ネタバレ解説*アンナチュラル最終回|伏線がすべて回収される

ドラマ「アンナチュラル」あらすじネタバレ感想

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「アンナチュラル」最終回のあらすじと感想です。

素晴らしかったーー!

これだけの登場人物を誰ひとり霞ませず、複雑な事件に医療とそれぞれの心情や個性を絡ませ、大団円に導く脚本家の手腕に脱帽。カタルシスを感じる見事な終幕でした。

最終回のあらすじを追いつつ、個人的感想などもまじえつつ、伏線回収について解説していきたいと思います!

犯人は高瀬、宍戸は名を上げるために利用

中堂(井浦新)の恋人・夕希子(橋本真実)を含む複数の女性を殺したと思われる高瀬文人(尾上寛之)が、警察に出頭します。

しょっぱなからぶっ壊してきましたねー。

事情聴取室で、高瀬は毛利刑事(大倉孝二)に経緯を語るんですけど、彼が喋ってることと、そこに被る回想シーンがぜんっぜん一致してないんです。

つまり回想シーンが、高瀬が犯人であることをキッパリ告げているわけで。

「犯人は高瀬じゃない可能性も?」という視聴者の憶測を“そこじゃないっ”とばかりに、開始3分でものの見事に全否定。

さらに「宍戸は共犯かも?」と思わせることもあっさり捨て、「犯人は高瀬。宍戸はジャーナリストとして名を上げるために高瀬を利用」というネタばらしを、わずか開始6分で完了させました。

潔さに感服。
と同時に、高瀬と宍戸(北村有起哉)に対する怒りがふつふつと。

宍戸が執筆した「26人殺害は妄想か現実か」という高瀬の告白を記録した本はバカ売れ。その本文を宍戸自身の声で聞かせるんだけど、聞いてるだけで腹が立ってくるわけですよ。

当事者である中堂さん(井浦新)の怒りたるや、と容易に想像できてしまう。

嘘がばれ、居場所を失う六郎

警察は必死に証拠を探すのですが、殺人を立証できる証拠は何もない。その検証の中で、ついに六郎(窪田正孝)と週刊ジャーナルとの関係が明らかになってしまいます。

六郎を信じていた東海林(市川実日子)は、裏切られたショックで怒りが収まらない。六郎を激しく咎めます。ただひたすら謝るしかない六郎……。

いつかバレる日が来るとは思っていましたが、最悪のタイミング。そして東海林がマジギレしたことで、彼女がどれほど六郎を信頼していたかが痛いほど伝わるシーンでした。裏切るのも、裏切られるのも、どっちも辛い。

宍戸の手口は本当に悪質で、高瀬が犯人だと知りながら放置し殺人を煽ったあげく、キリのいいところで六郎を使って事件を明るみに出し、さらに世間の注目を浴び続けるために高瀬の犯行が立証されないよう工作している。

高瀬と同罪でもいいんじゃないかって思いますね。

不条理な死に負けたくない

一方、ミコトは烏田検事(吹越満)から、高瀬を殺人犯にするために嘘の鑑定書を出してほしいと言われます。検察庁への協力を拒めば、UDIラボへの補助金もなくなるかもしれず、ひとり思い悩むミコト……。

一家無理心中の生き残りであるミコトは、ずっと不条理な死と向き合い、戦ってきた。不条理な死に負けることは、自分を道連れに死のうとした母に負けることだと。

だけど、頑張っても頑張っても世の中から不条理な死がなくなることはない。法医学者としてできることはほんの僅か。ミコトは初めて「負けそう」と養母の夏代(薬師丸ひろ子)に弱音を吐きます。

ひとりで背負うことはない、と慰める夏代さん。そして夏代さんの言ったとおり、ミコトの背負う重荷を肩代わりしてくれる人が……。

神倉所長は、密かにミコトが書いた真実の鑑定書を持って検察庁へ乗りこみます。「高瀬を殺人で裁けなくてもいいんですか?」と言う烏田検事に、所長が一喝。

「それはそちらの仕事でしょう!うちはうちの仕事をキッチリやってるんです!責任転嫁しないでいただきたい!」

第3話で「女はすぐに自分の落ち度を責任転嫁する」と発言した烏田検事に、このセリフ。

さすがです、神倉さん! わたし的「理想の上司」ランキング第1位です!

エチレングリコールが言えた六郎

同じころ、中堂さんは葬儀屋の木林さん(竜星涼)に、「明日遺体を持って来るから搬送と火葬を頼みたい」と言います。

殺す気満々ですね…。高瀬が警察に拘留されたので、安心していたのに。

中堂さんが狙ったのは宍戸でした。宍戸の後をつけて自宅で襲いかかり、薬液を注射。フグの毒である「テトロドトキシン」を注射したと言い、解毒剤が欲しければ高瀬を有罪にする証拠を出せと脅します。

ここで思い出すのが、第1話で「フグの毒テトロドトキシンはスクリーニングマシンで調べられる200種類に入ってないから検出されない」という東海林のセリフ(ミコトだったかな)。

突然死に見せかけて宍戸を殺し、ソッコーで火葬すれば完全犯罪が成立する。

宍戸はしょうがなく高瀬が犯行に使った魚の模様がついたボールを渡し、解毒剤を飲みますが、油断した中堂さんの隙をついてボールを硫酸で溶かしてしまう。

そこへ、ミコトと六郎が駆けつけ、高笑いする宍戸に「フグの解毒剤は存在しない」ことを教えます。

中堂さんが最初に打った注射は、ただの麻酔。
解毒剤だと偽って飲ませた液体のほうこそが、毒物だった。

「不条理な事件に巻き込まれた人間が、自分の人生を手放して不条理なことをしてしまったら、負けなんじゃないんですか!?」

毒物の正体を明かそうとしない中堂に、訴えるように叫ぶミコト。そんなのは見たくない、私を絶望させないで、と。

六郎は、宍戸の症状を見て瓶に残っていた毒物を舐め、それが前に東海林が話していた「エチレングリコール」だと言い当てます。

このエチレングリコール、第1話で東海林が話していた毒物なんですよね。

その時の六郎はエチレングリコールを知らなくて、「エビチリ」とかトンチンカンなこと言ってて。彼が密かに勉強していたことを想像させられ、涙が出ました。

ウォーキングできないデッドの国

同じころ、神倉所長と東海林は、中堂さんに謝ろうとUDIを訪ねてきた夕希子の父親・和有(国広富之)を見送っていました。

夕希子の実家はアメリカのテネシー州にあり、墓もそこにあると聞いた東海林は、「ウォーキングできないデッドの国かぁ」と呟きます。

最初、「ん?何言ってんだろう東海林……」と思ったんですけど。

ここで、第1話でのミコトと東海林の会話

「アメリカはいいよね~再調査ってなったら、お墓から死体丸ごと掘り起こせばいいんだもん」
「その代わり ゾンビが出るけどね」
「出ないから。筋肉が腐ったら動けないし歩けないから」
「ウォーキングできないデッド」

を思い出し、ざざざーっと鳥肌が。

テネシー州は都会じゃない。
田舎なら、まだ土葬のはず。
ということは、夕希子の遺体を掘り起こして、再調査できる!

こっからの展開は、もうすごいの一言で。アメリカに飛ぶ神倉さん。ややっこしい手続きを経て、日本に運ばれる夕希子の遺体。再解剖するミコト。その様子を見守る中堂さん。

第8話で、中堂さんはもう一度夕希子に会いたい、会ったら「お前を殺したクソ野郎は誰だ」って訊きたい、と言ってたよね…。

そしてついに、赤い金魚殺人事件の裁判が始まります。

ミコトが仕掛けた罠

ミコトは裁判で、夕希子の歯の裏側から高瀬のDNAが検出されたことを証言。ゴムボールを口に押し込む際、歯に指を引っかけたのだと推測します。

ここで思い出すのが、第3話で中堂さんが言った「カビの生えた解剖実績に意味はない。技術は日々進歩している」というセリフ。

ミコトが夕希子の遺体からDNAを検出できたのも、8年前にはなかった新しい技術のおかげで。もうこのへんになると伏線回収のオンパレードに感動の嵐です。

笑い飛ばす高瀬に、ミコトは「あなたのことを理解する必要なんてない」「かわいそうな被告人」「あなたの孤独に心から同情します」と、高瀬の感情を揺さぶる言葉を連発。

母親からの虐待は、ミコト自身の過去にも繋がってくる。でもミコトはそれを徹底的に否定する。あなたのことを理解する必要なんてない、不幸な生い立ちなんて興味はない、動機だってどうだっていい、と言い切る。

ミコトの策にはまった高瀬は、ついに26人の殺害を自供します。

ここで思い出すのが、第3話で敵だった烏田が、わざとミコトを感情的に追い込んで言わせたいことを引き出すという技。今回はミコトがその技を使って高瀬を落としました。

宍戸は殺人幇助で逮捕され、その瞬間を末次(池田鉄洋)が撮影し、「読者が読みたい記事ナンバーワン。これ売れちゃうかもね」と笑う。

ピンクのカバの物語

夕希子の父・和有に夕希子の遺品を渡す中堂さん。封筒の中身はピンクのカバの絵でした。

第8話で、ミコトが「会って聞きましょう、ピンクのカバの話」と言っていたのを思い出します。あの時は、全然興味なさそうだった中堂さん。

ピンクのカバの絵本は、「2匹のカバが一緒に旅をする話」でした。
一緒に暮らしていると甘えちゃうから、という理由でひとり暮らしを始めようとしていた夕希子。

「でもいつか、また2匹にもどって、一緒に旅するんですよぉ」と、夕希子は父親に話していました。和有は「夕希子の旅は終わったけれど、あなたは生きてください」と、中堂さんにピンクのカバの絵を渡します。

そして。
今日もまた、美味しそうに天丼を頬張っているミコト。

補助金が打ち切られることを心配する神倉所長。
休みが取れないと文句を言いつつ楽しそうな東海林。
中堂さんを「スナフキンだと思えば愛せる」と帰ってきた坂本さん。
「クソッ」と吐き捨てる中堂さん。

六郎は、あたらしいバイトとして再びUDIラボにやってきます。
将来は法医学の道に進むつもりだと、大声で宣言する六郎。

六郎を加え、さっそく解剖を始める面々。

Their journy will continue.

はじめて誰も死ななかった回。

全員が自分の仕事を全うすることで事件を解決に導き、見事にこれまでの伏線を回収し、涙と感動と爽やかで前向きな余韻を残して風のように(笑)去っていった「アンナチュラル」。

最後の最後に残されたメッセージは「Their journy will continue.」でした。彼らの旅は続く。「journey」の「e」がないことが話題になっているけど、わざとかなぁ。

ドラマや小説や漫画では、どっちかというと破天荒だったり道から外れたりする主人公が好かれる中、ミコトはクソ真面目すぎるキャラクターでした。でも好きだった。ミコトが主人公だったから成立する物語だったと思う。

真面目にコツコツ仕事をする人間がバカを見ない。それを徹底して書いてくれたことも爽快だった。第1話で婚約者をバッサリ退場させて、ミコトから恋愛を排除しちゃう潔さも好き。

最終回で、全員にオイシイところ(良い意味でも悪い意味でも)を用意してくれたのも嬉しかったですね。欲を言えばもう一回くらい、ミコトの過去を題材にしたエピソードが見たかった。

シーズン2あるといいなぁ!

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