ネタバレ有「黒書院の六兵衛」最終話あらすじ感想

WOWOW「黒書院の六兵衛」ネタバレ感想

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WOWOW連続ドラマ「黒書院の六兵衛」最終話(第6話)のあらすじと感想です。

ついに六兵衛がしゃべりました!
万感胸に迫るラスト。

堪能しました。

最終話のあらすじ(ネタバレ有)

ついに明治天皇(片岡千之助)が入城するが、六兵衛(吉川晃司)は黒書院から動こうとしない。加倉井(上地雄輔)は、西郷隆盛(竹内力)や大久保利通(西原誠吾)、木戸孝允(野中隆光)らと今後の処遇を話し合うが、妙策は見つからない。

しびれを切らした強硬派の木戸は、力ずくでの六兵衛を追い出そうとする。一触即発の2人の間に、割って入る加倉井。そこへ、六兵衛の噂を聞きつけた天皇が現れる。

黒書院で対峙する六兵衛と天皇。2人はひとことも交わすことなく、思いを通わせる。天皇から「しかと」という言葉を受けた六兵衛は、思いを遂げたように黒書院を後にする。

城内の者たちは、敬意を持って去りゆく六兵衛を見送る。だが加倉井だけは大声で六兵衛の名を呼び、城を出て行く六兵衛を追いかける。

「このまま黙して去るつもりか、水くさいではないか」と訴える加倉井に、六兵衛は「世話をかけ申した。許せ」と言い、加倉井を力強く抱き締める。

加倉井と六兵衛は互いに脇差しを交換し、別れを告げる。城門の外には、六兵衛の妻と子が帰りを待っていた。3人は黙って江戸の町へと消えていく。

キャスト

的矢六兵衛……吉川晃司
加倉井隼人……上地雄輔
福地源一郎……駒木根隆介
本多左衛門……山崎銀之丞
加倉井しずゑ……芦名星
田島小源太……粕谷吉洋
的矢六兵衛の妻……若村麻由美
的矢清右衛門……田中泯
淀屋辰平……伊武雅刀
勝海舟……寺島進
天璋院(篤姫)……前田亜季
西郷隆盛……竹内力
大村益次郎……波岡一喜
徳川慶喜……忍成修吾
明治天皇……片岡千之助
徳川慶勝……千葉哲也

最終話の感想

いろいろと想像を掻き立てられるラストシーンでした。

結局、六兵衛の正体も、黒書院に居座った意図も、はっきりとはわからずじまい。
六兵衛という存在そのものがファンタジーだったのかもしれません。

六兵衛は「旗本の亀鑑」であり、「江戸最後の武士」であり、「武士の魂の具現化」でもありました。

おそらく正解はひとつではないのでしょう。
ただ、わたしはやはり六兵衛の正体について想像せずにはいられません。

六兵衛の正体と目的

ここからは、わたしの想像をまじえた考察です。

六兵衛とその妻は、親の顔を知らずに育ちました。
その手はぼろぼろに荒れて、黒っぽく汚れていました。

それは、彼らの出自が下層階級であることを意味しています。
そこから、どうやって五千両の旗本株を買えるほどの身分にまで上り詰めたのか。

江戸城内に居座り続けた六兵衛は、強い意志をもって信念を貫き、徐々に格式高い部屋へと移動(=出世)していきました。
その様子はまるで、六兵衛自身の人生をあらわしているようにも思えます。

江戸時代の人々は、生まれた瞬間に身分が決まっていました。
それはどうあっても覆せないもののはずでした。

ところが、いつしか大金を払えば身分が買えるようになり、武士は中身のない器だけのものになり、ついには260余年続いた徳川幕府が滅ぶまでに世の中が変わってしまいます。

生まれたときには、武士になどなれるはずがなかった六兵衛。
その六兵衛が武士の鑑となり、歴史上の名だたる人物がこぞって彼に会いに来る。

やがて彼の思いは、とうてい届くはずのなかった雲の上の人物にまで届いてしまうのです。

その瞬間、朝日がのぼり、白い光があたりを満たしました。
六兵衛の存在そのものが昇華したような、美しい一瞬でした。

六兵衛=真の武士という見方が自然なのかもしれませんが、わたしは、六兵衛が「身分制度」そのものをあらわしているように感じました。

加倉井と六兵衛の別れ

ずっと黙して語らなかった六兵衛が、最後に加倉井に伝えた「許せ」に震えました。

そんな言葉じゃ物足りない、という加倉井の淋しそうな顔もグッときた。
きっと、加倉井は六兵衛と夜通し語り合いたかったにちがいない。酒を飲み交わしながら、心ゆくまで。

でも六兵衛は、言葉ではなく、身をもって示す人でした。

加倉井と六兵衛の抱擁には胸が熱くなったけど、その前の回想シーンが長すぎましたね。
あれはどうにかならなかったのかなぁ。

前回の、加倉井が六兵衛と語り合うシーンで、回想は十分でした。
後半少し間延びした感じもあったので、全5話でもよかったかも。

ほとんどセリフも動きもない六兵衛をみごとに演じきった吉川晃司さんは、さすがでした。たたずまいだけで魅せる存在感も威圧感も文句なし。

その六兵衛を相手に苦戦する加倉井役の上地雄輔さんもよかったです。
この人の生来の明るさ、包み込むような温かみが、頑なな六兵衛と相対することで相乗効果を生んでいたように思います。

見応えのある時代劇であり歴史ドラマでした。

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