海外ドラマ「バビロン・ベルリン」シーズン3、第1話・第2話のあらすじと感想です。
ようやくシーズン3の放送が始まりました!!
待ってました~~!
前回の放送から約1年経っているので、始まる前にシーズン1&2を見直しました。そしてちょっとだけドイツ史の勉強もしました。準備万端!!
…のはずだったんですけど、やっぱり複雑でわからないことだらけ(-_-;*)
アンノーは何がしたいのか。あれは治療なの? ゲレオンをいじめてるようにしか見えないけど。とりあえずゲレオンはシャルロッテとくっついてほしい。
今シーズンは毎回放送後にあらすじを確認しつつ、歴史背景についてもわかる範囲で解説していきたいと思っています。よろしければお付き合いください。
Contents
第1話・第2話のあらすじ(ネタバレ有)
金融崩壊で混乱するベルリン証券取引所の中を茫然と歩くゲレオン。ヘルガはニッセンに寄り添っていた。
5週間前の1929年9月20日。ゲレオンはヘルガ、モーリツと3人で暮らしていた。シャルロッテは女子刑務所にいるグレータを訪ねるが、面会を拒否される。
刑務所から釈放されたヴァルター・ワイントラウブは、ヴェラと2人きりでドライブを楽しむ。ノイバーベルスベルク撮影所では新しい映画の撮影が進んでいたが、黒マントの人物が侵入して照明のネジをゆるめ、主演女優ベティ・ヴィンターの頭上に落下。ベティは即死する。
自宅でヴァルターを待つエドガーのもとに、映画プロデューサーのベルマンから事故が起きたという連絡が入る。映画に巨額の投資をしていたエドガーは、損害を回避するため殺人事件を隠蔽しようとし、警察が来る前に撮影所へ行き証拠を回収する。
ゲレオンはヘニングらとともに撮影所を訪れるが、プロデューサーのベルマンは事故だと主張。撮影された映画を見ると、女優のひとりが事故直後にある一点を見つめていた。
ゲレオンはヘルガが待つ家には帰らず、シュミット医師のもとを訪れる。ヘルガに真実を打ち明けられず、彼女を失うことを恐れるゲレオンに、シュミット医師は「彼女は君のものじゃない。所有してなければ失わない」と告げる。
グレータの裁判が始まり、殺害されたベンダの妻イルムガルトが証言台に立つ。彼女はグレータを「悪の化身」と罵り、国家社会主義党との関わりについては知らないと言う。ゲレオンは「必ず黒幕を明かす」と夫人に約束するが、グレータの尋問記録はヴェント行政長官によって閲覧禁止になっていた。
ヴェントを信用できないゲレオンは警視総監のツェルギーベルに支援を求めるが、ツェルギーベルは5月1日のデモ隊への発砲の責任を問われ、ヴェントに辞任を迫られていた。ヴェントは別の問題に力を注ぐべきだとゲレオンに忠告し、その裏でグレータに圧力をかけ、国家社会主義党の関与を否定させようとしていた。
撮影所での事故当時ベティの近くにいた女優ティリー・ブルックスは、マントを着た幽霊のような男を見たと話す。さらにベティが夫と不仲だったことをほのめかす。
映画製作に多額の投資をしたエドガーとヴァルターは、主演女優の代役を探して撮影を続行するようプロデューサーのベルマンを脅迫する。ゲレオンは撮影所で照明を担当していたクレンピンを捜し出すが、クレンピンは「撮影の邪魔はしたが殺していない」とベティ殺害を否定。その直後、黒いマントの人物に撃たれて死んでしまう。
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ネタバレ「バビロン・ベルリン」シーズン3全話あらすじ感想・登場人物(キャスト)・視聴方法第1話・第2話の感想
ノイバーベルスベルク撮影所の事件
今回新たに持ち上がったのは、ノイバーベルスベルク撮影所での女優殺害事件。
正体不明の黒マントの人物が照明器具に細工をして、事故に見せかけて殺害。映画製作に巨額の投資をしている“アルメニア人”エドガーは、撮影を続行させるために事件を隠蔽しようと手を回します。
シーズン3から登場したのが、エドガーの友人?らしき男ヴァルター・ワイントラウブ。刑務所から出てきたばっかりで、危険人物の匂いがプンプンです。ヴェラとカーセックスしてたかと思えば、エドガーの妻エスターとも隠れてキスしてる。
黒マントの人物=ヴァルターなんでしょうかねぇ? 刑務所から出てきてすぐ、「遠回りする」と行ってヴェラに目隠しをさせて、車で撮影所に向かいましたよね。
エドガーの妻で元女優のエスターも今シーズンから登場。本人は女優業に復帰したいようだけど、エドガーに反対されて不満を募らせてる。
エドガーいわく、この映画製作は最初からトラブル続出らしい。小道具の倉庫が燃えたり、クレーンがセットに落下したり、カメラが盗まれたり。
エドガーが経営する〈モカ・エフティ〉も、水道管が爆発して水浸しの状態。一連の事故はすべて繋がっている、と彼は考えているようですが…。
ゲレオンが捜し出した照明技師クレンピンは、「撮影の邪魔はしたが殺してない」と言っていたので、これまでの諸々の事故と、今回の殺人事件は犯人が別かもしれない。
ちなみにノイバーベルスベルク撮影所は、当時ヨーロッパ最大の撮影所でした。わたしはこの時代の映画にまったく詳しくないんだけど、ハリウッドと競合できる映画産業を目指していたらしい。
シャルロッテは昇級試験?に挑みますが、ウルリヒの意地悪な質問で不合格に。ほかの男性は彼女より不出来だったのに全員合格していて、不満を隠せないシャルロッテ。
刑事になったから娼婦はもうやめたのかな? 妹のトニと2人で、バーの2階を借りて暮らし始めたようです。昼間はどこかの男性が部屋を使い、夜は2人が使うというルール。これもある意味シェアハウス?
グレータの裁判
女優殺人事件と同時進行で描かれるのが、シーズン2でベンダを殺害したグレータの裁判。
恋人フリッツをベンダに殺されたと思い込んだグレータが、オットーにそそのかされてベンダ殺害(爆弾を仕掛ける)に協力したのでしたね。
しかしシーズン2のラストで、フリッツが実は生きており、ナチ党(国家社会主義ドイツ労働者党)だったことが判明しました。
ゲレオンは国家社会主義党の関与を確信しているようですが、上司である行政長官ヴェントに捜査を阻まれてしまいます。
ヴェントは裏でフリッツをかくまったり、グレータに圧力をかけて証言を撤回させようとしたり、警視総監に辞任しろと迫ったり、やりたい放題。
でもグレータが「男たちにそそのかされた」と頑固に主張し続けていることが、彼らを困らせているのだと思うと誇らしい。
彼女は自棄になったりしなかったんだね。しっかり前を見つめる表情にも、力強さと覚悟が感じられました。
ヘルガとモーリツの危険な兆し
ゲレオンは兄アンノーがシュミット医師として生きていることをヘルガに言えず、彼女への態度がよそよそしくなっています。
その変化に気づき、心変わりを案じて不安になるヘルガ。彼女が連絡を取っているのはシーズン2のラストで知り合ったニッセンだと思われます。
第1話の冒頭で少しだけ流れた世界恐慌の場面。混乱する証券取引所で、彼女が寄り添っていたのはゲレオンではなくニッセンでした。ゲレオンは捨てられてしまうんですかね…。
ヘルガの息子モーリツは、友達に誘われて軽いノリでヒトラー・ユーゲント(ヒトラー青少年団)に入ってしまいました。モーリツ~~! 絶対アブナイ方向に走ると思ってた! 期待通りといえば期待通りだけど!
ナチ党の正式名称に「社会主義」が含まれている理由
ナチ党の正式名称は「国家(国民)社会主義ドイツ労働者党」です。
党名に「社会主義」と「労働者」が含まれているので、一見すると社会主義的・左翼的な政党のように思えますが、反社会主義の右翼政党です。
党名に「社会主義」と「労働者」を入れたのは、社会主義を望む労働者を取り込んで選挙に勝つ必要があったため。
しかし実際は、社会主義や共産主義と敵対関係にありました。
ヒトラーは民族共同体が拒絶すべき事柄として、マルクス主義、民主主義、議会主義、自由主義、個人主義、平和主義をあげ、それらの黒幕がユダヤ人だとする陰謀説を唱えていました。
ワイマール共和政時代は左翼政党と激しい抗争を繰り広げ、政権を握った後は社会主義者と共産主義者を逮捕して強制収容所に送るなど、徹底的に弾圧しています。
ベンダ前行政長官のモデル
殺されたベンダ前行政長官には実在のモデルがいます。ナチ党から執拗に攻撃を受けたベルンハルト・ヴァイス(1880~1951)という人物です。
ベルリン警察の副警視総監で、ベンダと同じく民主党員でユダヤ人でした。共和政に反対する右翼(ナチ党)や極左勢力(共産党)に立ち向かい、ワイマール共和政を守ることに全力を尽くしました。
ドラマではナチ党が政権を握る前に死亡しましたが、ヴァイスはその後も生きます。1933年にヒトラーが首相に指名されて政権の座につくと、イギリスに亡命。ドイツ市民権を剥奪されてしまいます。
ナチ党政権崩壊後の1951年にドイツ市民権を回復するも、その年の7月にロンドンで亡くなりました。
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