ネタバレ有「あなたの番です」Hulu番外編「過去の扉」あらすじと感想

ドラマ「あなたの番です」

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日テレで2クール連続(2019年4月14日~9月8日)で放送されたドラマ「あなたの番です」の番外編、「過去の扉」前後編のあらすじと感想です。

本編では描かれなかった、黒島沙和の過去が明らかになりました。個人的には、これは本編に入れてほしかったと思いますけどね…。黒島ちゃんがああなった背景と経緯がよくわかり、スッキリしました。

なおドラマ本編、番外編、アナザーストーリーともにHuluで配信中です。

キャスト

黒島沙和(西野七瀬)
黒島直美(土井きよ美)
黒島太一(右近良之)
内山達生(大内田悠平)
松井瑛士(池岡亮介)
南穂香(丸山澪)
榎本総一(荒木飛羽)
手塚翔太(田中圭)
二階堂忍(横浜流星)
南雅和(田中哲司)

あらすじ(ネタバレ有)

「何かの間違いです」「沙和は優しい普通の子です」と、黒島の両親が自宅前でインタビューに答える様子を、テレビで見る翔太。翔太は引っ越しの準備をしている502号室の南を訪ね、これまでの事件で南が調べたことを教えて欲しいと頼む。
黒島沙和のことを知りたい、という翔太の熱意に押され、南は集めた資料を翔太に渡す。だが、高知で暮らしていた頃の黒島については、詳細はわかっていないと言う。
2014年、高知県。沙和は優しい両親のもとで「少しボーッとした子」として平凡な暮らしを送っていた。だが、彼女の心の中には常に殺人欲求への葛藤があった。ある日、沙和は赤信号の横断歩道にわざと飛び出し、トラックにはねられて大怪我を負う。
「また失敗……」と落ち込む沙和。精密検査の結果、脳には何の異常もないと言われるが、沙和は自分のCT画像を持ち帰る。退院した沙和は、登校途中に数人の男子からイジメを受けている内山を見かける。
沙和は家庭教師の松井に本当のことを打ち明ける。両親が沙和を「昔からボーッとしている」と思い込んでいるのは、沙和が自分で階段から落ちたり、車に突っ込んだりしている自殺行為を「考え事をしていた」とごまかしていたからだった。
沙和は医学部の学生である松井にCT画像を見せる。松井は本気で沙和を心配し、CT画像について調べた結果、反社会性パーソナル障害などの精神疾患の人の脳に似ていると告げる。
「どうしようもないひどいことをしたくなる時がある」という沙和の告白を聞いた松井は、両親に相談しようと持ちかけるが、沙和は激しく拒絶する。あの人たちは自分のことを何もわかっていない、と。
「先生、助けて。私、普通になりたい」と訴える沙和。その部屋の外では、沙和の母・直美が扉に耳をつけて2人の会話を盗み聞きしていた。

両親から「普通の子に育ってほしい」と言われ続け、その言葉に傷ついてきた沙和。家庭教師の松井から精神疾患を指摘された沙和は、凶暴性をコントロールするため数式を解くことに没頭するようになる。
沙和の母・直美は違和感を覚え、沙和に精神科の診察を受けさせてはどうかと夫の太一に相談するが、太一に「やめろ、そんなみっともないこと」と反対される。2人は沙和を見守ることを決める。
登校途中に内山がいじめられている現場に遭遇した沙和は、「普通の子」がするように、内山を助ける。自分が望むことと逆のことをすれば「普通」になれると考えた沙和は、人生に希望を持つようになり、自殺を考えなくなる。
高知に台風が近づく日、沙和は家庭教師の松井と二人きりになる。松井への殺人欲求に駆られた沙和は、家を飛び出し、豪雨の中をさまよう。そんな沙和に声を掛けたのが南の娘・穂香だった。
二人は雨宿りをするため作業小屋へ行き、殺人欲求を抑えられなくなった沙和は穂香を殺してしまう。それから2年間、沙和は「普通」でいることができた。
2年後、沙和は松井と一緒に海へ出かける。沙和を疑いながらも信じようとしていた松井は、2年前の豪雨の夜に沙和が家を出たことを黙っていた。沙和は松井に穂香を殺したことを告白し、「2年間普通のフリしてやってこれたけど、全然楽しくなかった」と本心を打ち明ける。
松井は自首を勧めるが、沙和は「1人殺したくらいじゃ死刑にならない」と言い、松井と一緒に崖の上から身を投げる。しかし、死んだのは松井ひとりで、沙和はまたしても生還する。
沙和が病室で目を覚ますと、内山がいた。内山は「生還したのは牡羊座のラッキーデーだったから」だと教える。沙和は内山を殺そうとするが、内山はそんな沙和をも受け入れる。沙和は内山に「これから私がすることを楽しんでほしい」と言い、笑って見ているように命じる。
南は、黒島の過去を知っても納得などできないと吐き捨てる。翔太は南が自殺を考えていることを指摘し、自分の命を大切にしていない点では黒島と同じだと告げる。
翔太は「大切な人は、いなくなってもいます」「俺たちは、これからも大切な誰かのために、全力で生きましょうよ」と語り、南を説得する。
翔太は二階堂に「AI菜奈ちゃん」のデータを消して欲しいと頼む。黒島のことを忘れることができず、データを消すこともできない二階堂は、なぜあんなに愛した人を消せるのかと翔太に問う。
翔太は「消せないし、消えないから愛なんだよ」と告げる。二階堂は「AI菜奈ちゃん」を修士論文で出すつもりなので消せないと言い、むしろもっと使って研究に貢献してほしいと言う。
沙和はこれまでのことを手紙に書き、「宮沢賢治全集」に挟んで榎本総一に送る。「あなたはひとりじゃない。生きたいように生きていい。やりたいことを、やりたいようにやっていい。次は、あなたの番です」

感想(ネタバレ有)

本編でスッキリしなかった黒島ちゃんに関する謎は、ほぼ解消しましたね。

笑顔の理由も、なるほどなぁと納得。
自分が「楽しい」と思うことを、他人と共有したかったんですね。

最後に明かされたのは、「後編」がまるごと総一への手紙だったということ。

これが、今まで私がやってきたこと。歩んできた道のりです。人とは違うことに、苦しんだと思います。これからも苦しみ続けると思います。でもこれだけはわかってほしい。あなたはひとりじゃない。私は、私の生きたいように生きました。あなたも、あなたの生きたいように生きていい。やりたいことを、やりたいようにやっていい。次は、あなたの番です。

これ、「やりたいこと」が「人や動物を傷つけること」でさえなければ、賛成なんですけどね…。

しかし、自分が逮捕された(そしてたぶん死刑になることを望んでる)後に、総一の背中を押すなんて、とことんサイコパスなんですねぇ。

彼女が数学にのめり込んだのは、殺人欲求をコントロールする(数式に集中して気を逸らす)ためだったことも明らかに。

人を殺して楽しんでいるサイコパスな黒島ちゃんの気持ちは理解できませんが、普通じゃないことに苦悩して、冷たい表情の下で必死にもがいている黒島ちゃんのことはよくわかる。

なぜ自分は、人と同じように感じることができないのか。なぜ自分は、こんなことを「楽しい」と感じてしまうのか。「普通」の感覚を持てない自分に悩むところは、少し共感できる。病名がついたことで、救われる気持ちも。

ただ、黒島ちゃんが何によって「覚醒」したのかは、わかりにくかった。

  1. 穂香ちゃんを殺害
  2. 2年間「普通」に過ごす
  3. 家庭教師の松井に自首しろと言われる
  4. 松井と無理心中を図る
  5. 自分だけ生き残る
  6. 病室で内山と会う
  7. 普通じゃない生き方を選ぶ

という流れが、ちょっと腑に落ちませんでした。

病室で内山と話しているときの黒島ちゃんは、もうすっかり悪人顔になっていました。急に変わったので、違和感を覚えてしまった。

松井と心中するのではなく、松井を殺して殺人鬼に覚醒するという流れだったらしっくりきたし、より恐怖を味わえたと思うんですけどね。

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