ネタバレ有「弔い写真家の事件アルバム」全話あらすじ・感想・登場人物(キャスト)・予告動画

海外ドラマ「弔い写真家の事件アルバム」あらすじキャスト

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海外ドラマ「弔い写真家の事件アルバム」(全6話)についてまとめました。

最愛の家族を亡くした人たちのために、遺体との記念写真を撮ることを生業とする写真家が墓堀人と女優志願の姪とともに謎多き事件を解決! ミステリー界で権威あるエドガー賞で<Best Television Episode Teleplay>を受賞したアイルランド&カナダの最新話題作!

AXNミステリー公式サイトより

19世紀のアイルランドを舞台に繰り広げられる、異色のヒューマンミステリー。IMDbの評価は6.9。

写真術が発明されたばかりの19世紀の欧米では、生前に写真を撮る機会に恵まれないことも多く、亡くなった人との記念撮影は非常に人気がある“追悼”の方法だったとか。そんな歴史的事実を背景に誕生したドラマシリーズです。

遺体を“まるで生きているように”見せて撮影するという不気味な設定がややホラーっぽいのですが、ヴィクトリア時代の風俗や建物などがリアルに再現されていて、この時代が好きな人にはその薄暗さも魅力的に映るかもしれません。

主人公ブレナーハセットを印象的に演じるのは、「刑事ジョン・ルーサー」シリーズでベニー・シルバーを演じたマイケル・スマイリー。

作品概要

  • 放送局:AXNミステリー
  • 製作国:アイルランド・カナダ(2020年)
  • 原題:Dead Still
  • 脚本:ジョン・モートン
  • 監督:イモジェン・マーフィー ほか
BS11放送決定

2023年3月18日からBS11にて、毎週土・日曜(8:00~9:00)に放送されます。全6話。無料。

あらすじ

写真家のブロック・ブレナーハセットは、最愛の家族を亡くした人たちのために、遺体との記念写真を撮る「弔い写真家」。ブレナーハセットの姪で女優志望のナンシー、墓掘人モロイの協力を得て、仕事を進めていくが、その頃、街では、追悼写真を撮ったかのようにポーズをとった状態で遺体が発見される奇妙な事件が連続して発生していた。

AXNミステリー公式サイトより

予告動画

時代背景(年表)

年代出来事
1801年イギリスがアイルランドを併合し、「グレートブリテンおよびアイルランド連合王国」が発足
1837年ヴィクトリア女王がイギリス女王に即位
1839年ルイ・ジャック・マンデ・ダゲールが銀板写真法(ダゲレオタイプ)を発表
1861年南北戦争勃発
1880年トーマス・エジソンが白熱電球の米国特許を取得
1882年サグラダ・ファミリア建設開始
1885年カール・ベンツが世界初のガソリン自動車を発明
1888年ルイ・ル・プランスが映画を発明
1889年パリ万国博覧会開催、エッフェル塔が建設される
大日本帝国憲法発布
1893年ルドルフ・ディーゼルがディーゼルエンジンを発明
1894年日清戦争
1896年アテネで第1回国際オリンピック大会開催

登場人物(キャスト)

ブロック・ブレナーハセット(マイケル・スマイリー)
亡くなった人の記念写真を専門とする追悼写真家。20年近く写真を取り続け、国内ではその道の第一人者として名前が知れ渡っている。10年前の出来事に深く傷つき、それ以来、人を遠ざけている。警察を信用しておらず、捜査に非協力的な態度を取る。

ナンシー・ヴィッカーズ(アイリーン・オヒギンズ)
ブレナーハセットの姪。おしゃべり好きで、好奇心旺盛な女性。女優志望だが家族に反対され、家を出てダブリン市内のブレナーハセットの家に転がり込む。幼い頃にブレナーハセットの助手をしていたが、10年前急に突き放された。

コナル・モロイ(カー・ローガン)
墓掘人。ブレナーハセットのファン。墓場で葬儀に来ていた彼に会い、直談判して助手になる。絵を描くことが趣味。ダブリン市内の歓楽街で、母親と妹と3人で暮らしている。

セシル・カルザース(ジミー・スマルホーン)
ブレナーハセットの専属御者。モロイと同じ歓楽街に住んでいるが、彼のことを嫌っている。

フレデリック・レーガン(エイダン・オヘア)
ダブリン首都警察の刑事。刑事課に配属されたばかりで、手柄をあげようと意気込んでいる。2件の奇妙な自殺と、怪しい写真の売買について捜査しているが、上司や同僚からは全く相手にされていない。

ヘンリー・ヴィッカーズ(ピーター・カンピオン)
ナンシーの兄。遊び人。秘密結社の集会で不気味な写真が収められたアルバムを盗んだことから、事件に巻き込まれる。

ルイ・キャノン(Jonathan Delaney Tynan)
ヘンリーの友人。妻を亡くしたばかり。旧友のチェルニーからわいせつ写真を仕入れて出版している。ヘンリーと組んで写真の売買で金を稼ごうとする。

エミール・チェルニー
共産主義者。ルイの旧友。ルイにわいせつ写真を売って旅費を稼いでいる。

ワッカー(マーティン・ドノヴァン)
アメリカ人の写真収集家。南北戦争で戦った元軍人。ヘンリーとルイを秘密結社の集会に誘った人物。2人から不気味な写真が収められたアルバムを買い取り、命を狙われる。

パーシー・カミンズ(マーク・レンドール)
彫刻家。パーティーでナンシーと出会い、一目惚れする。

ローパー(Rhys Dunlop)
ダブリン首都警察の刑事。レーガンの捜査に非協力的。彼の推理を妄想だと決めつけている。

ファレリー(Shane Lennon)
ダブリン首都警察の優秀な制服警官。レーガンの唯一人の味方。

各話のあらすじ(ネタバレ有)

19世紀末のアイルランド。ダブリン市内に住むブレナーハセットは、遺体をきれいに整えて残された家族と一緒に記念写真を撮る“追悼写真家”。
ある日、病気で亡くなったメアリーを撮影した帰り、重い機材を運んでいる最中に足を痛めてしまう。折よく、姪のナンシーが「女優になりたい」と町に出てくる。ブレナーハセットは彼女を家に住まわせることに。
その夜、撮影した乾板が消えていることに気づいたブレナーハセットは、翌日再び家族のもとを訪れる。すると、出てきたのはダブリン首都警察の刑事レーガンだった。昨夜、この家に何者かが侵入し、部屋を荒らしたという。
乾板の行方を追って葬儀が行われている墓場へ足を運んだブレナーハセットは、そこで墓掘人のモロイに出会う。ブレナーハセットのファンで、転職を考えているというモロイに、消えた写真乾板の調査を頼むことに。
レーガンによると、死んだメアリーの夫デズモンドは、急進思想(フィニアン)をもつ労働者階級という理由で、彼女の家族から嫌悪されていた。メアリーは療養のため実家に戻り、そこで亡くなったのだが、デズモントは怒りと悲しみに駆られて屋敷に侵入し、写真乾板を盗んだのではないかいう。
モロイはルビンシュタインの写真館を訪ね、拘束された彼を発見する。犯人がブレナーハセットの家に向かったと聞き、急いで向かうモロイ。だがすでにブレナーハセットとナンシーはメアリーの夫デズモンドに拘束されていた。デズモントは愛する妻との記念写真が欲しいとブレナーハセットらを脅し、メアリーの遺体を掘り起こすよう命じる。
ブレナーハセットはナンシーとロイを連れて夜の墓場へ行き、メアリーの遺体が入った棺を掘り起こして夫婦の写真を撮影する。レーガン刑事が現場に到着したときには、3人は礼拝堂に拘束され、デズモントは姿を消していた。
レーガンはブレナーハセットに、2件の奇妙な死亡事故について相談する。いずれも自殺に思われたが、遺体は全く同じ姿勢で傷の様子も同じだという。ブレナーハセットは「自殺は専門外だ」と冷たくあしらう。
ブレナーハセットはモロイを機材運びや介助人として雇おうとするが、本人やナンシーの訴えで、助手として雇うことに。書斎に飾られたたくさんの遺体の写真に向かって、「また助手ができるようだ」と語りかけるブレナーハセット。
その頃、ナンシーの兄ヘンリーは、ある屋敷で不気味な写真の数々が収められたアルバムを見つけ…。

ブレナーハセットとモロイは、事故で幼い息子アイヴァーを亡くしたブレスリン夫妻を訪ねる。撮影は無事に終わるが嵐のせいで帰れず、2人は屋敷に泊まらせてもらうことに。
その夜、2人は死んだはずの少年アイヴァーの幽霊を目撃し、動転する。モロイは幽霊の姿を写真に収めようとして夫妻の怒りを買い、屋敷から追い出されそうになる。
その後、ブレナーハセットの寝室に再び少年が現れる。彼はアイヴァーの双子の兄弟、サミュエルだった。夫妻は生まれつき脳に障害があるサミュエルを恥ずべき存在として隠し、子供部屋に監禁していたのだ。
メイドのビセンタが密かにサミュエルを部屋から出し、そのせいでアイヴァーが死んだと知ったブレスリン夫妻は、サミュエルを危険な獣のように扱い、再び子供部屋に閉じ込めようとする。
ブレナーハセットはサミュエルにアイヴァーとの別れの機会を与え、少年の代わりにブレスリン夫妻を子供部屋に閉じ込める。そして子供を虐待しないと約束するまで部屋から出さないよう、ビセンタに伝えて屋敷を去る。
一方、姪のナンシーはパーティーに出席するため、嵐の中、ルイ・キャノンの屋敷を訪ねる。パーティーには兄のヘンリーやルイの友人チェルニー、彫刻家のパーシーも来ていた。パーシーに口説かれたナンシーは彼とダンスを踊り、キスを交わす。
翌朝、屋敷を出たナンシーはレーガン刑事と遭遇する。レーガンはわいせつ写真を売買しているルイとチェルニーを調べようとしていたが、上層部からは捜査の許可を得られず苛立っていた。
その頃、ある人物のもとに「アルバムを取り戻したら、もっと写真を撮れ HC」という切り貼り文字の手紙が届く。

ブレナーハセットの家からカメラ機材一式が消え、助手のモロイが姿を消す。彼が盗んだのではと疑ったブレナーハセットは、ナンシーに説得されて彼の自宅があるダブリン市内の歓楽街へ赴く。
女優志望のナンシーは商売女になりすまし、モロイの行きつけの店で聞き込みを行うが、すぐにバレて出入り禁止を言い渡されてしまう。
戻ってこないナンシーを心配し、店に入ったブレナーハセットは、女店主からモロイの住所を聞き出す。彼は周囲に「自分は写真家だ」と吹聴していたらしい。だが自宅にモロイと家族の姿はなく、家の中は何者かによって荒らされていた。女店主によると、このあたりを牛耳るマルグルー親子の仕業だという。
店に戻ったブレナーハセットは覆面捜査中のレーガン刑事と出会う。レーガンは店内で写真を売ろうとしていたチェルニーを現行犯で逮捕する。彼が売ろうとしていた写真は、先週自殺体で発見された被害者の死亡直後の遺体を撮ったものだった。
ブレナーハセットは店を出たところでマルグルーの息子バーティーに捕まり、彼らの売春宿に連れて行かれる。そこで、監禁されているナンシーとカルザース、モロイの妹リリーと会う。モロイもまた彼らに誘拐され、わいせつ写真の撮影を強要されていた。
マルグルー親子がモロイを“写真家”と勘違いしていることに気づいたブレナーハセットは、モロイの助手のふりをして写真撮影を手伝う。ナンシーとリリー、カルザースの3人は、バーティーを殴って自力で監禁部屋から脱出する。そこへレーガン刑事が捜査官を連れて乗り込んでくる。
逮捕されたチェルニーは、ヘンリーのアルバムから盗んだ拷問写真をマルグルー親子に売りつけようとしたという。レーガンは殺人写真を撮影した犯人がカメラの扱いに慣れていると見て、ブレナーハセットに心当たりがないか聞くが、ブレナーハセットは「よくわからない」と答える。
レーガンはチェルニーの取り調べを行おうとするが、彼は留置場で手首を切った状態で死んでいた。

留置場でチェルニーが亡くなり、責任を問われるレーガン刑事。遺体の胸には他の自殺と同様に黒バラが残されており、殺人の疑いを強めるレーガンだったが、上司は自殺と断定し取り合おうとしない。
そんな中、ブレナーハセットの母親が亡くなり、モロイが追悼写真を撮ることに。機材を持って屋敷を訪ねたモロイは、歯に衣着せぬ物言いをするナンシーの母や、遊び人の兄ヘンリーと会う。
ヘンリーとルイは、アメリカ人の写真収集家ワッカーに例のアルバムを売りつける。珍しい写真で金儲けをしようと考えた2人は、先月妻が亡くなったばかりのルイの家で降霊会を開き、心霊写真を撮ることを計画する。
モロイはヘンリーたちから心霊写真の撮影を依頼され、ブレナーハセットとナンシーを連れて降霊会に参加する。ルイの家には有名な霊媒師エヴァ・ランバートとその妹が呼ばれていた。
エヴァは死んだルイの妻やブレナーハセットの過去の助手など、さまざまな霊を媒介するが、参加者たちは幻覚におそわれてパニック状態に陥る。降霊会の前に出された飲み物に薬が仕込まれていたのだ。
取り乱したワッカーが銃を出して発砲すると、姉妹はどさくさに紛れて金目の物を盗み、逃走。モロイはワッカーを取り押さえた際に例のアルバムを見つけ、とっさに盗んでしまう。
ブレナーハセットとナンシー、モロイ、ヘンリーの4人は早々に屋敷を抜け出すが、あとに残ったワッカーとルイの前にアルバムを捜す男が現れ、ルイを刺し殺す。
帰宅したナンシーとモロイは、ブレナーハセットの書斎の壁にこれまで彼が撮影した死者たちの写真が大量に飾られているのを見つけ、動揺する。

ルイの遺体を見たレーガン刑事は、これまでと同じく自殺を装った殺人だと考える。レーガンは降霊会を行ったランバート姉妹を訪ね、参加したメンバーの中にブレナーハセットがいたことを知る。ナンシーに会ったレーガンは追悼写真と黒バラの関係について質問するが、ナンシーは「知らない」と答える。
モロイは降霊会でアルバムを盗んだことをブレナーハセットに打ち明ける。アルバムに収められている恐ろしい写真の数々は、どれもブレナーハセットの写真にそっくりだった。警察に届けるべきだと言うモロイに対し、ブレナーハセットは過去の悲劇を打ち明け、内々に始末することを提案する。
かつて、ブレナーハセットには助手がいた。遺体の胸に黒バラを飾るアイデアは、その助手が思いついたものだった。その後、助手はブレナーハセットを非難する手紙を残して自殺したという。警察はきっと我々を疑うだろうと言い、ブレナーハセットは自分たちでアルバムを葬るべきだと主張する。
一方、ナンシーは雲隠れしているヘンリーのもとを訪ね、事情を聞き出す。ヘンリーはワッカーに誘われてウィックロー山地の屋敷で行われた秘密結社の集会に参加し、拷問や殺人を撮った写真のアルバムを盗んだことを明かす。秘密結社の正体はわからないが、非常に暴力的で影響力のある連中だと言うヘンリー。
ナンシーと別れた後、ヘンリーは逃亡中のワッカーと密会し、どちらもアルバムを持っていないことを確認し合う。アルバムが大金を生むと考えたワッカーは、危険を承知でアルバムを捜し出そうとする。
帰宅したナンシーはブレナーハセットとモロイのどちらかがアルバムを盗んだと察し、2人を問い詰める。そこへレーガン刑事が訪ねてくる。ブレナーハセットは「刑事にすべて話す」とナンシーに約束するが、実際には黒バラのこともアルバムのことも話さず、密かにモロイに命じてアルバムを始末させようとする。モロイはそれに従わず、アルバムを自宅に隠す。
酔って帰宅したヘンリーの前に、アルバムを捜す男が現れる。アルバムをワッカーに売ったことを教えると、男はヘンリーを椅子に座らせて刺し殺す。
男のもとに雇い主の使いが現れ、アルバムの捜索をやめるよう命じられる。だが男は聞き入れず、捜索を続けると断言する。

ヘンリーの遺体が発見され、警察もようやく事件として捜査を始める。ブレナーハセットのもとには「特別な友へ。もうすぐ会える」というメッセージとともに、ヘンリーの遺体の写真が送りつけられる。
数日後、ブレナーハセットはモロイを解雇し、ナンシーを実家に帰す。納得がいかないナンシーは墓掘人に戻ったモロイを訪ね、彼が昨年妻を亡くしていたことを知る。
2人は話し合った末にアルバムを警察に届けることを決めるが、レーガン刑事を呼びに行ったナンシーは誘拐されてしまう。意識を取り戻したナンシーが見たのは、パーティーで出会った彫刻家のパーシーだった。
一人になったブレナーハセットのもとに、逃亡中のワッカーが現れる。彼によると、アルバムの持ち主は秘密結社“地獄の火(ヘルファイア)クラブ”だという。100年前の組織が現在も存続していたのだ。彼らは人を雇って憎い者を殺させ、写真を撮らせているという。
だがそのワッカーも、組織に雇われている実行犯については知らなかった。ブレナーハセットは撮影者に心当たりがあると言い、10年前まで助手であり友人でもあったジョン・パーシー・ヴォドリーの名をあげる。ヴォドリーはブレナーハセットと一緒に仕事をしながら、彼の目を盗んで遺体を切り刻んでいたのだ。ブレナーハセットはすぐに解雇したものの、その事実を誰にも言えず、隠蔽して忘れようとしたのだった。
モロイはアルバムを持ってブレナーハセットの家を訪ね、ワッカーに拘束されてしまう。ヴォドリーからの手紙でナンシーが誘拐されたことを知ったブレナーハセットは、アルバムを御者のカルザースに預け、モロイとともにヴォドリーがいるウィックロー山地へ向かう。
レーガン刑事が捜査官を率いてブレナーハセットの家に踏み込んでくる。カルザースからアルバムを受け取り、ワッカーを留置場に入れたレーガンだったが、その直後にワッカーの独房で火事が発生。そのすきにアルバムが盗まれてしまう。
ブレナーハセットは独りでアジトに踏み込み、かつての助手と対峙する。通報もせず、誰にも話さなかったのは、おまえのせいで私の評判が落ちるのを恐れたからだ、と打ち明けるブレナーハセット。逆上したヴォドリーはナンシーを殺そうとするが、ブレナーハセットが身代わりになることを条件に彼女を解放する。
ブレナーハセットを殺そうとしたヴォドリーは、もみ合いの末、自らにナイフを突き立て息を引き取る。ナンシーとモロイは組織について警察に話すべきだと言うが、ブレナーハセットは自分と家族の身を守るために事件を隠蔽することを決める。ヴォドリーの遺体を撮影したブレナーハセットは、密かに遺体を埋葬し、黒いバラを供える。
ワッカーの死は自殺と判断される。またもや留置場で死者を出したことで、上司から叱責されるレーガン。組織の連中がワッカーの独房に火をつけて殺し、アルバムを盗んだと確信すると同時に、レーガンは警察内部に裏切り者がいるという疑念を強める。
ブレナーハセットはモロイに助手として残ってほしいと頼むが、断られる。モロイは昨年、妻の追悼写真を頼むためブレナーハセットに手紙を出していたことを打ち明ける。だが払えるお金が少ないという理由で、その願いは叶わなかった。「そんな写真家は嫌いです」と告げて立ち去るモロイ。ナンシーもまた、ブレナーハセットに失望して彼のもとを去る。
ブレナーハセットは書斎の壁の真ん中にヴォドリーの遺体の写真を飾る。彼のもとに、「新しい写真家を探している」という組織からの手紙が届く。
消えたアルバムは、ある女性のもとに戻っていた。

感想(ネタバレ有)

遺体の記念撮影というものが、かつて本当にあったんですねぇ。このドラマを見るまでは知りませんでした。

ポストモーテムフォトグラフィー(Post-mortem photography)というそうで、ヴィクトリア女王がイギリスを統治していたヴィクトリア朝時代(1837~1901)に流行したそうです。

普通に横たわっている遺体の写真を撮るのかと思っていたら、椅子に座らせたり目を見開かせたりして“生きている”ように演出し、家族と並んで撮影するという…ちょっと現代の感覚では悪趣味とも思える撮影方法で、びっくりしました(ネットで検索すると、当時の遺体写真がいろいろ出てきます)。

150年も昔のことですし、日本とは文化や宗教も違うので共感しづらい部分もありますが、今よりも“死”というものが身近な時代だったのだのでしょうね。病で亡くなる人も多かっただろうし、子供の死亡率も高かった。

さらに、いつでもどこでもスマホで気軽に写真が撮れる現代とは違い、当時はダゲレオタイプ(銀板写真)が発明されて間もない頃。写真に対する価値観も、今とは全く違っていたと思います。

もしかしたら、追悼写真が最初で最後の、家族にとってはたった一枚の写真になったかもしれません。第1話で、故人の夫が埋葬した遺体を掘り起こしてでも「妻との写真がほしい」と願ったように。

だから当時の写真家は、ご遺体をいかに「生きているように」「美しく」撮るかが腕の見せ所だったとか。このドラマの主人公ブレナーハセットも、仕事に対して異常とも思える強いこだわりとプライドを持っていて、どこか浮世離れしているようにも見えました。

物語の中では、そのブレナーハセットの「強いこだわりとプライド」が陰惨な事件を引き起こしてしまうことに。姪のナンシーと助手のモロイが最終話で離れていったのも、ブレナーハセットが頑なに貫く信念に共感できなかったからだと思います。ナンシーとモロイの価値観は、どちらかというと現代的なのかな。

ブレナーハセットが隠蔽したため、レーガン刑事の奮闘もむなしく事件は未解決のまま、黒幕の正体もわからずじまいで終わってしまいました。ラストはシーズン2を思わせるクリフハンガーでしたが、今のところ続編の情報は入ってきていません。

余談ですが、この遺体写真家という職業を扱った映画が2020年にハンガリーで製作されています。こちらは本気のホラー作品で、第94回アカデミー賞国際長編映画賞部門ハンガリー代表作に選出されました。

わたしは怖くて無理ですが、興味があるかたはどうぞ。アマプラで見られます。

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