ポイズンドーター・ホーリーマザー第3話|虐待の真相は?明かされた真実にゾッとする

WOWOWドラマ「ポイズンドーター・ホーリーマザー」

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夏蜜柑
どうも、夏蜜柑です。

WOWOWの連続ドラマ「ポイズンドーター・ホーリーマザー」第3話。

若手のおふたり、清原果耶さんと髙橋優斗さんの演技にゾッとしました。

主人公・幸奈の一人語りと回想による不幸な子どもたちの話かと思いきや、ラストで見事に反転。湊かなえさんらしい、ヌメッとした後味が残るストーリーでした。

原作を読んで結末を知っていても、幸奈の母・聡美の言動は怖かったです。

第3話「罪深き女」の概要


  • ショッピングモールで買い物をしていた幸奈(清原果耶)は、かつて同じアパートに住んでいた正幸(髙橋優斗)と再会する。再会を喜び連絡先を渡す幸奈だったが、正幸はその直後に無差別大量殺人事件を起こす。
  • 逮捕された正幸が黙秘を続けていることを知った幸奈は、律子(峯村リエ)の弁護士事務所を訪れ「すべての罪は私のせいなんです」と告白を始める。
  • 正幸がアパートに引っ越してきたのは、幸奈が中学生のときだった。母子家庭で境遇が似ていた幸奈と正幸は顔を合わせることが多く、幸奈は正幸を見かけるたびに母親の志保(水崎綾女)からの虐待を疑っていた。
  • 幸奈は厳格な母・聡美(坂井真紀)の目を盗んで正幸の様子を見に行ったり、食べ物を渡したりした。ある日、幸奈は学校帰りに正幸と遠出をし、帰りが遅くなってしまう。
  • 半狂乱になった聡美は警察を呼び、帰ってきた幸奈が正幸と一緒だったと知ると、正幸の母親を激しく咎め、罵倒する。聡美から厳しく叱責された幸奈は、正幸に「助けて」と漏らす。
  • 幸奈は正幸がアパートに火をつけ、聡美と志保を殺したのだと告げる。だが実際には志保のタバコが原因だった。律子は逮捕された正幸と面会し、事実を確かめる。
  • 正幸は虐待を受けておらず、志保から愛されていた。志保と志保の恋人に嫌がらせの手紙を大量に送りつけ、イタズラ電話を繰り返し、2人を別れさせ、志保を襲って怪我をさせたのは、幸奈の母・聡美だった。
  • 正幸は「その女のせいで俺の母親は死んだ」と主張し、幸奈に〝死ね〟と伝えてほしいと律子に話す。正幸と心が繋がっていると感じていたのは、幸奈の思い込みだった。


  • 放送局:WOWOWプライム
  • 放送時間:7月20日(土)夜10時
  • 原作:湊かなえ『ポイズンドーター・ホーリーマザー』
  • 第3話脚本:藤澤浩和(「チア☆ドル」「FOREVER14」)
  • 第3話監督:滝本憲吾(「鈴木先生」「女はそれを許さない」)
  • 音楽:きだしゅんすけ/池永正二

登場人物(キャスト)

天野幸奈(清原果耶)
パン工場で働く女性。中学生の頃、同じアパートに住んでいた正幸を弟のように感じ、見守っていた。

黒田正幸(髙橋優斗/中川望)
無差別大量殺人事件を起こした青年。子どもの頃、幸奈と同じアパートに住んでいた。

天野聡美(坂井真紀)
幸奈の母。シングルマザー。生真面目な性格で、幸奈の躾にも厳しい。上の階に引っ越してきた黒田家を疎ましく思っている。

黒田志保(水崎綾女)
正幸の母。シングルマザー。恋人と半同棲のような暮らしをしている。

小日向(松角洋平)
志保の恋人。

比奈律子(峯村リエ)
弁護士。幸奈から話を聞いて、正幸に会いに行く。

第3話の感想

母親からの虐待に耐え、心を閉ざして孤独に耐えている少年・正幸。
中学生の幸奈は正幸に自分自身を重ね、やがて2人は心を通わせるようになります。

怖いのは、前半で描かれた物語が、すべて幸奈の思い込み(妄想)だったということ。

正幸は虐待を受けていなかった。
母親からも、母親の恋人からも愛され、可愛がられていた。

正幸と母親が問題を抱えているように見えたのは、幸奈の母親・聡美が彼らに嫌がらせをしていたからだった。

この作品は、幸奈の目を通して正幸たち親子を描いているように見えて、実は幸奈と母親のいびつな関係を描いているんですね。

わかりやすいように、事実を時系列に並べてみました。

  • 正幸と志保が引っ越してくる
  • 正幸が虐待を受けている、と幸奈が思い込む
  • 聡美が志保と志保の恋人に嫌がらせを始める
  • 志保の恋人が志保を責める ⇒ 幸奈がDVと思い込む
  • 志保が恋人と別れる
  • 聡美が志保を襲って怪我をさせる(推測)
  • 幸奈が正幸と一緒にいたことで、聡美が激怒する
  • 幸奈が正幸に「助けて」と言う
  • 志保のタバコが原因でアパートが火事になる ⇒ 幸奈が正幸がやったと思い込む
  • 聡美と志保が火事で死亡、幸奈と正幸が施設へ
  • 幸奈が正幸と再会する(正幸は幸奈を覚えてない)
  • 正幸が無差別殺人事件を起こす

後半の反転によって、母親からの虐待(支配)に耐えていたのも、心を閉ざして孤独に耐えていたのも、正幸ではなく幸奈だったことがわかります。

幸奈が正幸の支えになっていたのではなく、正幸が幸奈の支えになっていたわけです。

幸奈は母親の支配に苦しむあまり、妄想の世界に逃げていたんでしょうね。
「正幸くんには私が必要」と思うことで、居場所を作ろうとしたのかもしれない。

幸奈が友達のように話していた学校の同級生。
恋人だと言っていた職場の男性同僚。

いずれも彼女の妄想で、実際は友達でも恋人でもなかったんでしょう。

彼らの幸奈に対する態度を見ると、彼女が周りから「変なヤツ」と思われていること、普段から自分だけの妄想の世界に閉じこもっていることが容易に想像できます。

好感度の高い清原果耶さんだからこその適役でした。

清原さんは7月26日(金)からNHK・BSプレミアムで始まる連続ドラマ「螢草 菜々の剣」にも出演されます。こちらも楽しみです。

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正幸の人生は、幸奈と聡美に出会ったことで一変しました。彼を無差別殺人に追い込んだのが幸奈と聡美だと考えるのは短絡的ですが、心を病む一因を作ったことは確かです。

ドラマ版では、正幸は事件を起こした動機を語りませんでした。

あえて理由をなくして正幸の深い心の闇を見せ、視聴者をぞっとさせる演出になっていましたが、髙橋優斗さんの演技も含めてよかったと思います。

ちなみに原作では、正幸は犯行の動機について「運の悪い人生に嫌気がさしたから」と語っています。