WOWOW「絶叫」最終話|原作とは違うラストと〝絶叫〟

連続ドラマW「絶叫」

「絶叫」

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どうも、夏蜜柑です。
WOWOWの連続ドラマ「絶叫」最終話(第4話)。

ラストが原作と違う……。

小説の終わり方が好きだっただけに残念。
コンプライアンス的に無理だったんでしょうか。

ラストには不満が残りましたが、後半2話の出来映えは文句なしに素晴らしかった。
たった4話とは思えない重量感のあるドラマでした。

最終話のあらすじ

  • 逃亡していた八木徳夫(片桐仁)が北海道で見つかり、陽子の神代(安田顕)殺しが明らかになる。当日、陽子(尾野真千子)は「2人きりになりたい」と神代に持ちかけ、部屋に隠れていた八木がスタンガンで神代を襲撃、倒れ込んだ神代を陽子が日本刀でメッタ刺しにしたのだった。
  • 陽子は事前に探し当てていた床下の金庫にある保険金3億円のうち1000万円を八木に渡していた。綾乃(小西真奈美)は八木が陽子を殺害して3億円を奪ったと疑うが、八木は陽子の殺害を否定する。
  • 陽子の母・妙子(麻生祐未)の自宅にあったへその緒と、国分寺のアパートで発見された遺体のDNAが一致する。綾乃たちは陽子の死を孤独死として処理、遺体は行政の手により荼毘に付された。
  • だが、すべては陽子の計画通りだった。神代を殺す3か月前、陽子はデリヘル時代の同僚・樹里(酒井若菜)に連絡を取り、国分寺に独り暮らし用の部屋を借りていた。そして神代を殺害した後、3億円を持って国分寺のアパートへ向かった。
  • アパートに樹里を呼び、酒と料理を振る舞った陽子は、睡眠導入剤で眠らせた樹里を殺害。猫を放った部屋に放置した。陽子は認知症を患う母・妙子をも首を絞めて殺そうとするが、妙子は自ら死を選ぶ。こうして〝鈴木陽子〟を殺すことに成功した陽子は、樹里の本名〝橘すみれ〟を名乗り、新しい人生を歩み始めた。
  • 綾乃は陽子の生まれ故郷、静岡県三美市を訪れる。以前も訪れたことのあるカフェ「ミス・バイオレット」でお茶を飲む綾乃。陽子がどこかで生きているのではないかと考えていた綾乃は、店のオーナーが陽子に似ていることに気づく。綾乃に声を掛けられた陽子は、「やっと終われる」と呟いて微笑む。
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最終話の感想

陽子と神代の関係

自ら居場所を作ると決めた陽子は、神代から逃げることを決意。
八木に神代殺害計画を持ちかけ、協力させました。

安田顕さんが演じる神代は、原作とは少し印象が違います。原作の神代は容赦なく暴力をふるうので、ある意味「悪人」であることがハッキリしていたのです。

ドラマでは神代の〝凶暴さ〟を封印していました。
それがかえって不気味さを生みました。

彼が陽子や仲間たちに見せる人懐っこい笑顔は、はたして本物だったのか、偽物だったのか。

自分に向かって日本刀をふりかざす陽子に、「泣いたらあかんで。人生、笑ったもん勝ちや」と言う神代。陽子に対する好意は、本物だったのかもしれません。

圧巻のシーンでした。

自ら死を選んだ母・妙子

デリヘル時代の同僚・樹里を国分寺のアパートで殺した陽子は、母・妙子も殺そうとします。

妙子が生きていたら、DNA鑑定で遺体が陽子ではないことがわかってしまうからです。
妙子を殺して、樹里が持っていた「へその緒」を妙子の部屋に置く……という計画でした。

妙子の首を絞めようとした陽子は、思わず躊躇してしまう。
妙子は陽子の名前を呼び、自ら崖下に身を投げる。

一瞬だけ正気に戻った妙子。
どんな気持ちで、娘に殺されることを受け入れたんだろう。

原作では、妙子は必死に抵抗します。
やめてと叫んで、身をよじって暴れて、陽子の肩を掴んで引き離そうとします。

「陽子」と呼ぶ母親の首を絞め、命が消えていくのを実感しながら、陽子は「ありがとう」と絶叫するのです。

タイトル「絶叫」について

原作におけるタイトル「絶叫」は、陽子が母親を殺すときに叫んだ言葉だとわたしは思っています。

自分をこの世に産んでくれた母親。
自分を愛してくれなかった母親。

母親への屈折した思いを「ありがとう」という言葉で表現せずにはいられなかった、陽子の暗い激情に揺さぶられるシーンでした。

一方、ドラマにおける「絶叫」は、第3話で故郷の海に向かって吠えるシーンだったのではないでしょうか。個人的にはこのシーンの絶叫が最も印象に残りました。

原作とは違うラスト

樹里こと〝橘すみれ〟と入れ替わることに成功した陽子。

陽子は〝橘すみれ〟として、故郷で「ミス・バイオレット」というカフェを経営してましたが、店を訪れた綾乃に気づかれてしまいます。

最後は、陽子が綾乃に見つけられてホッとしたような表情を浮かべるシーンで終わりました。

原作では、刑事の綾乃が陽子の正体に気づく場面はありません。
陽子は整形して、まったく別の顔になっています。

原作の陽子が、最終的に幸福を手に入れるのかどうかは、わかりません。
あるのは、幸せになろうとする陽子の強い意志だけです。

わたしはこの原作のラストに強く心を打たれました。
ドラマでは、犯罪を認める描写は問題があったのかもしれませんが……。

全4話と短い話数でしたが、後半は心に残るシーンばかりでした。
尾野真千子さんと安田顕さんの演技に圧倒されました。

主人公の陽子は、1973年生まれ。
原作では陽子のたどってきた人生が、時代背景と共に丁寧に描かれています。

わたしは陽子と近い年代だったので、特に興味深く読むことができました。
原作もおすすめです。

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