Netflixの海外ドラマ「ダーク」シーズン1(全10話)についてまとめました。
ドイツの小さな町で起きた子どもの失踪事件をきっかけに、4世帯の家族が抱える恐ろしい秘密が徐々に明らかになっていくさまを描いたミステリードラマ。
めっちゃくちゃ面白いです! 登場人物が多く、時代も行ったり来たりするので多少混乱しますが、タイムトラベル好きにはたまらない作品でした。
この記事はシーズン2を見る前に書いてまして、早く続きを見たくてしょうがないです。
制作総指揮は、ドイツの映画「ピエロがお前を嘲笑う」(ハリウッドでリメイク決定)を手がけたバラン・ボー・オダーとヤンチェ・フリーセ。
子どもの失踪、超常現象、80年代など、「ストレンジャー・シングス」と共通する要素が多く見られますが、雰囲気はまったく違います。こちらはドイツの暗さに満ちあふれた、神秘的な世界観のドラマです。
シリーズ関連記事
Contents
作品概要
- 製作国:ドイツ(2017年)
- 公開日:2017年12月1日
- 原題:Dark
- 脚本:ヤンチェ・フリーセほか
- 監督:バラン・ボー・オダー
- 企画・製作総指揮:ヤンチェ・フリーセ/バラン・ボー・オダーほか
あらすじ
ドイツの小さな町で起こった子どもの失踪事件をきっかけに、ほころび始める4家族の絆と暴かれる暗い秘密。3世代にわたる奇怪な謎の真相が、今明らかになる。
Netflix公式サイトより
予告動画
家系図
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登場人物(キャスト)
カーンヴァルト家
ヨナス・カーンヴァルト(ルイス・ホフマン)
物静かで思慮深い高校生。父の自殺の影響で精神が不安定になり、2か月ほど学校を休んで入院していた。父の死の真相を探るうち、洞窟の秘密を知ることとなる。マルタに想いを寄せている。
ハンナ・カーンヴァルト(マヤ・シェーネ)
ヨナスの母。発電所などで理学療法士として働いている。ウルリッヒと不倫関係にある。1986年当時からウルリッヒに想いを寄せており、カタリーナとの仲を裂こうと画策する。
ミハエル・カーンヴァルト(セバスティアン・ルドルフ)
ヨナスの父。重大な秘密を抱えたまま2019年6月21日に自ら命を絶つ。「11月4日午後10時13分まで開けるな」と書いた手紙を残す。
イネス・カーンヴァルト(アンゲラ・ヴィンクラー)
ヨナスの祖母で、ミハエルの母。ヨナスやハンナとは疎遠になっている。ミハエルの秘密を知っており、彼の死後、誰にも気付かれないうちに手紙を隠す。1986年時は看護師。
ダニエル・カーンヴァルト(フローリアン・パンツナー)
イネスの父。警察官。1953年時はエゴンの上司で、エゴンとともに建設現場で発見された2人の少年の遺体について調べている。
ニールセン家
ミッケル・ニールセン(Daan Lennard Liebrenz)
11歳。ニールセン家の末っ子。マジシャンになることを夢見る生意気で屈託のない少年。2019年11月4日に原子力発電所近くの洞窟で失踪する。
マルタ・ニールセン(リサ・ヴィカリ)
高校生。ニールセン家の長女。ミッケルの姉でマグヌスの妹。2019年の夏にヨナスといい雰囲気になっていたが、ヨナスが父の死によって心を閉ざしたため関係が壊れる。その後バルトシュと付き合い始めるも、ヨナスのことが気になっている。
マグヌス・ニールセン(モーリッツ・ヤーン)
高校生。ニールセン家の長男。ミッケルとマルタの兄。ヨナス、バルトシュと仲がいい。フランツィスカに惹かれていく。
ウルリッヒ・ニールセン(オリヴァー・マスッチ)
ヴィンデン警察の警察官。カタリーナの夫で、ミッケル、マグヌス、マルタの父。失踪したミッケルを探すうち、洞窟の秘密を知ることとなる。ハンナと不倫関係にある。1986年時はスラッシュメタルを好む反抗的な若者で、警察官エゴンに目を付けられている。
カタリーナ・ニールセン(ヨルディス・トリーベル)
ヴィンデン高校の校長。ミッケル、マグヌス、マルタの母。夫ウルリッヒとハンナの関係を知りつつ気付かないふりをしている。1986年時は高校生で、ウルリッヒと付き合っている。
マッツ・ニールセン(Valentin Oppermann)
ウルリッヒの弟。1986年に原子力発電所近くの森で失踪し、未だに発見されていない。
トロンテ・ニールセン(ウォルター・クレー)
ウルリッヒの父。元記者。妻と2人で小さなアパートに住んでいる。ミッケルが失踪した夜、怪しい行動を取っていた。1986時は発電所所長クラウディアと不倫関係にあり、息子のマッツが失踪した夜も彼女と会っていた。
ヤーナ・ニールセン(Tatja Seibt)
ウルリッヒの母で、トロンテの妻。1986年に失踪した息子マッツが生きていると信じ、現在も待ち続けている。1986年時、夫の浮気に悩み離婚を考えていた。
アグネス・ニールセン(アンチュ・トラウェ)
ウルリッヒの祖母で、トロンテの母。1953年にトロンテを連れてヴィンデンに引っ越してきた。シングルマザー。
ドップラー家
フランツィスカ・ドップラー(Gina Stiebitz)
高校生。ドップラー家の長女。両親や町の人々の偽善に憤りを感じ、ヴィンデンを出るためにお金を貯めている。森の中の廃線跡にお金を入れた小さな箱を隠している。
エリザベート・ドップラー(カルロッタ・フォン・ファルケンハイン)
ドップラー家の次女。聴覚障害者。学校の帰りに“ノア”と名乗る男と会う。ヤシンというボーイフレンドがいる。
シャルロッテ・ドップラー(カロリーヌ・アイヒホルン)
ヴィンデン警察の署長。フランツィスカとエリザベートの母。夫ペーターが同性愛者だと知って以来、話し合うことなく家庭内別居を続けている。ウルリッヒとともに失踪事件を捜査する。
ペーター・ドップラー(シュテファン・カンプヴィルト)
心理療法士。シャルロッテの夫で、フランツィスカとエリザベートの父。妻シャルロッテとは1年前から家庭内別居中。ミッケルが失踪した夜、怪しい行動を取っていた。
ヘルゲ・ドップラー(Hermann Beyer)
ペーターの父。認知症で老人介護ホームにいる。左耳がつぶれ、左頬に大きな傷跡がある。1986年時は原子力発電所の警備員で、子どもの頃から想いを寄せる女性クラウディアにH・G・タンハウスの「時間の旅」をプレゼントする。
ベルント・ドップラー(ミヒャエル・メンドル)
ヘルゲの父。原子力発電所の創設者で、初代所長。1986年時、新任所長となったクラウディアに秘密を打ち明ける。1953年時は妻グレタと息子ヘルゲと共に豪邸(のちのホテル)に住んでいて、ヴィンデンにドイツ初の原子力発電所を建設するため奔走する。
グレタ・ドップラー(Cordelia Wege)
ヘルゲの母で、ベルントの妻。息子に厳しくあたる。
ティーデマン家
バルトシュ・ティーデマン(Paul Lux)
高校生。ティーデマン家の一人息子。ヨナスの親友で、マルタの彼氏。エリックが隠し持っていたドラッグを盗もうと、ヨナスやマルタたちを洞窟に誘う。
レジーナ・ティーデマン(デボラ・カウフマン)
バルトシュの母で、アレクサンダーの妻。“森のホテル・ヴィンデン”を経営しているが、経営状態は思わしくない。1986年時はウルリッヒとカタリーナからいじめを受けていた。
アレクサンダー・ティーデマン(ピーター・ベネディクト)
バルトシュの父で、レジーナの夫。原子力発電所の所長。1986年時、どこからともなくヴィンデンに現れ、いじめられていたレジーナを助けたことがきっかけで親しくなった。
クラウディア・ティーデマン(ジュリカ・ジェンキンス)
レジーナの母で、バルトシュの祖母。仕事に打ち込むシングルマザー。1986年時は発電所の新任所長で、着任初日に前所長ベルントから秘密を打ち明けられる。
エゴン・ティーデマン(Christian Pätzold)
クラウディアの父。1986年時はヴィンデン警察の警察官。3か月後に退職予定。反抗的な少年ウルリッヒに目を付け、弟マッツの失踪や羊の大量死に関与しているのではないかと疑う。1953年時は若き警察官。
ドリス・ティーデマン(ルイーゼ・ヘイヤー)
エゴンの妻で、クラウディアの母。1953年に引っ越してきたアグネスとトロンテ親子に部屋を貸す。
そのほか
謎の男(アンドレーアス・ピーチュマン)
正体不明。レジーナが経営する“森のホテル・ヴィンデン”に滞在し、ヨナスが洞窟の秘密を探る手助けをする。奇妙な真鍮製の装置を持っている。
ノア(マルク・ヴァシュケ)
神出鬼没の司祭。バルトシュやエリザベートに接触するが、目的は不明。
H・G・タンハウス(Christian Steyer)
「時間の旅」の著者。1953年および1986年時は時計職人。
バーナデッテ
性転換した売春婦。トレーラーハウスで商売している。
ウェラー(レオポルド・ホーナン)
ヴィンデン警察の警察官。シャルロッテの指示を受けて失踪事件の捜査をする。右目を負傷しているが、原因は不明。
キーワード解説(ネタバレ有)
発電所近くの森の中にある洞窟。ほとんどの住民はよく知らない。洞窟の最初の地図は、ヨナスの父ミハエル・カーンヴァルトによって作成され、彼の死後ヨナスに引き継がれた。
通路として
洞窟の奥には3つのドア(トリケトラのシンボルと「Sic Mundus Creatus Est」の文字が装飾されている)があり、1953年、1986年、2019年を結ぶ通路に繋がる人工トンネルに通じている。トンネルの扉へ向かう道には、ヨナスによって赤い紐の目印がつけられている。
貯蔵庫として
1986年の事故で発生した放射性廃棄物が入った黄色いドラム缶が保管されている。事故当時の所長ベルント・ドップラーが隠蔽し、保管した。その後、後任のクラウディアによって鉄のドアが閉鎖され、外部からアクセスできなくなった。
ヴィンデン洞窟に近い、町の端に位置する。ヴィンデンにおける最大の雇用主。創設者および初代所長はベルント・ドップラー。2代目所長はクラウディア・ティーデマン。3代目所長はアレクサンダー・ティーデマン。
1950年代にベルント・ドップラーによって建設が推進された。1953年に建設現場で2人の少年の遺体が発見されたが建設中止には至らず、原子力法案の通過を経て1960年に建設開始。
チェルノブイリの事故が起きた1986年の夏、爆発事故が発生するも、当時の所長ベルント・ドップラーが隠蔽。従業員に賄賂を贈って口止めし、放射性廃棄物を黄色いドラム缶に入れて洞窟へ隠した。
同じ年、ドイツ初の女性所長としてクラウディア・ティーデマンが就任する。ベルントから秘密を受け継いだクラウディアは、廃棄物を隠している洞窟の扉を溶接して閉じ、外部からアクセスできないようにした。
福島の事故を受けて、2020年に廃止が決定。2019年、失踪事件に関して警察の捜査が入ることを恐れた所長アレクサンダー・ティーデマンは、廃棄物の入ったドラム缶をトラックに積んで発電所の外へ持ち出す。
1986年に原子力発電所で爆発が起きた際の放射性廃棄物が入っている。当時の所長ベルント・ドップラーによって事故は隠蔽され、廃棄物は黄色いドラム缶に入れられて洞窟の奥に隠された。
後任のクラウディアは流れ者のアレクサンダーを雇い、ドラム缶が置かれている洞窟の扉を溶接して閉じさせている。
2019年、失踪事件の捜査で警察が立ち入ることを予想した所長アレクサンダー・ティーデマンは、ドラム缶をトラックに積んで移動させた。
その後、未来から来た中年ヨナスがタイムマシンを稼働させる目的で、トラックの中のドラム缶からセシウムの放射性同位元素である137-Csを取り出した。
ドップラー家が所有している。山小屋のそばにある金属製ハッチがついた地下貯蔵室は、ウィンデン洞窟のトンネルのすぐ上に位置し、第二次世界大戦時に建設されたと思われる。
1953年には少年ヘルゲ・ドップラーの遊び場となり、後に彼がウルリッヒに襲われて大怪我をしたまま閉じ込められた場所でもある。
1986年には、ノアとヘルゲによって動物柄の明るい壁紙が貼られ、二段ベッドと小さなテレビが置かれた。部屋の真ん中に置かれた椅子型の装置は初期型タイムマシンで、ノアとヘルゲが行方不明の子どもたちを使って実験を行った。
2019年11月4日、ペーター・ドップラーは貯蔵室に突然現れた少年の遺体が1986年に失踪したマッツだと気づき、マッツの父親トロンテを呼び出した。その後、2人の前に老クラウディアが現れ、ペーターとトロンテターと命じてマッツの遺体を森に運ばせた。
各話のあらすじ(ネタバレ有)
2019年6月21日、ヨナスの父ミハエルが自殺する。ヨナス宛の手紙には「11月4日午後10時13分まで開けるな」と書かれていたが、ミハエルの母イネスは誰にも気付かれぬうちに手紙を隠す。
11月4日、精神科病院での治療を終えたヨナスは、父の死のショックを引きずりつつも数か月ぶりに登校する。想いを寄せるマルタは親友バルトシュと付き合っており、ヨナスは落胆する。
マルタの父で警察官のウルリッヒは、ヨナスの母ハンナと不倫関係にあった。彼は警察署長シャルロッテの下で失踪した少年エリックの捜査にあたっている。ウルリッヒの弟マッツは33年前に失踪し、未だに見つかっていない。ウルリッヒの妻で高校の校長でもあるカタリーナは、保護者会を開いてエリックに関する情報提供を呼びかける。
ヨナス、バルトシュ、マルタ、マグヌス、ミッケル、フランツィスカの6人は、その夜エリックが洞窟の入り口に隠していたドラッグを取りに行くが、洞窟の奥から奇妙な音が聞こえ、怯えてその場から逃げる。森の中を逃げる途中、ミッケルを見失うヨナス。
午後10時13分が過ぎ、イネスは手紙の封を開けて中身を読む。翌朝、森の中で少年の遺体が発見されるがミッケルではなかった。その頃エリックは、動物の壁紙の部屋に監禁され、奇妙な装置を装着されていた。
洞窟の奥で原子力発電所に通じる扉を見つけたウルリッヒは、1986年に弟マッツが失踪したのも発電所の近くだったことを思い出す。シャルロッテは発電所への立ち入り捜査を求めるも、所長のアレクサンダーに拒否される。
シャルロッテは森で見つかった少年の遺体が1980年代の服を身につけていたことや、耳の鼓膜が破れていたことに違和感を覚える。その頃、バルトシュの母レジーナが経営する森のホテルにホームレス風の謎めいた男が現れ、チェックインする。ヨナスは自殺した父のアトリエで洞窟の地図を見つける。
洞窟内で目を覚ましたミッケルは帰宅するが、家の中から出てきたのは10代のウルリッヒだった。ウルリッヒはミッケルを冷たくあしらい、若いカタリーナと一緒に出かけてしまう。新聞の日付は1986年11月5日になっていた。
1986年。ウルリッヒの弟マッツが失踪して1か月が経とうとしていた。2019年からタイムスリップしたミッケルは見知らぬ世界に戸惑いながらも学校へ行き、10代のカタリーナやハンナに会い、途方に暮れる。
バルトシュの祖母クラウディア・ティーデマンは発電所の所長としての初日を迎えるが、記録を見て違和感を覚え、前所長ベルントを問い詰める。ベルントはクラウディアを森の中の洞窟へ連れていき、洞窟の奥に隠している大量の廃棄物を見せる。
クラウディアの父で警察官のエゴンは、牧場で羊が大量死しているという報告を受ける。ミッケルは警察へ行き両親を捜してもらおうとするが、父親の名前を告げても信じてもらえない。エゴンはミッケルの怪我を見てウルリッヒが暴力をふるったと勘違いし、ウルリッヒを問い詰める。
看護師のイネスに引き渡されたミッケルは、病院で治療を受ける。ミッケルはイネスに「未来から来た」と打ち明けるが、イネスには信じられない。その夜、病院を抜け出したミッケルは洞窟へ戻るが、もとの世界に戻ることはできない。
ベルントの息子ヘルゲは、クラウディアにH・G・タンハウスの「時間の旅」という本をプレゼントする。
2019年。ヨナスは父のアトリエで見つけた洞窟の地図を持って洞窟内に入るが、洞窟の奥は行き止まりになっており先に進むことはできなかった。
シャルロッテは自然観察カメラのメモリーカードを盗み、ミッケル失踪時の映像に夫ペーターの車が映っているのを見つける。ペーターの父ヘルゲが所有する山小屋のそばには地下貯蔵室があり、シャルロッテは夫が失踪事件に関与しているのではと疑い始める。
シャルロッテの下の娘エリザベートが行方不明になるが、夜遅くに帰宅する。エリザベートは学校の帰りに“ノア”という人物に会ったと話し、ノアから預かったという金の懐中時計をシャルロッテに渡す。懐中時計にはシャルロッテの名前が刻まれていた。
認知症で老人介護ホームにいるペーターの父ヘルゲは、「ノアを止めねばならない」とつぶやく。エリザベートのボーイフレンド、ヤシンは森の中で「ノアの使い」と名乗る男に出会う。
2019年。ヤシンが失踪し、シャルロッテはエリザベートから情報を聞き出してノアの似顔絵を作成する。バルトシュは洞窟で見つけたドラッグの袋の中に携帯電話が入っていることに気付き、まもなくノアと名乗る人物から電話がかかってくる。
ミッケルの捜査を続けるウルリッヒは、執拗に関係を迫るハンナを疎ましく感じて別れを告げるが、ハンナは関係を続けることを望む。
ヨナスの前に謎の男が現れ、ヨナスの父ミハエルを「命の恩人」だと語る。ヨナスはバルトシュの誘いを無視してマルタに会いに行き、2人の想いは通じ合う。
ヨナスが帰宅すると、部屋に荷物が届いていた。中にはライトと放射線量計測器、「11月4日午後10時13分まで開けるな」と書かれた古い手紙が入っていた。手紙を読んだヨナスは、父の正体が1986年にタイムスリップしたミッケルだと知る。
その頃、ヨナスに荷物を送りつけた謎の男は、「時間の旅」の著者H・G・タンハウスのもとを訪れていた。
1986年。心を閉ざすミッケルを心配したイネスは、司祭ノアを呼んで話をさせる。「人には神が定めた計画がある」と語るノア。若いウルリッヒはカタリーナと合意の上でセックスし、その現場を目撃したハンナは「彼がカタリーナをレイプするところを見た」と警察に嘘の通報をする。エゴンはウルリッヒを逮捕する。
2019年。ウルリッヒは父トロンテがクラウディアと浮気をしていたことや、マッツが失踪した夜も家にいなかったことを母ヤーナから聞かされる。
マッツが失踪する前に最後に会ったのはレジーナだった。当時レジーナはウルリッヒとカタリーナにいじめられており、マッツはレジーナを家まで送った帰りに森の中で失踪したのだった。レジーナは「あなたたちのせい」とウルリッヒを非難する一方で、33年前のレイプ事件はハンナの通報によるものだと教える。真実を知ったウルリッヒはハンナを罵倒する。
ヨナスはライトと放射線量計測器、地図を持って再び洞窟に入る。洞窟の中には目印となる赤い糸が仕掛けられており、糸に沿って奥に進むヨナス。洞窟の突き当たりにある小さな扉を開けると、奇妙な音が鳴り響き電気が点滅する。洞窟の外に出たヨナスは、幼いハンナに出会う。
ウルリッヒはマッツの写真を見ていてあることに気付き、保管されている遺体を見に行く。森で見つかった少年はマッツと同じ服を着て、マッツと同じ場所に傷痕があった。
1986年。タイムスリップしたヨナスは学校を訪れ、今が1986年11月9日だと知る。病院で祖母イネスを捜すと、ミッケルと一緒にいた。そこへ謎の男が現れ、「彼を連れ戻せば、君の存在が消える」と忠告する。ヨナスはミッケルに声を掛けずに立ち去る。
カタリーナはウルリッヒにレイプされていないことを警察官のエゴンに訴えるが、信じてもらえない。実験を続けるノアとヘルゲは地下貯蔵室からヤシンの遺体を運び出す。
2019年。ウルリッヒは森で見つかった少年の遺体が弟マッツだと気付くが、33年前と同じ年格好であることに納得できない。1986年当時の捜査資料を調べたウルリッヒは、エゴンの警察手帳を見てヘルゲに会いに行き、介護ホームで騒動を起こしてしまう。シャルロッテはウルリッヒに停職を言い渡し、カタリーナはハンナとの浮気を責める。
ヨナスは洞窟の道を通って2019年に戻ってくる。帰宅したヨナスは絶望感に打ちのめされ、父の手紙を燃やす。シャルロッテはヘルゲの小屋の地下貯蔵室で動物柄の壁紙の切れ端を見つける。ウルリッヒは再び老人介護ホームを訪れるがヘルゲの姿はなく、「時間の旅」という本が置いてあった。
ヘルゲが森へ向かうのを見かけたウルリッヒは、彼の後を追って洞窟の中に入っていく。
1953年。原発の建設予定地で少年2人の遺体が発見される。若き警察官エゴンは、少年たちが身につけている中国製の服に違和感を覚える。
ヘルゲを追って洞窟に入ったウルリッヒは、扉を抜けて洞窟を出る。そこは1953年の世界で、ウルリッヒの祖母アグネス・ニールセンと少年時代の父トロンテがヴィンデンに引っ越してきた日だった。
ウルリッヒは「時間の旅」の著者H・G・タンハウスを訪ねるが、当時の彼はまだ本を書く前で、ただの時計職人にすぎなかった。ウルリッヒは少年時代のヘルゲに会い、事件を阻止するために彼を殺そうと思いつく。ヘルゲの顔を石で殴り、意識を失ったヘルゲを地下貯蔵室に閉じ込める。
タンハウスはウルリッヒが忘れていった上着のポケットからスマホを見つけ、起動する。
1986年。謎の男はタンハウスの時計店を訪れ、ワームホールを通過する時間旅行の理論を共有した後で「この装置を直してほしい」と真鍮製の機械を持ち込む。男はそれを使って今あるワームホールを壊したいと語る。
男が帰った後、タンハウスは隠していた未完成の装置を取り出し、男が持ち込んだ装置とそっくりであることを確認する。
1953年。ヘルゲが失踪し、警察官エゴンはヘルゲの父ベルントに捜査を依頼される。エゴンは捜査中に血まみれのウルリッヒを見つけ、逮捕する。
1986年。ハンナはカタリーナに「レイプを通報したのはレジーナかも」とウソをつく。カタリーナはレジーナを見つけて攻撃するが、銃を持った男に止められる。男はアレクサンダーと名乗るが、本名は「ボリス・ニーヴァルト」だった。ハンナは男が自身のパスポートと銃を森に埋める様子を目撃する。
クラウディアは前所長ベルントを問い詰め、夏に発電所で爆発があり、廃棄物を洞窟の中に保管していることを知る。秘密が漏れることを恐れたクラウディアは、アレクサンダーを雇って洞窟の貯蔵庫の扉を溶接で固めさせる。
タイムマシンを完成させるために少年たちを拉致して実験台にするノア。ヘルゲは「もう嫌だ」と反発するが、ノアに「世界を救うためだ」と説得される。
2019年。ハンナはウルリッヒを探して訪ねてきたカタリーナに、「別れを持ち出したのは私のほう」「彼は離婚を望んでいた」と嘘をつく。ハンナは発電所の所長アレクサンダーに本名が載ったパスポートと銃を隠し持っていることを告げ、黙っている代わりにウルリッヒを破滅させてほしいと脅迫する。
バルトシュの前に死んだと思われていた祖母クラウディアが現れる。バルトシュはノアと会う。マルタが伯母にあたると知ったヨナスは、事情を明かさないままマルタに別れを告げる。
老女クラウディアは、1953年のタンハウスの時計店を訪ね、装置の設計図を渡して「これを作ってほしい」と頼む。
2019年、ミッケル失踪当日。ペーターが小屋のそばの地下貯蔵室にいると、突然目の前の壁に時空の裂け目ができ、マッツの遺体が落ちてくる。動揺したペーターはトロンテに連絡し、マッツの遺体を見せる。そこに老クラウディアが現れ、マッツをあるべき場所へ移すよう指示する。
2019年11月12日。絶望感にとらわれるヨナスは、祖母イネスに父ミハエルについて尋ねる。イネスはミハエルの手紙をヨナスに渡し、「どんな奇妙な出来事にも理由があるはず」と語るが、ヨナスは納得できない。
シャルロッテは祖父ヘルゲが子どもの頃に遭遇した事件について調べようと、1953年の新聞記事を見る。そこには容疑者としてウルリッヒの写真が掲載されていた。
ヨナスはミッケルを連れ戻す決意を固め、洞窟を通って再び1986年へ行くが、そこでノアとヘルゲに拉致される。ヨナスが目覚めると動物の壁紙の部屋に監禁されており、謎の男が扉の向こうに現れる。男はノアとヘルゲがタイムマシンの試作品の実験台にするためにヨナスを拉致したことを教え、自分が未来のヨナスであることを明かして立ち去る。
1986年。H・G・タンハウスは謎の男(中年ヨナス)から預かった装置をもとに、オリジナルの装置を完成させる。「君がこの完成形を持ち込まなければ、私はこれを作れなかった」と話すタンハウス。中年ヨナスは修復した装置を持って立ち去る。11月13日、老人ヘルゲは若き日の自分を止めようとし、彼が運転する車に突っ込んで死亡する。
2019年。ノアはバルトシュに、もうすぐ大人のヨナスが装置を使って穴を破壊すると預言する。だがそれは破壊ではなく始まりだという。
大人のヨナスが洞窟内で装置をセットするとワームホールが出現する。地下貯蔵室に時空の裂け目ができ、1953年のヘルゲが目を覚ます。時空の裂け目によって顔を合わせたヘルゲとヨナスは互いに手を伸ばし、ヘルゲは1986年に飛ばされる。
ヨナスは2052年に飛ばされ、発電所が爆発したヴィンデンの町で武装した少女に殴られる。
感想(ネタバレ有)
過去と未来が複雑に絡み合う
過去と未来が複雑に絡み合い、パラドックスに混乱する。まさにタイムトラベルの醍醐味でしたね。そこに個人の秘密(不倫とかイジメとか)も絡んできて、ものすごくややこしくて、べらぼうに面白かったです。
感想はがっつりネタバレしているので、まだ見ていない方は気をつけてください。そして冒頭にも書きましたが、この感想はシーズン1を見終わった時点で書いています。シーズン2については一切触れてません。
物語の舞台は、ドイツのヴィンデンという小さな町。ほぼ森。森の中に家が埋もれている感じ。ドイツの森はどこの国とも違って、暗さの中に独特の怖さがありますよね。グリム童話の世界。
町には原子力発電所(脱原発計画の一環として2020年の停止が決定)があって、その近くに大きな洞窟があり、実はこの洞窟がワームホールになっています。
なぜこの場所にワームホールができたのか? そして失踪した少年たちはどこへ消えたのか? そのあたりの謎を追ってストーリーが展開していきます。
父の秘密を知ったヨナスの苦悩
脚本が素晴らしいのは、冒頭でいきなり重要人物のミハエルを退場(自殺)させてしまったところ。
やがてミハエルの正体が、失踪した(1986年にタイムスリップした)ミッケルであることがわかるのですが、本人が死んでしまっているので、彼がこの33年間をどんな思いで過ごしてきたのか知ることができない。
ワームホールは33年周期だから、半年前とか数年前には戻れません。つまり、もう彼の口から真実が語られることはないのです。そしてそのことが、かえって想像力を掻き立てます。
11歳の少年が突然33年前にタイムスリップして、どれほど心細かっただろう。両親は高校生で、兄弟はまだ生まれてもいない。やがて生まれてくる兄弟や、友達や、自分自身を、彼はどんな思いで見ていたのだろう…。
ミハエルの息子ヨナスは、亡き父のあまりにも大きな秘密に打ちのめされ、苦悩します。
洞窟を通って1986年に行き、11歳のミッケルを連れ戻すことはできる。でもそうすれば、ミッケルは母ハンナと出会うこともなく、自分は生まれてこない。本来、自分は生まれてきてはいけない存在だったのか…。
悩んだ末に、ヨナスはミッケルを2019年に連れ戻して「元に戻す」ことを選びます。しかし、「元の状態」とははたしてどの状態なのか?
トリケトラが示す過去と現在と未来
ミッケルの父で警官のウルリッヒは、認知症の老人ヘルゲがミッケルの失踪事件に関与していると気づき、彼を尾行して洞窟のワームホールから1953年へ。
そこには、何も知らない少年時代のヘルゲがいました。ウルリッヒはふと「そうだ、今ここでヘルゲを殺せば、事件を未然に防ぐことができる!」と思いつき、ヘルゲを殺害します。
ところがヘルゲは生きていて、この事件がヘルゲの心に深い傷を残すこととなり、彼はノアとともに少年を拉致してタイムマシーンの実験台にするという行為を繰り返します。
タイムトラベルものによく登場する「鶏が先か、卵が先か」というパラドックスですね。“因果のループ”とか、“ブートストラップ・パラドックス”とか呼ぶそうです。
ドラマの中では、古代から存在する「トリケトラ」という三つ葉のような形のシンボルがたびたび出てきます。
洞窟の扉、革の手帳、謎の男(中年ヨナス)が描いた絵、エメラルド・タブレットの一部にも描かれていました。
トリケトラはラテン語で「3つのコーナー」を意味する言葉で、三位一体を表すと言われています。古代ケルト人が好んで使用していたり、日本でも家紋の一つとして伝統的に用いられてきたシンボルです。
劇中に登場する「時間の旅」の著者H・G・タンハウスは、
「3次元がなければ不完全だ。上と下だけではないんだ。真ん中がある。アインシュタインとローゼンは見逃した。ワームホールは3つの次元を結びつける。未来と現在、そして過去」
と語っていました。
始まりも終わりもなく、すべてが相互に関連している世界。1953年、1986年、2019年の閉じた時間ループの中で、過去が未来に、未来が過去に影響を与えることを示唆しています。
エメラルド・タブレットは相互依存を表す
ノアの背中には、エメラルド・タブレットのタトゥーがありました。
ウィンデン病院の廊下にも飾られていたし、高校生のウルリッヒが持っていたメタルアルバムの表紙にも描かれていました。
元絵は17世紀のドイツの錬金術師ハインリヒ・クンラートの『永遠の智恵の円形劇場』の挿絵で、エメラルド・タブレットの想像画です。ドラマでは中央下にトリケトラが描かれていますが、本物にはありません。
エメラレルド・タブレットとは、錬金術の奥義が記された板のこと。現存するのは翻訳だけで、実物は確認されていないと言われています。
注目すべき点は、「下にあるものは上にあるものに、上にあるものは下にあるものに似ている」という一行。
閉じた時間ループの中では、すべてが相互に依存していると解釈できます。
多くの謎を残し、シーズン2へ
シーズン1では、
- 司祭ノアとヘルゲは、タイムマシン(椅子型)を完成させるために少年たちを拉致して実験台にしている
- 1986年夏に原子力発電所で爆発が起き、所長ベルントは事実を隠蔽して廃棄物を洞窟の奥に隠した
- 1986年11月にベルントから廃棄物の存在を知らされたクラウディアは、扉を溶接して開かないようにし、廃棄物を見られないように細工した
- 2019年の発電所所長アレクサンダーは、警察の捜査が入ることを恐れて廃棄物をトラックに乗せて移動させた
- ミッケルは2019年から1986年にタイムスリップしてイネスに引き取られ、成長してハンナと結婚し、ヨナスの父親となった
- ウルリッヒはヘルゲを疑い、1953年にタイムスリップして少年ヘルゲに重傷を負わせ、地下貯蔵室に閉じ込めた
- ヨナスは未来の自分に誘導されて洞窟のワームホールを見つけ、やがて大人になってワームホールを壊そうとするが、失敗する
といったことが明らかになりましたが、謎も多く残っています。
ミッケルを1986年にタイムスリップさせたのは誰なのか。司祭ノアとアレクサンダーは何者なのか。クラウディアはどこで設計図を手に入れたのか。
そしてヨナスがタイムスリップした33年後の未来、2052年のヴィンデンでは、何が起こっているのか。
引き続きシーズン2も見ます! たのし~!!
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