WOWOW「ポイズンドーター・ホーリーマザー」第5話ネタバレあらすじ感想

WOWOWドラマ「ポイズンドーター・ホーリーマザー」

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WOWOWの連続ドラマ「ポイズンドーター・ホーリーマザー」第5話「優しい人」のあらすじと感想です。

今回の話がいちばん怖かったです。

全員怖いんですよ…明日実も、友彦も、淳哉も。明日実の母親も、友彦の母親も、会社の上司も同僚も、みんな怖い。人間不信になりそう。

わたしは「誰にでも優しく」はできないので、共感できる部分は少なかったです。「誰にでも優しい人って、誰にも優しくない」って、本当かしら。

「優しさ」って何なのか、考えてしまいました。

第5話「優しい人」のあらすじ

樋口明日実(倉科カナ)は、同僚の奥山友彦(浜野謙太)を殺害。法廷では友彦の母や職場の同僚、明日実の母らが証言台に立ち、それぞれの思いを語っていた。

子どもの頃から母に「優しい人」になりなさい、と言われてきた明日実。幼稚園の時は鼻水を手で拭くクセがある幸直君と手を繋いで登園し、小学校の時はゲロを吐いた修造君にハンカチを渡してあげたことを思い出す。

ある日、職場に中途入社してきた淳哉(奥野瑛太)に「誰にでも優しい人って、誰にも優しくない」と指摘される。明日実は傷つくが、淳哉は自分も同じだと打ち明け、2人は密かに付き合い始める。

その頃から、淳哉のプライベートを暴露するメールが社内に出回り始める。さらに、明日実のスマホに盗聴アプリが仕込まれていることが判明。明日実は同僚の友彦の仕業ではないかと疑う。友彦は日頃から優しく接してくれる明日実に好意を持っているようだった。

明日実は職場のバーベキューイベントに参加するが、なぜか友彦と2人きりだった。淳哉からのメールで友彦が中止だという連絡を入れていたことがわかる。友彦は今までずっと盗聴していたこと、社内に淳哉の暴露メールを送ったことを明かし、明日実に結婚してほしいと迫る。

明日実はそばにあった包丁を掴むと友彦を刺し、倒れた友彦の体に馬乗りになって何度も包丁を突き刺した。法廷に立った明日実は、最後に「優しい人って、どういう人ですか? 私は優しい人ですか?」と訊ねる。

登場人物(キャスト)

樋口明日実(倉科カナ)
母親の躾で、幼い頃から人に優しく接してきた。職場で嫌われている同僚の友彦に対しても、丁寧な対応を心がけている。途中入社の淳哉から「誰にも優しくない」と指摘され、動揺する。

奥山友彦(浜野謙太)
明日実の職場の同僚。失敗ばかりで上司から叱責されることが多く、同僚からも嫌われている。いつも優しくしてくれる明日実に好意を抱く。

徳田淳哉(奥野瑛太)
明日実の会社に途中入社してきた男性。愛想も要領もよく、上司への取り入り方がうまい。なぜか初日から明日実のことを気に掛け、無遠慮に声を掛けてくる。

斉藤萌(柳ゆり菜)
明日実の職場の同僚。笑いながら明日実に嫌な仕事を押しつける。淳哉を恋人にしようと狙っている。

明日実の母(赤間麻里子)
シングルマザー。幼い頃から明日実に「優しい人になりなさい」と命じてきた。

第5話の感想

原作を読んだとき、この話がいちばん怖いと思った。

小説では半分くらい法廷での証言によって構成されているので、友彦が客観的に見てどういう人間だったのかは、わからないんですよね。この証言が、ものすごくモヤモヤするんです。

母親も、教師も、同級生も、同僚も、友彦のことを語っているように見えて、実はそうじゃない。みんな、自分の正当性を語っているんです。「私は悪くない」ってことを、暗に主張しているんです。だから、誰も本心を語らない。

ドラマでは、同僚の萌が顕著でしたね。友彦の前ではニコニコして、いないところで悪口を言いまくる。法廷では友彦を褒めまくっていたけど、実際はそんなこと思ってもいなかったはず。

これ、現実世界そのものです。自分を守るためなら、人はどんなウソもつけるんです。そしてみんながウソをついて〝優しい人〟に責任転嫁した結果、彼女がすべての罪を背負うことになった。

こんな怖い話ありますか。

明日実の優しさは、本物だったのでしょうか。それとも、偽善だったのでしょうか。

明日実はイヤイヤ優しくしているわけではないんですよね。幸直くんのことも修造くんのことも友彦のことも、嫌っているわけではない。でも、「我慢できないことじゃない」レベルの我慢って、地味にこたえます。

幼い頃から優しさの美徳を押しつけられ、自分を犠牲にすることが日常的になっている彼女には、きっと「我慢」という認識すらなかっただろうと思います。だから、自分の心が限界に達していることにも気づけなかった。

明日実のお母さんが命じる「優しさ」って、優しさというより「自己犠牲」なんですよ。自己犠牲を親から命じられるなんて、明日実の気持ちを想像しただけで辛くなります。

あのお見合い相手にしても、明日実自身が選ぶならともかく、どうして親に「この人はあなたを必要としてる」なんて言われなきゃならないの? 「どんな人にも平等に優しく」ってなんなの?

誰にでも優しい人は、誰に対してもさほど興味がない、という淳哉の言葉には頷ける部分もある。けれど、明日実の場合はそういうふうに育てられた上に、そのことに気づくのが遅かった。

誰だって、誰かにとっては「優しい人」だし、誰かにとっては「悪魔のような人」になる。まぁ悪魔は極端だけど、それでいいんじゃないのかなぁ。

* * *

今回も、今までの回とリンクする場面がありました。明日実の弁護士は、第3話に登場した弁護士・比奈律子でした。友彦が明日実を誘った映画は、第4話の涼香の遺作「ベストフレンド」です。

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