「Vienna Blood」第3話・第4話|ウィーンが移民都市になった事情

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海外ドラマ「Vienna Blood(ヴィエナ・ブラッド)」第3話・第4話のあらすじと感想です。

今回も盛りだくさんで楽しかったですね~。

当時のウィーンの空気を感じられる興味深いストーリーでしたが、その一方で犯人の動機には「んん~?」と首を捻りたくなる部分も。

事件そのものは温かい目で見たほうがよさそうです。

第3話・第4話「Queen of the Night」のあらすじ

1907年。マックスとクララの婚約パーティーが開かれる。そこへ殺人事件の知らせが入り、マックスはクララの許しを得て警部とともにシュピッテルベルクの娼家へ向かう。

無惨に殺された3人の娼婦のうち、なぜかヨゼフィーネだけがベッドに横たえられ、手には十字架が握られていた。オスカルはヨゼフィーネに入れあげていた常連客ヴィクトル・クリュルを逮捕する。

早期解決に舞い上がる警察だったが、クリュルの母親は無実を訴える。クリュルは知能の遅れで幼児程度の理解力しかなく、娼家に通っていたのは以前ヨゼフィーネに助けられたことがあったからだと言う。

しかしヨゼフィーネが握っていた十字架はクリュルのもので、自宅からは血染めの服が見つかる。マックスは彼を犯人と断定することに異論を唱えるも、警察はクリュルを起訴し、記者会見で公表する。

博物館でアメリアと再会したマックスは、クリュルの服の血を調べてほしいと依頼する。マックスは、クリュルは第一発見者にすぎず、ヨゼフィーネが殺されたことに動揺して死体を整え、手に十字架を握らせたのだと考えていた。

クリュルの服の血は動物の血だと判明するが、クリュルは独房でごろつきたちに制裁を加えられ、殴り殺される。さらに鶏肉店の主人が殺される事件が発生し、クリュルの無実が証明される。

遺体のそばの壁にはルーン文字が記されていた。父の友人トリーベンバッハが持参した“根源たる火の同胞”のチラシに同じ文字を見たマックスは、チラシの絵を描いた画家オルブリヒトを訪ねる。

オルブリヒトは特別に依頼された図案だと言い、作品の展覧会に依頼主である〈根源たる火の同胞〉のメンバーが集まると教える。

チラシには「我らの血を浄化すべし」「劣る民族を排除せよ」と書かれており、依頼主が犯人を駆り立てた可能性があると考えたマックスは、クララを連れて展覧会に出かける。

展覧会にはトリーベンバッハと彼の甥であるハフナー中尉もやってくる。2人が〈根源たる火の同胞〉のメンバーだと気づいたマックスは、父メンデルにその事実を明かす。メンデルは悩んだ末に彼からの投資を断り、友人関係を断つ決断をする。

地下水路でアフリカ人男性の遺体が発見される。壁には例のルーン文字が描かれていた。オスカルは「政治的な背景がある」と署長に報告。マックスはほかにも共通点があるはずだと考える。

展覧会でクララを見初めたハフナーは、クララの家を訪ねて交際を迫る。マックスはクララとともにモーツァルトのオペラ「魔笛」を鑑賞し、事件が「魔笛」になぞらえて起きていることに気づく。

マックスがハフナーを疑っていることを知ったクララは、真相を突き止めようとハフナーを自宅に招くが、襲われかけたところをマックスに助けられる。ハフナーの決闘を受け入れたマックスは、彼が友人に誘われて娼家へ行ったことを知る。

犯人が画家のオルブリヒトだと気づいたマックスは、決闘を放棄してオスカルを探すが見つからない。その頃、オスカルはオルブリヒトに捕らえられ、劇場の舞台下に拘束されていた。

駆けつけたマックスは、オルブリヒトが抱えるトラウマを明かす。彼は少年時代に母親が兵士に暴行される現場を目撃していた。オペラ「魔笛」の音楽は、母親が犯される間ずっと流れていた曲だった。

魔笛の登場人物を殺せば母親の悲鳴が止まると思い込み、犯行に至ったことを認めるオルブリヒト。マックスはオルブリヒトを殴って警部を救出する。

クララはマックスがほかの女性を愛していることを指摘し、マックスとの結婚をとりやめると言う。

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第3話・第4話の感想(ネタバレ有)

人間は自分の片割れを探す

かつて双頭だった人間に畏れのなさを見た神々は、罰として人間の体を真っ二つにした。それ以降、人間は自分の片割れを探す。運命の相手は万人に存在する。神が奪ったもう一人の自分が。

オープニングで語られたこの伝説は、古代ギリシアの哲学者プラトンの著書『饗宴』の中で、喜劇詩人アリストファネスが語った話として登場します。

人間はもともと背中合わせの球体(アンドロギュノス)で、神によって半分ずつに切り離されたというもの。そのため人間は互いに失われた半身を求めるのだそうです。

異性愛や同性愛の根拠として語られていて、現在でもさまざまなところで引用されるので、一度は聞いたことがあるのでは。

ウィーンが移民都市になった事情

今回は移民が次々と殺されていく連続殺人事件。マックスの父メンデルが友人だと思っていたトリーベンバッハは、移民を排除しようとする愛国者〈根源たる火の同胞〉のメンバーでした。

従業員たちを守るために、投資を断ってトリーベンバッハと縁を切る決断をしたマックスパパ。カッコよかったです。この件で立場が危うくならなければいいけど…。

1900年当時、ウィーンの人口は約165万人でした。1851年が43万人、1800年が23万人なので、爆発的に増えていることがわかります。その最大の要因は、外部からの流入でした。

1866年にプロイセン(現在のドイツ北部からポーランド西部)との戦争に敗れたオーストリアは、プロイセンの宰相ビスマルクが掲げるドイツ統一から排除されてしまいます。なんとか国を存続させるためにオーストリアがとった政策が「他民族の取り込み」でした。

この頃には、絶対的支配者だったハプスブルク家は既に弱体化していて、国を維持するためには第2の有力民族であるハンガリー人に協力してもらう必要があったのです。

そうしてオーストリア=ハンガリー二重帝国が誕生。首都ウィーンは西側よりも東に向けて開かれた都市となり、ハンガリーやボヘミア、ポーランドとの結びつきを強めていきました。

移民の流入は「ドイツ民族主義運動」を生み出しましたが、ウィーンにはあらゆる民族出身の才能が集まり、新しい芸術文化が拡大する要因ともなりました。

モーツァルトのオペラ「魔笛」

娼家の常連客クリュルを誤認逮捕してしまったウィーン警察。そのうえクリュルはほかの犯罪者から暴行を受けて、独房内で死んでしまいます。彼はただヨゼフィーネを愛しただけなのに…。

真犯人はトリーベンバッハの甥で〈根源たる火の同胞〉のハフナー中尉かと思いきや、チラシの絵を描いた画家オルブリヒトでした。

オルブリヒトは幼少時のトラウマを抱えていて、モーツァルトのオペラ「魔笛」になぞらえて事件を起こしていたのです。

ざっと説明すると、こんな感じ。

  1. 大蛇が現れ王子を襲う場面
    ビューロー警部補が担当したヘビ盗難事件。モーツァルト像の近くでヘビの死骸が見つかりました。
  2. 夜の女王に仕える3人の侍女の場面
    3人の娼婦が殺された最初の殺人事件。
  3. 鳥刺しパパゲーノの場面
    鶏肉売りの主人が殺された2番目の事件。
  4. 奴隷頭モノスタトス(ムーア人)の場面
    アフリカ人男性が殺された3番目の事件。
  5. 神官ザラストロが裁きを下す場面
    警官のオスカルを拉致。

ドラマとしては面白かったからいいんだけど、「魔笛の登場人物を殺すことができたら、母親の悲鳴が止まる」という動機がイマイチしっくりこなかったです。それだと移民は関係なくない?

ちなみに①で登場したモーツァルト像は、現在ブルク庭園(王宮庭園)にあるウィーンで最も有名な彫刻の一つ。1896年に造られました。

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