WOWOW「水晶の鼓動 殺人分析班」全話あらすじ・登場人物(キャスト)・感想・視聴方法

WOWOW連続ドラマ「水晶の鼓動 殺人分析班」ネタバレ感想

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2016年に放送されたWOWOWの連続ドラマ「水晶の鼓動 殺人分析班」(全5話)についてまとめました。

木村文乃さん主演のクライムサスペンス「石の繭」の続編。前作も登場した〈殺人分析班〉のメンバーが、最も大胆かつ複雑な事件に挑みます。

猟奇殺人事件と連続爆破事件が同時進行で描かれ、期待を裏切らない面白さでした!

相変わらず主人公の塔子にはハラハラさせられます。最後まで目が離せず、緊張の連続。〈殺人分析班〉はチームとしてまとまってきた感じですね。何より塔子と鷹野主任との信頼関係がグッと強まっています。

作品概要

  • 放送局:WOWOWプライム
  • 初放送:2016年11月13日から12月11日
  • 原作:麻見和史『水晶の鼓動 警視庁殺人分析班』
  • 脚本:八津弘幸
  • 監督:内片輝
  • 音楽:諸橋邦行

あらすじ

警視庁捜査一課十一係の刑事、如月塔子(木村文乃)は、日本中を震撼させた連続殺人犯“トレミー”の事件を解決に導いたが、1年たってもその時に受けた“トラウマ”に苦しんでいた―。
ある日、深紅に染まった部屋での猟奇殺人事件が発生する。現場に残された手掛かりをもとに捜査を進める塔子や警部補の鷹野秀昭(青木崇高)だが、見知らぬ男に尾行されていることに気付く。その男を捕らえようとした瞬間、近くの建物で爆発が起こる。未曾有の危機に直面する警察。果たして、これは偶然なのか? そして塔子は刑事としての最大の危機を乗り越えられるのか? シリーズ史上最も、大胆かつ複雑な事件の全貌とは? その衝撃のラストへのカウントダウンが今、始まる!

WOWOW公式サイトより

視聴方法(動画配信)

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原作について

このドラマの原作は、麻見和史さんの推理小説『水晶の鼓動 警視庁殺人分析班』(2012年刊行)です。

「警視庁殺人分析班」シリーズの第1弾。
2019年現在、第11弾まで刊行されています。最新作は「凪の残響」。

登場人物(キャスト)

捜査一課〈殺人分析班〉

如月塔子(木村文乃)
巡査部長。父の遺志を継いで刑事になった。女性捜査員特別要請プログラムに抜擢され捜査一課に配属されるも、経験が少なく危なっかしい面がある。父の遺品である時計がお気に入りで、いつも身につけている。1年前のトレミー事件のトラウマを引きずっており、フラッシュバックに苦しむ。

鷹野秀昭(青木崇高)
警部補。塔子の指導係としてコンビを組んでいる。トレミー事件を共に解決したことで塔子を一人前の刑事と認めるようになり、彼女の捜査能力を頼もしく感じることも。現場では常に写真を撮ることを心がけ、後にその写真が捜査の手がかりとなる。トマトジュースを好み、普段からよく飲んでいる。

手代木行雄(勝村政信)
管理官。捜査本部の指揮を執る。塔子がトレミー事件の被害に遭ったことを問題視し、女性捜査員養成プログラムの見直しを要求している。捜査一課に女性刑事を配属することは好ましくないと考え、常に塔子の身を案じる。若い頃、塔子の父・功が指揮する班にいたことがある。

早瀬泰之(渡辺いっけい)
係長。十一係のチームリーダー。部下からの信頼も厚い。1年前の事件の後遺症に苦しむ塔子を心配しつつも、同じチームのメンバーとして塔子を頼りにしている。

石倉毅(藤本隆宏)
警部補。新たに十一係に加入した。熱血漢で情に厚く、カッとなりやすい。

徳重英次(北見敏之)
巡査部長。温厚で控えめ。捜査経験豊富で人間観察力に長けている。趣味は城跡巡り。

尾留川圭介(小柳友)
巡査部長。ムードメーカー的存在。コンピューターなどの機械に強い。周りから期待されている塔子を羨ましく思っている。

公安部

上條(高橋努)
主任。連続殺人事件の情報を得るため塔子を尾行していた。爆破事件を捜査している。

帆足(前川泰之)
管理官。上條の上司。爆破事件と絡む連続殺人事件の情報を共有するため、捜査会議に参加する。

被害者

木内久司
第1の被害者。学習塾講師。連続殺人犯〈オックス〉に殺害され、ペンキで赤く染められた部屋で発見される。第2の被害者・堤宗一とメモのやりとりをしていた。

堤宗一
第2の被害者。日雇い労働者。木内同様、〈オックス〉に殺害される。遺留品により、木内、永峰と密かに連絡を取り合っていたことが判明する。

永峰隼夫(盛隆二)
第3の被害者。潜伏先で〈オックス〉に襲われた直後、塔子と鷹野によって救出されるが、入院中に再び犯人に襲われる。

間宮建築デザイン事務所

間宮洋平(村松利史)
間宮建築デザイン事務所の社長。多額の負債を抱え、1年前に妻と共に失踪した。

藤崎輝明(赤堀雅秋)
元社員。間宮洋平の甥。高校生の時に両親を事故で亡くし、叔父の洋平に引き取られた。現在は独立し、インテリアコーディネーターとして働いている。

志田順二(山本浩司)
元社員。4年前に賃金をめぐって間宮社長とトラブルになり、傷害事件を起こして2年の実刑を受けている。出所後、神山組の構成員となっている。

如月家

如月功(仲村トオル)
塔子の亡き父。享年39歳。元警視庁捜査一課の刑事。17年前「昭島母子誘拐事件」で犯人に刺されて負傷し、それが原因で警察を辞職。その1年後に病死した。誘拐事件の被害者を死ぬまで気に掛けていた。

如月厚子(神野三鈴)
塔子の母。1年前のトレミー事件で犯人に4日間拘束された。捜査に打ち込む塔子を心配する。

そのほか

オックス
連続殺人犯。殺害現場を赤いペンキで真っ赤に染め、扉に〝○×〟という記号を残す。

八木沼雅人(古川雄輝)
連続殺人犯。1年前、〝トレミー〟と名乗って過去の誘拐事件に関わった2人を殺害した。事件を担当した刑事の娘である塔子にも復讐しようとしたが逮捕され、死刑判決を受ける。

各話あらすじ(ネタバレ有)

トレミー事件から1年。事件を起こした犯人・八木沼雅人の死刑が確定した。塔子は彼の心を救おうと面会に通うが、会ってもらえない。
その頃、赤く染められた部屋での猟奇殺人事件が発生。現場には血とペンキで赤く染まった死体と、赤いスプレーで書かれた“○×(マルバツ)”という記号が残されていた。塔子と鷹野は現場のカレンダーに書かれていた麻布の図書館を訪れ、書架の奥に貼り付けられていた「T→K」というメモを見つける。
だが図書館を出た2人を謎の男が尾行し、さらに現場近くで爆破事件が発生する。その夜、塔子は尾行する追い詰めるものの、取り逃がしてしまう。やがて新たな爆破事件が発生し、ネットに過激派組織〈日本革命的協同武装戦線〉の犯行声明が出される。爆破現場の動画を見た塔子は、1年前の爆破事件を思い出し、フラッシュバックに苦しむ。翌日、西荻窪で2人目の被害者が発見される。

2つの猟奇殺人事件の犯人が〈オックス〉と推測され、塔子は尾行する男を取り逃がしたことを悔やむ。そんな中、また都内の2カ所で同時爆発が起こる。塔子と鷹野が現場に駆けつけた直後、目の前で大きな爆発が起きる。1年前のフラッシュバックに悩まされる塔子は、その後の捜査会議でも上の空で考えがまとまらない。
塔子は〈オックス〉と思われる人物が管理するネットの裏サイトに、「24時間以内に私をつかまえて下さい」というメッセージを書き込む。自ら囮となり、尾行していた男を捕まえた塔子。だが男の正体は公安で、塔子以外のメンバーは全員そのことに気づいていた。塔子は自分だけ知らされなかったことにショックを受ける。公安が尾行していた理由について、鷹野は連続殺人事件と爆破事件が繋がっていると推測していた。

公安部の帆足と上條が爆破事件の担当として捜査会議に参加。公安は以前から過激派組織〈日本革命的協同武装戦線〉の情報を掴んでおり、組織の元メンバーだった木内を監視していたと言う。もっと早く情報共有できていれば被害者を出さずに済んだ、と塔子は公安に食ってかかる。
2人目の被害者・堤も組織の元メンバーと思われ、塔子と鷹野は堤が残した手帳に記載されていたもうひとりの元メンバー「永峰隼夫」が次の犠牲者になるのではと考える。2人は永峰が潜伏している住居を訪ね、永峰が首から血を流しているのを発見。塔子は屋内に潜んでいた〈オックス〉に襲われ、塔子を助けた鷹野は右腕を負傷する。
鷹野を負傷させたうえに犯人を取り逃がしてしまい、責任を感じる塔子。さらに早瀬から予備班に移るよう命じられ、捜査から外されてしまう。だがそれは塔子の後遺症を心配した鷹野による心遣いだった。
塔子は連続爆破事件の資料を調べるうちに、ある共通点に気づく。爆破された建物は、すべて「間宮建築デザイン事務所」によって設計されたものだった。

塔子と鷹野は間宮建築デザイン事務所を訪ねるが、既に倒産していた。間宮の甥である藤崎輝明に聞き込みを行った2人は、かつてデザイン事務所の社員だった志田という人物が間宮に恨みを抱いていたことがわかる。鷹野は志田が〈日革協〉と取引を行い、交換殺人爆破事件を起こしたと推測。志田が〈オックス〉であると考え、第3の被害者・永峰を再び襲う可能性があると話す。
だが負傷している鷹野とトラウマを抱える塔子は、手代木の判断で捜査から外される。手代木はかつて塔子の父・功と同じ班にいたことがあり、功から「名誉の負傷などない」と教わったことを語る。
だが刑事部よりも先に公安が志田を確保し、事情聴取で事件とは無関係だと判明。塔子と鷹野は木内と堤が会っていた図書館で、2人を監視する不審な男を見たという情報を手に入れる。その男は藤崎輝明だった。
藤崎は警察官になりすまして永峰が入院する病院に潜入し、永峰を殺害。自らも喉にナイフを刺して自殺を図る。永峰が殺害されたことで、爆破は決定的となってしまう。

藤崎は一命を取り留めるが、声が出せない状態になっていた。藤崎が失読症になったのは建築現場での転落事故が原因だったが、その事故は叔父夫婦によって仕組まれたものだった。藤崎の叔父・間宮洋平は、借金返済のため藤崎を保険金目的で殺害しようと企てたのだった。
社員だった志田からその事実を聞かされた藤崎は、間宮への復讐を決意。〈日革協〉を脱退した木内ら元メンバー3人の殺害を実行する代わりに、自分が間宮のゴーストとして設計した建物の爆破を〈日革協〉に依頼していたのだ。
塔子は次に爆破する建物を藤崎から聞き出そうとするが、藤崎は〝ガラス〟というヒントだけを与える。次のターゲットがガラスのオブジェだと気づいた塔子たちは、品川中央駅に設置されている複数のオブジェに仕掛けられている爆弾を発見。メインとなるのは、線路の待避スペースに仕掛けられた大量の爆弾だった。
爆発すれば甚大な被害が免れない中、塔子は爆弾の解除方法を刑務所にいるトレミーに訊ねる。トレミーの指示どおりに解除していく塔子。だが最後に残った2つのスイッチについて、〈日革協〉から押収したマニュアルにはトレミーの指示と異なるスイッチを切るよう書かれていた。どちらを切るか、選択を任される塔子。塔子はトレミーを信じて指示通りにスイッチを切り、タイマーを止めることに成功する。

感想(ネタバレ有)

最後の最後までドキドキしたなぁ~。
手に汗握る展開で、見る方も力が入りました。

トレミー事件から1年後という設定で、塔子は少しだけ成長。鷹野たち十一係の面々も、もう彼女を〝新人〟扱いしません。

塔子のトラウマ、女性捜査員としての苦悩とジレンマ、刑事部と公安部の対立など、事件の捜査と絡めて人間ドラマも見応えたっぷり。前作の事件とうまく繋げて、より大胆で面白い内容になっていました。

2つ事件の真相

今回は連続殺人事件だけではなく、連続爆破事件も加わってきます。2つの事件は、裏で繋がっていました。

連続殺人事件の犯人〈オックス〉は、間宮建築デザイン事務所の元社員で、間宮社長の甥・藤崎輝明。彼の目的は、自分の人生を狂わせた叔父・間宮洋平への復讐です。間宮洋平は、藤崎が設計した建物を自分の名前で発表していました。

藤崎はそれらの建物を爆破してほしいと、過激派組織〈日革協〉に依頼していました。

一方〈日革協〉は、組織を抜けた裏切り者・木内、堤、永峰の3人の殺害を藤崎に依頼。1人殺すごとに建物を爆破する、という取り決めでした。こうして、〝交換殺人爆破事件〟が成立したのです。

藤崎の背景

藤崎が犯行に至った背景がやりきれなかったです。

そもそもなぜ藤崎が〈オックス〉と名乗っていたかというと、彼は失読症で、文字が読めなかったから。「○」と「×」ならわかるだろう、と〈日革協〉の幹部らしき男が彼を〈オックス〉と名付けたのでした。

遺体のある部屋を真っ赤に染めたのも、〈日革協〉との繋がりを消すため。文字が読めない藤崎は、文字という文字を手当たり次第消すしかなかったのです。

彼が失読症になった原因は、建築現場での転落事故。しかもそれは事故ではなく、叔父夫婦によって故意に仕組まれたものでした。叔父の間宮洋平は、藤崎を事故に見せかけて殺し、保険金を手に入れて借金返済に充てようと計画していたのです。

建築家として自分よりも才能のある藤崎に、嫉妬も抱いていた様子。嫉妬する気持ちはわかるけど、やることが残酷すぎる。到底理解できません。

事故の後遺症で失読症になり、文字が読めなくなってしまった藤崎は、建築家としての将来はもちろん、普通の仕事さえできなくなってしまう。自暴自棄になって自殺しようとしたとき〈日革協〉にスカウトされ、刺客に…。

まさか叔父夫婦が自分を殺そうとしたなどとは思いもしない藤崎は、事故に遭った後も育ててくれた叔父夫婦に感謝し、刺客として稼いだ金を叔父夫婦に貢いでいました。

しかし、志田という元社員と再会して真実を知ることとなり、その瞬間から彼は復讐鬼と化しました。夜逃げしたと思われた失踪中の叔父夫婦は、事務所の屋上で白骨遺体となって発見されています。

藤崎は叔父夫婦を殺していたのです。
それでも、復讐をやめようとしなかった。

相手を殺してもなお、憎しみが消えなかったのでしょうね。

塔子とトレミーの関係

塔子とトレミーの関係も、まだ続いていました。

死刑が確定したトレミーを、なんとか救いたいと願う塔子。
塔子の思いには、おそらく父・功の思いも重なっているはず。

トレミーに塔子と功の思いが届いたのかどうかはわかりませんが、少なくとも彼は塔子が生きることを望み、助けることを選びました。

爆弾を解除する方法を伝えたあと、「さよなら塔子」と呟いたのは、彼の中で復讐が終わったことを暗示しているのかな。凶悪犯なのに魅力的なキャラクターって日本のドラマではなかなか見ないので、とても新鮮でした。

塔子と鷹野の関係

前作では塔子のお守りをさせられて不満げな鷹野主任でしたが、今作ではすっかりいいコンビに。

塔子はトレミー事件で爆発に巻き込まれたことがトラウマとなり、フラッシュバックに苦しむのですが、そのことを誰にも話そうとしません。そばにいる鷹野は明らかに気づいているのに、あえて口にしない。

公安には尾行されるし、犯人には襲われるし、勝手におとり捜査を仕掛けるし、相変わらず危なっかしい塔子。それでも、鷹野はけっこう塔子を頼りにしているみたいで(言葉には出さないけど)、「女だから」という理由だけで、彼女を外したりはしません。

この何とも言えない不器用な信頼関係が、胸を熱くします。

スピンオフ「悪の波動」では、「石の繭」以前の事件が描かれます。そして第3弾となる「蝶の力学」では、またもや猟奇殺人事件に挑む殺人分析班の活躍が描かれます。

塔子がどれだけ成長しているのか楽しみです。

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