海外ドラマ「グッド・ドクター 名医の条件」シーズン1(全18話)についてまとめました。
2013年に韓国で制作された医療ドラマ「グッド・ドクター」のアメリカリメイク版。
自閉症ながら天才的記憶力を持つサヴァン症候群の青年医ショーンが、膨大な医学の知識を駆使して大病院に旋風を巻き起こすヒューマンメディカルドラマです。

2017年秋に米ABCで放送がスタートし、全米視聴ランキングで毎週トップ10入り!

アメリカではシーズン3まで放送、シーズン4の製作も決定!
主人公の外科医ショーン・マーフィーを演じるのは、若手男優フレディ・ハイモア。
「チャーリーとチョコレート工場」などの映画で名子役と呼ばれ、ドラマ「ベイツ・モーテル」シリーズでも好演した彼は、第75回ゴールデン・グローブ賞TVの部・ドラマ主演男優賞にノミネートされました。
毎回さまざまな問題(差別やセクハラ、延命治療、LGBTなど)が取り上げられ、深く考えさせられる内容になっている点も見どころのひとつです。
作品概要
- 製作国:アメリカ
- 原題:The Good Doctor
- 原作: KBS(韓国)「グッド・ドクター」
- 製作総指揮:デイヴィッド・ショア/ダニエル・デイ・キム
- 全米放送:2017年9月~2018年3月
あらすじ
カリフォルニア州サンノゼの聖ボナベントゥラ病院。院長グラスマンは地方のワイオミング州に住み、医学博士の学位を持つ青年ショーンを自分の病院に外科レジデントとして招く。自閉症のショーンは他者とのコミュニケーションが苦手だが、サヴァン症候群でもあり、天才的な記憶力や空間認知能力を持ち、医学書から得た無数の知識も即座に思い出せた。だが院長の座を狙う病院の理事マーカスなど病院関係者や多くのドクターは、ショーンが自閉症であること自体が患者たちに不安を与えたり医療の現場に混乱をもたらしたりすると彼の勤務に反対する。それでも純粋なショーンは、治療困難な患者たちを次々と全力で救い、院内で旋風を巻き起こしていく。
WOWOW公式サイトより
予告動画
動画配信について
現在「グッド・ドクター」シーズン1およびシーズン2は、動画配信サービスU-NEXTで視聴可能です(追加課金なし)。
公式サイト U-NEXT
※本ページの情報は2020年10月時点のものです。最新の配信状況は各サイトにてご確認ください
原作(リメイク元)について
このドラマのリメイク元は、2013年に韓国で制作されたドラマ「グッド・ドクター」(全20話)です。
天才的暗記力と人体のあらゆる器官の構造を把握する脅威の空間認識能力をもつサヴァン症候群の青年、パク・シオンが、障害に対する偏見や自分自身の弱さを乗り越え、小児外科医を目指し成長していく姿を描いた医療ドラマ。
多くの視聴者を虜にし、放送初回から最終回まで同時間枠の視聴率1位を独走、最高視聴率21.5%(ニールセン・コリア調べ)を記録する2013年の大ヒット作となりました。
主人公のパク・シオンをチュウォンが、彼を見守り支える先輩チャ・ユンソをムン・チェウォンが演じ、高く評価されました。
韓国版とアメリカ版の違い
自閉症でサヴァン症候群の主人公が、研修医として恩師の病院で働きながら成長していく……という基本設定は同じです。
ですが、やはりそれぞれのお国柄もあり、いくつか設定が変わっている部分もありました。以下、韓国版(原作)とアメリカ版(リメイク)の違いをまとめてみました。
韓国版 | アメリカ版 | |
---|---|---|
放送年 | 2013年 | 2017年 |
主人公の職種 | 小児外科医 | 外科医 |
主人公の兄弟 | 兄 | 弟 |
主人公の自閉症 | 寛解している? | 寛解していない |
登場人物 | 多め | 少なめ |
人間関係 | ドロドロ | アッサリ |
いじめ要素 | 多め | 少なめ |
恋愛対象 | 同じ科の女医 | アパートの隣人 |
恋愛色 | 濃い | 薄い |
原作の韓国版は恋愛やコミカルなシーンが多く、軽い仕上がり(あと、わかりやすい悪役が多い)。アメリカ版はさまざまな社会問題を取り入れた、シリアスな医療ドラマ、という印象でした。

韓国版は陰謀が絡むドラマチックなストーリー展開。

わたしはアメリカ版のほうが好みかな。
- 映像が詩的でとても美しい(撮影場所はバンクーバー)
- 主人公だけでなく、さまざまな登場人物の問題が描かれる群像劇
- 一話完結で構成が秀逸
- 毎回考えさせられる深い内容
登場人物(キャスト/吹き替え)
ネタバレを含みます
ショーン・マーフィー(フレディ・ハイモア/声:岡本信彦)
自閉症で幼い頃から周囲になじめず、両親からも見捨てられ、14歳の時に唯一の理解者だった弟スティーヴを事故で失う。以来、グラスマン院長が親代わりとなる。サヴァン症候群でもあり、天才的な記憶力や空間認知能力を持つ。
グラスマンに推薦され、聖ボナベントゥラ病院で外科研修医として勤務することに。人と上手く接することができない短所を克服すべく、日々努力している。隣室の住人・リアに恋心を抱く。
アーロン・グラスマン(リチャード・シフ/声:岩崎ひろし)
聖ボナべントゥラ病院の院長。弟・スティーヴを失って孤独だったショーンを支え、見守ってきた保護者的な存在。
施術の腕も一流で、他の医師からも信頼は大きい。ショーンの才能を誰よりも認めており、院内の反発を押し切って採用する。ショーンを心配するあまり過保護になる一面があり、ショーンから「父親は要らない」と言われて悩む。
ニール・メレンデス(ニコラス・ゴンザレス/声:川島得愛)
研修医をまとめる外科の主治医。自信家で傲慢だが外科医としての腕は一流。自閉症であるショーンがレジデンスとして採用されることに強く反発し、当初はショーンをチームの一員として認めようとしなかったが、徐々に信頼を置くようになる。
病院のリスク管理をしている弁護士・ジェシカと婚約していたが、子供を望まないジェシカとの間に亀裂が生じ、悩んだ末に別れを選ぶ。
クレア・ブラウン(アントニア・トーマス/声:白石涼子)
ショーンと同じく研修医として働く女性医師。知性と思いやりがあり、患者の心に寄り添う医師を目指している。ショーンのことも理解しようと努力する。
完璧であろうとするが故に、自分の弱さから目を背ける一面も。実家は貧しく、酷い母親から逃げるように家を出て、人一倍の努力と苦労の末に医師になった。同僚のカルーと密かに付き合っていたが、別れを切り出される。
ジャレッド・カルー(チュク・モデュー/声:矢野正明)
世渡り上手の研修医。医師としては優秀で、野心家でもある。表面的な人付き合いはそつなくこなすが、他人の内面に深く立ち入ることを極端に恐れる。裕福な家に育ち、両親から愛されなかった暗い過去を持つ。
クレアと密かに付き合っており、クレアがコイルからセクハラされた際にコイルに暴力をふるって解雇されてしまう。その後、問題を人種差別にすり替えることで解雇処分を撤回させ復帰を果たすが、メレンデスやアンドリュースからの信用を失う。クレアから愛されていないことを知り、別れを選ぶ。
ジェシカ・プレストン(ボー・ガレット/声:佐古真弓)
病院のリスク管理と院内弁護士を担当している。自分の仕事に誇りを持っており、「病院創立者の孫娘」というレッテルを嫌う。自分を一人前として扱ってくれない父親との関係に悩んでいる。
メレンデスと婚約していたが、子供を望んでおらず、メレンデスのために別れを切り出した。
マーカス・アンドリュース(ヒル・ハーパー/声:丸山壮史)
外科医の最高責任者であり、院長であるグラスマンの座を狙っている野心家。ショーンの採用に疑問を覚えてはいるも、才能は認めている。出世一辺倒になり現場をおろそかにしていることを妻イザベルに指摘され、反省する一面も。夫婦で不妊治療を受けている。
アレグラ・アオキ(タムリン・トミタ/声:葛城七穂)
聖ボナべントゥラ病院を支配する財団の社長兼副会長。常に冷静で客観的な視点で判断を下す知的な女性。ショーンの採用に関しても、双方の意見に耳を傾ける。
オードリー・リム(クリスティーナ・チャン/声:相沢恵子)
外科の女性医師。台湾出身。感情に左右されないクールな性格で、研修医に対しては厳しく接する。
モーガン・レズニック(フィオナ・グーベルマン/声:池澤春菜)
コイル医師のチームにいた研修医。コイルが病院を去ったため、メレンデスのチームに加わる。医師としては優秀だが対抗意識が強く、常に点数稼ぎに余念がない。「自分が損をしない限り人には親切にする」を公言している。
アレックス・パク(ウィル・ユン・リー/声:菊池康弘)
コイル医師のチームにいた外科医。コイルが病院を去ったため、メレンデスのチームに加わる。元警察官で、警察で培った人の心や行動などを読む能力を医師の仕事に生かしている。過去の素行を調べるなど、時にやりすぎる面も。
リア(ペイジ・スパラ/声:保澄しのぶ)
ショーンが恋心を抱いている隣人。自動運転車の設計開発をするベンチャー企業で、技師として働いている。自閉症に偏見を抱かず、ショーンの変わった言動にも笑って対応できる社交的で明るい女性。音楽と古い車が大好き。
ショーンとデートをするなど意気投合していたが、会社を辞めてペンシルバニアに移住することを決め、サンノゼから去っていく。
ケニー(クリス・デリア)
リアが引っ越した後、34号室に越してきたショーンの隣人。いつも気安くショーンの部屋に出入りし、ショーンの持ち物やお金を自分のもののように使う。ショーンを「友達」と呼ぶが、自身の友人たちとの集まりにはショーンを参加させない。窃盗の逮捕歴がある。
スティーヴ・マーフィー(ディラン・キングウェル/声・朝井彩加)
幼い頃に事故で亡くなったショーンの弟。いつもショーンを信じ、励ましてくれた最大の理解者。暴力的な父親からショーンを守るため2人で家出し、放置されたバスの中で暮らしていた。
ショーンが肌身離さず持ち歩いているオモチャのメスは、スティーヴがプレゼントしたもの。
各話のあらすじと感想(ネタバレ有)
第1話「雨の日の匂い」
自閉症でサヴァン症候群でもある青年医師ショーンは、サンノゼにある聖ボナベントゥラ病院の研修医として勤務することに。
第2話「嘘と皮肉」
外科医として働き始めたショーンだが、上司のメレンデスは患者の心の機微を理解できないショーンに雑用係を命じる。
第3話「ひとつの命
ショーンとクレアは、肝不全のチャックのためにヘリでサンフランシスコの病院へ移植用の肝臓を取りに行くことに。
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第5話「偽りの希望」
ショーンは、弟スティーヴにそっくりな少年エヴァンと出会う。エヴァンは骨肉腫で余命わずかとされていた。
第6話「決断と結果」
ERの深夜勤務中だったショーンたちのもとに、20人以上の負傷者が運び込まれる。
第7話「22歩」
自閉症の青年・リアムが額にけがをして運び込まれる。ショーンの対応でリアムは落ち着くが、検査で胆道に瘢痕が見つかる。
第10話「勇気と犠牲」
ショーンはセラピーの受診をめぐってグラスマンと対立。クレアはコイル医師からセクハラを受ける。
グッド・ドクター第10話ネタバレ|逃げ出すショーン、ジャレッドは解雇
第11話「思い出の作り方」
ショーンはリアの部屋に隠れてグラスマンをやり過ごし、リアの提案で病院を休んでドライブに行く。
第12話「思い出の紡ぎ方」
ジャレッドは病院に解雇を撤回させるため、弁護士を雇って「人種差別」を指摘させる。解雇は取り消されるが…。
グッド・ドクター第12話ネタバレ|ショーン復帰、リアとの別れ
第13話「7つの理由」
クレアは夫のDVに苦しめられてきた妻テッサから、くも膜下出血で運び込まれた夫を殺してほしいと手術を拒否される。
第15話「親愛なる誰かへ」
メレンデスのチームに、コイルの元にいた医師アレックス・パクが加わる。アレックスは元警官で45歳だった。
第16話「治せない痛み」
ショーンとクレアは、10年前のバイク事故で胸部から下が麻痺したハンターを担当。ハンターは麻痺したはずの両足に痛みを感じると訴える。
第17話「笑顔の価値」
ショーンはグラスマンのために、コーヒーショップのデビーを引き合わせる。2人は共通の趣味で盛り上がり、意気投合するが…。
最終話「友情と思い出」
ケニーに裏切られたショーンは、グラスマンに友達になりたいと伝える。だがグラスマンは手術不能な脳腫瘍に犯され、余命約1年半と診断されていた。
予備知識
自閉症
脳の機能障害あるいは成熟の遅れが原因と考えられている障害。乳児期から他者と視線が合わない、あやしても笑わないなど、愛着行動の遅れが見られる。しかし、親や世話をしてくれる人に愛着を示すようになり、人を拒絶しているわけではない。
知恵蔵より
特徴としては、幼児期には表情の乏しさや反応の少なさなどが見られ、また、他の子供に無関心で遊びに加わらない、言葉の遅れや他人の言葉を繰り返す(反響言語)、抑揚のない話し方、などがある。こだわりが強くて生活上のパターンの変化を嫌がり、儀式的な行動が見られる。
通常、3歳くらいまでに特有の症状が出現するが、年齢によってその現れ方は変化する。幼児期からの自閉症療育で、成長してからの状態が改善する率が高くなる。
サヴァン症候群
自閉症や知的障害をもちながら、ある特定の分野で非常に卓越した才能を発揮する症状の総称。男性に多く、記憶力・音楽演奏・絵画などにおいて天才的な能力をもつ。
デジタル大辞泉より
空間認識力
三次元空間における物体の状態や関係(位置・方向・形状・姿勢・間隔・速度など)を、すばやく正確に把握する能力。平面図から立体的な空間を想像したり、球技で飛んでくるボールの軌道を瞬時に把握したりする能力がこれにあたる。
デジタル大辞泉より
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