「Vienna Blood」第1話・第2話|フロイトやクリムトやマーラーが生きている時代

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海外ドラマ「Vienna Blood(ヴィエナ・ブラッド)」第1話・第2話のあらすじと感想です。

1906年のウィーンが舞台というだけで、ワクワクが止まりません! フロイトもクリムトもマーラーも生きてる時代。最高ですね…。

主人公マックスとラインハルト警部は、霊能者を装う女性が殺された奇妙な事件の捜査に挑みます。個人的には謎解きよりも、実在の人物や歴史的な出来事を発見するほうが楽しかったです。

第1話・第2話「The Last Seance」のあらすじ

1906年、ウィーン。レオポルトシュタットで、白いドレスを着た身元不明の女性の遺体が発見される。彼女は至近距離で射殺されていたが、部屋の中に凶器はなく、扉には鍵がかかっていた。

フロイトに傾倒する研修医マックス・リーバーマンは、事件を担当するウィーン警察のオスカル・ラインハルト警部に同行して捜査に協力することに。検視の結果、女性の体内に銃弾は残っておらず、射出口もないことがわかる。

マックスは恋人のクララと展覧会へ行き、クリムトの「ベートーヴェン・フリーズ」を観賞。そのとき博物館の女性職員アメリアが突然大声をあげて暴れだし、マックスは彼女を勤務先の精神科病院へ運んで入院させる。

捜査担当を外されそうになったオスカルは、マックスの観察眼を見込んで意見を求める。被害者の家を調べたマックスは、彼女が霊能者のふりをした詐欺師だったことを見抜く。彼女が犯人に強要された遺書には「私たちは」と書いた痕跡があり、遺体を調べると妊娠していたことが判明する。

オスカルは彼女のドレスを仕立てた裁縫師を見つけ、被害者の名前がシャルロッテ・レーヴェンシュタインであることや、彼女が奇術師オットー・ブラウンと組んで“降霊会”を開いていたことを知る。

オスカルとマックスは劇場に住み込んでいるオットー・ブラウンを連行。ブラウンは彼女と一緒に詐欺を働いていたことは認めるものの、殺害は否定する。マックスは犯人が自らの評判を守るために愛人だったシャルロッテを殺したと考え、裕福な者の仕業だと推測する。

警察の捜査に協力したことが噂になり、マックスは勤務先の指導医グルーナーに叱責される。グルーナーは時代遅れな“電気ショック療法”による治療を行っており、マックスが入院させたアメリアにも電気ショックを加える。

シュトラッサー署長の命令でブラウンは釈放されるが、劇場で何者かに殺害されてしまう。ブラウンの部屋で見つかったメモから、降霊会に参加していた4人が明らかになる。彼らはいずれも近しい者を亡くしており、死者に会いたいという気持ちから降霊会に参加していた。

市長の支援者であるヘルダーラインを取り調べたことで、鋼鉄会社を経営する街の有力者ブルクミュラーが署に乗り込んでくる。だがマックスとオスカルは、ヘッダーラインが何かを知りながら隠しているとみていた。

やがて凶器が骨董品の銃と判明。人の組織と骨の破片を銃に詰めて撃てば、衝撃で痕跡が残らないことがわかる。シュトラッサー署長はブルクミュラーに圧力をかけられ、捜査情報を漏らしたことを明かす。

マックスはブルクミュラーを呼び出し、観覧車の中で犯行を問い詰める。シャルロッテは密かに写真を隠し撮りして愛人のブルクミュラーを脅迫し、殺されたのだった。部屋の鍵は鉗子を使って外側からかけられ、その鉗子にはブルクミュラーの会社のイニシャルが入っていた。ブルクミュラーはマックスに襲いかかり観覧車から突き落とそうとするが、オスカルに撃たれる。

マックスは患者のアメリアが過去に男に襲われたことがあり、そのとき男がつけていた香水の匂いに反応して興奮状態に陥ることを突き止める。その記憶から解放されるよう彼女を導くマックス。アメリアが完治したのを確認したグルーナー教授は、電気ショック療法が成功したと発表する。

マックスは恋人のクララに「本心を教えて」と問い詰められ、思わず「妻になって」と告げる。

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第1話・第2話の感想(ネタバレ有)

フロイトが切り拓いた新たな分野

主人公のマックスは精神科病院に勤務する若き研修医。しかし時代遅れな指導医グルーナー教授についていけず、ジークムント・フロイト(1856~1939)の講義に通っています。

当然、反感買いまくり。どうやら彼、ちょっと空気が読めないところがあるようで、いろんな人から「しゃくに障る男だ」と言われているらしい。

今では誰もが知るところとなった心理学ですが、当時は「怪しげな学問」と思われていました。「心の病気」というものが、まだ認知されていなかった時代。心の傷が原因で病気になるなんて、信じがたいことだったのでしょう。

現代のわたしから見れば、電気ショック療法のほうがよっぽど「怪しい」のですが…。

マックスの父親も、フロイトに傾倒する息子の将来を心配していました。まさか100年後に心理学が大ブームを巻き起こすとは、当時の人たちは思ってもみなかったでしょうね。

最初はマックスを見下していたラインハルト警部も、マックスが見事に状況を言い当てたことで態度を変え、意見を求めるようになります。

彼らが「犯人像(プロファイル)」という言葉を使うたびに、相手が「はぁ? 何それ?」と聞き返すところが面白かった。

反ユダヤ主義

フロイトは才能に恵まれた人でしたが、出世はできませんでした。当時はユダヤ人が大学で教職に就くことは難しい時代でした。彼が開業医になったのは、その道しかなかったからです。

主人公のマックスもまたユダヤ人であることが示されています。マックスの姉レアは「この街に来て苦労したでしょ。懸命に社会に溶け込んだ。クララのおかげで世界が開けた」と語っていました。

今回の犯人ブルクミュラーは、エリートが集まるパーティーにマックスの父親を招き、自分の地位を誇示しつつ「ユダヤ人のできることはたかが知れている」と言い放っていました。要するに「金を出せ」ってことですかね。

劇中に登場する“市長”は、カール・ルエーガー(1844~1910)。反ユダヤ的内容の演説で人気を得て、1897年にウィーン市長になりました。

彼が言った「誰がユダヤ人かは私が決める」というセリフは、都市改造を行った際にユダヤ人の資本家から援助を受けたことを批判され、言い返した言葉だとされています。

かの有名な作曲家でありウィーン・フィルの指揮者でもあったグスタフ・マーラー(1860~1911)もユダヤ人で、劇中では彼がピアノ伴奏をするコンサートで、拍手が少ないことにマックスが憤る場面がありました。

ベートーヴェン・フリーズ

マックスが恋人クララと一緒に出かけた展覧会では、グスタフ・クリムト(1862~1918)の「ベートーヴェン・フリーズ」が展示されていました。

「ベートーヴェン・フリーズ」は、クリムトが40歳の頃に手掛けた壁画作品。1901年に開催された、作曲家ベートーベンに焦点をあてた「第14回ウィーン分離派展示会」のために制作されました。

この壁画はベートーヴェンの「交響曲第九番」をテーマにしていて、「幸福への憧れ」「敵対する勢力」「歓喜の歌」の3つの面から構成されています。

しかし展示された当時は(露骨な性描写に)非難ごうごうで、一部の人間以外は敬遠し、展覧会はあまり成功しなかったとか。

ドラマの時代設定は1906年なので、分離派展示会からは5年経っていることになります。その間に評価が変わったのか、それともマックスが数少ない一部の人間だったのか、彼は絶句する恋人クララの隣で「傑作」と絶賛していました。

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