ネタバレ有「邪神の天秤 公安分析班」全話あらすじ・感想・登場人物(キャスト)

WOWOW「邪神の天秤 公安分析班」あらすじキャスト

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WOWOWの連続ドラマ「邪神の天秤 公安分析班」(全10話)についてまとめました。

〈殺人分析班〉シリーズで主人公・如月塔子の相棒だった鷹野秀昭を主人公とした新シリーズ。殺人分析班と同じ世界観で描かれる“ユニバース作品”という位置づけです。

蝶の力学」で公安部へ異動した鷹野は、新たな仲間とともに謎めいた猟奇殺人事件に挑むことに。捜査一課では“エース”だった彼も、公安部では“新人”扱い。公安独自のやり方に戸惑いつつ、その手法を学んでいきます。

見ているこちらも鷹野のアウェー感に不安を覚えますが、それがどう変化していくのか楽しみです。

今回の事件は鷹野たち公安部が独自に動く一方で、早瀬係長率いる捜査一課11係も同時に捜査にあたるという設定。塔子は登場しないけど、動いている気配が感じられてちょっと嬉しい。

作品概要

  • 放送局:WOWOWプライム
  • 放送時間:2022年2月13日(日)から毎週日曜22:00~ほか
  • 原作:麻見和史『邪神の天秤 警視庁公安分析班』『偽神の審判 警視庁公安分析班』
  • 脚本:穴吹一朗/小山正太/成瀬活雄
  • 監督:内片輝/山室大輔/山本大輔
  • 音楽:諸橋邦行

あらすじ

日本警察の中でもエリートとされている公安部に異動した鷹野(青木崇高)。そんな中で起きた爆破事件の現場近くで与党大物議員の殺害事件が発生。遺体からは臓器が抜かれ、その付近には心臓と羽根を載せた天秤が残されていた。猟奇事件現場に臨場した鷹野は、古代エジプト神話を模した殺害方法に違和感を持ち、筋読みを始めるも、同僚の氷室(松雪泰子)に公安には公安のやり方があるのだと一蹴される。情報収集活動は警察にとって捜査の基本ともいえるが、公安警察において、その手法はより緻密で複雑なものを要求され、鷹野も公安独自の捜査手法で事件を追っていくのだが……。
秘密主義がはびこる公安で、鷹野は難事件の解決の糸口をつかめるのか――?猟奇殺人事件が、やがて公安と、ある目的を果たすために公安にやって来た鷹野の運命を大きく揺るがしていくことになる!

WOWOW公式サイトより

原作について

このドラマの原作は、麻見和史さんの『邪神の天秤 警視庁公安分析班』『偽神の審判 警視庁公安分析班』です。

警視庁殺人分析班シリーズの鷹野秀昭を主人公とした新たなシリーズ。テレビドラマ化を前提とした作品で、著者がドラマの企画段階から参加してWOWOW制作チームと打ち合わせを行い、それを基に執筆されました。

登場人物(キャスト)

警視庁公安部公安第五課

鷹野秀昭(青木崇高)
ある目的をもって捜査一課から異動してきた警部補。元相棒・相羽隼人を捜査中に殺された過去を持ち、自らの手でその真相を突き止めようとしている。

氷室沙也香(松雪泰子)
佐久間に命じられて鷹野とコンビを組む。鷹野と行動をともにし、公安のやり方を教える。階級は警部補。

能見義則(徳重聡)
捜査能力、取り調べ能力に長けている。捜査一課と距離をおいており、鷹野を快く思わない。階級は警部補。

国枝周造(小市慢太郎)
最も公安のキャリアが長いベテラン。行動確認などで変装を得意とする。階級は巡査部長。かつて自分が捜査していた組織に妻がさらわれ、今も見つかっていない。

溝口晴人(福山翔大)
班の最年少。ITに強く、SNSやWEBなどから事件にかかわる情報を集める。階級は巡査。

佐久間一弘(筒井道隆)
公安五課班長であり警部。頭脳明晰かつ慎重で厳しい性格だが、柔軟性もある司令塔。

捜査第一課

早瀬泰之(渡辺いっけい)
捜査第十一係の係長。鷹野の元上司であり理解者。公安と並行して事件の捜査を担当するが、情報を共有しようとしない公安に不満を抱く。

石倉毅(藤本隆宏)
警部補。熱血漢で情に厚く、カッとなりやすい性格。

尾留川圭介(小柳友)
巡査部長。ムードメーカー的存在。コンピューターなどの機械に強い。

神谷太一(段田安則)
捜査一課の課長。鷹野の元上司。鷹野の捜査手法を理解しつつ、公安部に対して看過できないものを感じている。

被害者

真藤健吾(浅見小四郎)
民政党の幹事長。次期総裁候補。第1の事件「赤坂事件」の被害者。レストラン「蘭園」で食事中に爆発が起き、混乱にまぎれて拉致された。その後、近くの廃ビルで遺体が発見された。カルト宗教団体〈世界新生教〉を壊滅させようとしていた。

笠原繁信(大原康裕)
明慶大学医学部の教授。第2の事件「中野事件」の被害者。大学のサークル〈政治研究会〉が民族共闘戦線と繋がっていることに気づき、予算を削減してサークルを潰そうとしていた。

容疑者

郡司俊郎(松田洋治)
極左グループ〈日本国民解放軍〉の元メンバー。2か月前に出所し、アジトで爆弾を製作していたことが判明する。

森川聡(斉藤祥太)
殺された真藤健吾の私設秘書。事件当日、真藤とともに爆破されたレストランにいた。のちに森川になりすました別人であることが判明。郡司から爆弾を購入した直後、鷹野の目の前で自爆する。

小田桐卓也(金井勇太)
学習塾の講師。森川聡の知り合い。のちに実行犯であることが判明する。

堤輝久(山路和弘)
40年前に結成された〈虎紋会〉のメンバー。今は個人投資家として活動している。

里村悠紀夫
40年前に結成された〈虎紋会〉のメンバー。33年前から行方不明。

協力者

北条毅彦(二ノ宮隆太郎)
氷室の“S”(協力者)。5年前からカルト宗教〈世界新生教〉に潜り込み、現在は中堅どころの階級に位置している。暴力団から命を狙われていたのを氷室が助け、その恩を返すために協力している。彼が公安の協力者であることは、家族も知らない。

赤崎亮治(奥野瑛太)
鷹野が11年前に担当した事件の被害者遺族。公安の監視対象である民族共闘戦線(民共)に所属している。鷹野を信頼し、公安の“S”になることを決める。

宮内仁美(瀧内公美)
赤崎の婚約者。突然連絡が取れなくなった赤崎を心配し、鷹野を問い詰める。

塚本寿志(村井良大)
東祥大学文学部の准教授。古代エジプト文化の研究者。事件現場に残されていたヒエログリフと天秤について、鷹野に詳しく説明する。

相羽町子(菊地凛子)
鷹野の相棒だった相羽隼人の姉。元法医学者。連続殺人犯として服役中。

各話のあらすじ(ネタバレ有)

赤坂のレストラン「蘭園」で爆発が起き、店の客だった国会議員の真藤健吾(浅見小四郎)が混乱に乗じて拉致され、近くの廃ビルで惨殺される。遺体の上には古代エジプトの象形文字が書かれた石板が置かれ、そばには遺体から取り出した心臓と羽根が載った天秤が置かれていた。
招集を受けて現場へ向かった公安五課の鷹野(青木崇高)は、いつものように手持ちのカメラで現場写真を撮り、同じ課の能見(徳重聡)から「写真は鑑識が取ればいい。公安には公安のやり方がある」と注意される。
事件は鷹野ら公安五課が担当すると同時に、刑事部の捜査一課11係も動くという。班長の佐久間(筒井道隆)は11係を利用し、彼らからできるだけ情報を吸い上げると言い放つ。
レストランの爆発に使われた爆弾は、5年前の摘発で壊滅した極左グループ〈日本国民解放軍〉が使っていた物と同じであることが判明。元メンバーの郡司俊郎(松田洋治)が2か月前に出所していることから、爆弾を作ったのは彼とみて行確を開始する。
鷹野は氷室(松雪泰子)と組み、東祥大学で古代エジプト文化を研究している塚本寿志(村井良大)に会いに行く。石板と天秤について話を聞こうとすると、既に11係が話を聞きにきたという。
殺害現場に残されていた天秤は、古代エジプトの葬祭文書「死者の書」を模したものだった。「死者の書」には冥界の神アヌビスが死者の罪を調べる場面があり、天秤の片方に心臓を載せ、もう一方に真実の羽根を載せるのだという。
死者に生前の悪行があれば天秤が傾き、アメミトに心臓を食べられて二度と転生できないが、殺害現場にあった天秤は釣り合っており、生前の罪はないことを示していた。
石板に描かれていた象形文字は「この石板は私の心臓の一部だ。私には悪魔の血が流れている」という意味だが、それが何を意味しているかはわからなかった。
現場にそれらを残した意味がわかれば、何か見えてくるはずだという鷹野に対し、氷室は「関係者に寄り添って信頼関係を積み重ねていくのは捜一のスタイル。公安のやり方を学んだ方がいい」と忠告する。
郡司のアジトを突き止めた鷹野らは、本人の外出中に侵入して監視カメラを設置。郡司が爆弾を製作する様子を監視し、その取引相手を見つけ出そうとする。やがて郡司は完成した爆弾を持ち出し、ある飲み屋で取引をする。
そこに現れたのは、真藤の私設秘書・森川聡(斉藤祥太)だった。森川は郡司に金を払い、爆弾を受け取って店を出る。佐久間の指示を受けて郡司を任意同行させようとする鷹野と氷室だったが、2人の目の前で森川は自爆する。
彼は“森川聡”の戸籍を乗っ取り、本人になりすましていた別人だった。

爆死した男は、1年前から“森川聡”になりすまして真藤議員の秘書をしていたことが判明。佐久間は偽の森川と本物の森川、双方を調べて背後にある組織を突き止めようとする。
鷹野は不可解な殺害現場に注目し、真藤議員殺害の実行犯から組織を割り出すことを提案するが、能見から「公安に求められているのは意見ではなく、上の指示を忠実に遂行する力だ」と批判される。鷹野自身も自分が公安に合っていないことを認めたため、佐久間は明日までに班を抜けるかどうか決めるよう伝える。
事件現場で元上司の早瀬(渡辺いっけい)と会った鷹野は、如月が刑事部に配属されたときも異質な存在だったと聞かされ、公安に残ることを決意。公安部の捜査手法を学びたいと佐久間に告げる。
佐久間から聞き込みを命じられた鷹野と氷室は、森川聡の実家を訪ねる。息子の居場所を尋ねようともしない両親に違和感を覚えた2人は、彼らが外出している間に侵入し、2階の部屋でミイラ化した森川聡の遺体を発見する。
彼らはカルト宗教〈世界新生教〉の信者で、教祖の助言に従い、教えに背くようになった息子を夫婦で絞め殺したと語る。そしてお炊き上げのために、聡の戸籍や身分証を差し出したという。
鷹野は真藤議員が〈世界新生教〉の摘発を狙い、その動きを察知した教団が信者のひとりを“森川聡”になりすませて送り込んだのではないか、と推測する。
郡司の取り調べを続けていた能見たちは、合計3つの爆弾が偽の森川の手に渡り、まだ使われていない残り1個が最も大きな破壊力を持つ爆弾だと知る。
氷室は5年前から〈世界新生教〉に潜り込ませている“S”の北条毅彦(二ノ宮隆太郎)から教団本部の見取り図を受け取り、隠し部屋のジェラルミンケースの中に爆弾があるという情報を得る。
佐久間班は教団本部に踏み込み、隠し部屋のジェラルミンケースを開けて確認するが、爆弾は入っていなかった。

世界新生教への家宅捜索は空振りに終わる。公安の動きを察知した教団側が、爆弾を別の場所へ移動させていたのだ。氷室のS(エス=協力者)として教団に潜り込んでいた北条は、公安のスパイではないかと疑われ、自爆テロの実行役に選ばれてしまう。
教団の監視の目を盗んで北条と接触した氷室は、怯える北条を説得し、このまま教団に残ってテロの場所を突き止めるよう命じる。しかし教団に戻った北条は携帯を奪われ、氷室への連絡手段を断たれてしまう。
教団に動きがあり、ゲートから続々と信者たちが出てくる。佐久間班は北条を探すが見つからない。その頃北条は、抜け道を使って教団本部から連れ出され、体に爆弾を装着されて自爆テロを実行する目的地へと運ばれていた。
妻にメールを送りたいと訴え、氷室に暗号を送る北条。鷹野はその暗号を読み解き、目黒シアター近くの公園に注目する。公園の地図を見た鷹野は、偽の森川の自宅から押収されたFAXの図面が公園を表しており、爆弾の指示書だったことに気付く。
北条は公園の近くにある、真藤議員の有力支持者が所有するビル内で発見される。体に装着されていた爆弾は処理され、無事に救出された北条だったが、氷室から「あなたはテロの実行犯として逮捕される」と告げられ激昂する。
教祖の阿矢地明星は死体遺棄の容疑で逮捕され、教団信者も連行される。佐久間は取り調べで実行犯が割り出されると鷹野に告げるが、その頃、第2の猟奇殺人が発生していた。

第2の猟奇殺人が発生。鷹野と佐久間は現場へ赴くが、捜査一課の早瀬に閉め出されてしまう。被害者の笠原繁信は明慶大学医学部教授で、家族ともに〈世界新生教〉や1人目の被害者である真藤議員との接点は見つからない。
鷹野は服役中の連続殺人犯・相羽町子(菊地凛子)と面会し、今回の事件について意見を求める。遺体の写真を見た町子は胸部の傷の粗さを指摘し、猟奇殺人を否定する。
捜査一課から情報を取ってくるように命じられた鷹野は、捜査本部を訪れ石倉(藤本隆宏)や尾留川(小柳友)と再会。尾留川のPCデータをコピーして持ち去る。
笠原の殺害現場にも心臓と羽根が載せられた天秤、ヒエログリフが記された石板が残されていることを知った鷹野は、筋読みをすることを提案する。
能見は2人の被害者に接点がないことから委託殺人を疑い、現場に停まっていた建設会社の車に着目する。ドライブレコーダーには、偽の森川の友人として鷹野と氷室が以前話を聞いた小田桐卓也(金井勇太)が映っていた。
家宅捜索で血の付いたナイフが見つかり、鷹野らは小田桐を逮捕する。小田桐の預金口座には、真藤と笠原が殺された翌日にそれぞれ200万円の入金があった。押収された革手袋とナイフからは2人のDNAが検出され、観念した小田桐は殺害を自供する。
ところが取り調べの途中で鷹野ら4人は閉め出され、佐久間と氷室の2人のみで尋問が続行される。不審に思った鷹野は「何か隠していますよね」と問い詰めるが、佐久間は無視する。
佐久間と氷室から石板の写真を見せられた小田桐は急に興奮状態になり、痙攣を起こして倒れる。

小田桐は事件直前、明慶大学のサークル〈政治研究会〉に在籍する学生と接触していた。その学生は民族共闘戦線(民共)という過激派組織に属していることが判明。民共は〈政治研究会〉の学生を利用して大学内に拠点を作ろうとしており、それに気づいた笠原教授は予算を削減してサークルを潰そうとしていたのだった。
佐久間は一連の猟奇殺人事件に民共が関わっていると考え、鷹野に民共メンバーから“S”を獲得するよう命じる。その人物とは、鷹野が11年前に担当した殺人事件の被害者の息子・赤崎亮治(奥野瑛太)だった。だが赤崎は警察に不信感を持っており、鷹野の申し出を拒む。
氷室は赤崎が過去に起こした暴行事件を脅迫ネタとして提供するが、鷹野はその事件の裏に隠されていた真実を見抜き、赤崎が民共のやり方に矛盾を感じていることを指摘する。11年前と変わらぬ鷹野の誠実な人柄に感銘を受けた赤崎は、公安の協力者になることを決める。赤崎の協力により、民共が笠原教授の殺害に関与していることを示す証拠が集まるが、鷹野は佐久間の本当の目的が別にあることに気づく。
赤崎が入手した帳簿から、民共が殺害を依頼したのは小田桐ではなく「SGY」だとわかる。佐久間と氷室が追っていたのは、この「葬儀屋(SGY)」と呼ばれるテロリストだった。
公安は何十年も前から“葬儀屋”の逮捕に総力をあげてきたが、一度もテロを阻止することができず、犯行時にアメミトを描いた石板を置いていくという特徴以外、なにひとつ手がかりを得られていないという。
佐久間は9年前に活動をやめた“葬儀屋”が再び動き出したことを確信しており、警察内部に内通者がいる可能性を疑っていた。
その頃、赤崎は民共の幹部の部屋を探っていたが、背後から殴打されて気を失う。氷室は退院した小田桐の尋問を行い“葬儀屋”の存在を突きつけるが、小田桐は自ら舌を噛み切って倒れる。

赤崎が入手した情報により民共と“葬儀屋”が3日後に接触することがわかり、佐久間はその瞬間を狙って葬儀屋を確保するよう命じる。
赤崎はスパイ行為が組織に見つかり、拷問を受ける。連絡が途絶えたことで赤崎の危険を察知した鷹野は、佐久間に救出の許可を願い出るが、“葬儀屋”の壊滅が最重要任務だと一蹴されてしまう。
赤崎の婚約者・宮内仁美(瀧内公美)は鷹野を問い詰めて事情を聞き出し、自分が助けに行くと主張。鷹野は仁美に盗聴器を持たせ、民共本部に潜入させる。仁美は赤崎が監禁されている部屋を見つけるが、鍵がかかっていたため救出することはできなかった。
世界新生教の幹部が“葬儀屋”に真藤殺害を依頼したと自供し、郡司も葬儀屋を介して森川に爆弾を売ったと認める。“葬儀屋”は世界新生教から真藤殺害の依頼を受け、小田桐、森川、郡司の3人を利用したのだった。
鷹野は再び赤崎救出を申し出るも、佐久間に「公安なら家族や友人を犠牲にする覚悟を持て」と諭される。国枝(小市慢太郎)はかつて自分が捜査していた組織に妻がさらわれ、今も見つかっていないと話し、鷹野に民共本部の図面を見せる。
民共の幹部・宇佐美(渋川清彦)が赤崎を始末すると知り、鷹野は独断で本部に侵入。宇佐美を襲って赤崎を救出するが、そのことで民共に公安がマークしていることを知られてしまう。葬儀屋と民共の接触もなくなり、佐久間は鷹野を捜査から外す。
赤崎が意識不明の重体だと知らされた仁美は、鷹野のせいだと責め、泣き崩れる。氷室は自分の“S”として働き、逮捕された北条の家を訪れるが、妻の梓は生活の援助を拒み「私の夫を返して」と訴える。氷室は鷹野に、「あの家族の人生に向き合い続ける覚悟でいる」と打ち明ける。
佐久間は民共本部の家宅捜索を命じる。捜索中に赤崎の病院と病室が書かれたメモを見つけた氷室は、鷹野に連絡。鷹野が病院に駆けつけると…。

入院中の赤崎が何者かに狙われるが、鷹野が駆けつけ大事には至らなかった。佐久間班は民共を捜査するも、葬儀屋の情報は何も得られず空振りに終わる。
鷹野は古代エジプト研究者の塚本(村井良大)を訪ね、殺害現場に残されていた天秤と石板の真意に気づく。被害者2人に接点があると考えた鷹野は、殺された真藤の妻・典子が自分の名義で所有している別邸を調べ、古い写真を見つける。そこに写っていたのは大学時代の真藤と笠原だった。
佐久間の許可を得て佐久間班を招集した鷹野は、真藤と笠原が大学時代に極左集団〈全革連合会〉に出入りしていたことを伝える。
2人の殺害現場には「この石板は私の心臓の一部だ」と書かれた石板が置かれており、その言葉に従って釣り合っている天秤の心臓の皿に石板を加えると、天秤は傾き、死者は罪人となって魂は永遠に消滅する。それこそが葬儀屋のメッセージであり、今回の事件の動機だと告げる鷹野。〈世界新生教〉や〈民共〉は、葬儀屋から殺害を持ちかけられ、動機を消すためのカムフラージュに使われたのだ。
真藤と笠原は40年前に〈全革連合会〉を抜け、同じ思想で結成された〈虎紋会〉に所属していた。佐久間は〈虎紋会〉の残りのメンバーである堤輝久(山路和弘)と里村悠紀夫を徹底的にマークするよう命じる。
鷹野と氷室は堤の家を訪ね、被害者との関係や〈虎紋会〉について聞くが、はぐらかされる。やがて堤が葬儀屋のテロで大儲けしていることが判明。33年前から行方不明の里村は、大学時代にエジプト考古学を研究していたことがわかる。
鷹野と氷室は堤を尾行し、廃れた研究施設で白骨化した遺体を見つける。

廃墟で見つかった白骨遺体は、〈虎紋会〉のメンバーで行方不明の里村悠紀夫と判明。鷹野と氷室は里村に住居を斡旋した人物を見つけ出し、里村が9年前に突然姿を消したこと、当時10代の息子と一緒に暮らしていたことを知る。
鷹野たちは反権力思想の〈虎紋会〉こそが“葬儀屋”だという結論に至る。里村はテロ実行犯、堤はテロで大金を稼ぎ、その金は真藤の政治資金、笠原の研究費にも流れていた。
しかし、地位と名誉と財産を手に入れた真藤、笠原、堤の3人はやがて革命から心が離れ、当初からの革命思想を貫く里村が邪魔になった。9年前、3人は“葬儀屋”を辞めるために里村を殺害したのだった。
鷹野は里村の遺志を継ぐ者が復讐のために真藤と笠原を殺害したと考え、犯人は里村と一緒に暮らしていた息子ではないかと推測する。
“葬儀屋”について鷹野と氷室に問い詰められた堤は、かつての犯行を認め、里村が息子に“寿志”という名前をつけていたことを話す。鷹野たちは古代エジプト文化の研究者・塚本寿志の自宅を捜索し、被害者の血が付着した刃物を発見。さらに、ダークウェブのサイトで「私は葬儀屋の遺志を継ぎ、悪魔を滅ぼす」と塚本が熱狂的に語っている動画を発見する。
だが逮捕された塚本は「身に覚えがない」と言い、父親が里村悠紀夫であることも知らなかったという。やがて里村が一緒に暮らしていた少年は塚本ではないことがわかり、見つかった動画もディープフェイクだったことが判明する。
犯人が塚本を嵌め、公安の目をそらして堤を狙っていると気付いた鷹野は、警備課に連絡して堤邸の警備の人数を増やすよう依頼するが、すでに警備解除の指示を受けて引き揚げた後だった。連絡したのが氷室だと知り、彼女に疑いの目を向ける鷹野。
その頃、堤は犯人に殺害され…。

〈虎紋会〉最後のメンバーの堤も殺される。天秤には心臓と石板がのせられ、ほかの臓器は一切持ち去られていなかった。さらに、葬儀屋が氷室の名を語って警備撤収の指示を出したこともわかり、佐久間は捜査員の情報が漏れていることを問題視する。
過去の葬儀屋の犯行には天秤が使われていないことから、最初から塚本を陥れるためにエジプト神話になぞらえたのではないかと推測する公安分析班。捜査を撹乱され、いっこうに犯人を捕まえられない公安に、捜査一課の早瀬と神谷はしびれを切らす。
鷹野は里村と一緒に暮らしていた子供が女児だったことを突き止め、ある人物に思い至る。氷室は赤崎が入院している病院で婚約者の宮内仁美に襲われるが、駆けつけた鷹野たちに助けられる。
逮捕された女は“宮内仁美”になりすました別人で、本物の宮内仁美は赤崎のアパートに監禁されていた。女の正体は里村と一緒に暮らしていた少女であり、里村の遺志を継いだ“葬儀屋”だった。
黙秘を貫いていた女は、〈虎紋会〉が「コモンコールドゲノムの改変」を意味する名称であることを明かし、彼らが強力な感染力と高い毒性を持つウイルス“アポピス”を開発したことを明かす。里村は、世界中にウイルスを蔓延させて人類をせん滅させ、歪みきった世界をリセットしようとしたのだった。
発症すれば48時間で死に至るという“アポピス”を、女は今日の正午に世界に向けて流出すると告げる。
葬儀屋と小田桐のメッセージのやりとりが復元され、真藤議員が殺害される直前に何かを飲み込んでいたことがわかる。佐久間たちはそれがアポピスウイルスであると推測し、葬儀屋が臓器を持ち去ったのはウイルスを取り出す必要があったためだと気づく。
女がなぜリスクをおかして自分に近づいたのか、なぜ氷室の名前を知っていたのか、疑問を抱く鷹野。女は氷室が鷹野の相棒・相葉隼人を殺したと鷹野に告げる。

X(=葬儀屋)がウイルスを使って無差別テロを仕掛けたことを知った公安部は、テロを防ぐためウイルスの捜索を開始。鷹野はXに対する取り調べを続け、ウイルスの設置場所を聞き出そうとする。
押収された物証を見直していた氷室は、里村の絵の中に隠されていたSDカードを見つける。それは真藤が殺される直前に飲み込んだもので、中身はウイルスに関するデータだった。しかしほとんどのファイルは既に消去され、製造方法を突き止めることはできなかった。
Xの「あなた方には見えていない」という言葉から、鷹野は里村とXが隠れ住んでいた町に注目する。戸籍がないXは学校に通うこともできず、存在しない人間として生きてきたのだった。誰からも守ってもらえず、誰にも見えていない場所。だからこそ、そこからリセットさせたかったのでは、と静かに語りかける鷹野。
Xが涙を流すのを見て確信した鷹野は、氷室と共に里村が住んでいた部屋へ向かう。ウイルス流出までのタイムリミットが残り1時間と迫る中、里村の部屋を調べていた2人のもとに宅配便が届く。箱の中には時限爆弾がセットされたウイルスが入っていた。
鷹野は時限爆弾を取り外し、近くにあったドラム缶の中に入れる。爆発の衝撃で天井が崩れ落ち、気を失う鷹野。彼が病院で目覚めたのは、爆発から22時間後だった。
天井の崩落によってウイルスの容器が一部損壊し、流出を防ごうと対応した氷室はウイルスに感染して危険な状態に陥っていた。死を覚悟した氷室は、鷹野に9年前の真相を語る。
9年前、鷹野と亡き相棒・相羽が追っていた水沼という男は、氷室が“葬儀屋”の情報を探るために、ある組織に潜入させていた彼女の“エス”だった。彼の情報のおかげで葬儀屋の最後の事件を阻止することができたのだが、水沼は組織から疑われ始めていた。
氷室は上司の命令に逆らい、密かに水沼を逃がそうと画策。だが水沼は逃げる前に恋人のもとを訪ね、鷹野たちと遭遇してしまった。逃げる水沼を追った相羽は、その場にいた“葬儀屋”こと里村に出くわして殺されたのだった。そして水沼も組織から逃げ切れず、拷問を受けて死んだという。
すべては自分の甘い考えが招いたのだと、鷹野に苦しい胸の内を打ち明けて謝罪する氷室。鷹野は「私はもう相棒を失いたくありません」と告げ、氷室に生きてほしいと訴える。
佐久間班は無差別ウイルステロを未然に防止したとして表彰される。鷹野の隣には回復して現場復帰した氷室の姿があった。

感想(ネタバレ有)

あーー面白かった!!

正直最初のほうは「なんで捜査一課じゃないの~?」「公安の鷹野さんなんて見たくないよ…」と思っていたのですが、ストーリーの面白さに引っ張られていくうちに違和感がなくなりました。

鷹野が徐々に佐久間班になじんでいくように、わたし自身も新しい舞台設定に慣れていった感じです。それでも早瀬係長や捜査一課のメンバーと対立するシーンは見たくなかったですけどね…。

原作は読んでいないのでドラマのみの感想になりますが、期待を裏切らない面白さでした。このシリーズの人気がここまで高くなると、毎回盛り上げるのが大変なんじゃないかと素人ながらに思ってしまうのですが、まったく心配要らなかったです。

いつものように終盤の怒濤の展開に引き込まれ、全身に力が入ってしまいました。そしてラストの鷹野と氷室さんのシーンには胸が熱くなり、涙が…。本当にいいシーンだった。

最初の頃「公安なんて絶対好きになれないわー」と思ってた自分が嘘のように、佐久間班が好きになっていましたね。みんな飄々として冷たく感じるけど、中身は強い志を持った熱い人たちでした。最後に表彰状までシュレッダーにかける佐久間さん、好き♡

※ここからは結末のネタバレに触れています

犯人の正体、皆さん見抜けました…?

わたしは序盤からずーっと「塚本先生で間違いない」と思い込んでいて、第7話で「ほらね、やっぱり」と思ったらまんまと騙されました。ヤラレタ。

このシリーズ、ミスリードと犯人隠しが徹底してるんですよね。本気で視聴者にミステリーを楽しんでもらおうとする製作側の思いが伝わってきます。ほんと見事に裏切られるので楽しいです。

あと、キャスティングが最高でした。佐久間班のキャスティングも、容疑者のキャスティングも、“エス”のキャスティングも、めちゃくちゃ渋い。かっこいい。こういうドラマを見せられると興奮しちゃいますね。

犯人は原作とは違うみたいなのですが、まったく違和感なかったです…どういうことだろう? 犯人の名前は「美雪」。でも彼女は最後までその名前を口にしませんでした。母親がつけてくれた名前を汚したくなかったのかな…。

テロリストに同情なんてできないと思ってたけど、彼女の生い立ちや境遇を想像すると悲しくなりました。

「見つかるわけがない」という彼女の言葉を聞き逃さず、それが戸籍のない彼女自身を言い表しているのだと気付いた鷹野。鷹野が「見つけた」ことで、彼女が感情を抑えられず涙をこぼすシーンには胸を打たれました。

そして最後に明かされた、相羽隼人の死の真相。鷹野が捜査一課から公安部に移ったのは、彼の死の真相を突き止めることが目的でした。それがこんな形で繋がるとは…。

序盤から何度も登場し、鷹野と氷室の心を大きく揺さぶり、物語を動かす存在として丁寧に描かれていた公安の“エス(協力者)”が伏線になっていたんですね。

氷室さんが教えようとした“公安のやり方”、“エス”に対する考え方、鷹野を見つめるまなざし、ギリギリで冷徹になれないところ、それらのすべてが腑に落ちました。

氷室さんが死なずにすんで本当によかった。またこのメンバーで、鷹野&氷室コンビで続編が見られるってことですよね? 楽しみ~。

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