「ホワイト・プリンセス」全話ネタバレ・感想・登場人物(キャスト)一覧・家系図・時代背景

海外ドラマ「ホワイト・プリンセス エリザベス・オブ・ヨーク物語」あらすじキャスト

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各話のあらすじ(ネタバレ有)

1485年。ボズワースの戦いでリチャード3世を斃したヘンリー・チューダーは、“ヘンリー7世”として新たなイングランド王となる。
ヘンリーの婚約者であるヨーク家の王女エリザベス(リジー)は、母や妹たちとともに宮殿へ連行されるが、母エリザベスはひそかに幼い息子リチャードをフランスへ亡命させる。
リチャード3世への想いを断ち切れないリジーは結婚を拒み、ヘンリーもまた別の女性との結婚を望んでいた。しかしフランス暮らしの長いウェールズ人であるヘンリーは信頼に欠け、議会はエリザベスとの結婚を勧める。
ヘンリーはリジーを食事に招き、結婚はヨーク家とチューダー家の血を引いた世継ぎを妊娠してからだと明言。義務的に子作りを行い、リジーは屈辱に涙する。やがて妊娠の兆候が訪れ、リジーは薬草を使ってお腹の子を流産させようとする。それを知った母エリザベスは、「その子を立派な国王に育ててヨーク家の治世を取り戻せばいい」とリジーを諭す。
リジーの懐妊を知ったヘンリーと王母マーガレットは喜び、結婚式の準備を勧める。エリザベスは密かに「チューダー家の男系は滅びる」と呪いをかけ、マーガレットはロンドン塔に幽閉されて行方不明になったエドワード王子の悪夢にうなされる。
リジーは殉教者と娼婦の意味を込めた赤いドレスで結婚式に臨む。「たとえ善き妻を演じていてもヘンリー王は私の宿敵」と心に誓うリジー。その夜、ヘンリーはエリザベスの足を短刀で傷つけてシーツに血を落とし、何もせずに部屋を出て行く。

前王妃エリザベスは、密かにヨーク派と接触しようともくろむ。リジーは従順な妻を演じながら、夫ヘンリーに「反逆者を恐れるのは逆効果」だと意見し、触発されたヘンリーは巡幸時にヨーク家の地盤であるヨークを経由することを決める。
王母マーガレットはヨーク派の反乱を恐れ、リジーに巡幸には同行せず宮殿に残るよう命じ、母エリザベスを塔に幽閉してしまう。エリザベスはラヴェル子爵宛に決起を促す手紙を書き、馬丁のネッドに託す。
ヘンリー一行はヨークに到着するが、潜伏していたラヴェル子爵に刺される。その頃ロンドンの街では伝染病が猛威をふるい、リジーはモートン大司教の反対を押し切って宝物庫を開け、王妃権限で民に施しをする。
一時的に塔を出ることを許された母エリザベスは、伝染病を利用して民の怒りを増幅させれば、チューダー家への反乱を誘導できると話す。だがリジーは民を見殺しにできないと反発し、ヘンリー暗殺に対しても異議を唱える。
リジーがウォリック伯テディと姉マギーに民への施しの実行役をさせたことで、民衆の間にはテディの支持者が増え始める。危機感を抱いたヘンリーはテディをロンドン塔に幽閉するよう命じる。
ヘンリーは巡幸からの帰途、リジーの施しを受けた民に感謝を告げられる。不本意ながらもリジーの政治能力を認め、心を開き始めるヘンリー。
リジーの祖母であるセシリー公爵夫人は宮廷を去って娘のブルゴーニュ公妃のもとへ身を寄せ、ラヴェル子爵もまたブルゴーニュへ逃亡。反逆者の拠点となったブルゴーニュに軍を送るべきだという母に対し、ヘンリーは和平特使として叔父ジャスパーを派遣すると決める。

陣痛に苦しむリジーは、「呪われた子を産みたくない」とマギーに口走る。母エリザベスは塔を出ることを許されず、お産には王母マーガレットが立ち合う。リジーは無事に男児を出産。ヘンリーは息子を抱き、喜びを露わにする。
エリザベスは塔の中からブルゴーニュ公妃宛に決起を促す手紙を書く。公妃が手紙を受け取る頃、ヘンリーの使者ジャスパーがブルゴーニュを訪れ、和平交渉にあたっていた。
ヘンリーは息子アーサーのために、赤と白の薔薇を組み合わせた新しい紋章を作る。リジーは息子を産んだ見返りとしてテディの解放を求めるが、聞き入れてもらえない。アーサーの洗礼式への出席も許されず、代わりに母エリザベスが出席することに。
ウィンチェスター寺院でアーサーの洗礼式と祝宴が開かれる。マーガレットはエリザベスがラヴェル子爵に暗殺を命じたとして、再び塔に幽閉する。セシリーはマーガレットの異母弟ジョン・ウェルズと結婚することが決まる。
リジーの訴えで母エリザベスはバーモンジー修道院に入ることになる。ヘンリーは母マーガーレットの思惑通りに生きる苦しみをリジーに語り、リジーもまた母親に逆らえなかったことを打ち明ける。ヘンリーは愛せなくてもいいから裏切らないでほしいと訴えるが、リジーは約束することができない。
リジーの戴冠式が行われる。エリザベスはリジーに修道院を訪れるよう伝言を送るが、リジーは現れなかった。
ジャスパーの真摯な態度に心を動かされたブルゴーニュ公妃は、和平へと気持ちが傾くが、義理の娘マリーがジャスパーの同行者ストレンジ卿と馬で競争中に落馬して命を落としてしまう。公妃はジャスパーを恨み、立ち去るよう命じる。

ブルゴーニュ公妃はチューダー家に復讐するため、前王妃エリザベスとともに戦うことを決意する。公妃は農民の少年ランバートにテディのふりをさせ、テディが塔から脱走したという噂を広める。
リジーの提案で、本物のテディをセシリーの結婚式に出席させたヘンリーだったが、参列するテディを見た老女がウォリック伯を称え、沿道は大騒ぎになる。さらにヘンリーに忠誠を誓ったはずのヨーク派ド・ラ・ポールが裏切り、テディを守ろうと反乱を起こす。
マーガレットはエリザベスが裏で糸を引いていると主張し、処刑を指示する。リジーは母を救うため、密かに宮廷を抜け出して修道院へ向かう。策略を打ち明ければ死刑を免れると説得するが、エリザベスは何も話さない。
母との決別を覚悟したリジーは、ヘンリーにすべてを打ち明け、息子と家族のために生涯チューダー家に尽くすと約束する。
マギーは王母マーガレットの計らいで元軍人のリチャード・ポール卿に嫁ぐ。ロンドン塔に幽閉されている弟の身を案じるマギーに、リチャードは優しく接する。
ブルゴーニュ公妃の軍がアイルランドへ到着する。ジャスパーはマーガレットに想いを打ち明け、スタンリー卿との結婚を解消して一緒に生きようと告げて戦場へ向かう。リジーはヘンリーに「家族のために無事で帰ってきて」と告げる。
ストーク・フィールドの戦いで、10歳のランバートが率いる公妃軍は惨敗。帰還したヘンリーは捕らえたランバートを前王妃エリザベスとともに反逆の罪で処刑すると宣言する。しかしマギーの夫ポール卿が異議を唱え、2人は処刑を免れる。
リジーにジャスパーへの愛を指摘されたマーガレットは、彼への愛を捨てて王母としての道を貫く決意をする。マーガレットはジャスパーにリジーの叔母キャサリンとの縁談を勧める。
リジーとヘンリーの間には愛情が芽生え、ヘンリーは母が使っていた王妃の間をリジーに与えて「これからも幸せに暮らしていこう」と告げる。
その頃、戦場から戻ったブルゴーニュ公妃の前に、消息不明だったエドワード4世の第2王子リチャードが現れる。

5年後。リジーはヘンリー王との間に息子2人と娘1人をもうける。ブルゴーニュ公妃は行方不明だったリジーの弟リチャードを擁立し、ヘンリー王を追い落とすべく陰謀を企てていた。
ヘンリーはリチャードが本物かどうか見極めるため、ウェールズで平穏な暮らしを送っていたリジーのいとこマギーをブルゴーニュ公妃のもとへ行かせる。
バーモンジー修道院ではリジーの母エリザベスが病を患い、残りの日々を娘とともに暮らしたいと訴える。リジーはヘンリーの許しを得て、母を宮殿に迎える。
ヘンリーを詐称者と称し、リチャードをヨーク公として忠誠を誓う動きがあることを知ったヘンリーは、幼い第2王子ヘンリーにヨーク公の爵位を与え、正統性を示す。その祝宴でエリザベスは、ブルゴーニュにいる自分の息子リチャードこそが正統なヨーク公だと告げる。エリザベスは再び修道院に幽閉され、リジーは母との絶縁を宣言する。
ブルゴーニュを訪れたマギーは、リチャードと対面する。リチャードは公妃のもとで欧州諸国の支持を得て決起に備え、スコットランド王の親族であるキャサリンとの婚約も決まっていた。本物かどうか判断ができずにいたマギーだったが、夫ポールに説き伏せられ、偽者と証言する。
ヘンリーは同行したポールに、ブルゴーニュ公妃宛ての手紙の封蝋を盗ませていた。その印章から暴かれた反逆者の中には、元王妃エリザベス、そして王母マーガレットの夫の弟であるウィリアム・スタンリーがいた。
マーガレットは自分が暗殺したはずのリチャード王子が生きている可能性に怯え、激しく動揺する。マーガレットの本性を知ったジャスパーは、ヘンリーに事実を伝えようとする。だがヘンリーの信頼を失うことを恐れたマーガレットは、密かにジャスパーを殺害する。

ウィリアム・スタンリーはリチャードこそ正統な王だと言い残して斬首される。リジーはロンドン塔にいたリチャード王子が替え玉だったことをヘンリーに告白すると同時に、ブルゴーニュにいる男は偽者だと断言する。
リチャードとキャサリンの結婚式に欧州一の強国スペインが列席しなかったことを知ったリジーとヘンリーは、スペインを味方につけるべくアーサーとスペイン王女キャサリンの縁談を勧めようとする。
2人はスペインのアルハンブラ宮殿を訪ね、カスティーリャ女王イサベルに謁見。だがイザベルはリチャードが欧州諸国の支持を受けていることを危惧し、敗れ去る者に娘はやれないと、リチャードとウォリック伯テディの処刑を要求する。
スコットランド始め各国の援軍を得たリチャード軍がロンドンに近づく。戦のための新税に不満を抱いていたコーンウォールの民衆も蜂起し、リチャード側につく。第2王子ヘンリーを連れて巡礼の旅に出ていたきマーガレットとヘンリーは、ビューリーの修道院にかくまわれ、マーガレットは寄付を申し出る。
ヘンリーは出陣するが、リチャード軍の突然の退却に拍子抜けする。リチャードの妻キャサリンの出産が早まったためだった。リチャードに世継ぎが生まれたと知り、焦るヘンリー。
リジーは母が危篤に陥ったという知らせを受け、修道院を訪ねる。エリザベスは「弟のリチャードを助けてやって」と言い残して息を引き取る。リジーは貴族の援助もスペインの加勢も得られず窮地に陥ったヘンリーの陣営へ向かい、離反する軍勢を懸命に説得して陣に連れて帰る。
リチャードは戦場で姿を消し、ヘンリー軍が勝利する。やがてリチャードがビューリーの修道院へ逃げ込んだという報告が届き、マーガレットは寄進者の威光をもってリチャードを引き渡すよう命じる。

宮廷に連行されたリチャードは、ヘンリー王の前で自分こそ正統なる後継者だと主張。ヘンリーに意見を求められたリジーは「弟は死んだ」とだけ答える。
ヘンリーはリチャードを宮廷の使用人として生かすことを決め、市中引き廻しとする。リチャードは王妃であるリジーを擁護し、民衆を味方につける。マーガレットは修道士を使ってリチャードの妻キャサリンをそそのかし、宮廷に連れてこさせる。キャサリンと赤ん坊を人質に取られたリチャードは王位を諦めようとするが、キャサリンに戦うよう励まされる。
ヘンリーは「兄エドワードはチューダーに殺された」というリチャードの言葉を聞き、母マーガレットに疑いを抱き始める。リチャードは「偽者と自供すれば命を助ける」という言葉にも屈せず、正統な王であることを宣言。宮廷の貴族たちはリチャードの風格に圧倒される。
危機感を抱いたマーガレットは、キャサリンから赤ん坊を奪う。マギーはブルゴーニュ公妃と密会し、リチャード王子と妻子を助けてほしいと頼まれる。
息子を奪われたリチャードは、不本意ながらも偽者だという告白書を読み上げる。だが宮廷内でそれを信じる者はいなかった。マギーは弟を追い詰めるリジーを非難し、「リチャードを殺せば呪いが降りかかり、アーサーかヘンリーが死ぬことになる」と忠告する。
ヘンリーは宴で毒を盛られたと騒ぎ、リチャードに激しい暴行を加える。リジーはマギーに部屋の鍵を渡してリチャードを衣装部屋から連れ出させ、部屋に火をつけてリチャードとキャサリンを逃がそうとする。
だがリチャードは炎の中から現れ、「私こそイングランドの王位を継承すべき者だ」と宣言する。

リチャードは放火犯として牢に入れられる。マギーはリチャードを救出するため、ブルゴーニュ公妃とともに戦うことを決意する。
スペイン王家からアーサーとキャサリンの結婚の条件であるリチャードとウォリック伯の処刑を催促する知らせが届く。リジーは火をつけたのは自分だと告白し、牢にいるリチャードが本物であることをヘンリーに明かす。そして呪いを避けるためにも、リチャードを殺さずにすむ方法を見つけるべきだと訴える。
ヘンリーは母マーガレットを問い詰め、かつて塔の王子たちを殺したことを白状させる。残酷な事実を突き付けられ動揺したヘンリーは、貴族たちの前で母との断絶を宣言する。
リジーは塔でリチャードと会い、彼が王位につく未来について語り合う。リチャードはリジーと子供たちの命を守ると保証する。
リチャードの援軍が迫る中、自らが簒奪者であることを知り、弱気になるヘンリー。リジーは「王の神性なんて思い込みにすぎない。力ずくで奪えばいい」と背中を押し、リチャードの替え玉を公開処刑して反乱の火種を断つ。だが処刑場にいたブルゴーニュ公妃が替え玉だと気づき、スペイン大使にその事実を知らせる。
計略を知ったスペイン大使は、リジーに本物の処刑実行を要求。リジーはブルゴーニュ公妃の伝達役となっていたマギーを塔に幽閉し、ブルゴーニュ公妃を捕らえる。そして状況を把握していないテディに署名させて反逆計画の告白書を捏造する。
リジーの立ち会いのもと、テディは斬首され、リチャードはリジーに目を逸らさず見届けるよう言い残して、罪人用の斧ではなく騎士の剣で斬首される。
マギーを解放し、テディが処刑されたことを伝えるリジー。マギーは「呪いはあなたに降りかかる」と告げて号泣する。
リジーは宮廷内の結束を固めるため、ヘンリーとマーガレットを和解させる。晴れてキャサリン王女とアーサー王子の婚約が決まり、スペインとの同盟が成立する。マーガレットは「あなたと私は同じよ」とリジーの耳元でささやく。

感想(ネタバレ有)

リチャードは本物だったのか

前作「ホワイト・クイーン」に比べると若干盛り上がりに欠ける部分はありましたが、チューダー朝初期の物語ということで、歴史的な観点ではとても興味深かったです。

イギリス史の本を読んでも、このあたりはサラッとしか書かれてないんですよね。

最大の出来事である「パーキン・ウォーベックの乱」は、“ヨーク派の残党に担ぎ出されたリチャード王子を名乗る青年パーキン・ウォーベックが起こした反乱”という書き方がほとんどです。

史実でもブルゴーニュ公妃は彼を「本物」と認めて反乱を支援していますが、たぶん偽者と承知のうえで公認したんでしょうね。弟を討ったヘンリー7世に復讐するために。

ドラマでは本物のリチャードという設定で、エリザベス(リジー)が嫁ぎ先のチューダー家を守るために、実の弟を処刑するという残酷なストーリーになっていました。

情けなさすぎたヘンリー7世

ヘンリー7世は「したたかな政治家」というイメージがあったので、ドラマのヘンリーがずっとクヨクヨ悩んでいて何もしていないように見えたのが哀れでした。

このシリーズは女性の活躍を描くものなので、あえて色をつけた演出になっていたのだと思います。

実際のヘンリー7世は、ひっ迫した王室財政を立て直すためのさまざまな施策を繰り出したり、国政について協議する「星室評議会」を設置したり、王権強化のための国王護衛兵(ヨーマン・オブ・ザ・ガード)を創設したりと、けっこういろいろやってるんですよね。

ドラマでは主人公である王妃リジーと王母マーガレットの存在感が圧倒的だったために、「メンタルが弱くて一人では何もできない情けない王」になってしまいました。

受け継がれていく呪い

そしてシリーズ通して描かれるのが、エリザベスの「呪い」。

前作で息子エドワードを殺されたリジーの母エリザベスは、殺人犯とその長男、さらに孫にまで呪いをかけ、その家系から長男を絶やすよう念じました。

エドワードを殺したのは王母マーガレットなので、呪いは彼女と彼女の息子ヘンリー、そして孫のアーサーに降りかかることになります。

リジーは呪いを回避するためにも、実の弟であるリチャードを生かすべく策を講じますが、スペインからの圧力でついに処刑せざるをえなくなってしまう。

リチャードとともに幽閉中のいとこテディ(ウォリック伯)も処刑したため、テディの姉マギーからも恨みを買うことに。

私は先に「スパニッシュ・プリンセス」を見たときに、リジーを恨むマギーの心情がいまいち掴めなかったのですが、ようやく繋がりました。こういう経緯だったんですね。

“塔の王子たち”を殺したことで、王母マーガレットと同じ罪を背負うことになってしまったリジー。物語は呪いとともにつぎの世代へと受け継がれていきます。

つぎはリジーの長男アーサーの妻となるスペイン王女キャサリンが主人公。何も知らない彼女に、「呪い」が降りかかることに…。

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