約束を守れなかった後悔と罪悪感から、光の心臓を移植した大樹のことを探し当て、日向家の近くに引っ越していた。
高木は義姉から「夫の様子がおかしい」という連絡を受け、再び兄・光太郎(渡辺大)に会いに行く。高木は光太郎がジムを辞めた日に泣いていたことを知りながら、誰にも言わずに助けなかったことを謝る。
諸星要司は聴取を受け、大樹が自転車の練習をするのを見て声をかけたことを明かす。大樹は父親と「自転車に乗れたら虹の向こうに行こう」と約束したと語り、要司は光の心を引き継いだ大樹を殺せるはずがないと殺害を否定する。
秀樹の妻・桜(戸田菜穂)は、百合に夫を信じることができない理由を打ち明ける。事件の数日後に犯行時に撮ったと思われる大樹の写真を見つけ、怖くて誰にも言えなかったという。
写真からは牛久明良(井之脇海)の指紋が検出される。明良は自分がやったと自供するが、高木は明良もまた虐待の被害者だったのではないかと指摘する。明良は父・昌和(横田栄司)から性的虐待を受けてきたこと、事件の隠蔽工作を手伝わされたことを明かす。
明良の母・緑(黒沢あすか)は写真に写っている指を見て夫だと気づく。牛久家を訪ねて緑から真相を聞いた秀樹は、昌和の職場へ乗り込み、昌和を屋上から突き落とそうとする。
秀樹は駆けつけた百合に説得されて昌和を解放するが、警察に連行される昌和を群衆の中から現れた諸星要司が刺す。秀樹はかつて要司と面会し、「あの子はあんただけの子じゃない」と言われたことを思い出す。
警察に高木の兄・光太郎が現れ、捜査に協力する。大樹と光が自転車に乗り、一緒に虹の向こうへいく幻を見る百合。
第2話の登場人物(キャスト)
日向秀樹(江口洋介)
息子の大樹を殺害した罪で服役していたが刑期を終えて出所。無実を訴え、真犯人が捕まるまで小児性犯罪者を殺害すると宣言して犯行を繰り返す。
日向大樹(潤浩)
秀樹と桜の息子。心臓病を患っていたが、心臓移植が成功して回復する。2011年に自転車に乗っていて失踪し、秀樹の車のトランクの中から遺体で発見された。
日向桜(戸田菜穂)
秀樹の元妻。夫が逮捕されてからは一切連絡を取っておらず、服役中に送られてきた手紙も読んでいない。夫を信じられない理由を百合に明かす。
諸星要司(緒形直人)
秀樹の息子・大樹に心臓を臓器提供し、ドナーとなった諸星光の父親。光との約束を守れなかった後悔と罪悪感から、大樹を探し当てて近所で見守っていた。
諸星光(神尾優典)
要司と朱里の息子。ひとりで自転車に乗っていて転倒し、脳死状態に。要司と「虹の向こうへ行こう」と約束していた。
諸星朱里(山本未來)
要司の元妻。離婚後は要司と会っておらず、現在は再婚して子育てに追われている。
牛久明良(南出凌嘉/井之脇海)
動物虐待を繰り返していた青年。事件当時は中学生で、大樹に猫を殺す現場を目撃されている。自宅の庭から大樹の自転車が発見される。
牛久昌和(横田栄司)
明良の父。3年前に家を飛び出した息子に頭を悩ませている。
牛久緑(黒沢あすか)
明良の母。事件当時、息子が庭に自転車を埋めるのを目撃していた。
高木光太郎(渡辺大)
高木の兄。子供の頃に通っていたボクシングジムで性的虐待を受けた可能性がある。高木が捜査協力を依頼するが、何も話そうとしない。
幸田健治(池田良)
大樹に心臓を提供した諸星光の担当医。移植手術の直後に自殺している。
岡本(田村健太郎)
元研修医。幸田とともに光の処置にあたっていた。手術後に病院を辞めている。
▼レギュラーはこちら
ネタバレ有「コールドケース3-真実の扉-」登場人物(キャスト)一覧・全話あらすじ感想第2話で使用された曲
- 「奇跡」くるり
- 「いとしき日々よ」平井堅
第2話の感想
複数のストーリーが重層的に
息子を殺された父親の復讐に、臓器提供した子供の父親の執着、心臓移植をした医師の野心、父親から虐待を受けて育った青年…と、複数のストーリーが絡み合う重層的なストーリーでした。
そこに虐待された兄を過去の呪縛から救おうとする高木の物語も加わり、「初っぱなからこんな飛ばして大丈夫?」と心配になるほど、盛りだくさんで見応えがあり、面白かったです。
余談ですが、WOWOWオンデマンドで毎週放送後に配信されるトーク番組「捜査一課5人の小部屋」が毎回すごく楽しい(みんな見てますよね)。
見ているだけで5人の仲の良さや現場の雰囲気が伝わってきます。コロナ禍の撮影裏話とか、ゲスト俳優さんたちの印象とか、何時間でも聞ける面白さ。もっと長くてもいいのに!
虹の向こうへ行く約束
大樹が言っていた「自転車に乗れたら一緒に行こう」という約束、秀樹が覚えてないのは当然。大樹に心臓を提供した光と要司がしていた約束だったんですね。
「約束してたんだよ、光と。事故の日、虹が出たろ。光が言ったんだ。虹の向こうに行こうって。なのに俺、“今度な”って」
自分が一緒に行ってたら、事故に遭わなかったかもしれない。そんな後悔と罪悪感に押しつぶされそうになる要司。
大樹が心臓とともに光の心を引き継ぎ、自分との“約束”を覚えていたことが、本当に嬉しかったんだろうなぁ。そんなのもう他人とは思えないですよね。
ちなみに「オズの魔法使」は、1939年のミュージカル映画。主人公ドロシー役のジュディ・ガーランドが歌う「虹の彼方に(Over the Rainbow)」がアカデミー歌曲賞を受賞して大ヒットしました。
歌詞には「どこか虹の彼方に、青空が広がり夢がかなう地がある」とあります。
アメリカ版との違い
ここからは、元ネタとなったアメリカ版「コールドケース」シーズン4第19話“Offender”との違いについて説明します。
時代設定は日本版が2011年だったのに対し、アメリカ版では1987年でした。
真犯人は日本版に登場しない人物
原作のアメリカ版には心臓移植のエピソードがないので、諸星家や外科医たちは登場しません。「虹の向こうへ行こう」という約束もありませんでした。
日本版には登場しませんが、殺された子供(クレイ)には、隣に住む仲のいい少年(ジョニー)がいました。最終的には彼の告白によって犯人が父親(クリフ)であることが判明します。
日本版の牛久明良とは違い、ジョニーは父親から虐待を受けていません。クリフはジョニーの寝姿を撮影していただけで、実際には何もできませんでした。
長い間ずっと気持ちを押し殺してきたクリフは、ある日とうとうがまんできなくなって、隣家の息子クレイに手を出したのです。
写真を使ってクレイの父親ミッチに罪をなすりつけたのも、クリフ本人でした。クリフはミッチと仲が良く、クレイが失踪した時も一緒に探していました。
真犯人を教えてしまったスコッティ
ミッチを無罪と信じていたスコッティ(日本版では高木)は、ジョニーの写真を見てミッチが犯人だと思い込み、電話で「おまえもゴミじゃないか」と罵ります。
スコッティから写真の存在を知らされたミッチは、警察よりも早く犯人が隣人のクリフだと気づき、クリフを銃で脅して屋上に連れ出し、一緒に死のうとしました。彼を説得したのはスコッティと妻のタラです。
日本版では最後に諸星要司が犯人を刺すシーンがありましたが、アメリカ版にはありません。
兄弟の再出発
虐待を受けていた高木の兄が過去と向き合う決意をし、証言を引き受けるエピソードは、アメリカ版ではシーズン4第7話“The Key”で決着を迎えます。
ほぼ同じような展開ですが、アメリカ版ではスコッティと会った兄は鬱状態になり、ベッドから起き上がれなくなるほど重症でした。さらに、証言するはずだった幼なじみのジミーが自殺してしまいます。
スコッティは兄を救いたいという強い思いで説得にあたり、子供の頃に兄がコーチから虐待を受けるところを目撃していて、誰にも言えずに黙っていたことを打ち明けます。
ラストは兄弟が小児性犯罪者に立ち向かうことを決意し、法廷へ向かうシーンで締めくくられました。
「コールドケース」記事一覧