海外ドラマ「アストリッドとラファエル 文書係の事件録」シーズン2(全8話)についてまとめました。
犯罪資料局で働く自閉症のアストリッドと、猪突猛進型の刑事ラファエルがコンビを組んで事件解決に挑むフランス発ミステリードラマの第2シリーズ。
後見人だったガイヤールを亡くし、独り立ちしたアストリッド。膨大な資料と知識、優れた観察眼をもとに難事件解決に挑み、相棒ラファエルとの友情を育んでいきます。
日本がらみの事件やアストリッドの恋のお相手などが登場し、ますます面白くなってきました!
▼シーズン1はこちら
ネタバレ「アストリッドとラファエル」シーズン1全話あらすじ・感想・登場人物(キャスト)一覧Contents
作品概要
- 放送局:AXNミステリー
- 製作国:フランス(2021年)
- 原題:Astrid et Raphaëlle
- 脚本:アレクサンドル・ド・セガン/ローラン・ブルタン
- 監督:エルサ・ベネット/イポリット・ダール/フレデリック・ベアト
あらすじ
大きな合併を成立させた弁護士が、12名の出席者がいる会合で白昼堂々射殺された。犯人を見た者は誰もおらず、現場には死んだホシムクドリが残されていた。アストリッドとラファエルが捜査を進めていくと、被害者の意外な過去が明らかになる。捜査班は昔テレビで活躍していた魔術師のカルミーヌにたどり着く。
AXNミステリー公式サイトより
予告動画
登場人物(キャスト)
※シーズン1のネタバレを含みます
主要人物
アストリッド・ニールセン(サラ・モーテンセン)
パリ犯罪資料局の文書係。自閉症。幼い頃、警察官だった父親の調書に興味を示し、調書を読むことで犯罪科学の知識を身につけた。その後、父の友人ガイヤールの研修を受け、犯罪資料局に就職。優れた洞察力でラファエルの力となり、自立した人間としての自信をつけていく。謎解きとパズルが大好きで、完成させるまで何も手につかない。
ラファエル・コスト(ローラ・ドヴェール)
パリ警察の警視。おおらかで少々がさつな性格。 思いつきで行動する猛進型で、仕事熱心なあまり規則違反を犯すことも。他人を理解して受け入れる包容力を持ち、すぐにアストリッドの才能を見抜いて捜査に引き込む。夫とは離婚し、息子テオの親権を失っている。幽霊などオカルト的なものに弱い。
警察関係者
ニコラ・ペラン(ベノワ・ミシェル)
警部。ラファエルの同期でよき相棒。ひそかにラファエルに想いを寄せている。ラファエルが元恋人のフォレストと再び接近し、気が気じゃない。
アルチュール・アンギャン(メレディン・ヤクビ)
警部補。ラファエルとニコラの部下。ニコラのラファエルに対する気持ちに気付いており、告白できない彼をからかう。
カール・バシェール(ジャン=ルイ・ギャルソン)
警視正。ラファエルの上司。アストリッドが捜査に深入りすることに複雑な感情を持っている。
アンリ・フルニエ(ウスキ・キアル)
監察医。元軍医で、特殊部隊に同行していた。当初はアストリッドの意見を受け入れようとせず頑なな態度を取っていたが、現在は優秀な犯罪学者として彼女を認めている。
ジュリアン・フレデリック(ブルース・テソール)
科学捜査官。現場で出会ったアストリッドに一目惚れするも、シーズン1であっけなくフラれた。
アストリッドの関係者
アンギュス・ニールセン(アリオシャ・イトビッチ)
アストリッドの亡父。警察官。幼いアストリッドが犯罪学に興味を示すことに気付き、調書を持ち帰っては犯罪科学について語り合った。友人のガイヤールに頼み込んでアストリッドを犯罪資料局で働かせる。
マチルド・ニールセン(エリザベス・モーテンセン)
アストリッドの母。アストリッドが幼い頃に家を出て音信不通だったが、20年ぶりにアメリカから帰国し、再会。ときどきアストリッドと会っている。
アラン・ガイヤール(ジョフロワ・チボー)
犯罪資料局の元長官。友人だった彼女の亡き父親からアストリッドを託され、後見人となる。シーズン1の最終話で事件に巻き込まれ、命を落とす。
ウィリアム・トマ(ジャン・ブノワ・スイル)
アストリッドが通う〈社会力向上クラブ〉のリーダー。アスペルガー症候群。ITと鉄道に詳しく、時に捜査に協力する。アストリッドが捜査にのめりこんで限界を超えないよう、豆を渡してストレスを数えるように助言する。
アプ・タナカ(アキヒロ・ニシダ)
アストリッドが幼い頃から通っている食料品店の店主(月曜は彼の店で買い物をすることになっている)。日本語で挨拶してくれるアストリッドに感謝し、自閉症について学んだ。
テツオ・タナカ(ケンゴ・サイトウ)
アプ・タナカの甥。水曜は彼が店番をしている。数字が好きで、数学の勉強をするためパリに来た。アストリッドと出会い、好意を抱く。
ラファエルの関係者
テオ・コスト(ティミ・ジョイ・マルボ)
ラファエルの息子。成績優秀な15歳。アストリッドを慕っている。アイルランドに語学留学していたが、帰国する。
マティアス・フォレスト(ユベール・ドゥラットル)
検事。ラファエルの元恋人。自己中心的な言動でラファエルを振り回す。
バンジャマン・コスト
ラファエルの兄。道を誤って薬物やアルコールに依存し、父親から見捨てられて死亡した。ラファエルが警官になるきっかけとなった。
フィリップ・コスト(ミシェル・ボンポワ)
ラファエルの父。警察関係者。ラファエルとは確執があり、疎遠になっている。
そのほか
カミーユ・ウィルコックス(エレア・フォルシェ)
ウィリアムの婚約者。“ベレジン28”を名乗る天才ハッカー。難病を患っている。ウィリアムとはメッセージだけでやりとりしていたが、シーズン1の第8話で事件に巻き込まれ、初めてウィリアムと対面する。
ポール・トマ(ユゴー・エリオット)
ウィリアムの兄。医師。
各話のあらすじ(ネタバレ有)
大きな合併を成立させた弁護士ボリス・ジョベールが、12名の出席者がいる会合で白昼堂々射殺される。犯人を見た者は誰もおらず、現場には死んだホシムクドリが残されていた。ビルの窓越しに狙撃されたかのように思われたが、現場を見たアストリッドは窓を割った弾と被害者を殺した弾は別だと見抜く。つまり殺人犯は室内にいたのだ。
現場に残されていたホシムクドリは、何を意味するのか。アストリッドとラファエルは、“ホシムクドリ”と呼ばれる世界的な窃盗犯との関係を疑う。一連の盗難事件の現場には、必ずホシムクドリの絵が残されていたのだ。
ラファエルは神経学者のギヨーム・ドルリューを連行。彼の自宅を捜索するとホシムクドリの絵が見つかり、事件前にビルに入館していたことも判明する。だがギヨームは新刊の打ち合わせで出版社を訪れただけだと犯行を否定する。
アストリッドは、被害者のジョベールが世界各地を飛び回っていることや、彼の訪問日とホシムクドリの盗難事件発生日が一致していることを突き止め、ホシムクドリ=ジョベールであることが判明。現場に落ちていた鳥の死骸は、“ホシムクドリは死んだ”ということを示唆していると思われた。
ジョベールは少年時代に何度もスリで逮捕されており、更生プログラムで魔術師カルミーヌに師事していた。カルミーヌはかつて子供に人気のテレビ番組で一世を風靡した手品師だった。
アストリッドは防犯カメラの映像を確認し、犯人が科学捜査班に紛れ込んでビルから退出したことを見抜く。さらにジョベールが指名していた売春婦アンブルが編集者の秘書になりすましてギヨームに会っていたことも判明。アンブルの証言で、カルミーヌが犯人だとわかる。
カルミーヌの番組が終了したのは、ある告訴が原因だった。ラファエルは告訴人であるファブリス・ルナールに会い、カルミーヌが更生プログラムの子供たちに性的虐待を行っていたことを知る。
少年時代のジョベールもまた被害者だった。ジョベールはカルミーヌの新番組の話を聞いて激怒し、当時の被害者に連絡を取って降板しないと暴露するとカルミーヌを脅したという。カルミーヌは報復のために彼を殺害したのだ。
〈社会力向上クラブ〉のウィリアムは、アストリッドの職場を訪ねる。後見人だったガイヤールを失い、アストリッドが元気をなくしているのではないかと心配したのだった。アストリッドは元気だと答える。
ラファエルは今回の事件の担当検事で、元恋人でもあるフォレストを避けようとするが、彼の危険な魅力に惹かれてしまう。
画廊オーナーのタケシ・キムラがプライベートの浴場で死んでいるのが見つかる。凶器は日本刀で、小指が切り落とされていた。キムラ画廊が日本の暴力団〈ヤマガキ会〉の支部であることや、キムラが新たに護衛を雇っていたことから、ラファエルたちはヤクザ絡みの事件と考えて捜査を進める。
日本の文化に疎いラファエルは、キムラ画廊で働くヒロ・モランの聴取をアストリッドに頼む。アストリッドは行きつけのタナカの店で聴取を行おうと店を訪ね、タナカの甥であるテツオと出会う。
ラファエルは〈ヤマガキ会〉から派遣されてキムラを護衛していたケンを取り調べる。ケンは2週間前にキムラと口論していたことを認め、その理由をキムラが本部に送るはずの金を使って投資をしていたからだと打ち明ける。ケンはキムラの殺害を否定し、キムラが保険として持っていた資金洗浄の関係者リストを探して欲しい、とラファエルに頼む。
ラファエルとアストリッドはキムラが愛人と過ごしていた別宅を捜索し、パソコンに保存されていた資金洗浄のリストを見つける。さらに、犯人と思われる男が映っている隠しカメラの映像も発見。犯人の体には、25年前に死んだヤクザと同じ入れ墨が彫られていた。
25年前、ある男がプールで溺死した。殺人とされたが遺体は身元不明で引き取り手がなく、集団墓地に埋葬されていた。遺体の写真を見たアストリッドは、切断した小指が義肢で隠されていることから、男がヤクザの世界から足を洗った人間だと見抜く。
男が死んだプールに残されていた酒瓶から、ケンのDNAが検出される。だがその直後、ケンは廃墟のプールで何者かに殺され、遺体で発見される。凶器はキムラを殺したのと同じ日本刀だった。
ケンの家から押収した写真が手がかりとなり、25年前に死んだ男はアキラ・イチと判明。キムラの妻に話を聞くと、当時アキラは恋人のナタリーと結婚するため、ヤクザから足を洗おうとしていた。だがナタリーを奪われたことに憤ったキムラは、結婚を祝福するふりをしてアキラを組織から出し、殺害したのだった。ケンはアキラとナタリーの友人だったが、警察に通報することを止めたという。
アキラの死後、ナタリーは彼の子供を出産。それがヒロ・モランだった。ヒロの部屋を調べると切り取られた指が見つかり、彼が死んだ父親とヤクザの世界を美化していたことがわかる。ラファエルたちはアキラの墓前で切腹しようとしていたヒロを見つけ、逮捕する。
ラファエルは資金洗浄の関係者リストを検事のフォレストに渡し、彼とキスをする。2人がよりを戻したことを知ったニコラはショックを受け…。
国防省の下請け企業エプシロン社の施設で、職員のマルク・ブロディが殺害される。現場に駆けつけた警備員は、荷受け担当のソフィア・ルノワールが逃げ去るところを目撃するが、彼女はこつ然と姿を消してしまう。
アストリッドとラファエルが現場を離れようとしたその時、強烈な閃光が走り、血まみれのソフィアが現れる。だが彼女は事件のことを何も覚えていなかった。アストリッドは彼女が何度も同じような経験を繰り返していることから、宇宙人による誘拐“アブダクション”を疑う。
現場に落ちていた凶器のカッターにはソフィアの指紋が付着し、彼女についていた血液は被害者のものだった。またソフィアは過去に薬物依存症の治療施設にいたこともあり、検事のフォレストはソフィアを容疑者として捜査を終わらせようとする。ラファエルはソフィアに兄バンジャマンを重ね、彼女の無実を証明しようとする。
元軍医のフルニエは、遺体の傷口を見て犯人は手練れの人間だと判断する。事件の夜、ソフィアが荷受けした配達業者の中に、ジャン・シャルパンティエというセルビア出身の配達人がいた。彼は民兵組織“コガネムシ”の元構成員で、旧ユーゴスラビアの町スレブレニツァで起きた大量虐殺に加担した戦争犯罪者だった。
ソフィアはボスニア・ヘルツェゴビナ出身で、5歳のときその虐殺事件に遭遇し、父と兄弟全員が殺害されるのを目の当たりにしていたことがわかる。その後、彼女は現在の家族に養子として迎えられ、当時の記憶をなくしていた。
警察署でシャルパンティエと対面したソフィアは、事件の夜の記憶を取り戻す。彼の顔を見て恐怖が蘇り、ブロディのラボに逃げ込んでカッターをつかんだという。殴られそうになった彼女を助けようとブロディが間に入り、シャルパンティエに殺されたのだった。
アストリッドはラファエルの悲しみを理解しようとし、彼女の兄バンジャマンの資料を読む。若くして薬物に依存するようになった彼は、既に亡くなっていた。
国営ラジオ局〈ラジオ・フランス〉のパイプオルガン内で、ユーゴ・マルシャンの遺体が発見される。第一発見者のポーリーヌは、オルガンを練習中に音の異常を感じたと話し、音源を聞いたアストリッドも演奏に違和感を覚える。
音源にはポーリーヌの師匠で名物教師のライプニッツが「次は殺すぞ」と罵倒する声が入っており、ユーゴの自宅からはライプニッツがポーリーヌを詰る様子を盗撮した映像が見つかる。
ラファエルたちはライプニッツを疑うが、彼もまた〈ラジオ・フランス〉で死んでいるところを発見される。遺体のそばに音楽記号のフェルマータが記されていたことから連続殺人と思われたが、検視をした監察医のフルニエはどちらも事件性はなく、ユーゴの死因は動脈瘤の破裂、ライプニッツは心筋梗塞だと結論づける。
アストリッドはパイプオルガンに仕掛けられていた超低周波音発生器を見つける。鍵盤を押すと作動する仕組みになっており、その振動が人体に影響を与えて2人を死に至らしめたのだった。
ライプニッツが書き残したフェルマータは、細工された音が曲の冒頭の2つのフェルマータに該当していることを意味していた。アストリッドはこれまで自分を苦しめてきた聴覚過敏が捜査の役に立ったことを喜ぶが、ウィリアムはストレスを溜め込むのは危険だと忠告する。
ニコラとアルチュールはポーリーヌを調べ、3か月前に交通事故を起こしていることを知る。その日は彼女がライプニッツに罵倒された日だった。ポーリーヌは自殺しようとしたことを認め、ユーゴがライプニッツを訴えようとしていたことを明かす。
事件の日にポーリーヌが演奏していた楽譜は、ライプニッツが“ネウマ”と呼ばれる中世の音楽記号で「サリクス」と呼んでいた昔の生徒のものだった。ラファエルたちはライプニッツが保管していた過去の演奏記録を手がかりに、「サリクス」を捜し出そうとする。
すると、過去にサリクスが演奏したサン・ジョゼフ教会で、演奏家のマリー・ルナールがバルコニーから落下する事故が起きていたことが判明。マリーはポーリーヌの演奏助手ベネディクト・グレランの結婚前の名前で、彼女こそが「サリクス」だった。
ラファエルとアストリッドは教会にかけつけ、飛び降り自殺を図ろうとしたベネディクトを助ける。だがラファエルの発砲により、アストリッドがパニックを起こしてしまう。
ベネディクトはポーリーヌが自分と同じようにライプニッツによって壊されてしまうことを恐れ、悲劇を繰り返さぬよう彼を殺害したのだった。だがユーゴの死は想定外で、一生自分を許すことができないと語る。
ラファエルはアストリッドを守れなかったことで自責の念に駆られるが、彼女が実母マチルドを頼ったことを知って安堵する。
森の中で女性の遺体が発見された。遺体は焼かれていたが顔は無傷で、魔術の儀式が行われたかのように髪に魔除けがつけられ、遺体を囲んで円上に草が焼かれていた。さらに帝王切開の手術痕があり、出産して間もないと思われた。
市内の産婦人科に問い合わせたところ、被害者の身元はセシル・メニャンと判明。ラファエルは彼女が産んだ赤ん坊が誘拐された可能性があると考え、検事のフォレストに頼んで誘拐警報を出してもらう。
やがてセシルが過激なフェミニスト団体〈キルケー〉に所属していたことが判明。〈キルケー〉のメンバーは〈聖域(サンクチュアリ)〉と呼ばれるセンターの入所者が多く、その施設は遺体発見現場の近くにあった。ラファエルたちが施設を訪ねると、所長のオクサナ・アントネンコはセシルを知っていたものの、しばらく来ていないと話す。
セシルの自宅のパソコンを調べると、彼女が産科医にレイプされる現場を撮影した動画が見つかった。産科医のロラン・ラランディエを連行すると、彼は同意のうえの行為だったと言い、彼女に嵌められたと主張。〈キルケー〉の活動家ソニアを調べるよう告げた直後に、アナフィラキシーショックを起こして病院に運ばれる。
ソニアはセシルの元恋人で、2人は共謀してラランディエを陥れていたことがわかる。ラランディエの発作も、彼女が運び込んだクロゴケグモに噛まれたことが原因だった。
セシルは8か月前に受精卵を移植するためアテネに渡航しており、彼女の航空券を購入したのは高校の同級生フルール・ドゥロルムだった。フルールは子宮内膜症で子供を産むことができず、偶然再会したセシルに代理母を頼んだという。
ラファエルはセシルが赤ん坊の引き渡しを拒んだのではないかと考え、〈聖域〉の近くにある修道院を調べる。するとセシルが出産したと思われる分娩室と、血痕が見つかる。赤ん坊は近くの空き家で女性に保護されていた。
ソニアはセシルが子供を望んでいたこと、フルールに協力するつもりが妊娠して気が変わり、赤ん坊の引き渡しを拒んだことを明かす。修道院で出産した直後、フルールが駆けつけ子供を渡すよう詰め寄り、弱っていたセシルは逃げようとして窓から落下したという。
その後、ソニアは事故を隠蔽するために死体を消そうと考え、セシルの遺体を燃やしたが、雨が降ってきたため顔だけが燃え残ったのだった。セシルを愛していたソニアは、彼女をあの世へ送るために儀式を施したと話す。
ラファエルは語学留学から帰国した息子テオの前で2人の関係を隠そうとしたフォレストを問い詰め、“付き合っている”と思っていたのが自分だけだったと知る。アストリッドはテツオからデートに誘われるが、何も話さずに帰る。
ユダヤ教徒アーロン・フェルドマンの遺体が自宅で発見される。彼の手には「死」を意味するヘブライ文字が刻まれた石のブレスレットが握られており、頭部と床には粘土が付着し、粘土の巨人ゴーレムが殺したかのように演出されていた。
ラファエルとアストリッドはアーロンが役員をしている人工知能の最先端企業ゴーレム・ディープラーニング社を訪ね、同社の天才プログラマーであるジョアキムがアーロンの亡妻エヴにそっくりなAIを作り出したことを知る。さらに、アーロンが探偵を雇ってジョアキムとエヴの関係を調査していたこともわかる。
ジョアキムを疑うラファエルだったが、彼は会社でパニック発作を起こし、聴取ができない状態に陥る。主治医によると、ジョアキムはかねてより双極性障害を患っており、発作を起こすには必ず原因となる引き金があるという。
ジョアキムが犯人だという通報が入り、ラファエルとニコラは教えられた住所へ向かう。そこはゴーレム人形を作る工房で、粘土が冷凍保存されていた。2人は冷凍された粘土が凶器だと気付く。
ジョアキムの血液からアンフェタミンが検出されるが、主治医は彼が覚醒剤に手を出したことはないと主張。ジョアキムは毎晩エヴの霊から電話がかかってくると言い、彼女の指示でアーロンを殺したと話す。
やがて何者かによってジョアキムの薬がすり替えられていたことが判明。犯人はゴーレム社のフレグランスと携帯の着信音を使ってジョアキムがエヴの死亡事故を想起するように仕向け、“闇の裁判官ゴーレムがアーロンを殺す”と書かれたゴーレム展の案内メールを送って弱っている彼を操り、アーロンを殺させたのだった。
エヴが生きている可能性を考えたラファエルは、ウィリアムの協力を得て暗号化されたエヴの電話番号を突き止める。だが電話に出たのはエヴのAIだった。
ラファエルはジョアキムの弟ジュリアンを怪しみ、彼の自供を引き出すためにエヴのAIを利用する。ウィリアムの恋人“ベレジン”が協力し、エヴのAIにラファエルの言葉を話させることに。
ジュリアンは殺人教唆を認め、兄ジョアキムを操ってアーロンを殺させたことを自供する。エヴを愛していた彼は、アーロンが船から転落したエヴを見殺しにしたことをジョアキムから聞き、またジョアキムがアーロンの味方をしたことを知って復讐を決意したのだった。
自分には共感能力がなく、恋とは無縁だと考えていたアストリッドは、公園でテツオと会って彼がのめり込む数学の話を聞くうちに、不思議な感覚に陥る。アストリッドから相談されたラファエルは、恋に落ちたのではと助言する。
アストリッドはテツオが書いた数式のメモを小さく折りたたみ、母の秘密箱の中に大切にしまう。
神人ヘルメスの教えを記録した古代文書「ヘルメス文書」の原本が競売にかけられる。そのさなか、競売商のジャン・ルグラスが幻覚に襲われ死亡。腕に注射痕があることから、毒殺と判明する。遺体のポケットからは“愚者”を表すタロットカードが見つかる。
さらに「ヘルメス文書」が偽物にすり替えられていることがわかり、ラファエルたちは犯人が文書を手に入れるためにルグラスを殺害したと推測して捜査を開始。ルグラスは18年前にベルジェ教授とともにイラクを調査し、未発見だった文書の5巻を発掘するも、文書はその一週間後に起きた火事の際に何者かに盗まれていた。
いずれも犯行現場にタロットカードが残されていることから、2つの事件が同一犯によるものと考えたラファエルは、18年前の発掘調査を調べることに。調査旅行の出資者で、競売前の懇親会にも出席していたエルレット男爵は、18年前の火事で負傷し、現在は車椅子生活を送っていた。
男爵によると、タロットカードは文書を守る古代の秘密結社〈薔薇十字の会〉からのメッセージだという。文書は暗号で書かれており、その秘密を暴いた者はいなかった。
ルグラスのパソコンデータを復元すると、文書の原本をスキャンしたものが見つかる。中のページはいくつかの文字を強調して書かれていたが、偽物の同じページでは違う文字が強調されていた。アストリッドは強調文字に注目し、偽造者を特定しようと試みる。
さらに、ルグラスが「明日になったら動くぞ」というメールをベルジェ教授あてに送っていたことがわかる。ラファエルたちが教授の自宅を訪ねると、彼は“吊された男”のカードを模した状態で死亡していた。教授の部屋にあった少女の写真を見て、競売の会場にいたクレオが彼の娘であることに気付くラファエル。クレオによると、教授は18年前の文書発見から人が変わり、研究のために家族を捨てたという。
車椅子の跡と隣人の証言により、事件当日エルレット男爵がベルジェ宅を訪ねていたことが判明。男爵に同行していたのは、美術品盗難の前科があるイヴァナだった。
取り調べに対し、男爵は殺されたルグランとベルジェを監視していたと認めるものの、殺害については否定。ルグランを毒殺した犯人はベルジェだと主張し、イヴァナが彼から盗んだ注射器を見せる。事件当日ベルジェの家を訪ねたのは、彼を脅して競売会場から盗んだ文書を取り戻すためだったと話す。
アストリッドはテオの助言で、文書の強調された文字の連なりが星座を表していることに気付く。偽物の文書には、文書が書かれた当時にはなかった星座「ちょうこくしつ座」が示されており、偽造者は彫刻家のアスリと判明。服役中のアスリに尋ねると、2002年にベルジェ教授に頼まれて文書を偽造したことを認める。
注射器からベルジェの指紋が検出され、自宅に隠されていた本物の文書も見つかり、ルグラスを殺して本物の文書を盗んだ犯人はベルジェとわかる。18年前、彼は自分の論文の裏付けのために、アスリに作らせた偽造文書を使って文書発見をでっちあげたのだった。そして偽造であることがバレないようにと、その一週間後に火事を起こして文書を盗んだのだ。
しかしその後、ルグラスが本物の文書を発見。ベルジェの嘘に気付いたルグラスは、競売後の会見で暴露すると彼を脅していた。追い詰められたベルジェは競売会場でルグラスを殺害。18年前と同じくタロットカードを仕掛けて〈薔薇十字の会〉の犯行に見せかけ、文書をすり替えたのだった。
その後、ベルジェの死は他殺ではなく自殺だったことが判明する。タロットカードを残して儀式殺人に仕立てたのは、娘のクレオだった。彼女は「父が18年前に書いた伝説を守るためだった」と語る。
ラファエルは兄を見捨てた父を赦せずにいたが、クレオやアストリッドの言葉を聞いて態度を改め、父と和解するための一歩を踏み出す。そして自分にとってアストリッドがどういう存在かを伝えるため、彼女に方位磁針を贈る。
犯罪資料局で立てこもり事件が発生。犯人は刑務所から逃亡したマリッサ・マルトゥノで、彼女はアルコール依存症者の自助グループ、アルコホーリクス・アノニマス(AA)で助言を受けていた後見人イクセットを殺した罪で服役中だった。
アストリッドとラファエルは彼女に協力したことで勾留され、国家警察監察総監(IGPN)の取り調べを受けることに。発端は、アストリッドが犯罪資料局の外でマリッサに声をかけられ、冤罪を訴える彼女に興味を示してラファエルに会わせたことだった。
2人はマリッサの冤罪を証明しようと、彼女を連れて秘密の入り口から資料局に忍び込み、当時の資料を調べていたのだ。だが資料局の職員に見つかったため、マリッサが銃を取り出して人質に取り、立てこもり事件に発展したのだった。
マリッサは殺害現場へ行ったことを認めるが、そのとき既にイクセットは死んでいたという。動揺した彼女は大量に酒を飲んで泥酔状態に陥り、警察は彼女がイクセットに告発されて親権を失うことを恐れて犯行に及んだ、と判断。マリッサの靴底から殺害現場と同じシリカと炭酸ナトリウムが検出されたことが有罪の決め手となった。
だがアストリッドは、シリカと炭酸ナトリウムは真犯人が持ち込んだもので、マリッサの靴底に付着したのは殺害後に現場を訪れた際ではないかと考えていた。そして事件当日イクセットが主催したAAの会がガラス工場の跡地で行われていたことから、真犯人はAAの会の出席者の中にいると確信する。
介入部隊が突入し人質は解放されるが、マリッサは逃亡。ラファエルはマリッサの目的が無罪の証明ではなく、ほかにあったのではと考える。マリッサが2年前に幼い息子を亡くしていることを知ったアストリッドは、署からテツオに電話をかけて助けを求める。
テツオは〈社会力向上クラブ〉のウィリアムとともに、アストリッドから頼まれた資料を取りに行くことに。ウィリアムはかつて犯罪資料局で点検作業員として働いていたことがあり、そのときにアストリッドと出会ったのだった。彼女に秘密の入り口を教えたのもウィリアムだった。
ラファエルはマリッサが相部屋の受刑者ヴィオレッタ・フローレスからアストリッドの話を聞いていたと知り、彼女の狙いが最初からアストリッドだったことに気付く。
アストリッドとラファエルは仲間たちの協力を得て事件の真相に辿り着き、フォレスト検事を呼び出す。マリッサの本当の目的は、7年前に息子を殺したひき逃げ犯を捜し出すことだった。
マリッサの後見人だったイクセットは、AAの会で出席者のアンドレ・ムーグが告白した事故の話を聞いて彼がひき逃げ犯だと気付き、マリッサに電話して彼女を呼び出した。しかしマリッサが到着する前にムーグに殺害されてしまったのだ。
ムーグの居場所を見つけ出したラファエルたちだったが、既にマリッサに先を越されていた。ムーグに銃を突き付け、屋上から飛び降りるよう脅すマリッサ。ラファエルはマリッサを説得しようとするが、ムーグがマリッサから銃を奪おうとして揉み合いになり、ラファエルが被弾してしまう。
逮捕されたマリッサは、復讐のために冤罪で服役したことを認める。ラファエルは軽傷で済んだが、ニコラは彼女を責め立てるフォレスト検事に激怒し、彼を殴り飛ばす。
後日、アストリッドは入院中のラファエルを見舞い、互いに必要であることを確認し合う。マリッサの有罪判決は破棄され、釈放されることに。ラファエルの嫌疑も晴れ、ニコラが検事を殴った一件も不問に。
職場復帰したラファエルは仲間たちに歓迎されるが、アストリッドの越権行為が検事局の調査で問題となり、今後アストリッドを捜査に参加させることができないと聞かされる。
感想(ネタバレ有)
最終話、最高だったなぁ~。アストリッドとラファエルの周りにいる人は、みんな素敵な人ばかり(1人を除いて)。社会力向上クラブの人たちも含め、完全に“チーム”だった。
シーズン1に比べると、アストリッドの少女時代の回想がほとんどなくなりましたね。彼女が周囲から理解されずに苦しむなど、見ていて辛くなる場面が一気に減りました。
もちろん今回もアストリッドが悩む場面はあるけど、ラファエルの家族問題も含め、比較的穏やかに解決していた印象です。なにより2人が自分の個人的な問題について相談し合える仲になったというのが、うれしい。
事件の内容はシーズン1より複雑化していて、情報量の多さに途中で混乱してしまうほどでした。手品や日本文化、超常現象に魔術、古代文書の暗号などが登場し、アストリッドが活躍する場面がいっそう増えた感じ。
ニコラが意外と博識だったり、アストリッドの恋のお相手テツオが数学にめっぽう強かったりと、良い意味でそれぞれが“変人”っぷりを発揮し、アストリッドを助けてくれるのが頼もしかった。
最終話ではアストリッドとウィリアムの出会いを振り返るサプライズ的な回想シーンがあって、「そうだったんだ!」とびっくりさせられました。
シーズン1では、アストリッドがラファエルの誕生日に「指ぬき」をプレゼントする場面がありましたが、今回はラファエルがアストリッドに「方位磁針」をプレゼントします。
つまりラファエルにとってアストリッドは「方位磁針」なのだと。
「方位磁針は指ぬきがないと動かない」
「いいえ。指ぬきも方位磁針がないとダメ」
「それが友情かも」
最終話の2人の会話には、グッときちゃいましたね。
何もかも解決してハッピーエンドかと思いきや、最後にまさかの展開が。越権行為が問題視され、アストリッドを捜査に参加させることができなくなった、と言われてしまったラファエル。
彼女たちがどうやってこの局面を乗り切るのか、シーズン3が楽しみです!
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